僕と生きてください

koyumi

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ep.11

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 桂木の頬を引っ叩いた手を握りしめ、目で睨んで再抗議する。
 でも、悲しいかな、貴和子の視線は下にずれ、桂木の唇をまた捉えてしまった。

ーーやだ、これじゃまるで催促してみたい……。

 貴和子は視線を外し、プイッと頭ごと横に向けた。桂木が見えない場所に行けば済むことだが、何せ足に力が入らない。

「……なんで、キス、させてくれたの?」

 貴和子にしてみれば、そんなつもりは全くない、と思う。

「目を閉じて、まるで僕からのキスを待っているみたいだった。」

「それは……」

ーーなんでだろ?なんで目を閉じたんだろう。

 その時は考えがあったはずだけど、あんな激しいキスをされたら忘れても仕方ないと貴和子は思う。

「……貴和子ちゃん、僕、もう無理だからね。」

「何が?」

「……貴和子ちゃんと、絶対に離れないから。」

「何で?」

 貴和子と桂木は随分温度差があるように見えるが、実はこの時、貴和子の脳内には、ある光景がフラッシュバックしていた。

 裸で抱き合いながら、無我夢中で男とキスをしているシーン。
 男にしては髪が長く、細身だが均整のとれた筋肉を身につけていて、癖になるような肌触りは、貴和子を高みに連れて行くには十分であった。

 それは間違いなく、桂木だと思う。
「安子ちゃん」
と、言ってる声色も、
「安子ちゃんと、離れたくない」
と、甘える様子も、桂木以外に考えられない。

「桂木さん……最初の時、私、桂木さんのこと『好き』って言いました?」

 突如開いた口から出た言葉は、桂木を驚かせた。

「ーーーっ、貴和子ちゃん!?思い出した?」

 目を丸くして両手でガシッと貴和子の両肩を掴んだ桂木。

「い、いや、全部じゃ、なくて……。」

 圧倒されてしまう貴和子は、途切れ途切れの言葉しか出てこない。

「貴和子ちゃん、僕を抱きしめて。」

 桂木は肩に置いている手を、そのまま指先まで撫でるように滑らせて何度か手の甲をさすり、ギュッと両手を掴むと、自分の脇腹に貴和子の腕を絡ませた。

 そうなると、必然的に貴和子の体は桂木の胸にすっぽりと収まる形になる。何度か抱きつかれたことはあるが、自分の腕を桂木の体に回したことはなく、腕が邪魔しない分、密着度が高まってしまう。

「か、桂木、さん……。」

 貴和子は抗議の声を伝えようとするが、ふと桂木の胸の鼓動が聞こえてきて、それが癖になりそうな自分がいる。

「……貴和子ちゃん、胸の音、好きでしょ?」

 そんな貴和子のことなどわかっているという桂木にハッとして顔をあげる。
 すると、先程激しいキスをされた唇が目に入り、貴和子はそれを見まいとしてよけい桂木に密着した。
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