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ep.10
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唇がオブラートを被ったように、外気との接触に緊張している。
貴和子の眼に映るのは、ひとつも落ち込んだ様子に見えない桂木のニンマリ笑顔。
「……恥ずかしいね。」
ちっともそんな風じゃないのに、どの口が言うんだかっ。あ、その口が言うのか……と、貴和子は桂木の唇を、ついまじまじと見てしまった。
「……ねえ、もう一回しよ。」
桂木は罵倒しない貴和子を見て、調子に乗った。もちろんできるわけがないとわかっていた。さっきのキスだって、間を開ければ叶わない夢なのだから。
それなのに、愛しい人は目を閉じて、待っているように思える。
「……いいの?貴和子ちゃん……。」
「…………。」
返事はないが、それがオーケイってことなのかと桂木は思い、徐々に間合いを詰めていった。そして、あと少しで届く……というところで、『ドンッ』と胸を押されて離されてしまった。
「っつ。」
「……やっぱり無理。」
「僕だって無理だ。」
断られても、桂木は止めなかった。
グイッと貴和子の腰を引き寄せ、反対の手で後頭部を支えると、今度は噛みつくようなキスをした。
「……んん……や……」
あまりの激しさに、貴和子は翻弄されていく。
そして、こんなキスを、前にも一度したことがあると思った。
「……やめっ……ん…」
腰が砕けそうになり、貴和子は膝が折れてしまった。だが、桂木はそんな貴和子を力強く支え、キスを止めようとしなかった。
ドンッ、ドンッ、と、桂木の胸を叩いていた貴和子だったが、そのうち力つきるように手を下ろした。
その様子がわかったところで、ようやく桂木の唇は貴和子のそれから離れた。
貴和子はすぐに抗議したかったが、何せ肩で息をするくらいに呼吸が乱れてしまい、喋るどころではない。
「はぁ、はぁ、な、な、なんでっ」
と、言うのが精一杯だった。
「なんでって、好きだからだよ。貴和子ちゃんのこと。」
当然じゃないかとしたり顔でいる桂木に、貴和子は自分のペースを失いそうになる。
『パチン』
乾いた音を立て、桂木の頬を赤くした貴和子の手のひらは、予想外にジンジンして痛かった。
だが、今の自分の気持ちを表す術はこれしかない。
不本意なキスに対抗するのは、ビンタしかないのだ。
貴和子の眼に映るのは、ひとつも落ち込んだ様子に見えない桂木のニンマリ笑顔。
「……恥ずかしいね。」
ちっともそんな風じゃないのに、どの口が言うんだかっ。あ、その口が言うのか……と、貴和子は桂木の唇を、ついまじまじと見てしまった。
「……ねえ、もう一回しよ。」
桂木は罵倒しない貴和子を見て、調子に乗った。もちろんできるわけがないとわかっていた。さっきのキスだって、間を開ければ叶わない夢なのだから。
それなのに、愛しい人は目を閉じて、待っているように思える。
「……いいの?貴和子ちゃん……。」
「…………。」
返事はないが、それがオーケイってことなのかと桂木は思い、徐々に間合いを詰めていった。そして、あと少しで届く……というところで、『ドンッ』と胸を押されて離されてしまった。
「っつ。」
「……やっぱり無理。」
「僕だって無理だ。」
断られても、桂木は止めなかった。
グイッと貴和子の腰を引き寄せ、反対の手で後頭部を支えると、今度は噛みつくようなキスをした。
「……んん……や……」
あまりの激しさに、貴和子は翻弄されていく。
そして、こんなキスを、前にも一度したことがあると思った。
「……やめっ……ん…」
腰が砕けそうになり、貴和子は膝が折れてしまった。だが、桂木はそんな貴和子を力強く支え、キスを止めようとしなかった。
ドンッ、ドンッ、と、桂木の胸を叩いていた貴和子だったが、そのうち力つきるように手を下ろした。
その様子がわかったところで、ようやく桂木の唇は貴和子のそれから離れた。
貴和子はすぐに抗議したかったが、何せ肩で息をするくらいに呼吸が乱れてしまい、喋るどころではない。
「はぁ、はぁ、な、な、なんでっ」
と、言うのが精一杯だった。
「なんでって、好きだからだよ。貴和子ちゃんのこと。」
当然じゃないかとしたり顔でいる桂木に、貴和子は自分のペースを失いそうになる。
『パチン』
乾いた音を立て、桂木の頬を赤くした貴和子の手のひらは、予想外にジンジンして痛かった。
だが、今の自分の気持ちを表す術はこれしかない。
不本意なキスに対抗するのは、ビンタしかないのだ。
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