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『グギャッ!』

 耳障りな声とともに、新たな異形が現れる。

 緑の肌と、人間の子どもくらいの身長を持ったモンスター〝ゴブリン〟だ。

 アリアフィーネを見つけるなり、ゴブリンは気色の悪い笑みを浮かべながら、短剣を手にして駆けてくる。

 ゴブリンは非常に性欲の強いモンスターだ。
 その上、異種交配が可能な存在でもある。

 見目麗しいアリアフィーネを見て、興奮を覚えたのだ。

「い、嫌ぁぁぁぁぁ――ッ!?」

 なかなかのスピードで駆け寄ってくるゴブリン。

 その気味の悪さ、そして恐怖心のあまり、アリアフィーネは思わず悲鳴を上げてパニックに陥ってしまう。

「させん! 来い、《聖獣剣》……ッ!」

 アリアフィーネの前に、クロノがすぐさま躍り出る。

 そのまま手の中に身の丈を超える聖なる大剣を呼び出し――振り抜いた。

 するとどうだろうか。

 振り抜いた《聖獣剣》から衝撃波が迸ったではないか。

 衝撃の波に飲まれ、ゴブリンが『グギャァァァァァァァ――ッ!?』と困惑、そして恐怖の入り混じった悲鳴とともに、迷宮の壁に叩きつけられる。

 派手な音を立てて、頭から壁に激突するゴブリン。
 そのまま目と鼻から勢いよく血を噴き出すと……そのままその場で絶命するのだった。

「ふぁ……ご主人様、しゅごいですっ……♡」

 まさか剣圧だけでモンスターを片付けてしまうとは……。

 クロノのあまりに強さに、アリアフィーネはパニックに陥っていたことも忘れ、ウットリとした表情でクロノを見つめる。

 彼の強さに、興奮を覚えてしまったのだろうか。
 悩ましげに身じろぎし、ハイブーツに包まれた脚をモジモジさせている。

 どう転んでもエロフである。



「よし、アリアフィーネ、だいぶ良くなってきたぞ」

「ありがとうございますっ、ご主人様♡」

 迷宮二層目――

 アリアフィーネが二体のゴブリンを矢で撃ち抜いたところで、クロノが声をかけるとアリアフィーネはパッと、表情を輝かせる。

 最初はゴブリンに恐怖し、パニックに陥ったアリアフィーネであったが、ここに来るまでにクロノからの指導を受けることで、戦場での心得を学び成長し始めていた。

 今まで動かない的しか狙ったことがなかった彼女だが、敵の動くであろう位置に矢を放つという技術も修得しつつある。

 城育ちだというのに、ずいぶんとバトルポテンシャルが高いものだと、クロノは心の中で感心してしまう。

「二層目に入ったところではあるが、今日はこの辺にしておくとしよう」

「え……どうしてですか? わたしはまだ戦えますよ? ご主人様」

「疲労というのは自分で気づきにくいものだ。無理して怪我でもしたら元も子もないからな。それに……」

「それに……?」

 少しだけ言い淀んだクロノに、アリアフィーネは不思議そうに首をかしげる。

 そんなアリアフィーネに、クロノは頬を掻きながら――

「それに、体力を残しておかんと夜も楽しめんだろ……?」

 ――と、少々気恥ずかしそうに言うのだった。

「……っ! ご主人様ったら、可愛い……っっ♡」

 クロノの意図を理解したアリアフィーネはその場で、ガバッ! と、抱きつくと、その豊満な胸の中に彼の顔をダイブさせてしまう。

「うむぅ~~っっ!?」

 突然の強制メロンダイブに、クロノは彼女の豊満な胸の中でくぐもった声を漏らす。

★☆★☆★

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