ぷるぷる。俺は、悪いスライムだ!

そば太郎

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ぷるぷる。教育方針

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父と母の教育方針が異なり、朝から空気が悪い。いや、魔王様直属の配下としては慣れ親しんだ空気ではあるものの、居心地が悪いことこのうえない。

テーブルの真ん中に俺がいて、それぞれあーだこーだ言い合っている。

つまりこうだ。父は俺を危険から遠ざけ、レベルアップさせたい。母は、モンスターを退治させてレベルをアップさせたい。

俺に言わせて貰えれば、どっちも嫌だ。俺は人間を倒してレベルを上げたいところだか、そんなことをすれば俺が魔王様直属の忠実なる配下だということがバレてしまう。

……ここは、モンスターを狩るしかないか。
生息するモンスターを知ることでこの街がどこにあるかある程度把握ができるかもしれない。それに、モンスター͏から魔王様の情報が得られるかもしれないしな。

『パパ、クロね、街の外に出て、モンスター見てみたいなぁ。もし危なくなってもパパとママが守ってくれるから大丈夫だよね。だめ?』
父に抱きついて、可愛くお願いする。くっ、我慢するのだ!俺は、魔王様直属の忠実なる配下。いっときの恥ぐらい……!くぅ!

敵である踊り子を参考にする。踊り子にも色々いて、セクシータイプからロリのたぐいまで様々だ。時に敵である俺にも媚びを売る人間もいて、真似をしてみたが、どうだろうか?

父は壊れたように頭を上下に振っていた。成功したらしい。

母が、親指を立てていた。

そうして冒険に行った結果、俺の心は撃沈した。いや、冒険自体は成功したと言っていい。俺はレベルが5も上がったし。父が心配しすぎて、浅い場所までしか行かなかったのが悔やまれる。

それ自体はいいのだ。俺が、撃沈したのはモンスターと話が通じなかったことだ!なんなのだ、あのゴブリンというモンスターは!?

全然見たことがない輩ではないか!スライムもスライムだ!あの水っぽい個体はなんだのだ!丸いフォルムだと?!くそっ……なんなのだ。俺の知っているモンスターが1匹もいない!

どういうことだ?
まだスライムとゴブリンだけだが、俺が知っているモンスターはどこにいる?

……メタルスライムの父だけが、俺の知るモンスター。
 
ここは、父に聞くしかないのだろうか?
いやそれはダメだ。母の強さは尋常ではない。優秀だと思っていたが、恐らく俺が思う以上に優秀だと思う。歩き方ひとつ違うのだ。俺が知る勇者とは……

1回だけだが遭遇したことがある。あの時と比べられないほど熟練された技が母にはあった。確実に母は、勇者より強い。

いや、そもそも俺が出会った勇者がニセモノで、母がホンモノの勇者の可能性もあるか?

……分からない。母が、勇者?
しかし、あの時の男の称号は確かに勇者だった。それとも……勇者はひとりだけじゃない?

…………あああ!分からん!何もかも分からない!

頭から湯気が出そうだ。知恵熱というのか、ぐったりしてしまう。考えすぎて帰って早々寝込んだ俺に、父と母が心配そうにしている。

大好きな母のミルクも、今はやめた。

安心できる籠の中にモゾモゾと潜り込み、すぐに眠気がやって来て、泥のように眠った。すやぁ……そんな俺の姿を心配そうに見つめていた父と母。その後、お互いに目を合わせ、頷くふたり。



次の日、朝一番のミルクを元気に飲む俺に、母が安堵の溜息を吐く。考えても仕方が無いことはひとまず考えない。

まずはこれまで通り、情報収集とレベルをアップすることに尽力しよう。強くなれば、行動範囲が広がるし、何よりも悪いことをしていけば、きっと魔王様や四天王様たちから何かしら連絡があるだろう。

お腹いっぱいに膨れたお腹をポンポンさする。さっ、今日も冒険にいく?

母に剣や防具を指さし尋ねると、首を横に振られる。ん? 今日も冒険に行くかと思われたが、どうしたのだ?

俺はレベルを上げる必要があるのだぞ。しきりに、剣を指さすと、他の手段で効率よくレベルがあがる方法があると教えられる。

な、なぬ?!そんな方法があるのか?!

し、知らなかった。人間だけが知る情報なのか? いや、そんなのがあれば、強い人間がたくさんいるだろう。酒場? ギルド?にいたのを見る限り、母以上に強い冒険者はいなかったぞ。剣士や戦士とかはいたが、そこまでレベルは高くなさそうだった。

どんな方法なのだ?

もしかして、メタルスライムである父を倒せというのか?!
そ、それは……なんとも、非人道的な。いや、モンスターである俺が言うのはなんだが、同族殺しはちょっと……

しかも、実の父を殺すのは……

ポロポロ涙が出てくる。

「お、おい、クロノス?!どうした?」
慌てて俺を抱き上げる母。背中を撫でてくれるが、一向に泣き止まない俺にオロオロしている。

「スラ~!ちょっと今すぐ来てくれ!」
母がどこかに叫んだと思ったら、何もない空間からメタルスライムの父がにょっきりと姿を見せる。俺は驚いて涙が止まるが、父の顔を見るとまた溢れてきた。

父は泣いている俺に気がつくと、慌ててすっ飛んで来てくれて、俺は父の腕に飛び込む。

安心できる父の腕のなか、わんわん子供のように泣いた。泣き止んでから理由を話すと、俺の勘違いが分かった。

…………は、恥ずかしい……!
父が死ぬと思い、大泣きするとは。

父は、自分が殺されると思って泣いた俺に最初は驚き、すぐにデレデレする。そして母は慌てて、ゴメンなと謝ってくれた。いや、俺の方こそ早合点してしまって、ゴメンなさい……

申し訳なさそうな顔をする母の顔にスリスリして、甘える。母、ゴメンね。大好きだよ。そんな言葉が自然と出てきて、自分でもビックリだ。

俺は、偉大なる魔王様直属の忠実な配下だぞ?!

勇者かもしれない人間に対して、甘えるなんぞあっていい訳がない!…………だが、この男は、俺の母だ。大好きな……はは。

……まだ母が勇者と決まったわけじゃない。今は、俺の大好きな母だ。すりすり。

この後、思いっきりミルクを堪能した!
ちゅうちゅうちゅう、ガジガジ……ちゅうちゅう
うまぁあああああ~~~~~~~~~!

朝のミルクも飲んだが、追いミルクも飲んだために、俺のお腹はポッコリで苦しい……

しかし勘違いは分かったけど、実際どのような手段でレベルアップするかは教えてくれなかった。夜になったら教えるから今はまだ触れてくれるなと母にお願いされた。そういう母の顔は、何故か真っ赤だった。

なんだ?
父を見ると、ふふっと笑って、楽しみにしててねって。


【クロノス】
ベビィダークスライム。生後1ヶ月半
少しずつ大きくなっているが、まだまだ父には及ばない。初めて外に出て、ワクワクが止まらない。その時の出来事から母大好きになった。父と母からの愛情にどっぷり。
時々魔王様直属の配下としての自覚が蘇る。以前は、ツンツンデレと言った具合だったが、今はツンデレレベル。

悪いことをするのは諦めていない。

【スラ】
大好きな父。メタルスライム。甘えるとほぼ100%の確率で成功するために、息子にいいように使われている。今回自分の方法でクロノスをレベルアップすることが出来るために嬉しい。ちなみに、クロノスが寝入ったあとに、クラウドと毎回の如く愛し合っている。念の為に息子にラリホ〇をかけて、眠らせている。

【クラウド】
大好きな母。実は、冒険者の中でも最高位の冒険者の資格を有している。勇者ではなく、『覇王』。めちゃくそ強い。従魔契約を結んだために、一緒に冒険し、深部にいる強力なモンスターを倒せば大量の経験値を得ることが出来るが、クロノスが寝込んだために頓挫した。スラとクラウドは息子の体調不良の原因を勘違い。本当ならスラの力を利用した方法でレベルアップするのは避けたかった。



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