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14:従者トマスの告白2
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ルパートのために、何とかしよう! トマスはそう決意した。
決意したがどうしていいかわからないまま、トマスは屋敷と学院と伯爵家を往復し続けた。
そんな折にルパートがアウロラ・ヴェールの安定開発に成功した。株が増え、たくさん咲き誇るそのあまりの美しさに目を奪われながら、花に顔を近づけてその香りを嗅いだ時、スゥっと心が静まり、頭が冴えた。目の前には穏やかに笑うルパートとマリオが楽しそうに栽培の話をしている。
今までルパートがやっている事と頭で認識していることが違っていたのに、合致している。トマスは訳も分からず、しかし感激していた。ようやく現実と認識が合わさった事に。しかも自分が思った通りの言葉が出てくる。
「ルパート様、朝食の時間ですよ」
「ああ、もうそんな時間? ここだけやったらすぐに行く」
「冷める前に来てください。それとこのかごのトマト、持って行っていいのですか?」
「ああうん、頼むよ。食事に使ってもいいし、使わなければみんなで分けて」
「かしこまりました」
久しぶりに自分らしい受け答えが出来た! ルパートの言葉も口の動きと聞こえてくる言葉が一致している! 自分のかしこまりましたという言葉に、ルパートが唖然としているのが見える。それはそうだろう、今まで使いたくても口から出なかった言葉なのだから!
それ以来、心が落ち着いた状態で過ごせる日々が増えてきた。そしてふと気が付いた。いつも心が落ち着く時には、この花があると。
「ルパート様、この花の香りは、なんだか落ち着きますね」
「うん? そう?」
「はい。心が落ち着くというか、頭がすっきりするというか。そんな感じがします」
ルパートなら、きっとこの現象を解明してくれる。そう信じていた。
そして少し考え込んでいたルパートが顔を上げ、にこやかに言った。
「トマス、アイデアをありがとう。ちょっと香りについても研究してみるよ。いろいろ聞くと思うけどいいかな?」
「……そんなつもりで言った訳ではないのですが、お役に立てるのなら光栄です」
すこしいらない言葉もついてしまったが、おおむね自分の言葉で返せた。このまま自分らしく行きたい。ルパートに不必要な反抗するのではなく。
そしてあの夢を思い出した。あの未来を現実のものにさせないためには、誰かの協力が必要だ。ウィロウ先生はもちろんだが、もっと強力な人の協力が。なにせローズの味方は第2王子らしいのだから。
どうにかならないかと考えていた時に思いだした。以前、学院にお使いに来た帰り、廊下で警備に囲まれた人が来るのを見て、トマスは廊下の壁に寄って、頭を下げて彼らが通り過ぎるのを待った。そして気が付いた。あれは第1皇子ハリー殿下であると。
そうだ。夢の中でルパートを助けようとしていたのが、ハリー第1皇子だった。彼を味方に引き入れ、あの悲劇の日に間に合えば、ルパートを助けられる!
その日からトマスは考えに考えた。下手にハリー王子に接触しようものなら自分が不敬罪で裁かれてしまい、ルパートにも迷惑をかけてしまう。何とか良い案はないだろうか。
あった。ルパートの発明品が。
トマスはその日、大学の廊下をオーロラ・バルーンフラワーの鉢をもってゆっくりと歩いていた。まだ公にはしていないこの花を、大学の研究用に持ってきたものの一番大きな一鉢だ。
そして今までの下調べで、今日のこの時間、ハリー王子がこの廊下を移動のために通る事が分かった。それに合わせて廊下をうろうろしていたトマスの目に、予定通りにハリー王子と護衛がやってきたのが見えた。
すぐに壁に背を向けて頭を下げる。王族を直接見るなどと不敬な事はしない。そのまま彼らが通り過ぎるのを待つしかない。コツコツと足音が近づいてきて、初めに近衛が、そして多分第1皇子が通り過ぎた。
失敗か。そう思った瞬間だった。
「その花はなんだ?」
驚いたような声が聞こえた。ここで花を持って立っているのはトマスだけ。なんなら他に人はいない。少しだけ目線を上げると、少し先に先ほどの一行が立ち止まっていた。
無言のトマスに側近だろうか、学生には似つかないスーツ姿の男性が、こちらに近づいてきて言った。
「そこの者、王子の質問に答えなさい。その持っている花は何ですか?」
やった! 興味を惹けた! トマスは内心で飛び跳ねたいほどの嬉しさを感じながら、表面は静かに、目線を下げたままで答えた。
「こちらの花は、私の主人が開発したものです」
「主人とは?」
「ルパート・スタンリー伯爵令息です」
少しの間があって、声の主が先ほど何の花かと最初に聞いたものに変わった。
「ルパート・スタンリー? あの『肥料』を開発した伯爵令息か?」
「はい」
知られていた! さすがは王族。トマスは心の中でぐっと手を握った。
「そのルパート卿の開発した花なのか?」
「はい」
「花の名は?」
「主人は、オーロラ・バルーンフラワーと呼んでおります」
狙い通り、ハリー王子はオーロラ色の花に興味を示した。そこでトマスはこれを大学での研究のために運んできたものである事、7色の花もある事などを控えめに話した。
さらにハリー王子に請われてウィロウ先生の研究室に案内し、美しい花を食い入るように見つめるハリー王子に、未来を託すことを決めたのだ。
だがまさか前触れもなくいきなり屋敷に来るとは思ってもみなかった。ルパートには俺の正体をいうなよと脅され、大慌てで庭仕事をしていたルパートを呼び、あれよあれよという間にオーロラ・バルーンフラワーを王城御用達として卸す事となった。
これでルパートは王家にもつながり、多少は守ってもらえる可能性が出来た。
それでも未来の夢ではルパートが殺されていた。もっと手を打たなければ。だが夢の話などしても本気にしてもらえるわけがない。
トマスは自分が伯爵家に行くとおかしくなる事を認識していた。ルパートも花の香りでそれが押さえられるらしいと気が付いて、開発に乗り出してくれている。自分が出来ることなら何でもする。嫌であったが伯爵家に赴き、ローズと会話し、ぐちゃぐちゃな頭と心で屋敷に戻り、ルパートの研究に協力する。自分に出来ることはそれだけだと、トマスは歯を食いしばって日々を過ごした。
そしてハリー王子がルパートを尋ねてきた時に、ルパートが席を外した時に、無礼を承知でお願いがありますと話しかけた。
「なんだ?」
「ルパート様の命が狙われています。どうか、ルパート様を助けてください」
「……どういうことか、詳しく説明しろ」
トマスは、ローズの言動がおかしい事、それを周りが鵜呑みにしてしまう事をまず説明した。それらは高等学部の入学試験で、ルパートが満点合格なのに、スタンリー伯爵は最低点で不合格だと言い張って聞き入れなかった過去を、ハリーが知っていたことで、興味を持ってもらえた。
「ローズ様は、何故かは知りませんが、今でもルパート様を憎み、排除しようとしています。高等学部ではレイモンド第2王子を味方に付けて、ありもしないルパート様の悪口を吹き込んでいるのです」
「レイモンドがローズ嬢と接触しているのは知っている。しかしそんな程度でレイモンドが本気にするとは思えないが」
「殿下、どうか、ローズ様を調査してください。あの人は何かおかしいんです。どうか、ルパート様をお守りください」
ハリーは半信半疑だっただろうが、ルパートがこのような辺鄙な場所に飛ばされ、質素な屋敷に住んでいる事を疑問に思ってもいたのだろう。ローズに関しての調査を始めてくれたようだった。
だが一介の使用人であるトマスにいちいち説明などしてくれるわけがない。トマスはやきもきしながらもルパートの側からなるべく離れないようにし、ローズの状況をハリーに伝え続けた。
そして高等学部の卒業記念の舞踏会が近づいてくる。夢の通りなら、そこでルパートは殺されてしまう。
トマスは、意を決して、ハリーに手紙を書いた。舞踏会でローズがルパートを殺そうとしていると。嘘ではあったが、伯爵家でそのような会話を級友としているのを聞いてしまった、と。舞踏会にルパートを引きずりだして、そこでありもしない罪で断罪し、毒を飲ませる計画だと。
頼むからルパートを助けてほしいと短い手紙を書いて、王子にルパートが送った青菫草の鉢に添えて関係者に手渡した。
その手紙に王子が気が付くか、内容を王子に本気にしてもらえるかは分からなかった。
そしてその日が近づいてきた。トマスが警戒してピリピリしている中、ルパートは舞踏会など自分には関係ないからとウィロウ先生の家で、咲いたばかりの新種の花を笑顔で見つめていた。
人の気も知らないで、と八つ当たりしたくなるトマスだったが、ぐっとこらえてそれを見守っていると、ハリーが急に来訪してきたのだ。
そこでハリーは、調査の結果としてレイモンド王子たちが卒業記念舞踏会で、ルパートに対して何かをしようとしているらしい、とルパートに告げた。
ルパートは少し目を見張ったが、それだけだった。そして落ち着いた声で、そうですか、と答えた。
「驚かないのか?」
「驚いていますよ。でもまあ、妹がやりそうな事だな、と思いまして」
「どんな妹なんだ、それは。レイモンドにはそれとなく法と常識から外れることはするなと伝えているのだが、反応がいまいちなんだ」
「そうですか」
と他人事のように落ち着いて茶を飲むルパートに、トマスは腹が立った。せっかく王子を通じて警告しているのに、何故本気にしないのかと。
「ルパート様、ご自身が狙われているかもしれないんですよ!? 何をのんびり茶なんてのんでいるんですか!」
トマスの言葉にルパートがちらりと視線をよこした。
「分かっているよ。でも殿下がそう教えてくださったという事は、殿下はもう打てる手は打ってくださっているのでしょう?」
そう微笑みながらハリーに言うルパートに、トマスは思わず息を飲んだ。そしてハリーは笑いながら言った。
「そこまで信用されているとは嬉しいな。ああ、出来るだけの手は打とうと思っている。その為に、卿の協力が必要だ」
「私で出来ることでしたら、なんでも」
そこで話し合われたのは、トマスにとっては驚くべきことだった。
ローズには言葉によって人を操る力があるらしいとルパートが言ったのだ。それを聞いて非常に納得したものだが、その解除方法にも驚かされた。
「トマスの協力を得て、アウロラ・ヴェールのエキスを使うと、洗脳効果を解除できることが判明しています」
「……さすがだな。こうなる事を見越していたのか?」
「いいえ、ただ、トマスがアウロラ・ヴェールの香りで落ち着くと言っていたので研究してみたら、そういう効果があると分かっただけです。それに僕は幼少期よりローズの言動に疑問を持っていましたから、ウィロウ先生とも議論を重ねた結果、ローズの言葉には洗脳の可能性があると考えていただけです」
「たしかにそうなるとすべてが判明するな。ではそのエキスを彼らに飲ませるか?」
「残念ながら、アウロラ・ヴェールのエキスはそこまで大量には作れません。効果は落ちますが、アルクス・フロスなら、レイモンド王子とそのご友人方の分は作れるでしょう。それより効果の少ないバルーンフラワーのエキスなら大量に作れるので、それらを配合してもいいかもしれません」
「それをどうやって飲ませる?」
「事前に飲ませるのは不可能でしょうね。洗脳が解けたと分かれば、ローズはまた上掛けしてくるはずです」
「ふうむ、確かにそうだな。レイモンドだけでも洗脳を解きたかったんだが……」
「レイモンド王子の洗脳が解けたら、すぐさま上掛けしますよ」
考え込む二人にトマスが提案した。
「恐れながら、舞踏会当日に、参加者全員にウエルカムドリンクとして、エキス入りの飲み物を配ってはいかがでしょうか?」
「ウェルカムドリンク?」
不思議そうに言うルパート。彼は社交界とはかかわりがないため、舞踏会などに参加したことがない。伯爵がそれを禁じていたし、家を追い出される前から貴族教育はなされていなかったため、ルパートには最低限の社交知識しかない。本人も参加したがらなかったから、社交界デビューもしていないのだ。
「ルパート様、舞踏会やお茶会などでは必ず、訪れた際にウェルカムドリンクが配られます。高等学部の生徒たちは、多かれ少なかれローズ様の影響を受けて、ルパート様を悪者だと思い込んでいるでしょう。ドリンクで全員の目を覚まさせたうえで、会場でのローズ様の言動を見れば、どちらが悪いのかが判明すると思うのですが」
「なるほど、それならほぼ全員が飲むだろうしな。だがエキスはそれほどの量はないんだろう?」
ルパートは考えながら答えた。
「効果の高いものは確かに足りませんが、直接洗脳されているレイモンド王子とご友人以外なら、バルーンフラワーとアルクス・フロスを混ぜれば有効でしょう。量も足ります。飲んでさえいただければ、レイモンド王子にも効果はあります」
「飲んでさえ? 飲まないと思うのか?」
ルパートは頷いた。
「ローズが飲ませないでしょうね」
「ルパート様、それなら、アウロラ・ヴェールを会場内に飾るのはいかがでしょうか?」
「……そうか、あの香りを充満させれば、時間はかかるけれど洗脳効果は薄れる」
「さらに胸に飾ってもらえば効果も上がるのではないでしょうか?」
トマスは実体験からそう提案した。最近は伯爵家に出向く際に、こっそりとアウロラ・ヴェールの花を入れた小さな袋を外から見えないように服の中にいれて首から下げている。これでローズの言葉に惑わされなくなったのだ。
「ルパート、大量になるが、用意できるか?」
「あと10日ありますから、ご用意いたします。トマス、忙しくなるけど手伝ってくれるかな?」
「もちろんです」
その後の話し合いで、ローズが伯爵家を出ると同時に、伯爵家の洗脳を解くこと、ルパートは大学の研究室にいる事が決まった。ただルパートに護衛をつけすぎるとレイモンド王子が計画が漏れているのではと警戒をする可能性が高い。そうなると彼らの決行日が早まる恐れがあるので、護衛は増やせない事が話し合われた。
ルパートは自体が分かっているのかいないのか、のんきにそれでいいと、成り行きに任せると微笑を浮かべていたが、トマスは気が気ではなかった。
「襲われたらどうするつもりですか! ルパート様は確かに最近体力は付いたとはいえ、剣技の方はからっきしなんですよ! 反撃なんて出来ないでしょう!?」
「彼らは舞踏会会場で僕を断罪するつもりなんだろう? ならそこに連れていかれるだけで、その前に殺されたりはしないよ。適当に抗って、時間を引き延ばしながら連れていかれるさ」
「しかし!!」
詰め寄るトマスに、ルパートは笑顔を向けた。
「大丈夫だよ。ハリー殿下がいらっしゃるし、トマスもいてくれるんだろう?」
あれだけルパートに不敬を働き続けたトマスを、ルパートは信頼してくれている。思わずトマスの目に涙が浮かんだ。
ハリーはそのルパートの言葉に笑って、任せておけ、と言った。
「本当にレイモンドがやらかすのなら、止めるよりも実行させた方がいいだろう。ルパートの無実も参加者全員に判明するし。ルパートには多少痛い目にあってもらうかもしれないが……」
「ローズの罪を暴くためです。しかし良いのですか? 僕は身内の事ですから、どうなっても仕方がありませんけれど、レイモンド殿下はローズのせいで将来にまでかかわりますよ?」
ハリーはため息をついた。
「レイモンドは努力家だし、有能だ。何より愛する弟なのだから、できれば助けたい。しかし洗脳されているとはいえ、舞踏会で勝手に断罪しようなどと言う状況判断も出来ないほどに精神耗弱状態ならば、致し方がない。それにどこまでやるつもりなのかもあるしな」
ただ人前でルパートに、ローズに謝罪させたいだけなら、そこまで大事にはならないだろう。舞踏会も会場ではなく、控室などでの断罪ならば、内内で治めることもできる。それならばウェルカムドリンクも鉢も、不要かもしれない。しかし最悪の事態に備えなければならない。少なくともトマスが見た夢は、その最悪のものだったのだから。
ひょうひょうとして見えたルパートも、よく見れば手が震えている。きっと大丈夫と自分に言い聞かせているのだろうとトマスは思った。
「ルパート様、私が全力でお守りいたします!」
ずっと言いたかった事をようやく伝えられた。ローズのいいなりなど二度となるものか。侍従としてあり得ないほどに突き放しても自分を側においてくれたこの人に、恩を返す時が来たのだ。
「ありがとう、トマス」
そう微笑んでくれるだけで十分だ。トマスはこぶしを握った。
「おいおい、俺を忘れないでくれよ」
「もちろんですよ、殿下あっての僕ですから」
「ははは。まあ任せておけ。俺も全力でルパートを守るから」
「はい。お願いいたします」
ハリーが笑いながら差し出したこぶしに、ルパートもコツンとこぶしを当てる。
各々が全力で来るべき時に備えた。
そうして最悪の断罪劇が幕を開けた。
トマスが見た夢の通りに事態は運んだ。ルパートも予想以上に痛めつけられてしまった。だが無事だった。間に合ったのだ。
トマスはへたり込みそうな位に安堵したが、ルパートを支えるために踏ん張った。
すべてが終わり、屋敷に戻ってようやくへたり込めると思ったが、その前にルパートが倒れた。
あんなに飄々として見えたルパートも、寝る時間を削っての花やエキスの準備、そして当日の暴力だ。倒れても当然だろう。すぐさまトマスが看病に入り、しかしルパートにお前も休めと言われて部屋から追い出されてしまった。
側についていたいが、自分も限界だったから素直に従い、すぐに部屋で横になった。
助けられた。あの夢が本当に未来の夢だったのかはわからないが、途中までは全く同じ展開だった。だが現実では間に合ったのだ。ルパートをすくえたのだ。
今頃になって震えが来た。一歩間違えば本当にルパートを失うところだった。生まれた時から知っている、誰よりも大切な、兄弟のような彼を。
トマスは安堵で泣いた。そしてハリー王子に、ウィロウ先生に、自分の代わりに園芸でルパートを支えてくれたマリオに感謝した。
ルパートが改良した、枕元に鉢植えで置いている、あの万能で美しいオーロラ色の花にも。自分の洗脳を解き、みんなの洗脳を解き、心を安らかにしてくれる、ルパートが触れるとほんのり光って見えるような気がする、この神秘的な花に、何度も何度も感謝した。
トマスは何時しか寝てしまい、そうしてまた未来の夢を見た。
だが今度の夢は、現実同様にルパートが無事だった。そしてその後もアウロラ・ヴェールに囲まれてルパートが笑っている、その横で自分も笑っている夢に代わっていた。
決意したがどうしていいかわからないまま、トマスは屋敷と学院と伯爵家を往復し続けた。
そんな折にルパートがアウロラ・ヴェールの安定開発に成功した。株が増え、たくさん咲き誇るそのあまりの美しさに目を奪われながら、花に顔を近づけてその香りを嗅いだ時、スゥっと心が静まり、頭が冴えた。目の前には穏やかに笑うルパートとマリオが楽しそうに栽培の話をしている。
今までルパートがやっている事と頭で認識していることが違っていたのに、合致している。トマスは訳も分からず、しかし感激していた。ようやく現実と認識が合わさった事に。しかも自分が思った通りの言葉が出てくる。
「ルパート様、朝食の時間ですよ」
「ああ、もうそんな時間? ここだけやったらすぐに行く」
「冷める前に来てください。それとこのかごのトマト、持って行っていいのですか?」
「ああうん、頼むよ。食事に使ってもいいし、使わなければみんなで分けて」
「かしこまりました」
久しぶりに自分らしい受け答えが出来た! ルパートの言葉も口の動きと聞こえてくる言葉が一致している! 自分のかしこまりましたという言葉に、ルパートが唖然としているのが見える。それはそうだろう、今まで使いたくても口から出なかった言葉なのだから!
それ以来、心が落ち着いた状態で過ごせる日々が増えてきた。そしてふと気が付いた。いつも心が落ち着く時には、この花があると。
「ルパート様、この花の香りは、なんだか落ち着きますね」
「うん? そう?」
「はい。心が落ち着くというか、頭がすっきりするというか。そんな感じがします」
ルパートなら、きっとこの現象を解明してくれる。そう信じていた。
そして少し考え込んでいたルパートが顔を上げ、にこやかに言った。
「トマス、アイデアをありがとう。ちょっと香りについても研究してみるよ。いろいろ聞くと思うけどいいかな?」
「……そんなつもりで言った訳ではないのですが、お役に立てるのなら光栄です」
すこしいらない言葉もついてしまったが、おおむね自分の言葉で返せた。このまま自分らしく行きたい。ルパートに不必要な反抗するのではなく。
そしてあの夢を思い出した。あの未来を現実のものにさせないためには、誰かの協力が必要だ。ウィロウ先生はもちろんだが、もっと強力な人の協力が。なにせローズの味方は第2王子らしいのだから。
どうにかならないかと考えていた時に思いだした。以前、学院にお使いに来た帰り、廊下で警備に囲まれた人が来るのを見て、トマスは廊下の壁に寄って、頭を下げて彼らが通り過ぎるのを待った。そして気が付いた。あれは第1皇子ハリー殿下であると。
そうだ。夢の中でルパートを助けようとしていたのが、ハリー第1皇子だった。彼を味方に引き入れ、あの悲劇の日に間に合えば、ルパートを助けられる!
その日からトマスは考えに考えた。下手にハリー王子に接触しようものなら自分が不敬罪で裁かれてしまい、ルパートにも迷惑をかけてしまう。何とか良い案はないだろうか。
あった。ルパートの発明品が。
トマスはその日、大学の廊下をオーロラ・バルーンフラワーの鉢をもってゆっくりと歩いていた。まだ公にはしていないこの花を、大学の研究用に持ってきたものの一番大きな一鉢だ。
そして今までの下調べで、今日のこの時間、ハリー王子がこの廊下を移動のために通る事が分かった。それに合わせて廊下をうろうろしていたトマスの目に、予定通りにハリー王子と護衛がやってきたのが見えた。
すぐに壁に背を向けて頭を下げる。王族を直接見るなどと不敬な事はしない。そのまま彼らが通り過ぎるのを待つしかない。コツコツと足音が近づいてきて、初めに近衛が、そして多分第1皇子が通り過ぎた。
失敗か。そう思った瞬間だった。
「その花はなんだ?」
驚いたような声が聞こえた。ここで花を持って立っているのはトマスだけ。なんなら他に人はいない。少しだけ目線を上げると、少し先に先ほどの一行が立ち止まっていた。
無言のトマスに側近だろうか、学生には似つかないスーツ姿の男性が、こちらに近づいてきて言った。
「そこの者、王子の質問に答えなさい。その持っている花は何ですか?」
やった! 興味を惹けた! トマスは内心で飛び跳ねたいほどの嬉しさを感じながら、表面は静かに、目線を下げたままで答えた。
「こちらの花は、私の主人が開発したものです」
「主人とは?」
「ルパート・スタンリー伯爵令息です」
少しの間があって、声の主が先ほど何の花かと最初に聞いたものに変わった。
「ルパート・スタンリー? あの『肥料』を開発した伯爵令息か?」
「はい」
知られていた! さすがは王族。トマスは心の中でぐっと手を握った。
「そのルパート卿の開発した花なのか?」
「はい」
「花の名は?」
「主人は、オーロラ・バルーンフラワーと呼んでおります」
狙い通り、ハリー王子はオーロラ色の花に興味を示した。そこでトマスはこれを大学での研究のために運んできたものである事、7色の花もある事などを控えめに話した。
さらにハリー王子に請われてウィロウ先生の研究室に案内し、美しい花を食い入るように見つめるハリー王子に、未来を託すことを決めたのだ。
だがまさか前触れもなくいきなり屋敷に来るとは思ってもみなかった。ルパートには俺の正体をいうなよと脅され、大慌てで庭仕事をしていたルパートを呼び、あれよあれよという間にオーロラ・バルーンフラワーを王城御用達として卸す事となった。
これでルパートは王家にもつながり、多少は守ってもらえる可能性が出来た。
それでも未来の夢ではルパートが殺されていた。もっと手を打たなければ。だが夢の話などしても本気にしてもらえるわけがない。
トマスは自分が伯爵家に行くとおかしくなる事を認識していた。ルパートも花の香りでそれが押さえられるらしいと気が付いて、開発に乗り出してくれている。自分が出来ることなら何でもする。嫌であったが伯爵家に赴き、ローズと会話し、ぐちゃぐちゃな頭と心で屋敷に戻り、ルパートの研究に協力する。自分に出来ることはそれだけだと、トマスは歯を食いしばって日々を過ごした。
そしてハリー王子がルパートを尋ねてきた時に、ルパートが席を外した時に、無礼を承知でお願いがありますと話しかけた。
「なんだ?」
「ルパート様の命が狙われています。どうか、ルパート様を助けてください」
「……どういうことか、詳しく説明しろ」
トマスは、ローズの言動がおかしい事、それを周りが鵜呑みにしてしまう事をまず説明した。それらは高等学部の入学試験で、ルパートが満点合格なのに、スタンリー伯爵は最低点で不合格だと言い張って聞き入れなかった過去を、ハリーが知っていたことで、興味を持ってもらえた。
「ローズ様は、何故かは知りませんが、今でもルパート様を憎み、排除しようとしています。高等学部ではレイモンド第2王子を味方に付けて、ありもしないルパート様の悪口を吹き込んでいるのです」
「レイモンドがローズ嬢と接触しているのは知っている。しかしそんな程度でレイモンドが本気にするとは思えないが」
「殿下、どうか、ローズ様を調査してください。あの人は何かおかしいんです。どうか、ルパート様をお守りください」
ハリーは半信半疑だっただろうが、ルパートがこのような辺鄙な場所に飛ばされ、質素な屋敷に住んでいる事を疑問に思ってもいたのだろう。ローズに関しての調査を始めてくれたようだった。
だが一介の使用人であるトマスにいちいち説明などしてくれるわけがない。トマスはやきもきしながらもルパートの側からなるべく離れないようにし、ローズの状況をハリーに伝え続けた。
そして高等学部の卒業記念の舞踏会が近づいてくる。夢の通りなら、そこでルパートは殺されてしまう。
トマスは、意を決して、ハリーに手紙を書いた。舞踏会でローズがルパートを殺そうとしていると。嘘ではあったが、伯爵家でそのような会話を級友としているのを聞いてしまった、と。舞踏会にルパートを引きずりだして、そこでありもしない罪で断罪し、毒を飲ませる計画だと。
頼むからルパートを助けてほしいと短い手紙を書いて、王子にルパートが送った青菫草の鉢に添えて関係者に手渡した。
その手紙に王子が気が付くか、内容を王子に本気にしてもらえるかは分からなかった。
そしてその日が近づいてきた。トマスが警戒してピリピリしている中、ルパートは舞踏会など自分には関係ないからとウィロウ先生の家で、咲いたばかりの新種の花を笑顔で見つめていた。
人の気も知らないで、と八つ当たりしたくなるトマスだったが、ぐっとこらえてそれを見守っていると、ハリーが急に来訪してきたのだ。
そこでハリーは、調査の結果としてレイモンド王子たちが卒業記念舞踏会で、ルパートに対して何かをしようとしているらしい、とルパートに告げた。
ルパートは少し目を見張ったが、それだけだった。そして落ち着いた声で、そうですか、と答えた。
「驚かないのか?」
「驚いていますよ。でもまあ、妹がやりそうな事だな、と思いまして」
「どんな妹なんだ、それは。レイモンドにはそれとなく法と常識から外れることはするなと伝えているのだが、反応がいまいちなんだ」
「そうですか」
と他人事のように落ち着いて茶を飲むルパートに、トマスは腹が立った。せっかく王子を通じて警告しているのに、何故本気にしないのかと。
「ルパート様、ご自身が狙われているかもしれないんですよ!? 何をのんびり茶なんてのんでいるんですか!」
トマスの言葉にルパートがちらりと視線をよこした。
「分かっているよ。でも殿下がそう教えてくださったという事は、殿下はもう打てる手は打ってくださっているのでしょう?」
そう微笑みながらハリーに言うルパートに、トマスは思わず息を飲んだ。そしてハリーは笑いながら言った。
「そこまで信用されているとは嬉しいな。ああ、出来るだけの手は打とうと思っている。その為に、卿の協力が必要だ」
「私で出来ることでしたら、なんでも」
そこで話し合われたのは、トマスにとっては驚くべきことだった。
ローズには言葉によって人を操る力があるらしいとルパートが言ったのだ。それを聞いて非常に納得したものだが、その解除方法にも驚かされた。
「トマスの協力を得て、アウロラ・ヴェールのエキスを使うと、洗脳効果を解除できることが判明しています」
「……さすがだな。こうなる事を見越していたのか?」
「いいえ、ただ、トマスがアウロラ・ヴェールの香りで落ち着くと言っていたので研究してみたら、そういう効果があると分かっただけです。それに僕は幼少期よりローズの言動に疑問を持っていましたから、ウィロウ先生とも議論を重ねた結果、ローズの言葉には洗脳の可能性があると考えていただけです」
「たしかにそうなるとすべてが判明するな。ではそのエキスを彼らに飲ませるか?」
「残念ながら、アウロラ・ヴェールのエキスはそこまで大量には作れません。効果は落ちますが、アルクス・フロスなら、レイモンド王子とそのご友人方の分は作れるでしょう。それより効果の少ないバルーンフラワーのエキスなら大量に作れるので、それらを配合してもいいかもしれません」
「それをどうやって飲ませる?」
「事前に飲ませるのは不可能でしょうね。洗脳が解けたと分かれば、ローズはまた上掛けしてくるはずです」
「ふうむ、確かにそうだな。レイモンドだけでも洗脳を解きたかったんだが……」
「レイモンド王子の洗脳が解けたら、すぐさま上掛けしますよ」
考え込む二人にトマスが提案した。
「恐れながら、舞踏会当日に、参加者全員にウエルカムドリンクとして、エキス入りの飲み物を配ってはいかがでしょうか?」
「ウェルカムドリンク?」
不思議そうに言うルパート。彼は社交界とはかかわりがないため、舞踏会などに参加したことがない。伯爵がそれを禁じていたし、家を追い出される前から貴族教育はなされていなかったため、ルパートには最低限の社交知識しかない。本人も参加したがらなかったから、社交界デビューもしていないのだ。
「ルパート様、舞踏会やお茶会などでは必ず、訪れた際にウェルカムドリンクが配られます。高等学部の生徒たちは、多かれ少なかれローズ様の影響を受けて、ルパート様を悪者だと思い込んでいるでしょう。ドリンクで全員の目を覚まさせたうえで、会場でのローズ様の言動を見れば、どちらが悪いのかが判明すると思うのですが」
「なるほど、それならほぼ全員が飲むだろうしな。だがエキスはそれほどの量はないんだろう?」
ルパートは考えながら答えた。
「効果の高いものは確かに足りませんが、直接洗脳されているレイモンド王子とご友人以外なら、バルーンフラワーとアルクス・フロスを混ぜれば有効でしょう。量も足ります。飲んでさえいただければ、レイモンド王子にも効果はあります」
「飲んでさえ? 飲まないと思うのか?」
ルパートは頷いた。
「ローズが飲ませないでしょうね」
「ルパート様、それなら、アウロラ・ヴェールを会場内に飾るのはいかがでしょうか?」
「……そうか、あの香りを充満させれば、時間はかかるけれど洗脳効果は薄れる」
「さらに胸に飾ってもらえば効果も上がるのではないでしょうか?」
トマスは実体験からそう提案した。最近は伯爵家に出向く際に、こっそりとアウロラ・ヴェールの花を入れた小さな袋を外から見えないように服の中にいれて首から下げている。これでローズの言葉に惑わされなくなったのだ。
「ルパート、大量になるが、用意できるか?」
「あと10日ありますから、ご用意いたします。トマス、忙しくなるけど手伝ってくれるかな?」
「もちろんです」
その後の話し合いで、ローズが伯爵家を出ると同時に、伯爵家の洗脳を解くこと、ルパートは大学の研究室にいる事が決まった。ただルパートに護衛をつけすぎるとレイモンド王子が計画が漏れているのではと警戒をする可能性が高い。そうなると彼らの決行日が早まる恐れがあるので、護衛は増やせない事が話し合われた。
ルパートは自体が分かっているのかいないのか、のんきにそれでいいと、成り行きに任せると微笑を浮かべていたが、トマスは気が気ではなかった。
「襲われたらどうするつもりですか! ルパート様は確かに最近体力は付いたとはいえ、剣技の方はからっきしなんですよ! 反撃なんて出来ないでしょう!?」
「彼らは舞踏会会場で僕を断罪するつもりなんだろう? ならそこに連れていかれるだけで、その前に殺されたりはしないよ。適当に抗って、時間を引き延ばしながら連れていかれるさ」
「しかし!!」
詰め寄るトマスに、ルパートは笑顔を向けた。
「大丈夫だよ。ハリー殿下がいらっしゃるし、トマスもいてくれるんだろう?」
あれだけルパートに不敬を働き続けたトマスを、ルパートは信頼してくれている。思わずトマスの目に涙が浮かんだ。
ハリーはそのルパートの言葉に笑って、任せておけ、と言った。
「本当にレイモンドがやらかすのなら、止めるよりも実行させた方がいいだろう。ルパートの無実も参加者全員に判明するし。ルパートには多少痛い目にあってもらうかもしれないが……」
「ローズの罪を暴くためです。しかし良いのですか? 僕は身内の事ですから、どうなっても仕方がありませんけれど、レイモンド殿下はローズのせいで将来にまでかかわりますよ?」
ハリーはため息をついた。
「レイモンドは努力家だし、有能だ。何より愛する弟なのだから、できれば助けたい。しかし洗脳されているとはいえ、舞踏会で勝手に断罪しようなどと言う状況判断も出来ないほどに精神耗弱状態ならば、致し方がない。それにどこまでやるつもりなのかもあるしな」
ただ人前でルパートに、ローズに謝罪させたいだけなら、そこまで大事にはならないだろう。舞踏会も会場ではなく、控室などでの断罪ならば、内内で治めることもできる。それならばウェルカムドリンクも鉢も、不要かもしれない。しかし最悪の事態に備えなければならない。少なくともトマスが見た夢は、その最悪のものだったのだから。
ひょうひょうとして見えたルパートも、よく見れば手が震えている。きっと大丈夫と自分に言い聞かせているのだろうとトマスは思った。
「ルパート様、私が全力でお守りいたします!」
ずっと言いたかった事をようやく伝えられた。ローズのいいなりなど二度となるものか。侍従としてあり得ないほどに突き放しても自分を側においてくれたこの人に、恩を返す時が来たのだ。
「ありがとう、トマス」
そう微笑んでくれるだけで十分だ。トマスはこぶしを握った。
「おいおい、俺を忘れないでくれよ」
「もちろんですよ、殿下あっての僕ですから」
「ははは。まあ任せておけ。俺も全力でルパートを守るから」
「はい。お願いいたします」
ハリーが笑いながら差し出したこぶしに、ルパートもコツンとこぶしを当てる。
各々が全力で来るべき時に備えた。
そうして最悪の断罪劇が幕を開けた。
トマスが見た夢の通りに事態は運んだ。ルパートも予想以上に痛めつけられてしまった。だが無事だった。間に合ったのだ。
トマスはへたり込みそうな位に安堵したが、ルパートを支えるために踏ん張った。
すべてが終わり、屋敷に戻ってようやくへたり込めると思ったが、その前にルパートが倒れた。
あんなに飄々として見えたルパートも、寝る時間を削っての花やエキスの準備、そして当日の暴力だ。倒れても当然だろう。すぐさまトマスが看病に入り、しかしルパートにお前も休めと言われて部屋から追い出されてしまった。
側についていたいが、自分も限界だったから素直に従い、すぐに部屋で横になった。
助けられた。あの夢が本当に未来の夢だったのかはわからないが、途中までは全く同じ展開だった。だが現実では間に合ったのだ。ルパートをすくえたのだ。
今頃になって震えが来た。一歩間違えば本当にルパートを失うところだった。生まれた時から知っている、誰よりも大切な、兄弟のような彼を。
トマスは安堵で泣いた。そしてハリー王子に、ウィロウ先生に、自分の代わりに園芸でルパートを支えてくれたマリオに感謝した。
ルパートが改良した、枕元に鉢植えで置いている、あの万能で美しいオーロラ色の花にも。自分の洗脳を解き、みんなの洗脳を解き、心を安らかにしてくれる、ルパートが触れるとほんのり光って見えるような気がする、この神秘的な花に、何度も何度も感謝した。
トマスは何時しか寝てしまい、そうしてまた未来の夢を見た。
だが今度の夢は、現実同様にルパートが無事だった。そしてその後もアウロラ・ヴェールに囲まれてルパートが笑っている、その横で自分も笑っている夢に代わっていた。
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過去の記憶あるのは他にもいたのかな?トマスの後悔だけが他より強かったのかな?
ハリー王子も頭良くて察しも良くて大好きな登場人物です。
ローズの洗脳から解放されて、レイモンド達が物凄く反省して(殺そうとしたからもっともですが)たのに比べて両親のダメさ加減が本当にもうあり得ないって感じでした。
レイモンドも最初は警戒してたのに、可哀想かなって。
良い作品をありがとうございました!また読みにきます。
ご感想ありがとうございます。自分がしていない行動を周りに責められたら、壊れるか逃げ出すしかなくなってしまいますが、子供では逃げることもできない。しかも壊れたら断罪。どうにもできない状態を、きっとオーロラの神が気の毒に思って、少しだけ逃げ道を教えてくれたのでしょう。
トマスの夢も、ルパート一人では逃げられないから、加護の力が働いたのかもしれません。
全話お読みいただいてありがとうございました!
途中が辛かったです…あまりにも理不尽で…でも子どもって確かに、倫理観とかないし、無邪気に残酷で意地悪ですもんね。
この先好きなことやって、幸せに暮らせますように!
女性がダメなら、ほら、違う道もありますよ!なんて思った私は腐女子でした。
ご感想ありがとうございます! もしも、子供のいう事が全て通ったら?と考えるとちょっと恐ろしいかもというところから始まったお話でした。しかし必ずほころびは出るわけで、どこかで責任はとらされるのです。ルパート君が厳罰主義じゃなくて良かったですw
ふふ、第1皇子が積極的に守ってますからね、そういう道も・・・www
一気読みしちゃいました!
魅了かと思ったら、洗脳とかヤヴァイやつでしたかっ。
魅了よりタチ悪いですね
新作待ってマース
お読みいただきありがとうございます! そうなんです、魅了よりたちの悪い洗脳です。あと2話続きますので、お時間ありましたらお付き合いくださいませ(⌒∇⌒)