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ぷるぷる。レベルアップの前に
しおりを挟む今日は、俺のレベルアップをする日となっている。それを聞いたのは、朝ごはんを食べたあとだ。昨日冒険に行ったし、今日はレベルアップ。一気に強くなると、体に良くないからと交互に冒険とレベルアップをするみたいだ。
状況に応じて、休憩をしたりするらしい。根を詰めるのは良くなくて、まだ赤ちゃんなのだから遊ぶ時間も大切にしようって言われた。
俺としては、早くレベル99になりたい思いはあるものの父と母と遊ぶのも悪くないからな。……魔王様直属の配下はちょっとおやすみだ。
そのため、夜までの間何をするかというと、街に遊びに来ている。この前は屋台で串肉を食べたが、今回は何を食べよう。ワクワクしかせん!
今回は、母に抱っこされて、街を見て回る。この通りに屋台はないらしく、しょんぼりしてしまう。あとで行くからねと言われ、気分が上がる。
気分が浮上したために周囲をみると、ビックリした。なぜなら、すれ違う人間たちの容姿が様々だったからだ。
耳が長い種族やらなにやら獣の耳や尻尾まである輩までいるぞ?
……どういうことだ? この街にいるのは、人間だけじゃないのか? そういえば、冒険者たちの中には、人間っぽくない輩もいたな。
なに、あれは『えるふ』だと? あの獣の耳があるのは、『じゅうじん』、あのちっこいのは、『どわーふ』??
色んな種族がいるものだ。俺が知るのは、人間だけでそれ以外はモンスターだけだったぞ。なに、興味深いことを聞いた。どわーふは、手先が器用で色々な便利道具を作ることが出来るらしい。
……それなら保存容器を作ってもらえないだろうか。母のミルクを入れるための防腐効果もある試験管を。
母の腕をペチペチたたき、ドワーフを何度も指さすとわかってくれて、ドワーフのお店に行くことが決まった。父に言えば、意思疎通出来るのだが、母とこうやってコミュニケーションをするのも好きだ。
父もそれを分かってくれているから、にこにこと見守ってくれているのが、ちょっと照れくさい……
父母の馴染みのドワーフのお店にいくと、ほとんど剣や斧ばかりで容器とかはなかった。父にお願いして、それらしきものがないか尋ねてくれると、ちゃんといい感じの容器が見つかった。なんとポーションを入れる容器を作っているとの事で、特別に売ってくれるとのこと。
ポーションとは、『薬草』の効果があって、防腐効果もバッチリらしい。それをひとまず、10本購入した。何に使うのって父に聞かれたけど、秘密って返す。
母の防具はここで新調してもらっているらしく、ちょうど今日出来上がったんだって。折角だから、試着してみることにした。あの防具は、母の豊満な雄っぱいを押し潰していたけど、これはしっかりと包み込んでおり、はみ出したりしていなかった。
少し動くも、ズレたり、外れたりせずにしっかりフィットしており、母は満足そうにしている。ドワーフのおじちゃんも、誇らしそうだ。だけど、俺は見てしまった。後ろを向いた時、鼻の下が伸びていたことを……
動いた時に、防具ごとブルンと揺れたからな。母は、罪作りな男だと思う。
次に向かったのは、錬金術師の工房だった。れんきんじゅつし?というのは分からなかったが、分かりやすく教えてくれた。つまり、便利道具を作るひと!
自信満々にそう言うと、父は正解っ!って満面な笑顔で言ってくれて、さすが俺と喜ぶ。
それを聞いた錬金術師のおじいちゃんが複雑な顔をしていた。
……なんで?
ここで買ってくれたのは、マジックバッグ。父と母は、マジックバッグのスキルを持っているけど、俺は持っていない。これがあれば、容量に応じて収納することが出来るんだって。すごいな……
勇者たちは、馬車の中に荷物を置いていたようだが、彼らより俺の方が便利な道具を持っているようだ。 ふふん、いいだろう?
ドヤ顔。お値段も結構するみたいで、金貨が小山になっていた。初めてみる金貨。俺が知る硬貨とは違うようだが、この地方ではこれが普通らしい。あと銀貨、銅貨があるみたいだ。
全て、ゴールドじゃないのか?
……ふぅむ。人間の世界は変化が早いというのは本当のことだったか。
気前よくお金を払い、俺はマジックバッグを手に入れた!
『ありがとっ!父、母!クロ、大切にする!』
ギュッと鞄を抱きしめ、ちゃんとお礼を言う。魔王様直属の配下の時は、人間とは奪う奪われる関係だったためにお礼なんて言うことはなかった。モンスター同士も強いか弱いかなので、そんな言葉はあること自体知らなかったぐらいだ。
……しかし、ここでは、父と母は毎日ありがとう、大好きだ、助かるとか色んな言葉を使っている。それまで知らなかった言葉を知り、そして意味を知った。
最初こそ、絶対に使うものかと思っていたのに……自然と口から漏れ出る。
ハッとするが、父と母がどういたしまして。とにこにこしているものだから、……照れくさくて、プイッと顔を横に向いてしまった。嬉しかったのに、いじわるをしてしまう。ダークスライムの本質は、悪いことが大好きだから、これで正解なのだが……
でも、父も母も俺がいたずらをしても、嫌な顔をしないで大好きだよと伝えてくれる。それを聞く度に、ほんわかして、……俺が悪いことをしても、嫌いになることはないのだ。
ふふん。
俺は、父と母か愛されている!……まだ愛がどんなものか分からないけど、捨てられることは絶対にない。
だからこそ、俺は……いたずらが出来るのだ。俺は、魔王様直属の配下!
いっぱい悪いことをして、魔王様や四天王様たちの情報を手に入れるゾ!
母の腕の中、拳を上に突き上げ、メラメラとやる気に満ちていた。もし、魔王様が迎えにきても、父と母を仲間にしてもらえば、問題ない。
父はメタルスライムだし、母は人間だけど、俺の母だし、きっと大丈夫。勇者の疑惑は残っているけど、今のところ、母が勇者として行動しているところは見ていないし、噂にあったあの王者の剣も持っていないから大丈夫……
それに、基本的に勇者は独身で、旅をしながら仲間たちと恋愛したり、お姫様といい感じになるのがセオリーだと聞いた。母は、既婚者だし、父を『愛している』から勇者なんかじゃない。
うん。
ぐぅううう~~~~~~!
俺のお腹が元気よく鳴ってしまった。笑う母の腕をペチペチ叩いて、屋台に行こうと催促する。未だくくくっと笑う母にぷっくり頬を膨らませ、早く早くと急かせた。
父が、指さすほうに屋台があって、いい匂いが嗅覚を刺激してくる。以前食べたような串だったが、ニンニクが効いた匂いにヨダレが垂れてしまう。
ペチペチ叩き、羽と尻尾も元気よく動いちゃう。父が店主オススメの肉を買い、さっそく食べさせてくれる。肉汁がドバッとと溢れ、柔らかな肉が広がり、ガツガツと食べてしまう。2本目も食べていると、父が母の口にアーンさせていた。
母もお腹が空いていたのか、満面の笑みを浮かべ、大きな口を開けてお肉にかぶりつく。
「うまっ……!」
美味しそうに食べる母と、俺たちににこにこ顔の父。
何故か、周囲の人間たちが俺たちを見ていて、食べ終わって店主にお礼を言って去ると、お店に人が殺到していた。
お腹、空いていたのか。混む前に食べれて良かったな。
【クロノス】
屋台にハマっている。母のミルクを研究するために着々と準備をしており、今日から収集する予定。ちなみに、採取方法を考えていない。
【スラ】
街に行く時は必ず人間の姿で行く。クラウドの腰に手を回して、周囲に見せつけている。時々、妻に顔を寄せ、その際周囲に視線を走らせ、牽制をしていたりして。クラウドに串肉を食べさせている時に集中した視線に怒りが湧く。
【クラウド】
周囲の視線には全然気がついていない。以前このお店で食べたことがあり、お気に入りのお店のひとつ。幸せそうに食べるため、周囲の人間の視線が集まりやすい。
【屋台のおっちゃん】
いつもは、売り切るのに時間がかかるのに、彼らが来た時はすぐに売り切れる。当初は早く家に帰り、妻に驚かれたものだが、時々同じことが起きるために、驚かなくなった。
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