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第24話
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生温かい感触。
割と厚みのあるふっくらした感覚に戸惑う。
(……これって、キスよね?)
一瞬、何が起きたか分からず、目を閉じてしまったが明らかにキスだとわかり、大きく目を見開いた。
ドドドアップの夫の顔。
これは……マズイ展開!!
「むむむむっ、ぎゃっ!」
抵抗しようと口をもごもごしたら、いきなり左胸を掴まれた。
「お前、胸はあるんだよな。」
平然とした顔で揉んでくる夫。
何をいってもやめてくれそうにない。
そういう時は、アレに限る。
そう、アレだ。
「こぉんの野郎目っ!えいっ!」
「ウッ、お、お、お、お前は、お前ってやつはっ」
思いきり膝を立て、急所を蹴り上げてやった。
思ったより固くて折っちゃうんじゃないかと一瞬心配したが、余計な心遣いだ。
「あんたっ、何してんのよっ!急に現れて襲ってくるなんて卑劣だわっ!」
「っつぅ、いってっ、このアマ……あ、はぁー、ちょ、はぁー、はぁー」
相当痛いらしく蹲っている。
「誰もがあんたに靡くだなんて思わないでよねっ!フンッ!」
この場に居続けても、また復活されたらたまらないので夫を残して部屋を出た。
もちろん、騒ぎに気付いて部屋の外で待機していた土方さんにひと言いって。
☆☆☆
朝食の時間になったが、夫はダイニングに現れなかった。
きっとバツが悪いのか、私をさらに嫌ったかのどちらかだろう。
ただ、心なしか、従者の皆さんの顔が綻んでいるような気がする。
大体夫の機嫌が悪かったら、ここにいる人達は皆顔色が悪いというのに。
午前中の講義に向かう途中、軽い感じで毛利さんに聞いてみた。
「あのぅ、皆さん、今日は何かいいことあったのですか?なんというか、顔が微笑んだままで、あったかい雰囲気が一丸となって。」
「それは、私達一同の願いの一つが叶ったからでございます。」
「願い?どんな願いですか?」
答えてくれる毛利さんも、いつになく綺麗な笑顔だ。
「坊っちゃまと若奥様が仲睦まじくお過ごしになることでございます。」
「仲睦まじく……?全然ですけど」
「はぁ?あ、これは大変失礼致しました。私としたところが、デリカシーに欠けておりました故、お許しくださいませ。」
意味がわからない。
あいつとは今朝こそあんなドタバタがあったが、一度もお互いに『好き』だとか、『一緒にいたい』だとか、甘~い雰囲気になったことはない。
第一、あんな朝っぱらから己の欲を満たすためだけであろう行為を平気でしてくるような男、私は御免だ。
そうだ。
大抵の男はそうなのだ。
ただ単に私の体を抱きたいだけ。
一通り味わったらポイしていく。
そうして私を通り過ぎていくのだ。
「若奥様、どうかされましたか?」
不意に昔の自分を思い出してしまった。
私は、体を許すと捨てられる女だ。
割と厚みのあるふっくらした感覚に戸惑う。
(……これって、キスよね?)
一瞬、何が起きたか分からず、目を閉じてしまったが明らかにキスだとわかり、大きく目を見開いた。
ドドドアップの夫の顔。
これは……マズイ展開!!
「むむむむっ、ぎゃっ!」
抵抗しようと口をもごもごしたら、いきなり左胸を掴まれた。
「お前、胸はあるんだよな。」
平然とした顔で揉んでくる夫。
何をいってもやめてくれそうにない。
そういう時は、アレに限る。
そう、アレだ。
「こぉんの野郎目っ!えいっ!」
「ウッ、お、お、お、お前は、お前ってやつはっ」
思いきり膝を立て、急所を蹴り上げてやった。
思ったより固くて折っちゃうんじゃないかと一瞬心配したが、余計な心遣いだ。
「あんたっ、何してんのよっ!急に現れて襲ってくるなんて卑劣だわっ!」
「っつぅ、いってっ、このアマ……あ、はぁー、ちょ、はぁー、はぁー」
相当痛いらしく蹲っている。
「誰もがあんたに靡くだなんて思わないでよねっ!フンッ!」
この場に居続けても、また復活されたらたまらないので夫を残して部屋を出た。
もちろん、騒ぎに気付いて部屋の外で待機していた土方さんにひと言いって。
☆☆☆
朝食の時間になったが、夫はダイニングに現れなかった。
きっとバツが悪いのか、私をさらに嫌ったかのどちらかだろう。
ただ、心なしか、従者の皆さんの顔が綻んでいるような気がする。
大体夫の機嫌が悪かったら、ここにいる人達は皆顔色が悪いというのに。
午前中の講義に向かう途中、軽い感じで毛利さんに聞いてみた。
「あのぅ、皆さん、今日は何かいいことあったのですか?なんというか、顔が微笑んだままで、あったかい雰囲気が一丸となって。」
「それは、私達一同の願いの一つが叶ったからでございます。」
「願い?どんな願いですか?」
答えてくれる毛利さんも、いつになく綺麗な笑顔だ。
「坊っちゃまと若奥様が仲睦まじくお過ごしになることでございます。」
「仲睦まじく……?全然ですけど」
「はぁ?あ、これは大変失礼致しました。私としたところが、デリカシーに欠けておりました故、お許しくださいませ。」
意味がわからない。
あいつとは今朝こそあんなドタバタがあったが、一度もお互いに『好き』だとか、『一緒にいたい』だとか、甘~い雰囲気になったことはない。
第一、あんな朝っぱらから己の欲を満たすためだけであろう行為を平気でしてくるような男、私は御免だ。
そうだ。
大抵の男はそうなのだ。
ただ単に私の体を抱きたいだけ。
一通り味わったらポイしていく。
そうして私を通り過ぎていくのだ。
「若奥様、どうかされましたか?」
不意に昔の自分を思い出してしまった。
私は、体を許すと捨てられる女だ。
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