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第一章
あなただけ、です
しおりを挟む「みんなはあの連中から何か情報をもらった?」
私がそう確認すると「なにを?」と返ってきた。
─── これは流れを変えたほうがいいな。
「じゃあ、ここがどんなところとか聞いた?」
「うん、あのゲームの世界そのものだって」
いや、違うし。
そうツッコミしそうになり三人に目を向けるが、まだ話し合いの最中だ。
「アイツら、一向に説明しないんだよ。ただ、私で最後だって言ってたけど」
「え、そうなん? 私には全員が揃ったら説明するって言ってたよ」
「ここは城だから部屋はいっぱいあるって言ってたよ」
「一人一部屋もらえるんじゃない?」
そんな話をしていると仲間に入れない三人のテーブルから声があがった。
「役立たずは地下牢だな」
誰もスルー。
それはゲームではいつものこと。
ロミンは『かまってちゃん』なのだ。
かまってほしくてたまらない。
相手にしてもらえないと必死になる。
そして振り向いてもらうため、それだけにアバター殺しをしてきた。
それはさらに嫌われる結果になっていると分からないのだろう。
すでに私たちは彼らの存在を拒否している。
ゲーム内でも現実でも。
「おい、不出来な女。貴様のことだ」
「黙ってろ、ロミン」
「テメエこそ黙れ。くそプラチナ!」
彼らは兄弟だ。
それなのに、当たり前のようにアバター名で言いあっていることがおかしい。
周りもそのことを疑問に思っていないようだ。
《洗脳が効いています》
脳に直接聞こえる声。
彼らは神獣の世界の住人だ。
この世界に転移される前にその神獣の世界に引っ張られた。
そこで神獣や精霊妖精たち全員から謝罪された。
そしてステータスの見方やこれから送られる世界の簡単な講義を受けた。
実はそこですでに14個の魔法球をもらっている。
その中にひとつ【帰還】という魔法球が入っていた。
「帰還って、私たちの世界に帰れるってこと?」
《はい。ただ、あなただけです》
「ほかの人は?」
《────── あなただけ、です》
よくあるゲームで、魔法で発動させた本人だけ効果がある。
これはそんなものだそうだ。
「その魔法をゲームみたいにレベルアップさせられる?」
《ゲーム……。ええ、そうですね。あなたにとってはそうでしょう。ですがあの世界の彼らには現実なんです》
「あ、ちゃうちゃう。それ、ちょっと誤解」
《────── なにが誤解ですか?》
うわー、誤解して逆ギレかよ。
「そうじゃなくてね。この世界をモデルにしたゲームでは、魔法球を手に入れると魔法を覚える。そのあと、同じ魔法球を手に入れたら合成させることで融合してレベルが上がってたの。最大は11回。それが可能なのか? って聞いたの」
《─── ああ、そうですか。ゲームで出来たんなら出来るでしょう? 私はそんなゲームなんか知りませんので何ともいえませんが》
私の説明でやっと理解したらしい。
それでも謝罪しないんかー。
言い方も失礼だな。
────── なんか、マジでムカつくんですけど。
「ねえ、テメエのミスを謝罪しないってなに? クズの証明? それがこの世界の礼儀? ねえ。テメエらの世界のバカがしでかしたことにコッチは巻き込まれたんだよ。それに対してなにその言い方。その人を見下した目つきは何? 文句があるんだったら、自分たちの汚ねえケツは自分で拭きやがれ‼︎」
こっちが黙ってるからといってバカにしすぎじゃねえ?
一体ナニサマ?
アンタらは最初私に土下座出来る奴は土下座したよね。
それが出来なくても頭を低くして謝罪したよね。
あれはパフォーマンス?
まさかあの程度で許されたなんて思ってんじゃないだろうねえ。
謝って許されるんだったら、この世界を完全にぶち壊して「悪いねぇ」って笑って言ってやろうか?
許されるんだろ?
この世界は私の世界じゃない。
だったら滅ぼし放題だ!
「人をバカにすんのも大概にしやがれぇぇぇぇ‼︎」
ここまで一気に怒りを爆発させたら…………
その神獣の世界の空が暗闇に覆われて一気に気温が下がって草花が枯れた。
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