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目撃者
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祐樹の元に走る俺の耳に祐樹の俺を呼ぶ声がこだまする。
祐樹との距離が近くなってるというのに、祐樹の声は小さくなっていく。
玄関の俺用のドアを壊す勢いで通り抜け、祐樹の部屋に飛び込む。
ベットの上で無防備に泣いている姿は、幼い子供のようだ。
ベットに上がり祐樹の頬を流れる涙を舐める。
悲しみをすべて嘗め尽くすように・・・。
「シオン・・・僕の頭変だよ~壊れちゃったよ~」
しゃくりあげながら俺にしがみつき訳の解らない事を訴える。
「どうしたんだ?祐樹、しっかりしろ、な、俺がいるだろ。ゆっくりでいいから言ってみろ」
俺に顔を埋めながら
「男の人が女の人を殴ってる。大人が子供を殴ってる。何人もの男の人が女の人を押さえつけてる。もう、解んないよ~恐い!みんな人じゃないみたいだよ!」
祐樹が急激に能力をアップし、制御が出来ないでいるのは明らかだ。拙い!!
「祐樹!俺の声だけに集中しろ!!声を制御した時の要領だ!俺の声が聞こえるか?少しずつ閉じていけ・・・祐樹ならできる」
祐樹の顔を覗き込み、頬や首筋やこめかみを舐めてやる。
少しずつ祐樹の周りからエネルギーが消えていくように祐樹も落ち着いてくる。
「シオン、あれは何?僕は壊れていくの?」
「祐樹は壊れてないさ、ちょっと窓をいっぱい開け過ぎただけだ。気にするな!」
「じゃ~、あの木に・・・嫌~~~この目だよ!僕を見てる!僕もあの犬のように身体を裂かれて死ぬんだよ!」
落ち着いてきていた祐樹が突然暴れだし、俺の頭に叫び続ける。
この目?・・・・まさか・・・犯人を見たのか? 犯人に気付かれてる?犯人もまた能力者なのか?
「シオン!!!今度はターゲットは人だって言ってる!!」
「祐樹!!落ち着け!!思考を閉じろ!!今すぐだ!!」
錯乱状態の祐樹には俺の言葉が届かない。俺は、祐樹の肩に牙を立てた。
「痛い!シオン!!嫌~やめて!!」
「祐樹!!」
「痛い!シオン痛い・・・・」
祐樹は俺の噛んだ肩の傷口に手を当て、俺に視線を合わした。
痛みに顔をゆがめているが、瞳に正気の光が見えてきていた。
「祐樹、よく聞け!!俺の声以外は聞くな!すべて閉ざせ!!」
震えながらも何とか頷く祐樹。
「ゆっくりでいい!声を抑えるとき練習しただろう、ん?窓をゆっくり閉めるようにだ。」
「うん」
祐樹は俺にだけ意識をあわせ、深呼吸を繰り返している。
「祐樹、痛かったか?服を脱げ、舐めてやるから」
「うん、ゴメンネ。もう大丈夫だよ。シオン、僕が変になりかけてたから怒ったの?僕の事嫌いになった?」
服を脱ぎながらかなり見当違いな事を聞いてくる。
「嫌いになったりしないさ。祐樹は俺のたった一人の家来だからな」
「うん、良かった~~~」
上半身裸になった祐樹の肩には俺の歯型がくっきりと残っていた。
服の上からだというのに、線を引いたように傷口から血が流れている。俺も理性を失っていたらしい、かなり強く噛んでいたみたいだ。
俺が傷口の血を拭うように舌を這わすと、少し沁みるのかビクッと身体を強張らせる。
だが、俺を見る祐樹には安堵するような笑顔が戻っていた。
ベットに横になった祐樹の肩を舐めながら、俺は考える。祐樹に気取られないようにガードをかけ。
明らかに祐樹は俺が見た光景を見ている。そして、その犯人をも見てる可能性が大きい。殺された犬の目に焼きついた犯人の顔を、その時の犯人の思考も・・・・。くそ!!!俺にもっと力があれば・・・俺には祐樹を守れないのか?
いつの間にか祐樹の寝息が聞こえる。穏やかな寝顔に安堵する。祐樹の周りにシールドを張る。今の俺にはこれが精一杯の出来る事。
犯人は目撃者である祐樹を狙ってくる。もし、俺達と同じ能力者なら祐樹のあれだけのエネルギーを感じ取ってるかもしれない。俺は、守れるのか?このかけがえのない魂を・・・・。
祐樹との距離が近くなってるというのに、祐樹の声は小さくなっていく。
玄関の俺用のドアを壊す勢いで通り抜け、祐樹の部屋に飛び込む。
ベットの上で無防備に泣いている姿は、幼い子供のようだ。
ベットに上がり祐樹の頬を流れる涙を舐める。
悲しみをすべて嘗め尽くすように・・・。
「シオン・・・僕の頭変だよ~壊れちゃったよ~」
しゃくりあげながら俺にしがみつき訳の解らない事を訴える。
「どうしたんだ?祐樹、しっかりしろ、な、俺がいるだろ。ゆっくりでいいから言ってみろ」
俺に顔を埋めながら
「男の人が女の人を殴ってる。大人が子供を殴ってる。何人もの男の人が女の人を押さえつけてる。もう、解んないよ~恐い!みんな人じゃないみたいだよ!」
祐樹が急激に能力をアップし、制御が出来ないでいるのは明らかだ。拙い!!
「祐樹!俺の声だけに集中しろ!!声を制御した時の要領だ!俺の声が聞こえるか?少しずつ閉じていけ・・・祐樹ならできる」
祐樹の顔を覗き込み、頬や首筋やこめかみを舐めてやる。
少しずつ祐樹の周りからエネルギーが消えていくように祐樹も落ち着いてくる。
「シオン、あれは何?僕は壊れていくの?」
「祐樹は壊れてないさ、ちょっと窓をいっぱい開け過ぎただけだ。気にするな!」
「じゃ~、あの木に・・・嫌~~~この目だよ!僕を見てる!僕もあの犬のように身体を裂かれて死ぬんだよ!」
落ち着いてきていた祐樹が突然暴れだし、俺の頭に叫び続ける。
この目?・・・・まさか・・・犯人を見たのか? 犯人に気付かれてる?犯人もまた能力者なのか?
「シオン!!!今度はターゲットは人だって言ってる!!」
「祐樹!!落ち着け!!思考を閉じろ!!今すぐだ!!」
錯乱状態の祐樹には俺の言葉が届かない。俺は、祐樹の肩に牙を立てた。
「痛い!シオン!!嫌~やめて!!」
「祐樹!!」
「痛い!シオン痛い・・・・」
祐樹は俺の噛んだ肩の傷口に手を当て、俺に視線を合わした。
痛みに顔をゆがめているが、瞳に正気の光が見えてきていた。
「祐樹、よく聞け!!俺の声以外は聞くな!すべて閉ざせ!!」
震えながらも何とか頷く祐樹。
「ゆっくりでいい!声を抑えるとき練習しただろう、ん?窓をゆっくり閉めるようにだ。」
「うん」
祐樹は俺にだけ意識をあわせ、深呼吸を繰り返している。
「祐樹、痛かったか?服を脱げ、舐めてやるから」
「うん、ゴメンネ。もう大丈夫だよ。シオン、僕が変になりかけてたから怒ったの?僕の事嫌いになった?」
服を脱ぎながらかなり見当違いな事を聞いてくる。
「嫌いになったりしないさ。祐樹は俺のたった一人の家来だからな」
「うん、良かった~~~」
上半身裸になった祐樹の肩には俺の歯型がくっきりと残っていた。
服の上からだというのに、線を引いたように傷口から血が流れている。俺も理性を失っていたらしい、かなり強く噛んでいたみたいだ。
俺が傷口の血を拭うように舌を這わすと、少し沁みるのかビクッと身体を強張らせる。
だが、俺を見る祐樹には安堵するような笑顔が戻っていた。
ベットに横になった祐樹の肩を舐めながら、俺は考える。祐樹に気取られないようにガードをかけ。
明らかに祐樹は俺が見た光景を見ている。そして、その犯人をも見てる可能性が大きい。殺された犬の目に焼きついた犯人の顔を、その時の犯人の思考も・・・・。くそ!!!俺にもっと力があれば・・・俺には祐樹を守れないのか?
いつの間にか祐樹の寝息が聞こえる。穏やかな寝顔に安堵する。祐樹の周りにシールドを張る。今の俺にはこれが精一杯の出来る事。
犯人は目撃者である祐樹を狙ってくる。もし、俺達と同じ能力者なら祐樹のあれだけのエネルギーを感じ取ってるかもしれない。俺は、守れるのか?このかけがえのない魂を・・・・。
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