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突然の婚約破棄
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「アリサ!お前との婚約は今日ここで破棄させてもらう!」
久し振りに会った婚約者の第一声にアリサは目を見開いた。人のごった返した昼間の学生食堂で大声でわめく婚約者ージョシュア・ドロン公爵令息が自分を指さしている。
「お前のような、地味で色気もない女と今まで婚約してやっただけありがたいと思え!」
公衆の面前で大声で叫ぶので注目されている。アリサは眉根を寄せた。周りでひそひそと話す声が聞こえてくる。
(あら、アリサさま、おかわいそう……クスクス)
(地味だなんて、本当のことですけど、わざわざ言ってあげなくてもいいのに…フフッ)
(仕方ないわ、真実の愛を邪魔してしまったのですもの)
「私は今日ここにアリサとの婚約を破棄し、この可憐なマリー嬢と新たな婚約を結び直す!」
ジョシュアの腕に抱きついているマリーは、うるうると瞳を潤ませていた。
「アリサさま、ごめんなさい。わたしがジョシュアさまのことを好きになってしまったから…。いけないことだとは分かっていたの。でも、気が付いたら、想いをとめられなくなっていて…」
そこまで言ってマリーはわっと泣き出してしまった。周囲の空気がマリーに同情的なものになる。アリサへの非難の視線がチクチク刺さる。
「大丈夫だ!マリー、すでに婚約は解消された!これからは幸せになろう!おなかの子のためにも!」
見るとマリーは学園の制服でなくゆったりとしたワンピースを身にまとっていた。卒業までは2年もある。確実に在学中に出産してしまう。だからアリサとの婚約を急いで破棄しようとしたのか。
抱き合って盛り上がる二人を、周囲が拍手で祝福した。
すでにアリサの事など皆忘れている。ぼそりと「婚約の破棄、了承いたしました」とだけ言い残して、アリサはその場をあとにした。
*
「お父様!やりましたよ!ジョシュア様から婚約を破棄すると宣言されました!」
帰宅したアリサは頬を上気させ、歓喜の叫びをあげた。
「ああ、聞いているよ。どうやら公衆の面前で大々的に茶番を演じたらしいね」
もうすでに学園での醜聞は父の耳に入っていた。さすがお父様、情報が早い。
「ドロン公爵家にはすでに正式な婚約破棄の申し出を文書で送っておいたから、近々話し合いがあるだろう。不貞の証拠はバッチリだからこちらの有利に進む。心配ないよ」
なぜかお父様は黙り込んでしまった。アリサは怪訝そうな顔をして父親の顔を見た。
「…すまなかったね、アリサ。いくら公爵家のたっての希望だからといって、あんな男との婚約を一年も強いてしまった。力のない私を許してほしい」
「顔をお上げください、お父様。お父様は頑張って抗ってくださったじゃないですか。それだけでもう充分です。結果的にジョシュア様とは縁が切れるのですから、もう気にしないでください」
アリサは笑顔で父親を慰めた。もう終わったことなのだから。その時は、そう信じていた。
久し振りに会った婚約者の第一声にアリサは目を見開いた。人のごった返した昼間の学生食堂で大声でわめく婚約者ージョシュア・ドロン公爵令息が自分を指さしている。
「お前のような、地味で色気もない女と今まで婚約してやっただけありがたいと思え!」
公衆の面前で大声で叫ぶので注目されている。アリサは眉根を寄せた。周りでひそひそと話す声が聞こえてくる。
(あら、アリサさま、おかわいそう……クスクス)
(地味だなんて、本当のことですけど、わざわざ言ってあげなくてもいいのに…フフッ)
(仕方ないわ、真実の愛を邪魔してしまったのですもの)
「私は今日ここにアリサとの婚約を破棄し、この可憐なマリー嬢と新たな婚約を結び直す!」
ジョシュアの腕に抱きついているマリーは、うるうると瞳を潤ませていた。
「アリサさま、ごめんなさい。わたしがジョシュアさまのことを好きになってしまったから…。いけないことだとは分かっていたの。でも、気が付いたら、想いをとめられなくなっていて…」
そこまで言ってマリーはわっと泣き出してしまった。周囲の空気がマリーに同情的なものになる。アリサへの非難の視線がチクチク刺さる。
「大丈夫だ!マリー、すでに婚約は解消された!これからは幸せになろう!おなかの子のためにも!」
見るとマリーは学園の制服でなくゆったりとしたワンピースを身にまとっていた。卒業までは2年もある。確実に在学中に出産してしまう。だからアリサとの婚約を急いで破棄しようとしたのか。
抱き合って盛り上がる二人を、周囲が拍手で祝福した。
すでにアリサの事など皆忘れている。ぼそりと「婚約の破棄、了承いたしました」とだけ言い残して、アリサはその場をあとにした。
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「お父様!やりましたよ!ジョシュア様から婚約を破棄すると宣言されました!」
帰宅したアリサは頬を上気させ、歓喜の叫びをあげた。
「ああ、聞いているよ。どうやら公衆の面前で大々的に茶番を演じたらしいね」
もうすでに学園での醜聞は父の耳に入っていた。さすがお父様、情報が早い。
「ドロン公爵家にはすでに正式な婚約破棄の申し出を文書で送っておいたから、近々話し合いがあるだろう。不貞の証拠はバッチリだからこちらの有利に進む。心配ないよ」
なぜかお父様は黙り込んでしまった。アリサは怪訝そうな顔をして父親の顔を見た。
「…すまなかったね、アリサ。いくら公爵家のたっての希望だからといって、あんな男との婚約を一年も強いてしまった。力のない私を許してほしい」
「顔をお上げください、お父様。お父様は頑張って抗ってくださったじゃないですか。それだけでもう充分です。結果的にジョシュア様とは縁が切れるのですから、もう気にしないでください」
アリサは笑顔で父親を慰めた。もう終わったことなのだから。その時は、そう信じていた。
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