9 / 20
第一章
頭の足りなさに関しては理解した
しおりを挟む《ご理解いただけましたか?》
周囲が一瞬で姿を変えたため私の頭は落ち着いた。
本当に滅ぼしたと思った。
冷静になった頭で考えたのは「人間じゃないから殺人にはならないな」だった。
そんなときに声が聞こえた。
彼らは口を動かすが声は頭に直接届いてくる。
だから声を頼りに声の主を探せない。
ただ、私を怒らせた張本人が右を見ていたから、向かい合っている私は左に視線を移した。
そこには私がスクショを撮った『器用に魔法球を14個も手にしていた少女キャラ』が立っていた。
「理解とは『ナニサマだよこの野郎』ですか? 『偉そうにいうなら自分で何とかしろよ』ですか? 『分からないなら口をだしてんじゃねえよ』ですか? 『ムダに役にも立たない正義感かざすんだったらなんで私たちを巻き込んだんだ、このクズ!』ですか?」
《すべてをまとめて『救いようのない、救いたくもない、救う気も失せた愚か者』ってことです》
あー、可愛い笑顔で毒づいているよ。
「頭の足りなさに関しては理解した」
《さすがです。ところでこの環境を戻してもいいですか? もうしばらく反省のためにこのままにしていましょうか?》
「私が寒いから、元に戻せるならお願いしてもいい?」
《はい、わかりました。ありがとうございます》
少女は私に頭を下げると右腕を空に伸ばした。
それにあわせて黒かった空が明るさを取り戻した。
今度はおろした右腕を左から右へと薙ぎ払う。
すると大地は草や木々が生え戻った。
逆再生ではなく見えなくなっていた周囲が明るくなって見えてきたようだ。
ただそうじゃないと言えるのは、裸足で触れている大地を感じていたからだ。
《お礼にこの事態を引き起こした愚か者には重い罰を与えます》
「それに私も含まれているよね? この事態を引き起こしたのは私も同じでしょう?」
《いいえ、あなたは被害者です。不適切な態度をとられたら怒って当然です》
そういった少女は私に向けた笑顔のまま諸悪の根源を見つめる。
それだけだったが一部、目から発する温度が氷点下まで下がっていた。
《覚えておいてくださいね》
言われた張本人の目が泳いでいる。
その目が私に固定されて縋るように見つめてきたが、元を正せば自業自得。
ジーッと見つめ返して笑顔になると許されると思ったのか表情がゆるんだ。
それを見返してプイッと顔をそらすと、視界の端でショックを受けた表情のあとにガックリと肩を落とした。
だからさあ、何で謝罪ができないんだよ。
《申し訳ございません。ぬるま湯で育ったので非常識に育ったようです》
まさかと思うけど私の思考を読んでる?
《誤解なさると思われますが、私以外には読まれていません。それと私が読めるのも表層部分だけです。そして『誰かに向けて』の疑問だけです。先ほどは『何で謝罪ができないのか』という問いだったのでわかりました。その前に何やら呆れた感情を察知しましたが、何をお考えかは私でも分かりません》
じゃあ、なんで私の頭に直接声が聞こえるんだ?
あ、目が合った……キモッ!
《はい、私たちは口を動かしますがそれはクセですね。実際は今みたいに口を動かす必要はありません。それは私たちの声が思念でできているからです》
〈聞こえたのはこれだけ? うーん、テレパシーみたいなやり方で合ってるのかな? 大丈夫? 聞こえてる?〉
《はい、先程聞こえたのは『なぜ直接頭に声が聞こえるのか』という問い合わせでした。それと、『テレパシー』というものは私には分かりませんが、しっかり聞こえています》
あ、感情は聞こえないようだ。
さっきのキモいと思った声までは届いていない。
─── 聞いてないフリかもしれないな。
20
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ペット(老猫)と異世界転生
童貞騎士
ファンタジー
老いた飼猫と暮らす独りの会社員が神の手違いで…なんて事はなく災害に巻き込まれてこの世を去る。そして天界で神様と会い、世知辛い神様事情を聞かされて、なんとなく飼猫と共に異世界転生。使命もなく、ノルマの無い異世界転生に平凡を望む彼はほのぼののんびりと異世界を飼猫と共に楽しんでいく。なお、ペットの猫が龍とタメ張れる程のバケモノになっていることは知らない模様。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
『召喚ニートの異世界草原記』
KAORUwithAI
ファンタジー
ゲーム三昧の毎日を送る元ニート、佐々木二郎。
ある夜、三度目のゲームオーバーで眠りに落ちた彼が目を覚ますと、そこは見たこともない広大な草原だった。
剣と魔法が当たり前に存在する世界。だが二郎には、そのどちらの才能もない。
――代わりに与えられていたのは、**「自分が見た・聞いた・触れたことのあるものなら“召喚”できる」**という不思議な能力だった。
面倒なことはしたくない、楽をして生きたい。
そんな彼が、偶然出会ったのは――痩せた辺境・アセトン村でひとり生きる少女、レン。
「逃げて!」と叫ぶ彼女を前に、逃げようとした二郎の足は動かなかった。
昔の記憶が疼く。いじめられていたあの日、助けを求める自分を誰も救ってくれなかったあの光景。
……だから、今度は俺が――。
現代の知恵と召喚の力を武器に、ただの元ニートが異世界を駆け抜ける。
少女との出会いが、二郎を“召喚者”へと変えていく。
引きこもりの俺が、異世界で誰かを救う物語が始まる。
※こんな物も召喚して欲しいなって
言うのがあればリクエストして下さい。
出せるか分かりませんがやってみます。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
異世界配信〜幼馴染みに捨てられた俺を導く神々の声(視聴者)
葉月
ファンタジー
コルネ村で、幼なじみであり恋人でもあったユリアナと、ささやかな幸福を分かち合って生きていたロイド。
だがある日、ユリアナは女神の愛子として目覚め、国王の命により王都へと連れ去られる。
突然、日常を奪われ、運命に引き裂かれたロイドは、抗う術も持たぬまま、否応なく大きな流れへと呑み込まれていく。
これは、奪われたものを取り戻すため、そして理不尽な運命に抗おうとする、一人の少年の物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる