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第1章

第11話 冒険者ギルドへ

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 街に出て道行く人に冒険者ギルドの場所を聞き、そこへと向かう。
 冒険者ギルドの建物は、思ったよりも大きかったけど、思ったよりもボロかった。

 壁とか傷だらけじゃない? なんでかしら?
 それでもワクワクしながら中に入ると、中には人がいっぱいいた。

 ほとんどが男性で、防具を着て武器を持っている。

 なんだか冒険者っぽいわね……!

 私とジルが中に入り、カウンターに行くまでに冒険者の方々にすごいジロジロと見られた。

 祝勝会の時も結構見られていたけど、ここまであからさまじゃない。
 あそこは仮にも貴族の方々しかいなかったから、下品じゃない程度にチラチラと見て「ふふっ」と蔑んだ笑いをする感じだった。

 まあそっちの方が下品というか、最低な感じはするけど。
 ただここは貴族なんかいなくて、平民出身の人しかいないからか、もうあからさまにジロジロと睨んでくる。

 だけど、なんでこんなに注目を浴びてるのかしら?

「おいおい、見ねえ顔の奴がいきなり女を連れてきやがったぞ!」
「はっ! 身なりも顔も綺麗な男は女を連れられるんだな、羨ましいぜ!」

 いきなり誰かもわからない男性が、私達に向かってそんなことを言ってきた。
 そうか、周りから見れば男性のジルが冒険者に見えて、女である私を連れてきたというように見えるのか。

 本当は私がジルを連れてきている感じなんだけれど。

 侮辱の言葉を吐かれたジルのほうをチラッと見ると、表情は何一つ変わっておらず、ただただ前を見て歩いている。

 さすがジル、まあそうだろうなぁと思ってたけど。

 そのまま私達は冒険者ギルドのカウンターへ。
 カウンター内にいる受付嬢の方に話しかける。

「冒険者ギルドに登録したいのですが」
「登録希望の方ですね。えっと、お二人で登録されるのでしょうか?」
「はい、そうですけど……もしかして女性は登録出来ないのでしょうか?」
「あっ、そんなことはないです。もちろん登録は出来ます」
「そ、そうですか、よかったです」

 なんだか受付嬢の方が私を見て、「えっ、この人も登録するのかしら?」といった雰囲気だったから、ビックリした。
 もしかして女性で冒険者ギルドに登録する人は珍しいのかしら?

 確かに周りを見渡してみても、女性の方は受付の人ぐらいしかいない。

「おいおい、本当にその女と一緒に登録するのかよ、スカした兄ちゃんよ」

 さっき侮辱の言葉を吐いた男達が、また絡んできた。

「お前らみたいな弱っちい奴ら、冒険者になってもすぐに死ぬのがオチだぜ」
「そうだぜ、やめときなやめときな」

 なんだか、嫌な奴らね。
 発言はこちらを心配している風に思えるが、態度がすごいこちらを貶してる感じだ。

「冒険者なんて危ねえ仕事、弱ええ女がやるもんじゃねえよ」
「その綺麗な顔がボロボロになっちまうぜ!」

 ……貶してるのよね?
 なんだかよく聞くと、心配しているように聞こえるけど。

 だけど態度は「ヘッヘッヘ」みたいな感じだから、貶してるはずよね?

「武器も防具も持ってない女が、冒険者になって何が出来るってんだよ」
「男のほうも武器は持っているみたいだが、防具なしじゃすぐに死ぬぜ!」

 こんなに舐められた感じで絡まれるのは、武器や防具を持ってないからなのかしら?

「お言葉ですが、私は魔法使いなので武器はいらないのです」

 さすがにイラッとしてきたので、私は冷たい感じで言い返した。

「はっ、女で魔法が使えるなんて嘘だろ」
「嘘に決まってるぜ」
「むっ、本当です」
「あぁ? 本当なのか?」
「ええ、本当です」
「それはすまねえ、悪かったぜ」
「……あ、はい」

 普通に謝ってきてビックリした。

「でも魔法が使えるから武器がいらねえってわけじゃねえはずだぞ。魔法効率を高める杖もあるからな」
「えっ、そんなものがあるのですか?」
「防具も魔法使いこそあったほうがいいんだぜ。ギルドを出てすぐ右手の通りにいい武器屋と防具屋があるぜ」
「へー、そうなんですか。ありがとうございます……って、あなた達本当に何なの!?」

 さすがにツッコミを入れてしまった。

「私達を貶してるんじゃないの!? なんで普通にアドバイスしてるの!?」
「俺達は普通に心配してるだけだぞ」
「そうだぜ。だが誤解させちまったのは悪かったぜ」
「その喋り方と態度で心配してたのね!? 紛らわしすぎない!?」
「フラー、冒険者ギルドの登録は済んだよ」
「ジルはなんでこの人達を完全無視出来るの!?」

 いろいろと混乱するようなことをしないでくれるかしら?

 初めての冒険者ギルドで舞い上がってたのに、なんだか損した気分よ……。

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