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2 初仕事 後編
しおりを挟むじっと。まるで時を止めた様に私の体を凝視するマティアス様。
目尻には赤みが差して、瞳は心なしか潤んでいるようにも思える。
余りにもじっと凝視されているものだから思わず自分の体が何処かおかしいのかと不安になる。
言えば可もなく不可もないはずだ。
胸はまだ垂れてもないし、形…は他の人と比べてどうかは分からないけれどそこまで離れてはいないはず…まあ、確かに乳首はピンクではないしお腹のお肉が中々減らない年頃にはなってきたけれど…。
「…マティアス様…?」
そろそろ何かアクションが欲しいと名前を呼ぶとマティアス様は今現実に戻ってきましたと言わんばかりに挙動不審になった。
「…あの……何処か…変、でしょうか…、その…やっぱり…私の相手を…したくなくなった…とか、」
「ち、違う!断じて違う!!そなたが余りにも美しいから…!その、…見惚れていた…。」
「…っ、そ、そう、ですか…、」
「あ、ああ……本当に、…美しい…。まるで女神の相手をするような…そんな、気持ちで……緊張している…。」
は…恥ずかしい…!何だ女神って!私は至って普通の女なのに…!あ、いや…ここでは絶世の美女(笑)だけど…。
「…触れても…いいだろうか…。」
「っ、はい…、マティアス様のしたい様に…してくださいませ…!」
早くこの羞恥プレイから解放されたいと思った。
そして今更ながら気付く。生身の男とセックスするという事は、相手に私の体の隅々まで見られるという事。
生まれてこの方パンツの中を誰かに見せた事もなかった。
…自分で確認した事はあるけど。
「……ああ…なんて肌だ…滑らかで…しっとりとして吸い付いてくる…毛の感触もない…」
「あっ…」
つう、と色んな所を撫でられくすぐったさの余り声が出てしまう。
脱毛してて本当によかった。一緒にやろうと誘ってくれた友人に心の中で感謝する。
「…マティアス様…ベッドに、連れていって下さい…ちゃんとベッドで…愛して下さい…。」
「あ、ああ…!」
マティアス様は軽々と私を抱き上げると優しくベッドに下ろしてくれた。
マティアス様も脱いでとお願いすると一瞬だけ苦し気な表情をしたがあっさりと着ていた服を脱ぐ。
「……綺麗な筋肉…」
つ、と。先程のお返しにマティアス様の胸元から腹にかけ指でなぞる。
何かに耐える様に表情を歪めたマティアス様がじっと私の目を見つめている。
「……この筋肉質な体…腹も割れて…醜いだろう…?
容姿は神が決めた器だが諦めたくなくて色々と試したんだ…。顔はどうにも出来なくとも…もしかしたら…体は変えられるのではないかと思って…。
けれど…どうやっても肉が付かなかった…。」
「マティアス様…」
「どんなに努力しても…この引き締まった体すらどうにも出来なかった…。
こんな醜い見目だから皆…俺を嫌悪する…取り繕った笑顔を見せるが奴もいるが…自分がどんな風に言われているかくらい…嫌と言う程知っている…。」
もう止めてほしい。私はこういう話に滅法弱かった。
感動もののドラマや映画は必ず泣くし苦労話を聞いても泣きたくなる。
波瀾万丈ドキュメントなんか見るもんじゃない。
見れば一時間に何回か泣いてしまう。
マティアス様の不遇な境遇を聞いて、想像すればする程何だかもう、そんな事があっていいのかと泣きたくなる。
「…男も女も、嘲笑うんだ。…醜いと。まるで化け物だと…。普通に接してくれてはいるが…両親ですら、腫れ物を見るような目をして…無理をしているのが分かった…。」
「…マティアス様!私は!マティアス様を好ましく思います…!…私はマティアス様を蔑まない!
約束します。それに…、それに私にとって、マティアス様はとても魅力的な…素敵な男性です…!」
もう限界だった。何なの異世界!日本にだって差別はまだまだあるけれど、この世界よりまだ明け透けじゃない。
こんな超絶イケメンが周りから蔑まれているだなんて、嫌な笑われ方をされているだなんてあんまりじゃないか。
幸せにしてあげたい!いや、幸せにしてみせる!
マティアス様みたいに周りから蔑まれているだろうイケメンを全員幸せにしてやるんだ!と…この時何故か私は使命感に燃えた。
長く蔑まれてきたせいでマティアス様は私の言葉を当然すぐは信じられないだろう。
なら言葉もそうだけど行動でも伝えるべきだ。
嫌悪なんかこれっぽちもない。私にとっては外を歩いているオークっぽい人たちにこそ嫌悪感が沸く。
「マティアス様、キスして下さい。
沢山キスして。マティアス様とのキス…好きです…。」
「…サイカ…」
「沢山触って…マティアス様に、沢山触ってほしい…マティアス様を沢山触りたい…。
私の初めて…マティアス様にあげたいの…。」
「…サイカ…、サイカ、んっ、サイカ、っ、サイカ…はあ…!」
理性が切れたのか。
マティアス様からの再びのキスはとても力強いもので…興奮する。
マティアス様になら乱暴にされるのもいいかも知れない。
私の頭を片手で引き寄せ、まるで口の中全部を奪われるみたいなキスにお腹がきゅん、と疼く。
もっともっと求めてほしい。乱暴でもいいから、見境なく私を求めてほしい。
くちゅくちゅと静かな部屋に水音が響いた。
舌を絡め、吸って、歯茎の裏まで丹念に舐められる。
「んあ…まてぃ、あしゅ、しゃま…ひゃん…!」
「ちゅ。…サイカ…んっ、可愛い……ちゅ、可愛いよ、サイカ…」
「は、まてぃ、しゃま、…んは…あ、はげし、ちゅ、あっ、いき、…できにゃ…」
「鼻で息をして…ちゅ。
まだ…キスを…ちゅ、止めたくない…。」
「ん、ちゅ。…ひゃい…、」
セカンドキスがこんな超濃厚になる予想もしてなかった。
言われるまま鼻で息をすると思った以上に荒くなってしまい恥ずかしくなる。そんな私の姿を見てマティアス様が笑った気がした。
ぎゅっと私の左手を恋人繋ぎでベッドに縫い止めていたマティアス様の右手が離れ、自由になった手でマティアス様の頭を掻きしゃなぐる。
「…もっと……まてぃあしゅ、ん、しゃまの、…きしゅ…んん、ちゅ、すきぃ…!」
「…く…ああ、もう、…この娘は…随分可愛い事を言ってくれる…!!」
ああでも、もどかしい。キスもしてほしい。胸も触ってほしい。あそこも触ってほしい。
私の気持ちがマティアス様に通じたのかは分からないが、マティアス様の男らしい指がきゅ、と私の乳首を摘まんだ瞬間、ばちばちと頭の中に電気が走った。
「ひゃ、ああああんっ!」
未だ唇はマティアス様の唇で塞がったままだから、少しだけくぐもった声が出た。
こすこすと押し付けこりこりとこねられる乳首がどんどん固くなるのが分かる。固くなって、より敏感にマティアス様の指の感覚が伝わってきてしまう。
「あああ、んあ、や、まてぃあす、さまあ、」
「ちゅ、ちゅ…、ああ、サイカ…気持ちよさそうだな…」
「ん、んっ!きもち、…おっぱい、…ちくび、きもち、あんっ!」
「…っ、では、そろそろ…この可愛い胸も舐めてあげなければ…。」
私とマティアス様の唇が離れた瞬間、つう、と糸が紡がれた。
どちらの唾液か分からない。分からないけれど、全然気持ち悪いと思わない。
こくりこくりとそれを飲み込むとマティアス様が蕩けた様な笑顔を見せた。
「…美味しいか…?」
「…ん…おいしい…」
「サイカは本当に可愛い…こんな愛らしい娘…好きにならない方がおかしいな…。」
目尻に、鼻に、耳に顎に首筋に鎖骨にまで優しいキスが降り注ぐ。
食べていいか?とマティアス様に問われ、何を?と聞き返す間もなく右胸の先をマティアス様に食べられた。
ぬるりと生暖かい感触に敏感になっている体が大袈裟に反応してしまう。
「…あむ……美味しい。」
上目使いで私を見て、赤ん坊みたいに一生懸命乳首を吸うマティアス様に母性が沸いた。
よしよしと少し汗ばんだ金髪を撫でるけれど、マティアス様は勿論赤ん坊ではなかった。
一生懸命乳首を吸っていたかと思えば悪戯を思い付いたみたいに甘噛みしたり、甘噛みしながら舌を動かしたりと意地悪をする…赤ん坊はこんな事しない。こんないやらしい吸い方しない。
私の喘ぎ声は悲鳴の様に変わっていた。
何もかもが一人でしていた時とは全然違う。
ローターで乳首を弄っているのと、全然違う。
気持ちいい。一人でするより、生身の男に前戯される方が全然気持ちいい。
「や…あ、…ああああん!や、お…おかしく、…なりそ、」
「構わない…全部、見たい…」
胸を寄せられ両方の乳首をマティアス様が食んだ。
先程よりもすごい電気が背中から頭を抜けて…くたりと少し体が怠くなる。
放心状態が暫く続いて肩で息をしているとふと下半身が冷やりと外気の風に晒されるのを感じた。
くらくらしてよく分かっていなかったけれど、マティアス様が私の両足を広げ…その中心をじっと見ている。
「…ああ…愛液が…テラテラと光って見える…。
ひくひくと収縮してこんなに物欲しそうにして…本当に感じているんだな…。」
まるで感極まった声だった。
生まれて初めて人に…異性に大事な所をじっくりと見られているというのに、恥ずかしさを感じない。
…いや、感じないというよりは追い付いてない、と言った方が正しかった。
何せ今まで気持ちいいと感じていた自慰では自分が達した経験がなかったことに、さっき達して初めて気付いたばかりだったから。
「あうっ…!」
ぬるりと、何かが入ってくる。
温かい、何か…舌だ。
丁度クリトリスの部分にマティアス様の鼻が擦る。
鼻息がくすぐったくて身を捩るけれど、マティアス様が私の太股を掴んでいてそれも出来ない。
まるで逃げるなと言わんばかりの力強さで私の太股を掴んでいるマティアス様は、隙間なく私の一番恥ずかしい部分に口を付けていて…舐める、なんて可愛らしいものじゃなく、文字通り貪りついていた。
「あ、ああ、やああ、やめ!ああんっ!そんな、そんなっ吸っちゃいや…!音、音が、あ、ああ、そんなとこ、いやあ…!」
私の声が聞こえていないのか…マティアス様はより一層私を自分の方へと引き寄せわざと卑猥な音を私に聞かせるように無我夢中でしゃぶり続ける。
どれくらいの時間、そうされただろう。
その間に何度、達しただろう。
もう分からないくらい何度も意識が飛びそうになって、急激に尿意を感じる。
トイレに行かせてとマティアス様に頼んだけれど、相変わらず聞いてないのか構わずマティアス様が舐め続けるから…私は漏らしてしまった。
「ふえ…も、やだって、いった、のにっ、…お漏らし、お漏らし、なんて、」
もう色々有り得ない。この年でお漏らしなんて…と軽く死にたくなっていると、マティアス様はそれはそれはいい笑顔でこれはお漏らしじゃないと言う。
「…サイカは潮を吹いたんだ…。」
「……し…しお……?」
「ああ、そうだ。女は気持ちいいを越えると潮を吹くらしい…そう、本で読んだ。
俺の前戯で…サイカは気持ちよくなってくれたんだな…気持ちよくなって…潮まで吹いて…。」
「……あれ…が…」
「…嬉しい…それからとても…とても淫らで…綺麗だった…。
……サイカ…、何て愛らしい娘だろう…美人なのに可愛い、優しくて健気で…とてもいやらしい…」
初体験でまさか初めての潮吹きを体験させられる事になろうとは…どれだけマティアス様はテクニシャンなんだ。
門前払いを食らっていたんじゃなかったのか。
あの話は嘘だったのかと疑問に思うくらいに気持ちよかった。
さっきからもう、子宮が疼いて仕方ない。
早く早く、もう我慢が出来そうにない。
マティアス様とセックスしたい。私の中に、マティアス様を迎え入れたい。
欲しい。この人が欲しい。この、雄が、ほしい。
「マティアス様、…おなか、せつない、です…マティアス様、ここが、きゅんってして、ずっと、してて、せつないの…マティアス様、マティアス様…」
「~~つ、…欲しいか…?」
「…ほしい…マティアス様が、ほしい…」
「…ここに……サイカのここに…入れて…俺の子種を出してもいいか…?」
「…いい…ほしいの…マティアス様の子種…ほしい」
実際にはお客を取る前に避妊薬を飲んでいる為、そう簡単に妊娠したりはしない。
この世界の避妊薬はとても優れている。何年も娼婦をしているお姉様たちが一度も妊娠をした事がないくらい。
マティアス様も娼婦である私が避妊薬を飲んでいる事くらい分かっている。
興奮しすぎてなのか、この雰囲気にのまれてなのかは分からない。
けれど私もマティアス様も、きっと同じ事を考えている。
「…サイカを…孕ませたい…。」
「…はい…きて、ください…。」
「サイカ…俺を受け入れて…サイカを愛させてくれ…」
ああ、いよいよなんだ。不安と期待が入り交じる。
また濃厚なキスで唇を塞がれ、ずぷずぷと熱くて固い、大きな物が私の中に入ってきた。
「かはっ…!?」
ま、待って。待って待って待って…!
な、何、これ。何だこれは。こんなの、知らない。
お腹が苦しい。あれ?男の人のは、こんなに大きくて圧迫感があるの…?
マティアス様が脱いだ時は……あれ。私…マティアス様がベッドで裸になった時…上半身しか見てない…。
「はっ…はあ…ふうう…ま、まてぃあす…さま、す、少し…少し待って…」
「…サイカ…大丈夫か?」
「は、はいっ…」
今まで感じた事のない程凄まじい圧迫感に混乱した。
私は処女じゃなくて、毎日色んな種類の玩具も使ってた。それこそ日本人の平均的な大きさを模したディルドだって。確かにこの世界に来て何か物を挿入したりはしていないけど、間を空けるとこんなに圧迫感があるものなのか。
いや、そもそも持っていた玩具にだってこんな圧迫感を感じた事はない。
「…っ、サイカ…?」
私のお腹…肉を隔ててマティアス様がそこにいるのがすぐ分かる。
ぽこりと、少しだけ男性器の形に沿って膨らんだお腹に手を添えて撫でてみた。
「…っ、サ、サイカ…」
不思議だった。玩具を使った時もこんな風になった事なんてない。
きっと、マティアス様のがそれだけ大きいからだろう。
「…ああ…分かる……マティアス様のが…ここに…私の中にあるのが…」
「っ、う…、サイカの中が…動いてっ…」
苦しいけど気持ちいい。幸せな気持ちになる。
すごく熱い。何だかお酒を飲んだ時みたいにふわふわもする。
気持ちよくて、私の中に男の人が…マティアス様のが入っているんだと実感してから、ずっとお腹がきゅんきゅんとしている。
「……っ、サイカ…!」
「あんっ…!」
「…は…サイカ、動きたい…サイカの中を、奥を…突きたい…」
「ひゃ…あっ…は、はいっ…もう、大丈夫、ですから…動いて…いっぱい、動いて下さいっ…マティアス様…!」
本当はもう少しだけ余韻に浸っていたかったけれど、マティアス様が苦しそうだったから。
「ああ…!」
マティアス様は自分の両肩に私の両足を乗せ、奥に奥にと侵入してくる。
体は柔らかい方ではないから少し苦しいけれど、それ以上に気持ちいい。
マティアス様が動く度に自分では弄った事がない所が擦られ突かれ、パチパチと小さな電流がずっと脳へ伝わっている。
両足をマティアス様の肩に乗せているという、普段はしない体勢で苦しいのに、更にマティアス様は私にキスをしようと顔を近づけるから余計に苦しい体勢になる。
でも、気持ちいい。すごく気持ちいい。
優しくない、強引で呼吸すらままならないキスで思考が溶けていく。頭がおかしくなりそうだった。
ぴちゃぴちゃ、ちゅ、ぱんぱん、ぬちゃ。
色んな音が淫らに響いて、それが余計に気分を高揚させる。
「んんん~~~っ、はあ…!あ、あ、あっ…!」
「は…サイカ……ちゅ、…はあ、…気持ちいい、…気持ちいい…はっ、…こんな…こんなのは…初めてだっ…」
「は、わ、私、もっ、ん、ちゅ、んはっ!
わたし、も、きもちい、きもち、いい…!
おなか、おなかが、くるしいのにっ、んちゅ、ちゅ、はあ…くるし、のにっ、ずっと、ずっときゅんってするの…!」
「っ…ちゅ…ああっ…よく…分かる…!サイカの中、はあ…ずっと、動いてっ…、はあ…堪らないっ…ふ、ちゅ、」
「まっ、まてぃあす、さまあ…!もっと、もっとまてぃあすさま、ほしい…!すきっ…すきっ…!まてぃあすさま、すきい…!」
「~~~っ!!!ああ、ああ…可愛い…!可愛い、可愛い…可愛い…!!
こんなの、本気になるなと言う方が無理だろ…!
好きだっ…サイカ、好きだっ…!!
出す…出したい…出すぞ、サイカっ…!」
「ひっ、んあっ、ああっ…!ま、てぁ、さまぁっ!」
精を出そうとマティアス様が動きを早める中、私自身にも何か大きな波が押し寄せていた。
前戯の時に達したのとはまた違う、何か。
ぱちぱちと背骨から頭を抜けていた小さな電気がどんどん大きくなっていく。
恐くなって頭の横にあったマティアス様の両腕を縋るように掴むと、マティアス様は小さく唸り声を上げて動きを止め、私も一瞬目の前が真っ白になった。
ああ、今、私の中に精液を出されているんだと理解した。
漫画の様に出された精液の感覚は分からないけど、私の中でマティアス様のが脈打っているのは分かった。
ぽたりぽたりと顔に、胸元にマティアス様の汗が落ちてくる。
格好いい。綺麗。美しい。この人が私の初めての相手だなんて、夢を見ているみたい。
夢現のままマティアス様の顔をぼう、と見つめていると、マティアス様の肩に乗せられていた両足がベッドに下ろされ楽になる。
「はあ…ふ、はあ、」
「…は…はあ…はあ、」
お互いの荒い息遣い。
もう終わってしまったんだと何だか寂しくなってしまう。
「あっ…!?」
この夢のような時間が終わってしまうのかと思っていれば、そうじゃなかった。
マティアス様の大きな陰茎は未だ私の中に入ったまま抜かれる事もなく、寧ろ寝転んだままの私の体をがっちりと抱き込んで再びゆっくりと腰を動かした。
「…んっ…あ……まだ、…出て…?」
「…は……ああ……まだ…止まらないんだ…」
どくんどくんと力強い鼓動を感じる。
「ん……ちゅ。…ちゅ、はあ…ちゅ…」
「ちゅ…。サイカ……好きだ…」
「んん……ちゅ、んあ、…マティアスさ、ま、…私も、ちゅ、…マティアス様…すき…」
「…嬉しい……嬉しい、サイカ…、……サイカを、俺のものにしたい…」
ゆるゆると腰を動かすマティアス様は自身の精液を一滴も溢さないように。執拗に私の中へ馴染ませようとしているみたいだった。
まるで本当に愛し合って子作りしているみたいじゃないか。
あの時の言葉通り、私を孕ませようとしているみたいじゃないか。
そう思うとまた子宮が疼く。全部欲しい。溜まっている精液を全部出して、子宮をいっぱいにしてほしい。
私もマティアス様も発情期の動物みたいに体を密着させ絡み合う。
でも多分、これが本能なんだ。
男は女を孕ませたくて、女は男の子を孕みたくて。
原初の感覚、本能の赴くままに。
結局初仕事は朝日が昇りきり、店が閉館になるギリギリの間までマティアス様と愛し合っていた。
「…名残惜しいな…。サイカ、また近い内に必ず来る。」
体が動かずベッドの上でしかお見送り出来ない私にマティアス様はうっとりとした表情で囁き、啄むようなキスをして帰っていった。
凄かった。兎に角凄かったとしか言いようがない。
あととんでもなく気持ちよかった。
玩具なんて比べ物にならない。今までの一人エッチは何だったんだろうと思うくらい世界が変わった。
私は自分が思っていた以上にいやらしい…いや、ビッチだった。
マティアス様みたいな人とだったら喜んでセックスしたい。マティアス様程の超絶イケメンはそうそういないだろうけど、オークっぽい人以外とだったらきっとこの仕事は天職なんじゃないか…と考えた所で閃く。
そうだ、私は不細工専門の娼婦になろう。と。
この世界での不細工たちを癒したい!そして幸せにしてあげたい!
ビッチ上等!不細工に愛の手を!!
がしかしこの時の私はまだ知らなかった。
未来の自分がとんでもない人生を歩む事になろうとは。
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