ぷるぷる。俺は、悪いスライムだ!

そば太郎

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ぷるぷる。遂にカンスト!

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白い空間から、流れる時間軸に帰ってきた。目の前には、あの美しい男がいる。

神から聞いたこの世界の魔王。俺は、神によって前の世界から転生したらしく、魔王バラ〇スはこの世界には居なかった。

ドキドキ、心臓が痛いぐらいにうるさい。

魅入られる。

この男が欲しい。この世界の魔王なんて関係ない。彼が、欲しい。それだけしか考えられない。

彼は、俺の唯一。俺の伴侶。俺のつがい……

絶対に手に入れる。そのために、あの空間で自分の能力を使い、検証し、効率さを求めた。さらに授かった力。

すべては、この美しくも強大なこの男を手に入れるため。




「お前は、モンスターか? いや、その姿、モンスターしかありえないか。先ほどより、格段に強くなっているな。

なにをした?」

男には、時が止まった認識はなく、突如俺の力が桁違いに跳ね上がったのが不思議なのだろう。

さきほどまで退屈そうな瞳をしていたのに、目が輝いている。いや、退屈そうな瞳もアンニュイで魅入られたが、こっちのキラキラさせている瞳も好きだ。

血のような真っ赤な唇から紡がれる音楽の旋律のような調べは、もっと聴きたくなるほどで、うっとりとする。

何も言わない俺に構うことなく、口を開く。


「ふふっ、勇者と共にするモンスターとは。ははっ面白い…我と戦うか?」
やや切れ長の目を細め、口角を上げて笑う姿に、心臓が撃ち抜かれる。さっきから、男のひとつひとつに一喜一憂し、今にも踊り出しそうになるが、必死に顔を引き締めた。

「お前となら楽しめそうだ。」
男の手に漆黒の剣が出現し、軽く横に振る。
その瞬間、斬撃が飛び、後方へと飛んでいく。音速を超えるソレは、遠く離れた森を破壊した。

動くことなく斬撃を避けた俺に、さらに笑う。

「我の攻撃を避けるとは、な。よかろう、光栄に思うが良い。我の攻撃を受けられるということを!

失望させてくれるなよ。」

そうして始まった。魔王との戦闘。赤ちゃんだった時には、見えなかっただろう攻撃が今では見える。徐々にあがるスピード。

目眩めくらましにやみのはどうを放っても、こちらの位置を正確に捉えられる。俺の攻撃が簡単に避けられていく。

それは魔王とて同じこと。さきほどまでいた場所に剣が振り下ろされ、さらに続け様に剣が飛んでくる。が、俺は身を翻し避けていく。

魔王の剣技は、流れるような美しさがあった。

魅入られる。繰り出す全てが俺の心を捉えて離さない。

魔王に俺を感じて欲しい。そのためには、俺の力を示す!

そうして繰り出す呪文。攻撃を交わしざまに、尻尾で斬り付ける。皮膚一枚だが、彼の皮膚を切り裂き、真っ赤な血が流れさせた。

魔王だけど、血はあかいのだなと思う。尻尾に彼の血がついていて、それは、とても甘く芳しい匂い。誘われるようにぺろりと舌を這わせ、舐めとる。

おいしい……
細胞が活性化し、もっと欲しいと叫ぶ。

「……ほお。面白い。我に血を流させるか。ふははははは!いいぞ、いいぞ!初めて血を出した……くくく。これが面白いということか? 

フハハハッ初めて感じる……

お前の名を聞こう。なんという?」

切り裂かれた傷口に舌を這わせる動作に心臓が跳ねた。真っ赤な舌に、赫い血がつく光景に体が熱くなる。

益々加速する想い。

絶対に手に入れる!

この男は、俺のモノだ……!

『俺の名前は、クロノス。……魔王の名は?』

初めて交わす言葉。

「クロノスか。いい名だ。我の名前は、ジークフリード。お前には、特別にジークと呼ぶことを許そう。」

ジーク、ジーク、ジークフリード!

愛する人の名前を手に入れた!これで、ジークは、俺から逃げられない。俺に魔族の真名を教えたのだから……!

魔王の真名を縛る人間などこの世に存在いない。そのため、無謀にも俺に真名を教えた。それは、退屈な時の中で、久方ぶりに感じる楽しさからくる礼だったのかもしれない。

これまで魔王より強いやつはいなかっただろうし、もしかしたらその名の意味すら気がついていないかもしれない。

だが、俺は知ったのだ。神に教えてもらった。今は誰も知るものはいない名を縛る方法を……魔族の性質を。

今すぐ、心を縛ることはしない。この戦いに水を差す行為は絶対にダメだ。そうした瞬間、魔王は永遠に手に入らない……

けれど、勝ったあとは違う。魔王が倒されたその時、ジークは俺のものになる。

『ジーク、俺の嫁。』
そうお前は、俺の嫁になる。そう宣言した。

俺の言葉にキョトンとなるジーク。その顔もかわいい……!
今すぐ、唇を奪いたいぐらいだ。

「くくくくっ、本当にお前はおもしろい。こんな時でも戯言が吐けるのだからな。

良かろう。お前が勝った場合、我はお前のものになろう。ありえないことだが、死にゆくお前に対し褒美をやろうではないか。」

嬉しい!うれしい!魔王から、俺のものになると言ってくれた!

羽がパタパタ羽ばたく。尻尾が左右にブンブン振って全身で喜びを表す。

「……お前、俺に勝つ気か? ただのモンスターが?」
呆れ顔になる顔も好きだ。

「ああ。ジークは、俺の嫁になる。絶対に満足させる。』
自信満々に再度宣言した。俺は、絶対にジークを俺の嫁にする!

「……ふっ、良かろう。我に勝ってみせるが良い!」
そうして再開する熾烈なる戦い。たしかに魔王は強い。強いからこそ、技に捻りがない。これまで相手にならなかったために、剣技が単調なのだ。

俺は、脳筋モンスターではない、知的モンスターなのだぞ。単調な動きならそれに対応した戦い方を生み出せるというもの……!

しかし、追い詰めすぎても、莫大な魔力でゴリ押しされるだけ。そう魔王は剣だけでなく、魔法も強力なのだ。火力が俺より段違いに強い。

だが、その分だけ隙が生まれやすい。

そして挑発に弱い。……うん。魔王だからなのか、尻尾でちょいちょいすれば、簡単に乗ってくれるのだ。

ちょろくて、可愛い……!

「ちょこざいな!」
ちょこまか動いていると、短気だったようで魔王がキレた。

最大火力の魔法。紡がれていく詠唱。

そんな無防備な瞬間をこの俺が逃がすはずもない。『やみのはどう』を放ち、視界を遮る。が、魔王は詠唱を止めない。辺り一面焼け野原にすれば、いいだけのこと……といったところか。

魔王には状態異常耐性があるから、やみのはどうは効かない。

しかし、耐性があるだけで無効ではないのだ。実は、俺はある攻撃を仕掛けていたのだ。

それは、媚薬。

たかだか皮膚一枚だけの傷口。それはもう塞がれているが、血液に混じり媚薬の成分が取り込まれた……

なに?
正々堂々?
きたない?

ふふん、何を言うか。真名を縛らないと言ったが、襲わないとは言っておらぬぞ。

それに相手は、魔王種なのだ。いち種に、いち魔王。つまり、父が魔王になっているから、俺は魔王にはなれない。魔王補正がつかない俺は、別の方法で勝たなければならないのだ!

しかも、神に願ったものは、戦闘に特化したものでは無いのだからな!

えへん。

だからこそ、火力が有り余っている魔王に勝つためには、正攻法ではダメなのだ。それに、忘れては困る。

俺は、ダークスライム。悪いことがだぁい好きな、モンスター♡♡♡

卑劣な技を好むのは仕方がないこと。そう、それは、まさしく本能。ダークスライムとしてのアイデンティティーなのだ!(ドヤ顔!)


詠唱を紡ぐ口から出る息はどこか、艶めいていた。火照る体。汗ばむ肌。白く透明感のある肌は、うっすらと桃色へと染まる。

魔王は、どこかおかしいとは思っていても、それか媚薬の効果とは思っていない。だって自分は、状態異常耐性があるのだから……

だけど、それは無効化ではないために、じわりじわりと侵食される。それほどに強力な媚薬。しかも父から引き継いだ催淫剤がブレンドされている。

ちなみに クロノスと戦闘中、勇者一行は、スラたちによって回収済。

エリクサーで回復させ、現在、スラのラリホ〇で眠らせてすやすや。


【クロノス】
運命の相手に出会う。確実に手に入れるために、策を練り、実行中。彼の中に正々堂々という言葉は存在しておらず、結果さえ良ければそれでよし。なぜなら、彼がダークスライムだからだ。
(ドヤ顔!)

この度、成体になり、無事にカンスト。恐れるものは何もないフィーバー中。魅惑的な姿をこれでもかと見せつけられ、理性がヤバい。

成体になり、スマホ1個半の父より大きくなった。漆黒の羽は大きく、また尻尾の長さも長くなり、先端の矢印も大きくなる。また口から覗く牙も……

キラン☆

【魔王ジークフリード】
かれこれ、2000年は生きているが、そのうち1000年封印されていた。強いやつと戦いたいが、あまりにも弱く、相手にならない。そのため眠りについたが、起きてもそう変わらぬ現状に失望。しかし、初めて血を流し、気分は高揚。そのため状態異常もそのせいだと認識。

クラウドとは違う美しい男。白く透明感のある肌。2m近くある身長にすはりとした肉体。しかし、封印中食べすぎたのか少し胸筋が盛り上がっている。それを胸が大きく開いたV字の黒服に身をつつみ、魅力的な体が余すことなく伝えてくる服装。

肌着もなく、直接包まれた肉体。慎ましいふたつの乳首がポツンと主張し、クロノスの情欲を刺激し、攻撃を交わす度に腰から尻にかけてのラインを見せつけられ、舐め回したくなるほどのエロスを感じ、クロノスの理性の限界も近い。

すらりと伸びた脚から繰り出される蹴りが放たれる度に股の間を凝視してしまうクロノスであった。

【スラ】
遂にカンストした我が子に歓喜。我が子の成長に涙する。あと、魔王を嫁にする発言を受け、同じくフィーバー!初孫が見れるかも!?
自分たちの子供たちは、まだ誰一人結婚しておらず、モモとその双子のオニキスだけが頼りの存在だった。それが、まさに今、末っ子のクロノスが伴侶を見つけ、手に入れるために頑張っている姿に感動。
自分の子供も欲しいが、なによりも初孫が欲しい!

【クラウド】
クロノスにスラの面影をビシビシと感じ、ちょっと魔王に同情してしまう。スラも大概だけどクロノスも、その片鱗を見せており、成体になった今、未知数な我が子に冷や汗。しかも、彼には牙があるのだ。赤ちゃんじゃなくなったためミルクも卒業だし、カンストしたから胎内に入り込まれる心配もなくなり、ホッとしていたりして。

それほどまでに牙はヤバい……!




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