嘘つきは私かもしれない

koyumi

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第37話

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 シックな色調の室内。
 正面にはイケメンやり手社長の夫。
 そこに響いた愛の言葉。

「……な、な、な、な、な、」

「驚くなよ、大声出すなよ、土方が飛んでくるかもしれないからな。」

「や、や、や、で、でも、な、な、なんで??さっぱりわからないんだけど。あ、あれよね?私を試してる的な。」

 あまりにも衝撃的で予想外。
 そうだ、きっとこれは何かの試練的な、お世話係としての何かじゃないだろうか??

「ふん、信じないなら信じさせるまでだ。俺はお前以外の女と生活するつもりは一切ないし、お前が他の奴と過ごすこともあり得ない。だから四六時中そばにいろっ、わかったな。」

「ひっ、す、すごい自信……」

「当たり前だ。俺は決めたことはやり遂げるんだ。大体お前があんな会社に入るからややこしくなったんだろ?」

 あんな会社?
 藪坂さんとこのこと?よね。

「確かに藪坂美奈子とは一時期いろいろあったが、別に疑われるようなことはしていないし、お前があの女の部下になんかなってるからおかしいんだろ?」

「いろいろって……疑うべき発言ですよね?」

「まあ、な……まあ、いずれわかるだろ。それより昼飯だ。次の予定もあるし、早く済ませておこう。出るぞ。」

 夫はヒョイっと上着をとると、肩にかけて社長室を出て行ってしまった。

 全くもって愛情を感じられない。
 好きな女に対する姿勢じゃないよね?
 振り向きもせず、言いたいこと言って先行ってしまうなんて。

「……うん、あの発言は聞かなかったことにしよう。」

 よしっ、と、心に決めて、私も社長室から出ることにした、が。

「いや、無理だわ。聞かなかったことになんて、できるわけがない。」

 当然だ。
 
 あんなストレートな告白、忘れるわけがない。
 たとえ嘘だとしても、おばあちゃんになったって、忘れやしないだろう。

「なんてやつ、なんてやつ、どこまでも私を翻弄するのね。いいの?信じて、信じていいわけ?……ああ、もう!」

 ショート寸前だ。

 うん、こうなったら、今するべきことは一つ。

「おい、いつまで待たせる気だ!早く出ろ!」

「はいはい。今出ますから。」

 ドアを少し開けて放った夫からの催促に、私は準じることに気持ちを持っていった。
 

 社長室を出ると、既に土方さんが待機していて、
「既にメニューも注文させていただきました故、お急ぎ下さいませ。」
と、若干焦り気味に言われてしまった。
 土方さんが焦るなど、珍しいこともあるもんだなと思った。

 来た時のようなルートで駐車場まで行き、乗って来た車を見つけて向かっていると、
「おい、こっちだ。」
と、グイッと夫に手を引っ張られ、見たことのない車の前に連れて行かれ、そのまま載せられてしまった。

「ぅわっ、何?この車も遠藤家のなの?」

「あ?もちろんだろ?大体この駐車場にある車はどれも俺のものだ。」

「全部!?凄すぎ……」

 ざっと見ても、5台くらい止まっていた。

 ただ、どれもが高級車というわけではなく、馴染みのある車種もちらほらあったのはホッとした。
 そして今回私が乗る車は、いわゆるコンパクトカーで、CMでお馴染みのものだった。
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