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ぷるぷる。魔王様のウワサ
しおりを挟む授与式のあと、なぜか父が、レベルアップを許可してくれた。これまでダメの一点張りだったのに……
なんでだ?
『いいの?』
不思議がる俺に父からは、赤ちゃんの俺との時間を楽しみたかったって言われると、胸に何かが込み上げてくる。
熱い何かは、俺の全身を満たし、自然と涙が溢れてきて、無性に父に甘えたくなった。
『ぴぃぴぃっ~~~~~~~~~!』
その衝動のまま、父に抱きつく。メタルスライムの体に。
『ど、どうしたの?!く、クロちゃん!ああ、そんなに泣いて。よしよし。』
抱きとめてくれて、頭をよしよしされる。この感情が何か分からないが、胸がポカポカ。
「おっ、どうしたんだ? クロノス、にっこにこだな。ほら、次はママだぞ。」
くすぐったい気持ちになり父に甘えていたら鍛錬を終えた母がやってきた。シャワーを浴びてきたようで、石鹸の匂いがする。
俺の母。いつも、俺を優しく抱きしめてくれる。『いたずら』をすると、怒られるけど、その後に優しくゴメンなさい出来て、えらいなって褒めてくれるんだ。
えへへ、な、なんか嬉しくて、もっと褒めて欲しくて、お手伝いをすると、また褒めてくれる。
『ママぁ、ありあと!』
まだ上手く甘えられないけど、ぴょんっと大きく跳ねて、母に抱きつく。ぽふんと抱きとめて、胸にギュッと包み込まれる。
父と母。俺の大切な両親。俺だけの家族……
ふへへ。なんか、ポカポカが止まらない。もしかして、……これが、シアワセっていうやつなのか?
その日は、父と母に思う存分、甘えた!
クロノスは、『甘えた』さんを獲得!
数日後、自体は一転した。ソレは、ある一報がギルドに届いたところから始まった。その内容とは、モンスターたちの凶暴化。
最初は、遠く離れた村がモンスターに襲われたという。それを討伐するために派遣された冒険者が失敗した。かなりの被害が出たらしく、幸いにも死者は出なかったらしい。
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被害が広がるほど、その情報が広がり、国民たちの生活にも影響が出てきた。物流の停滞、物価高、手に入らない香辛料。失業する人たち。
そのうち、治安の悪化により、犯罪者も急増するだろう、この国は幸いにも福祉が充実していたために今すぐ犯罪に走るものなどはいない。炊き出しとかあって、失業したからといって最低限の食べ物はありつけるのだ。
またその一端を担っているのは、スラやクラウド、そして高ランク冒険者たちの活躍だった。彼らはモンスターを借り、肉を安価で提供。森に入れば、上質な肉がたっぷりあるのだ。
さすがに、ゴブリンとかは食えないが、オーガは格好の肉に早変わりとなる。しかも、ヤツらはクラウドを見るとヒャッハーとなるので借り放題。
深層のモンスターも凶暴化しているものの、クラウドを見ると同じようにヒャッハーに早変わりして、無防備になる。それをクロノスがすかさずマヌー○をかけ、その後、メダパ○(混乱)をかけて攻撃。
以前は攻撃が通じなかったが、メタルスライムの経験値ガッポガッポを使って、大幅なレベルアップを遂げ、条件付きではあるが、倒すまでになった。しかも、本当は単体にしか効かないメダ○ニが、なぜか全体攻撃に……
うむ。ご都合主義発動!
そうして、またクロノスはレベルアップ!
そんな日々が続くある日のこと、魔王復活が囁かれ始めた。
『━━━━━━ッ?!』
ギルドに討伐達成報告をするために訪れたその時、ある冒険者たちが話していて、俺は全身に衝撃が走り、動きを止める。今、父と母は馴染みのお兄ちゃんに処理をしてもらっていて、傍にはいない。
俺はパタパタ羽を動かし、彼らの傍に行く。
「お、なんだ、なんだ。クロノス、食べたいのか?」
からあげを1つ差し出され、カパッと口を開ける。もぐもぐ。父の料理には勝てぬが、これも美味しいぞ。
はっ、いけない。尻尾でペシペシテーブルを叩き、話を催促するも頭を撫でられてしまった。
お前たち、魔王様直属の配下たる俺に馴れ馴れしいではないか!次期四天王になる男をもっと敬え!と言ったところで、言葉は通じない。仕方ない……
ノートを出して、カキカキ。
『まおー?』
突きつけると、やっと分かったようで話してくれる。今回の騒動は魔王復活の兆候じゃないかってウワサがあるらしい。
な、なんと?!魔王様が、つ、遂に……?!
「でも、この街は大丈夫だ。なんたって、この街にはスラさんやクラウドさんがいるし、何よりもこの街の冒険者は高ランクが多いからな!」
ガハハハハと笑う冒険者の言葉をどこか遠いところで聞き、父と母の元へと戻る。
「だ~か~らっ、クラウドの体に触るなって言っているだろ! しつこい!」
父が大男に声を荒らげている。ギルドに入るとおなじみになった光景。それは、母に懸想する特級冒険者の酒飲み親父。俺には、酒飲みのオッサンにしか見えないが、なかなか強いらしい。
何気に面倒見がいいそうで、慕われているようだ。
この男は昔から母のことが好きで、特にむっちりデカケツが好きらしく隙あらば母のむっちり尻に触ろうとしてくる。それを毎回、父によって阻まれているのだが、懲りない男だ。
パタパタ
男は、俺が近づくと、
「おお~、ちびっ子、ほれお前の親父をどうかしてくれ。少しぐらいあのケツを触らせてくれてもいいだろうに。」
絡んできた。この男は鋭い。父の姿が、メタルスライムだと気がついているし、俺が父も母の子供だということも察している。
「クロノスに近づくな!」
一部の人間には知られているが、基本的にシークレット情報だ。なにせ、モンスターが人間を孕ませただなんて、騒ぎにならないはずがない。しかも、モンスターが人間になっていて、高ランク冒険者をしているのも、驚愕な事実だ。
だけど、こんな話誰も信じない。それだけ、ありえない話だからだ。
男もそれが分かっていて、父をからかう材料にしている節がある。冒険者として、また好きな相手に相手をされないことの腹いせだろう。
ふん、俺は博識なのだ!
(実は、おねぇちゃんからの情報。)
それから数日後、神託がおり、……勇者が誕生した。
【クロノス】
生後4ヶ月。スマホ1個半になろうとしているが、まだ父よりは小さい。あと1ヶ月で成体予定。
国民的RPGのゲーム3の世界からの転生者。そのことに主人公は気がついていない。魔王様直属の配下として、活動する予定。だけど、父も母のそばが心地よくて、はなれがたくいつまでも一緒にいたい。
魔王様復活の報せ(ウワサ)を聞き、動揺。
【スラ】
クロノスを溺愛。目に入れてもいいぐらいに可愛がっている。息子のお願いにほぼ受け入れており、レベルアップの件を許してからは、ほぼ100%。ダメな父である。
あ、あ、ああああ……ちょっと、クロちゃん? 前立腺は、ガジガジしちゃ、だ、ダメだよぉ、ね、ねぇ、聞いてる?
ご、ごめん。クラウド……今日も止められなかったぁああ!!
【クラウド】
ほぼデレ成分になったクロノスに更にメロメロ。これまで子沢山で、一気に巣立ったために久しぶりの我が子が可愛い。それなのに、なかなか懐いてくれなくてしょんぼり。それが、今ではだきついてきてくれて……!
怒る時は怒るけど、その分甘やかすことも。
レベルアップさせるために、胎内に迎え入れるが毎回の如く前立腺を舐め回され、嬲られ、最終的に牙を立てられ、気絶するルーティンが出来上がっている。もちろん甘噛みだけど成長と共に牙も大きくなり、衝撃は強い。
「や、やめ゙え゙、あ゙、あびぃ゙、あ゙あ゙あ゙あ゙~~~~~~!」
白目気絶。これを繰り返され、HP上昇。
【中年の酒飲み特級冒険者】
顎髭があるイケおじタイプの男。クラウドの肉厚な尻に目を奪われ、クラウドに惚れる。肉感的な体にゾッコン。最初はいいな程度だったけど、もう恋焦がれるほど。軽薄そうな見た目に反して、意外と純情。だけどクラウドに出会ったあとは性欲を抑えきれなくなり、娼館に通っている。男娼や娼婦によると性欲も強く、付き合うのも大変らしい。
【若手の特級冒険者】
まだ20代の若手冒険者。幼なじみとパーティを組んでいたが、最近解消。何故なら、男がこの街から離れたがらないため。だけど、この男単体でかなりの強さなために問題ない。叶わない恋だとしても、離れられない。今回は 話に出ていないけど、シャイボーイのために影でこそっと見つめていた。中年冒険者が羨ましい……
憧れから恋に落ちたタイプ。ちなみに童貞。操を立てている。
【国王様】
33歳。妻30歳、息子13歳、娘8歳、息子2歳。超特級冒険者のふたりには王都を守って欲しいと思っているが、断られた。ショック。だけど、他国に行かれても嫌だから、我慢している。意外と常識人で、そこそこ賢い。息子が優秀なタイプ。
スラとクラウドにより、安価でモンスターの肉を回してくれているので国内情勢はなんとかなっている。
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