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第2章
対面
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高原が依子の両親に会いに来た。
理由は明快。
”結婚”するためだろう。
高原は俺の姿を認めると、初めは目を丸くして幽霊でもみるかのような顔をしていた。
「冨樫さん、ですよね?お話は伺ってます。だから、無理に出て行ってもらうような発言をするつもりはありません。言葉に出さないだけですが。」
どうやら、依子の母親からの手紙で、俺達がここでお世話になっている状況は周知のことだったようだ。
「……すみません。」
俺はそれしか言えない。
他に言っていいことは何一つないのだ。
「……依子ちゃんと、結婚しようと思っています。あなたにはきちんと話しておきたかった。だから、ここにいてくれてある意味手間が省けました。」
「……そう、ですか。」
「ーーただ……、ここに依子ちゃんは連れてきません。どちらかというと、あなたの母親には無理強いできない。僕は、そんなに強い人間じゃないから、誰かを窮地に追いやるようなことはできない。
僕が決めることではないけれど、あなたの母親が十分回復するまで、本人が安心する場所で過ごすことが大事だと思う。その場所がここであるなら、それは致し方ないと思う。
ただ、あなたと依子ちゃんが顔を合わすのは気に入らない。だから、ここには連れてきません。」
「……そうです、か……。すみません……。依子を、いや、依子さんとの結婚、おめでとう……ございます。」
「いえ、まだ決まったわけじゃ……彼女次第ですから。」
この会話を、どうやら母親は聞いていたらしく、後日、どうやって知ったのか、依子に電話をかけてしまっていた。
理由は明快。
”結婚”するためだろう。
高原は俺の姿を認めると、初めは目を丸くして幽霊でもみるかのような顔をしていた。
「冨樫さん、ですよね?お話は伺ってます。だから、無理に出て行ってもらうような発言をするつもりはありません。言葉に出さないだけですが。」
どうやら、依子の母親からの手紙で、俺達がここでお世話になっている状況は周知のことだったようだ。
「……すみません。」
俺はそれしか言えない。
他に言っていいことは何一つないのだ。
「……依子ちゃんと、結婚しようと思っています。あなたにはきちんと話しておきたかった。だから、ここにいてくれてある意味手間が省けました。」
「……そう、ですか。」
「ーーただ……、ここに依子ちゃんは連れてきません。どちらかというと、あなたの母親には無理強いできない。僕は、そんなに強い人間じゃないから、誰かを窮地に追いやるようなことはできない。
僕が決めることではないけれど、あなたの母親が十分回復するまで、本人が安心する場所で過ごすことが大事だと思う。その場所がここであるなら、それは致し方ないと思う。
ただ、あなたと依子ちゃんが顔を合わすのは気に入らない。だから、ここには連れてきません。」
「……そうです、か……。すみません……。依子を、いや、依子さんとの結婚、おめでとう……ございます。」
「いえ、まだ決まったわけじゃ……彼女次第ですから。」
この会話を、どうやら母親は聞いていたらしく、後日、どうやって知ったのか、依子に電話をかけてしまっていた。
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