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11歳・リリー成長記録と入学準備

誘拐と忘れられた記憶

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(ん……ここは……?私は……)
だんだん意識がはっきりしてくる

(そうだ………私変な男に………うっ……)
頭がいたい。前世のことを思い出したから………?
あの記憶は………あれは……私……あの時あいつらに……
「はっはっは……」
息が上がる。
思い出すだけで寒気がする………吐き気がおそう
(気持ち悪い………怖い………)
自らを抱き締める。何かから守るように
手は汗ばんでいた。
(それで………私あの後………うっ………痛い………これ以上思い出すのはやめよう………)

「おい、目が覚めたか」
「……………誰……?」
「俺か?俺はダンだ」
「私………は………いったい………」
「なんだよ?お前。大丈夫か?顔真っ青だぞ?お前はソリュート坊っちゃん達に誘拐されたんだよ。既に2日たってる。」
(2日………)
「俺はソリュート坊っちゃんに依頼されて、お前を捕縛し、拘束しにきた。俺はあいつらが何を目的にしてるかはわかんねぇ。雇い人だからな。でも最低限のことはするよう言われてるから世話はしてやる。こんな小さい子をこんな目にするのは良心が痛むが、これも仕事なんだ………悪いな」
そういって、私に手錠をはめる。
その顔はどこか苦しそうだった。
「………」
「とりあえず、飯だ。ほら」
手錠をはめたままでも食べれるうにか、パンを二つ渡された。
ダンと言った男はその後、部屋から出ていった。
おそらく、報告にでも言ったのだろう。
(………美味しくない)
味のない固いパン。それでも食べる。
生きるためには食べなきゃいけないから。
私が今いる部屋は牢屋みたい。
簡易なベッドと、トイレ。それだけ。
(私は………誘拐された……そうだ……アルトとリリーは!?私の………私のせいで……)



バン!
(ビクッ!)
と、勢いよく目の前の扉が開かれる。
扉から三人の男が入ってきた。
「目が覚めたか、フィアナ・ヴァレンタイン」
「………誰?」
「なっ!忘れたとは言わせねえぞ!俺はソリュート・シルストだ!」
(ソリュート………?あ………あの時の………)
「お前らのせいで、俺は奴隷のような生活をさせられたんだ!この恨み、しっかりはらさせてもらうぞ!おい、連れてこい!」
「へい」


「ほらさっさと歩け!」
「………」
「アルト!リリー!」
「「姉さん(お姉様)!」」
「ふっ……久しぶりだな。アルト」
「………誰だ?お前………」
「お前もかよ!………まぁいい……俺はソリュート・シルストだ!忘れたとは言わせないぞ!」
「あぁ……あの馬鹿か」
「なっ!………ふっ……まぁそんな減らず口を叩けるのも今のうちだけどな」
「どういう意味だ……?」
「こういう意味だよ!」
「キャッ!」
「姉さん!リリー!」
ソリュートの言葉を合図に、私とリリーは後ろから羽交い締めにされ、ナイフを首もとに突きつけられる。
「こいつらを傷物にされたくなければ、大人しく言うことを聞くんだな」
「卑怯者……!」
「いいのか?そんなこと言って?お前の一言でお前の家族の首がとぶぞ?」
「つっ………」
「そうだなぁ………まずは地面に這いつくばって、謝罪でもしてもらおうか」
「………申し訳ありませんでした」
と、アルトは言われた通りにする。
「はっ!いい様だなぁ!アルト!おらっ!」
「グッ!」
「アルト(兄様)!」
ソリュートはアルトを蹴り飛ばす。
アルトの顔は苦痛に歪んでいた。
抵抗しようにも、ご丁寧に私たちには魔封じの手錠をつけられてしまっている。
「おらっ!おらおら!どうした!?こんなんでへばっちまうのかよ!」
殴る、蹴る、暴力を繰り返される
(なんで………私はなにもできないの………?私は………なんでこんなに無力なの………?私のせいなのに………私……私はやっぱり……」

『いらない存在だったのかな?』

_記憶の彼方で

『なんで、お前なんかが産まれてきたんだ!』
『お前さえいなければ』
『お前のせいだ』
『死ね!死んじまえ!』
『お前は産まれてくるべきじゃなかったんだよ!』
『お前は無価値な人間だ』
『いらない存在だ』
『この役立たず!』
『いなくなれいなくなれいなくなれいなくなれ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ!』

『死・ん・で・し・ま・え』

『やめて……痛いことしないで……私が悪かったから……もうなにも言わないから……ごめんなさい……ごめんなさい……生まれてきてごめんなさい……良い子にするから……だから……痛いこと……しないで………』

(私……私は………このまま……なにもできずに終わるの……?役立たずなの……?嫌だ……もう……あんな思いは……したくない……)

「おらおら!おらおらおらおら!ははっ!良い気味だ!調子に乗るからこうなるんだ!」

『可愛いからって調子のんなよ!』
『調子に乗るからこんな目に合うんだよ!』
『そんな……私……調子にのってなんか……!』
『あーもう、うるさいなぁ……私たちに逆らうなんて……ほんと馬鹿だね』
『悪い子にはお仕置きが必要だよね~?』
『そいつ連れてって』
『痛い!やめて!離して!』
『大人しくしろ!チッ……めんどくせぇ……黙らせるか』
『痛い痛い痛い痛い痛い痛い!怖い怖い怖い怖い怖い!!私……また間違えたの……?悪い子なの………?』

(嫌だ……痛いことしないで……気持ち悪い………怖い!!)

『うわっ!きたねー!こいつマジで吐いたよ!ほんと気持ち悪い!』
『絶対寄るなよ!?近づいたら臭いとかうつりそうだわ!』
『ザバー!』
『あはは!ほら綺麗になったよ!感謝してよね!』
『あはははは!ナイスタイミング!ほんと最高だわあんた!』
『ほんと、汚いねあんた』

(気持ち悪い?……汚い?……こんなことをするあなた達の方が………よっぽど……)


『ごめんね……お母さん………最後ま………で日和のこと………守ってあ………げら……れなかっ……た……ごめ……ん……ね…………』
『お母さん!お母さん!!』
『やっと、うるさいのがいなくなった。お前のせいで、お前の大好きな母親はいなくなったんだぞ?』


(もう……嫌だ……私のせいで大切な人達がいなくなるのは……あいつみたいなやつに殺されるのは……嫌だ……嫌だ!!)

(今度こそ……力が……力が欲しい……強さが欲しい……今度こそ絶対に……大切な人を守れるように…………!!)


『大丈夫……あなたは一人じゃない……私たちがついてるから……だから思う存分……その力を使いなさい』 

何かが溢れだしてくる……これは……なに?これが私の力……?私の魔力……?すごい……力が溢れてくる……それにとても……

『暖かい……』

「なっ……なんだよ……こいつ……」
「こんな……こんな力を隠し持ってるなんて……聞いてない……聞いてないぞ!!」
「あ……あぁ……」

周りのやつらがへたれこむ。
膨大な力に押し付けられるかのように

「あれが……お姉様の力なの……?」
「ね……えさ……ん……?」
「なんなんだ……あいつ……本当にあいつは……」

『フィアナ・ヴァレンタインなのか……?』

「さぁ……始めましょうか……お覚悟はよろしいですか?」

と、静まり返った部屋のなかで、私は言った。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

フィアナちゃんがすごいかっこよかったです!
と、いきなり失礼しました、皆さんおはようございます?こんにちは?こんばんわ?SAKURAです!
今回のようなテイストの話は初めて書いたため、なかなか上手く進まなかったんですが、まぁ楽しんでいただけるといいな思います!
次回はフィアナちゃん達、またはフィアナちゃんの反撃のターンになるかと……
バトルシーンも上手く書けるかわかりませんが、まぁ頑張ります!
この人騒動が終わったらそろそろ学園編に移りたいですね~
今後も、フィアナちゃん達をよろしくお願いします!
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