倫としましょう

koyumi

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第6話

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 ニヤリと横目で雛実を見ながら、自らもビールを飲む細川。

「あれぇ、いいんですかぁ、飲んじゃって。まだまだ長~い残業あるんじゃないですかぁ?」

 細川が2杯めのビールを口にしていると、自分とミーティングした後にまた事務所に戻るはずの細川が、ビールを飲んでいることに、雛実はようやく気づいた。

「うーん、雛実ちゃん心配だし、今日は残業打ち切りしようかなぁ。」
「ぅえ?心配って何がですかぁ?私なら鉄の女なんで、大丈夫ですよぉ。」

 どうにか回る舌でヘラヘラしながら細川に上目遣いで問いかける雛実。
 
(絶対にモノにしてやる。いや、できる。)
と、細川が自信を持つのも無理はない。
 雛実の上目遣いは破壊力抜群なのだ。しかも、酩酊してる分、潤みが半端ない。

「雛実ちゃんさぁ、一人暮らしなんでしょ?今から行っちゃおうかなぁ。」

 敢えて何の遠慮もない風に言った細川に、雛実は当然のように首を振る。
 これは細川の誤算だった。

「わたしぃ、実家なんですよぉ、実家がないと生きていけないんですぅ。すみません、保護者付きでぇ。」

 雛実としては、毎晩実家に行き、ご飯を食べさせてもらっている現状を、自虐的に宣言しただけだったが、細川にとってはテンションが下げ下げになることは無理もない。

「そうなんだ。実家住まいかぁ。じゃぁ、うーん、もう一軒行こっか?」

 彼女の部屋に送りオオカミ予定が崩れ、とりあえず次のプランに向けて中継ぎのバーを提案しようと細川は考えた。

「話はしないんですかぁ?細川さぁん。」
「ん?だからね、ちょっと雛実ちゃん酔ってるから、外の冷たい風に当たって、酔い覚まして、また違う静かなお店で、お話できないかなって思って。」
「あっ、そんなぁ、すみませんっ!こんなんですみませんっ!せっかく個室用意して頂いたのにぃ、私ったらダメダメですねぇ。大先輩の細川さんに気を遣わせてますぅ、すみませんっ。」

 細川は敢えて丁寧な理由をつけて二軒目に連れて行こうとしただけだが、雛実は自分に迷惑をかけて申し訳ないと頭を下げ、謝罪を始めてしまった。
 雛実は雛実で、話にならないくらい酩酊していることが恥ずかしく、わざわざ時間を作ってくれた細川に申し訳なくて仕方ない。

 こんなにも素直な女の子を、とって食おうと企んでいる自分を恥じ、計画撤回を宣言したいところだが、細川にとって、雛実のこの生娘のような態度はますます男として狩猟本能を高めることになってしまったのである。
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