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ぷるぷる。あけおめ?
しおりを挟む「明けましておめでとう」
突然、父からそんなことを言われた。……あけまして、おめでとう?
なんだ、それは。
「ああ、それはスラの故郷の行事らしいぞ。新年を祝う挨拶みたいだな。
スラ、クロノス、あけましておめでとう。今年も、よろしくな。」
『……あけおめ』
よく分からないから、短縮したら、何故か父が笑う。何故だ……?!
「はい、クロノス。これお年玉。」
父が俺に袋を手渡してきた。なんだ、これは?
受け取るとズシリとした重みを感じる。……もしかして、これお金か?!
金貨じゃないけど、ジャジャらと銀貨や銅貨が入っていた。
父を見上げると、
「好きな物買ってきていいよ。」
にっこり微笑まれた!
まじか?!
これまでひとりは危ないとかで出かけるのも一緒だったのに、ひとりで行っていいのか?!
本当に? 直前になってダメとか言わない?
「ふふ。大丈夫だよ。クロちゃんもレベル上がったし、この街でクロちゃんより強い人なんていないしね。行ってみたかったんでしょう?」
父の言葉にコクコク頷く。
「ただし、ひとりで街の外にはいかないこと。分かった?」
ぶんぶん、頷く。
……ドキドキする。初めて自由に動くことができる。
魔王軍の動向を探ることが出来るんだ!
どうしようか……まずは、図書館に行って情報収集?もしくは、ギルドに行って冒険者の話に耳を傾けるか……
四天王様方が活動しているとなれば、絶対に何かしら騒ぎになるはずだ。
……ギルドは父と母たちと一緒に行く機会は多いだろう。まずは、図書館に行こう。
羽をパタパタ動かし、空を飛ぶ。無事に第1関門、家の扉を通り過ぎ、今度は第2関門、結界を展開されている門扉。これも無事に通り抜けることができた。
……図書館はどこだ?
大きな建物だと思うが……しまった。誰か人に聞こうとするが、言葉が通じない?!
身振り手振りするが、全然分かってくれない!母なら、上手く察してくれるというのに……
大通りに出てみる。が、大きい建物と、人ばかりで図書館らしき建物は見えない。くそっ、この街はこんなに大きかったのか?!
父と母と通る見慣れた通りではあるが、ひとりだと途端に心細く感じる。……ぐにゅう……父……母……俺は、魔王様直属の配下だぞ!これまでもひとりで任務に出かけたことがあるというのに、なんてザマだ……
ぐにゅう……
だけど、この体はまだ赤ちゃんで……
父と母の温もりが恋しくなる……
「……あら、クロちゃん?」
名前を呼ばれ、俯いていた顔をあげると、そこにはギルドの受付で出会ったメスの人間がいた。よく父と母を変な顔をしてみているオンナだ。
それに俺は知っている。時々、父となにやらコソコソ話しているのを!
この前家に来た時、俺も話しかけてみたが、……ふん、このオンナの情報能力は、そこそこのものだと言っておこう。ふ、ふん。わ、我には勝てんがな!
このオンナの情報を持ってしても、魔王様の動向は探れなかったが。
なに?
人間のオンナに魔王様の情報を教えても良かったのか、だと?
ふふん。この俺がそんなミスを犯すと思うか? ちゃんと上手く誘導したに決まっておろう。
魔王様直属の配下である俺は、ひっじょーーーに!有能なのだ!(ドヤ顔)
まぁ、そんなことでこのオンナとは、顔なじみとも言える。
「クロちゃん、ひとりなの? 珍しいわね。もしかして、……迷子?……な、訳ないわね。」
迷子と言われ、むっとしたが、すぐさま否定され、湧き上がる怒りは霧散する。
このオンナは、図書館を知っているのではないか?
ツンツンスカートを引っ張り、図書館の場所を尋ねるが、全然言葉が通じない……!くそっ。身振り手振りでも伝えてみるが、全然分かってくれない!
くっ、母なら察してくれるのにぃ……!
それからしばらく格闘したが、結局伝わらなかった……つ、疲れたぁ。なんとも不便なものだ。
「ごめんなさい。クロちゃん、良かったら今からお姉さんと文字を覚えてみない? 」
なぬ?
文字だと……
確かに、このオンナの言うことも一理あるな。魔王軍の動向を知るためにも人間の文字が読めれば、新聞を見ることができる。
俺は、このオンナの提案にのることにした。
ふ、ふん!人間のオンナにしてはいい提案と褒めてつかわそう……
(図書館に行っても、読めなかったら意味がないことに気がつくクロノスである)
そうしてやってきたのは、オンナが住む家だった。年頃の娘にしては大きな家で立派とも言える。……ギルドの収入だけで手に入るものなのか?
俺は魔王様直属の配下だからな、とーーーっても、優秀なのだ!そのために、人間の暮らしにも精通しているのだぞ。えっへん!
それにしても……なにやら……独特な匂いが……
「クロちゃん、お茶とお菓子を用意してくるから、ちょっとここで待っててくれるかしら。」
通されたのは、何故か寝室だった……
何故だ??
俺は、大きな天蓋付きベッドに乗り、しばし考える。
レースがふんだんにあしらわれた掛け布団に、天井からのびる薄いすけすけのカーテン。
窓辺をみると、植物が。
本棚にはたくさんの書物。
文字を獲得出来れば、この書物たちも読むことができる。試しに、一冊本を取り出し、見てみる。
『……?
なんだ、これは? ちち? はは?』
本の表紙は、父と母の絵姿が描かれていた。これは、家にあった漫画本?
あれで色々なことを勉強させてもらった。まぁ、父に読んで貰っていたのだが……
ふむ。疑問に思いながら開く。あの漫画本と同じ精巧な絵で描かれており、文字こそ分からないがなんとなく話の流れを知る。
これは、……恐らく、父と母が初めて出会ったシーンなのだろう。以前、父から聞いたことがある。特別興味もなかったために聞き流していたが、なかなか絵というのは面白いものだ。
ぱらぱらとページをめくるが、
…………こ、これは……ちょっと、……いやかなり、恥ずかしいものだな。
自分の両親の出会いから結ばれるまでをみるこの居心地の悪い感じは。夜の営みまで繊細に描かれており、……いたたまれなくなる。
母の体内にあるあの膨らみ。俺が舐めしゃぶっていたアレは、『前立腺』というのか……
オトコがオンナのように感じるスポット。
あれを刺激されると、母はこんなふうになるのか。初めて知った。たしかに、アレを触ると母の体が震え、悲鳴が聞こえてくるけど……
……体を仰け反らし、生殖器から勢いよく汁を飛ばす母の絵姿は、絵というのに、とても美味しそうに見える。張りのある豊満な雄っぱいとツンと尖らせたピンク色のチクビ。
イク時には、必ずミルクを出すというのに、この母は出ないのだな。
なぜだ?
ジッと見つめていると、お盆を持ったオンナがすぐそばに居て、驚いてしまう。
こ、こやつ、気配が……?!
魔王様直属の配下である俺の背後をとるとは?!
「あは。クロちゃん、それ気に入ったの? 見てわかると思うけど、それクロちゃんのご両親の絵本なの。よく出来てるでしょう?
私が描いたのよ♡♡」
背後を取られビックリした俺だったが、オンナの『自分が描いた』と言うのもビックリした。
こんな精密な絵をこのオンナが……?
にわかに、信じられないがこのオンナの技術は本物らしい。自宅にある漫画本と同じ技術なのだろう。絵の雰囲気というか、まるっきり一緒?
もしかして……このオンナがアレも?
あの時は、情報を知りたくて気がつかなかったが、いつの間に人間の文明は変わったのだろうか。くっ、魔王様直属の配下として何たる失態を。勇者や戦士といった危険な人間がいるとはいえ、その数は少ない。下等なる人間と侮るのは、危険なようだ。
このオンナから、出来る限りの情報を引き出す!
魔王様直属の配下として、次期四天王になる男として、俺は頑張る!
その為にも早く文字を習得しよう!
エイエイオーーー!!!
その前に、目の前に置かれたケーキを食べようとすると、勉強が終わるまでダメだって言われた……
ひ、ヒドイ……!
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