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見当違い
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だけど、本当に見当違いを起こしていたのは諭だ。
まさか、妊娠させるとは思っていなかっただろう。
「多分もう一緒に暮らしているんじゃないかしら。」
鴨井さんは、近所のホームセンターでも2人に出くわし、生活必需品を揃えている様子だったという。
ここまでくると、話題の2人のことよりも、鴨井さんは諭のストーカーでもしてるんじゃないかと思ってしまう。何気なく「鴨井さん情報ちょっと怖い」って呟いたけど、
「そうよね、そうよね、怖いことよね。もしまだ離婚してなかったとしたら……恐ろしいわっ。」
と、主語を変えてこたえてきたから今は何を言っても無駄だと思った。
諭が父親になる。
子供は27歳になったらって豪語してたけど、そんなもんじゃないから。だったら27歳まで誰ともヤらなかったらよかったじゃないか。
既に同居しているとなると、あのマンションだろうか?
でも、この前行った時には荷物が増えたようには見えなかったし。
あぁ、なるほど。諭があちらに引越すってことね。
「大丈夫なのかしらね、諭くんのお母様なかなか手強そうなのに。」
「お母さん?まさか、優しい人ですよ。」
「依子さんにはね。でも、急に現れたお腹の大きい女のことなんて、簡単に信じられる?私なら無理。まして、一緒に暮らすなんて。」
「えぇ!?引越すって、諭の実家なの?」
「そうよ。お母様が提案したみたいよ。子育ては大変だから、落ち着くまでは私も手伝うわみたいなこと言って。」
だーかーらー、鴨井さん、絶対やばいでしょ?執念でしょ?犯罪ですってば。
もう気づけば午後からの仕事開始の時間で、まだ話したい鴨井さんを1人残し、私は会社に戻った。
決定的になった。
諭と私は二度と同じ時間を過ごさない。もう、お互い歩みを狭めることもない。
終わったのだ。
結局、随分前から終わっていたのだ。
実家に電話して、悠介の結婚式には諭は出席できないと連絡した。
期待半分期待半分と言っていたが、その落胆ぶりは大きい。現場を知らない遠い家族が少し憎らしく思えた。
この調子だと、私も九州で暮らすといいう希望が出せそうにない。悠介夫婦と近づかない方が身のためだ。
悲しいかな。
本当の意味で孤独になった。
頼れる人は近くにいない。
こんな時、ずるい私は高原さんを思い出してしまう。あの時、もっと心を強く持って彼の胸に飛び込むことができていたら、現状もっと救われていたはずだ。
でも、私はその手を掴まなかったのだ。過去の自分の背中を押してやりたい。そんな切羽詰まった気持ちにもなっている。
前向きになる為に離婚したんだ。
幼馴染の甘えなど微々たるもので、この世には更に熱い恋がいくらでも転がっていると、柄にもないことを考え、1日1日を過ごしていた。
まさか、妊娠させるとは思っていなかっただろう。
「多分もう一緒に暮らしているんじゃないかしら。」
鴨井さんは、近所のホームセンターでも2人に出くわし、生活必需品を揃えている様子だったという。
ここまでくると、話題の2人のことよりも、鴨井さんは諭のストーカーでもしてるんじゃないかと思ってしまう。何気なく「鴨井さん情報ちょっと怖い」って呟いたけど、
「そうよね、そうよね、怖いことよね。もしまだ離婚してなかったとしたら……恐ろしいわっ。」
と、主語を変えてこたえてきたから今は何を言っても無駄だと思った。
諭が父親になる。
子供は27歳になったらって豪語してたけど、そんなもんじゃないから。だったら27歳まで誰ともヤらなかったらよかったじゃないか。
既に同居しているとなると、あのマンションだろうか?
でも、この前行った時には荷物が増えたようには見えなかったし。
あぁ、なるほど。諭があちらに引越すってことね。
「大丈夫なのかしらね、諭くんのお母様なかなか手強そうなのに。」
「お母さん?まさか、優しい人ですよ。」
「依子さんにはね。でも、急に現れたお腹の大きい女のことなんて、簡単に信じられる?私なら無理。まして、一緒に暮らすなんて。」
「えぇ!?引越すって、諭の実家なの?」
「そうよ。お母様が提案したみたいよ。子育ては大変だから、落ち着くまでは私も手伝うわみたいなこと言って。」
だーかーらー、鴨井さん、絶対やばいでしょ?執念でしょ?犯罪ですってば。
もう気づけば午後からの仕事開始の時間で、まだ話したい鴨井さんを1人残し、私は会社に戻った。
決定的になった。
諭と私は二度と同じ時間を過ごさない。もう、お互い歩みを狭めることもない。
終わったのだ。
結局、随分前から終わっていたのだ。
実家に電話して、悠介の結婚式には諭は出席できないと連絡した。
期待半分期待半分と言っていたが、その落胆ぶりは大きい。現場を知らない遠い家族が少し憎らしく思えた。
この調子だと、私も九州で暮らすといいう希望が出せそうにない。悠介夫婦と近づかない方が身のためだ。
悲しいかな。
本当の意味で孤独になった。
頼れる人は近くにいない。
こんな時、ずるい私は高原さんを思い出してしまう。あの時、もっと心を強く持って彼の胸に飛び込むことができていたら、現状もっと救われていたはずだ。
でも、私はその手を掴まなかったのだ。過去の自分の背中を押してやりたい。そんな切羽詰まった気持ちにもなっている。
前向きになる為に離婚したんだ。
幼馴染の甘えなど微々たるもので、この世には更に熱い恋がいくらでも転がっていると、柄にもないことを考え、1日1日を過ごしていた。
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