23 / 29
兵士団がやって来た
しおりを挟む「おーいローリー、迎えが来たぞ!」
木の上から街に続く街道を見ていたガストさんが、器用に枝を飛び跳ね下りてくる。
「おっ!もう来たのか?朝一で出て来たんだな。よしっ!最後の撤収作業開始、忘れ物するなよ」
マッタリと食後のティータイムを楽しんでいた私達に指示を出す。何時も一人で行動するリュシウォンさんも新鮮で楽しいと、二人で臨時のパーティーメンバーに加えて貰った。と、いっても街までの数時間だけどね。
「ロッカ、何処の街でも出入りする時には身分書が必要になる。普段街以外で暮らす者も持っているのが普通なんだ」
街以外で暮らす者も、売ったり買ったりする為に起点とする一番近い街で作るんだって。持ってない場合は入門時にお金を払うと、一週間の滞在期間の権利が貰えるそうだ。
「銀貨二枚。持っているか?無ければ貸すが?」
お金ね…持ってますよ。森の中では必要も無かったから気にしてなかったけどね…
カバンに手を入れ確認。頭の中に金額が表示される。数種類の硬貨が表示されていて、その中に銀貨もあったので掴み出す。
「あります!」
準備を整えると全員で街道に立ち兵士を待つ。
「【銀の翼】で間違いないか?」
「ああ、そうだ。って、知ってんだろ!わざわざ済まないな」
此処まで出向いてくれた兵士に、皆がそれぞれ労いの言葉を掛けた。ローリーさん達は同じ街を拠点にしているから顔なじみな事も有り、隊長格の人に私とリュシウォンさんを紹介してくれた。
「お嬢ちゃんお手柄だったなぁー でも危ないから次からは逃げような。ローリー達は悪運強いから滅多には死なないから大丈夫だよ」
「おい!悪運は余計だ!💢 大体その根拠は何処から来ているんだ!」
「あ?其れ本気で聞くか? 確かに悪運では無いがあれ以来俺達の間じゃ【超福パーティー】と密か呼んでいるぞ?」
二年前、一人の冒険者が門に駆け込んで来た。
「大変だっ!」
「如何した!盗賊か魔物!」
「も、もっ、森の奥!街道から外れた処で、フォレストファングの群れを見た!こっちに向かってる!」
「何だと、頭数は!」
「少なくても10以上は見た!」
「門を閉めろ!一人は本部に行け!門には二人、休憩中の奴も呼べ!疲れてるだろうがもう一っ走りギルドに知らせろ、いけ!」
群れを形成する魔物は頭数によりランクが変る。フォレストファングは5頭以下ならDランクの魔物だが、10頭以上になるとBランクに跳ね上がる。街に近づける訳には行かない。
実際に何頭居るか分からないが用心するに超した事は無く、街の脅威は兵士とギルドで協力するのだ。
「単独で当たるな、2・3人で当たれ、少しでも間引くぞ!」
森の近くに来ると報告の場所にはまだ距離が有るが異様な獣の咆哮が轟く。
移動したのか?
だが、なんだこの喚きかたは…
「なんだ…これは…」
目の前には一筋の剣で倒れるフォレストファングと、盾に阻まれ正に首にショートソードを突き刺され倒れようとしているウッドベアー。
足下には無数の魔物の死骸。
フォレストファングがザッと見、20頭ほどと報告に無いウッドベアーが3頭。其れをこの4人で倒したのか!?
「お前達が倒したのか?」
門で見かける事もある顔だ、ランクはそう高くは無かったはずだが…
だがその疑問は、振り返った彼らの口からはっきりと答えが返ってきた。
「「「「まっさかぁー」」」」
森から戻る途中、街の方向に向かう3頭のウッドベアーに気付いた。自分達のランクでは手に負えないので、森に入る者に注意喚起、又はギルドのクエストとして貰うため報告する事にした。
気付かれぬ様に風下に迂回仕掛けた時、彼らに取って最悪な事態が迫っていた。
「向こうからフォレストファングの群れも来るぞ!」
「この侭では挟まれる!木に登れ!」
街に知らせられない焦りと、自分の命も危ない状況。どちらかをやり過ごし、残った方の風下に逃げようと考えた。
4人が4人とも、ウッドベアー来るな、あっちに行けと願った。
ウッドベアーはCランク、その爪は強いし装備の素材にも為るものだ。そしてその爪を使い木にも登る。4人は必死に祈った。
神様!どうかお助け下さい。今まで世の為人の為、少しだけ自分の為に頑張ってます。新人いびりにも耐え腐らず真面目に生きてます。此処で終わりなんてあんまりです。これからも弱い者の為に頑張ります。
必死の願いが通じたのか、フォレストファングの群れがウッドベアーの群れに気付いて進路を変え、あろう事かウッドベアーに襲いかかったのだ。
ランクで言えばウッドベアーが上だが数に物を言わせるフォレストファングの群れ。その戦いの場は森の中から次第に街道へと移動していく。
4人は木の上から成り行きを見守る。
「この侭共倒れてくれると良いな」
木の下にはウッドベアーの攻撃で虫の息のフォレストファングがいる。
「……良いよな…」
4人静かに下りると魔物の首に剣を突き立て、1人一体、魔物の死骸を盾に戦いの場に近付く。
「もう少しで決着付きそうだな」
果敢にウッドベアーに襲い掛かるフォレストファング。太い腕を振回し投げ飛ばされるフォレストファング。
「………これで良いのか?」
「えっ?」
「俺達冒険者だよな?なんか、こぉ…」
「「「……」」」
「だな、行くか!」
「「「うん!」」」
0
あなたにおすすめの小説
優の異世界ごはん日記
風待 結
ファンタジー
月森優はちょっと料理が得意な普通の高校生。
ある日、帰り道で謎の光に包まれて見知らぬ森に転移してしまう。
未知の世界で飢えと恐怖に直面した優は、弓使いの少女・リナと出会う。
彼女の導きで村へ向かう道中、優は「料理のスキル」がこの世界でも通用すると気づく。
モンスターの肉や珍しい食材を使い、異世界で新たな居場所を作る冒険が始まる。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
聖女じゃない私の奇跡
あんど もあ
ファンタジー
田舎の農家に生まれた平民のクレアは、少しだけ聖魔法が使える。あくまでもほんの少し。
だが、その魔法で蝗害を防いだ事から「聖女ではないか」と王都から調査が来ることに。
「私は聖女じゃありません!」と言っても聞いてもらえず…。
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
私と母のサバイバル
だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。
しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。
希望を諦めず森を進もう。
そう決意するシェリーに異変が起きた。
「私、別世界の前世があるみたい」
前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?
愚かな側妃と言われたので、我慢することをやめます
天宮有
恋愛
私アリザは平民から側妃となり、国王ルグドに利用されていた。
王妃のシェムを愛しているルグドは、私を酷使する。
影で城の人達から「愚かな側妃」と蔑まれていることを知り、全てがどうでもよくなっていた。
私は我慢することをやめてルグドを助けず、愚かな側妃として生きます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる