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まだ伝えないけれど
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私が中学生の頃。しつこく何回も話しかけてくる男子がいた。その頃私はいじめられていて、気にしてないようにはしていたけど、正直かなり辛かった。
私は昔から人と話すのが苦手で、すぐに思ってもないことを口にしてしまい何人もの人を傷つけてきた。人を傷つけてしまうくらいなら、私は誰とも喋らない方が良いと思い孤独を望むようになっていた。
彼が話しかけてきてくれても、私は冷たく返した。それでも彼は、何回も私の所へ来た。何度突き放しても、幾度となく足を運んでくれた。
気が付けば私は、彼に対して少しづつ心を開いていた。彼と話す間だけは、自然体の自分でいられた。
彼と話す時間が増えると、何故か私に対して今まで行われてきたことが全く起きなくなった。でも、その原因はすぐに分かった。
それと同時に私と彼に対する妙な噂が立ち始めたのだ。その噂を聞いて私は全てを理解した。
彼は私のために何回も話しかけてくれていたのだ。私が気づかなければ、そのまま彼は何も言わないつもりだったのだろう。彼がそういう人間だということは、これまでの彼を見て理解していた。
だから私は、敢えて感謝の気持ちを彼に伝えなかった。
そんな彼との間に立った変な噂も、不思議と嫌な気持ちにはならなかった……
実は私にはもう一つ悩みがあった。
私は小さい頃から両親に厳しく指導されていた為、人よりかなり勉強の面に関しては秀でていた。学校のテストは常にダントツの1位だったし、この問題が分からないから教えてと言われても、そもそも何処が分からないかが私には分からなかった。だから、彼の頼みも断ったのだ。
私はずっと、同じレベルで競い合える友達が欲しかった。
だから彼が、本気の顔で私に勝つと言ってくれた時は本当に嬉しかった。彼に負けて、勉強を教えてと頼むのもすごく楽しそうで良いなと思った。
すると直ぐに、彼は私のレベルまで登ってきた。血の滲むような努力をしてここまで来たのだろう。私はそのことを自分のことのように喜んだ。
しかし私は思ったよりも負けず嫌いだった。ギリギリの勝負をするたびに、もっと点差を広げてやると更に勉強へ励むようになった。
結果、私も彼も成績が更に伸び、全国模試ですらも私と彼が1位2位を争うようになっていた。
その時、彼は私のずっと欲しかった友達なんだってことに気づいた。それと同時に、友達の大切さを私は初めて実感した。
私は彼に感謝している。でもまだ彼には伝えない。高校最後まで戦って、すべてが終わったら、私は友達にこう言うのだ…………
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「くそ!また勝てなかった!!」
「あら、私に勝てるようになるにはいったいどれくらいかかるのかしら」
「次は勝ってやるよ!覚えとけ!」
「貴方、毎回同じこと言ってるわよ?」
順位が貼り出されている掲示板の前で、中学の頃と同じような光景が繰り返されていた。
「よう、お二人さん。相変わらず上位二人は変わりませんねー。まあ、順位も変わってないようですけど」
「うるせー!順位が一つ上がったからって調子乗んな!」
「はいはい、俺の目標は一先ず3位かな。ね?神田さん」
「絶対負けない」
健斗と神田さんも火花を散らしているよようだ。ほんと、映画部は優秀だなあ……忘れていた。一人の問題児の存在に……
「聞いて聞いて~!」
その問題児が近づいてきた。
(あんなに笑顔ってことは順位良かったのか?)
「私ね!50位だったの!!こんな順位初めてだよ!」
「「なっ!」」
最初の衝撃と同じくらいの衝撃が俺たちを襲った。
(ワースト5位だった竹森さんが50位だと……これは何かの間違いに違いない)
「竹森さん、もう一回確認してきた方が……」
「もうっ!和樹君失礼だよ!ほら!ほんとだもん!」
竹森さんは頬を膨らましながら俺たちにスマホの画面を見せた。そこに写っている写真には確かに50位竹森美海と書いてある。どうやら本当らしい。
「すごいね、竹森さん」
俺は称賛の言葉を送った。
「うん!和樹君が教えてくれたところがいっぱいテストに出たの!だから、和樹君のおかげだよ!ありがとう!!」
そう素直にお礼を言われるとなんだか照れ臭い。でも、竹森さんの成績が上がって本当に良かった。これで安心して夏休みを迎えることが出来る。
こうして俺たちは期末試験を乗り越え、無事に夏休みへと入るのだった。
私は昔から人と話すのが苦手で、すぐに思ってもないことを口にしてしまい何人もの人を傷つけてきた。人を傷つけてしまうくらいなら、私は誰とも喋らない方が良いと思い孤独を望むようになっていた。
彼が話しかけてきてくれても、私は冷たく返した。それでも彼は、何回も私の所へ来た。何度突き放しても、幾度となく足を運んでくれた。
気が付けば私は、彼に対して少しづつ心を開いていた。彼と話す間だけは、自然体の自分でいられた。
彼と話す時間が増えると、何故か私に対して今まで行われてきたことが全く起きなくなった。でも、その原因はすぐに分かった。
それと同時に私と彼に対する妙な噂が立ち始めたのだ。その噂を聞いて私は全てを理解した。
彼は私のために何回も話しかけてくれていたのだ。私が気づかなければ、そのまま彼は何も言わないつもりだったのだろう。彼がそういう人間だということは、これまでの彼を見て理解していた。
だから私は、敢えて感謝の気持ちを彼に伝えなかった。
そんな彼との間に立った変な噂も、不思議と嫌な気持ちにはならなかった……
実は私にはもう一つ悩みがあった。
私は小さい頃から両親に厳しく指導されていた為、人よりかなり勉強の面に関しては秀でていた。学校のテストは常にダントツの1位だったし、この問題が分からないから教えてと言われても、そもそも何処が分からないかが私には分からなかった。だから、彼の頼みも断ったのだ。
私はずっと、同じレベルで競い合える友達が欲しかった。
だから彼が、本気の顔で私に勝つと言ってくれた時は本当に嬉しかった。彼に負けて、勉強を教えてと頼むのもすごく楽しそうで良いなと思った。
すると直ぐに、彼は私のレベルまで登ってきた。血の滲むような努力をしてここまで来たのだろう。私はそのことを自分のことのように喜んだ。
しかし私は思ったよりも負けず嫌いだった。ギリギリの勝負をするたびに、もっと点差を広げてやると更に勉強へ励むようになった。
結果、私も彼も成績が更に伸び、全国模試ですらも私と彼が1位2位を争うようになっていた。
その時、彼は私のずっと欲しかった友達なんだってことに気づいた。それと同時に、友達の大切さを私は初めて実感した。
私は彼に感謝している。でもまだ彼には伝えない。高校最後まで戦って、すべてが終わったら、私は友達にこう言うのだ…………
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「くそ!また勝てなかった!!」
「あら、私に勝てるようになるにはいったいどれくらいかかるのかしら」
「次は勝ってやるよ!覚えとけ!」
「貴方、毎回同じこと言ってるわよ?」
順位が貼り出されている掲示板の前で、中学の頃と同じような光景が繰り返されていた。
「よう、お二人さん。相変わらず上位二人は変わりませんねー。まあ、順位も変わってないようですけど」
「うるせー!順位が一つ上がったからって調子乗んな!」
「はいはい、俺の目標は一先ず3位かな。ね?神田さん」
「絶対負けない」
健斗と神田さんも火花を散らしているよようだ。ほんと、映画部は優秀だなあ……忘れていた。一人の問題児の存在に……
「聞いて聞いて~!」
その問題児が近づいてきた。
(あんなに笑顔ってことは順位良かったのか?)
「私ね!50位だったの!!こんな順位初めてだよ!」
「「なっ!」」
最初の衝撃と同じくらいの衝撃が俺たちを襲った。
(ワースト5位だった竹森さんが50位だと……これは何かの間違いに違いない)
「竹森さん、もう一回確認してきた方が……」
「もうっ!和樹君失礼だよ!ほら!ほんとだもん!」
竹森さんは頬を膨らましながら俺たちにスマホの画面を見せた。そこに写っている写真には確かに50位竹森美海と書いてある。どうやら本当らしい。
「すごいね、竹森さん」
俺は称賛の言葉を送った。
「うん!和樹君が教えてくれたところがいっぱいテストに出たの!だから、和樹君のおかげだよ!ありがとう!!」
そう素直にお礼を言われるとなんだか照れ臭い。でも、竹森さんの成績が上がって本当に良かった。これで安心して夏休みを迎えることが出来る。
こうして俺たちは期末試験を乗り越え、無事に夏休みへと入るのだった。
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