僕と生きてください

ep.22

　慌てて逃れようとする貴和子。
　桂木の力は強く、胸を引き離しても下腹部が密着していてそこは擦れ合わさるばかり。
「やめ、やめてくださいっ！お願いですからっ！」
　必死にもがくが桂木の口角は上を上げたまま、余裕で貴和子に対応している。
「桂木さんっ！私、無理ですっ、結婚なんて、そんなこと考えられないし。まだ好きって言ってもないのにっ。」
「やってみてからでもいいから、中出しはしないし、ちゃんとゴムも持ってる。だから、試してみてよ。」
　なんてハチャメチャなことを言うんだろう。しかも、言われ続けると、そんなもんかなと体が疼き出す自分も怖い。

　貴和子は何度かお預け状態を味わったせいか、このまま押し倒されて一か八かやってみるのもアリかなと思い始めた。何度となく性については自制してきてはいた。心があって、性に繋がれば一番理想的だと信じてやまなかった。だけど、こんなにも求められ、密着度が高まってくると、嘘をつけないのは性の方である。

「ーーっあっ。ん……ぁん……！」

　心と性が直結してイコールとなっている桂木は、もう止まる気はなかった。
　貴和子の震える唇を塞ぐなり、片手に収まりきらない豊満な胸を掴んだ。

「貴和子、濡れてる？」
「んぁ、な、なんで、そんな……。」
「僕はもう、先が濡れてるから。恥ずかしがらずに言ってよ。あの時のように。」
「あ、あの、時って。そ、そんなこと、私……んぁ」
「言ってた。すごく言ってた。早く繋がりたいからって。」
「そんな、そんなぁ、やだぁ、恥ずかしすぎ……ぁん……。」

　桂木は硬い自身の中心を貴和子の蜜が溢れる場所に布越しに押し付け、手は、膨らみの中心をギュッと摘んでは離し、瞬間の反応を楽しんでいる。
　そうしながら、初めて繋がった時のことをちょい出ししては、貴和子に羞恥を感じさせ、ニヤリと笑っている。

　貴和子はもう諦め始めた。

　桂木に身を任せよう。
　そんなに自信があるなら、是非ともこの火照った体の責任を取ってもらおうではないか。

　そう決めると、目を閉じて、息遣いの荒さを隠さず出し始めた。
「はぁ、ぁんっ……桂木、さん……」
　その様子に気づいた桂木は、貴和子の腰を引いていた手を下にズラし、量感のあるお尻を上下させ、じわじわと指先を動かし、後ろからポイントに近づいた。

「立ったまま？ベッド行く？」
　耳元で囁く声は、甘さよりも強さを含む。
「ベッドが、いい。」

　言ってしまった。
　もう後戻りはできない。

　貴和子の良好な返事を聞くなり、一度体を離した桂木は、貴和子の手を引いて淡いリネン素材のカバーに包まれたベッドの前に行った。
　その空白が貴和子には耐えられず、繋がれた手を自身の膨らみに持っていき、催促した。

　桂木はもうはち切れんばかりのシンボルを解放したく、片手でジッパーだけ下げて、中身を取り出した。そしてそれを、貴和子の手に、無理やり掴ませた。
「……おっきい……。」
「ベルト、外すから。」
　貴和子の一言に『合意』を感じ、すぐにベルトを外してズボンも下着も下ろした。
「ひゃっ、いきなりっ！」
　ギュッと目をつぶって横を向いた貴和子の顎を持ち、そっとキスをすると、上半身も全て脱ぎ、貴和子より先に全裸になった。

「ーーすごっ、割れてるっ……。」

　ジムで鍛え上げられた桂木の腹筋に見とれ、貴和子はつい指先で触れた。
「くすぐったいよ。貴和子。」
「私、貴和子より貴和子ちゃんって呼ばれたいかも。」
　麗しい肉体美を前に、貴和子はこの2日心の隅で思っていたことを告白した。
　貴和子と呼び捨てにされると、特別というよりも、親に叱られてるような気持ちになり、あまり男性からそう呼ばれたくなかった。
　貴和子ちゃんと、もてはやされるくらいが、お付き合い未経験の自分にはちょうど良かった。

「わかった。貴和子ちゃん……、愛してるよ。」
　桂木は貴和子ちゃんに呼び方を戻すと、そのまま貴和子の服を捲り上げ、下着も剥ぎ取り、バンッと押し倒した。 
「あっ、はんっ。」
　素肌が直接触れただけで、膨らみの中心は硬くなり、一層感度を強くした。
　同時に太ももには、男性特有の象徴が当たり、貴和子の秘部はじんわりと濡れていた。