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第2章
だから…
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彼女の自信ありげな言葉に、俺は頷いた。
でも、だから?だから何だってんだ?
俺の返事に彼女は二の句を継げず、沈黙がこの場を支配した。
居ても立っても居られず、この場から立ち去ろうと荷物に手を伸ばした。まるで、俺自身のバツ理由を話せと言わんばかりの雰囲気になり始めていたことに気づいたから。
それだけは避けたい。
話したくない。
結局まだ、依子との関係を完全に過去のものに捉えられないんだ。頭ではわかっていても、依子の幸せを願っていても、俺と手を繋ぐことは二度とない。
しかも、ついさっき実物を見てしまい、思い出すに新しくてやりきれない。
男は昔の女に未練がましいとはよく言ったもの。
依子に会いたいと願ってしまう。
「三条さん……帰りましょう。」
ここはラブホテルだ。女性を一人置いて帰ることなど出来ない。
このままフェードアウトしたいくらいやり場のない空気だったが、俺は彼女に一緒に出ることを促した。
すぐに言葉の流れに沿って、彼女は自分の鞄を手に取り、立ち上がった。目の端にとらえていただけだから、どんな表情でいたのかはわからない。
だから、彼女が発した言葉と行動を避けられなかった。
「やっぱり抱いてほしい。」
不意打ちだった。
二度目の彼女からの攻撃に、俺は持っていたカバンを落とした。
鼻をかすめる女の匂いは、あろうことか燻んだ俺の心を癒した。一度は断って、彼女の自尊心をズタズタにしたのにも関わらず、俺の腕はしっかりと彼女の腰と後頭部を掴み、ぴったりと合わさった身体を離れないように強く引き寄せていた。
いけないと思いつつ、これ以上この場にいると全てを見透かされそうで嫌だった。
それなのに、体は無意識に行動を起こした。彼女と過ごす時間を長引かせ始めた。
依子に会いたい気持ちが実るわけはない。
じっと耐えて、一人腕を抱えるほど器用じゃない。
気づいたら、三条さんを押し倒していた。
彼女の唇に食らいつき、手はすぐに豊満な胸を掴んだ。
固くなった先端を摘んでははじき、せっかく整えた着衣を乱した。サテン生地の下着の上部から手を滑り込ませ、柔らかな肌を直接触り、突起を強めに引っ張る。
「……あっ……いや……ぁんん……」
聞こえる声も、触った感触も、全てが依子と違うことはわかっている。
体に染み込ませてやりたい。自分はもう依子を抱けやしないし、他の女でも満たされるんだと。
一層の事、溺れてしまいたい。
下着をつけたままぐにゃぐにゃと乳房をまさぐられ、きつさを感じたのか、彼女は自分でホックを外した。
瞬間、きゅっと中央ではちきれんばかりに谷間を作っていた部分が緩み、柔らかさを増した。片方は手の平と指で掴んだり擦ったりして、片方はむしゃぶりついて舌で転がしたり甘噛みした。
彼女の嬌声は益々激しくなり、摺り合わす太ももの間に足を入れ、乳房をまさぐっていた手で女の秘部に触れた。
すでにぐっしょりと濡れているソコを、執拗なまでに責め立て、指を挿し入れる。そこは意外にキツく、彼女は離婚してから行為に及んでいないことがわかる。
「ん、あああああ……も……だ、めぇ」
軽く達したことがわかり、俺は昂りを嫌という程主張している部分に避妊具をつけ、彼女の蜜口に当てがった。
「ぅふ…………あ、あ、ああああああ!」
久しぶりであろう彼女の中に、始めこそ躊躇ったが半分は勢いをつけて押し込んだ。
「きっ、つ」
締め付ける快感に、すぐに持っていかれそうになった。
俺だって久しぶりなんだ。
最後に依子とヤッてからは誰ともしていない。
いずみは妊婦だったし、産んだからといってすぐには出来ない。それに、性の対象として見ることはできなかった。
もう、どうにでもなればいい。
途中、そんなことを思いながら、依子を思い浮かべないように挿入しながらも三条さんの唇の内側を舌で舐めまわした。彼女の味を覚えるように、何度も、執拗に。
「すきっ……ぁ、ん、すき」
行為の合間に何度も好きと言われ、俺の男のサガが盛り上がりすぎたのかもしれない。結局、部屋に用意されたゴムが足りなくなり、最後は無しでやってしまった。
枷が外れた俺は、死んだように眠った。
(第2章完)
でも、だから?だから何だってんだ?
俺の返事に彼女は二の句を継げず、沈黙がこの場を支配した。
居ても立っても居られず、この場から立ち去ろうと荷物に手を伸ばした。まるで、俺自身のバツ理由を話せと言わんばかりの雰囲気になり始めていたことに気づいたから。
それだけは避けたい。
話したくない。
結局まだ、依子との関係を完全に過去のものに捉えられないんだ。頭ではわかっていても、依子の幸せを願っていても、俺と手を繋ぐことは二度とない。
しかも、ついさっき実物を見てしまい、思い出すに新しくてやりきれない。
男は昔の女に未練がましいとはよく言ったもの。
依子に会いたいと願ってしまう。
「三条さん……帰りましょう。」
ここはラブホテルだ。女性を一人置いて帰ることなど出来ない。
このままフェードアウトしたいくらいやり場のない空気だったが、俺は彼女に一緒に出ることを促した。
すぐに言葉の流れに沿って、彼女は自分の鞄を手に取り、立ち上がった。目の端にとらえていただけだから、どんな表情でいたのかはわからない。
だから、彼女が発した言葉と行動を避けられなかった。
「やっぱり抱いてほしい。」
不意打ちだった。
二度目の彼女からの攻撃に、俺は持っていたカバンを落とした。
鼻をかすめる女の匂いは、あろうことか燻んだ俺の心を癒した。一度は断って、彼女の自尊心をズタズタにしたのにも関わらず、俺の腕はしっかりと彼女の腰と後頭部を掴み、ぴったりと合わさった身体を離れないように強く引き寄せていた。
いけないと思いつつ、これ以上この場にいると全てを見透かされそうで嫌だった。
それなのに、体は無意識に行動を起こした。彼女と過ごす時間を長引かせ始めた。
依子に会いたい気持ちが実るわけはない。
じっと耐えて、一人腕を抱えるほど器用じゃない。
気づいたら、三条さんを押し倒していた。
彼女の唇に食らいつき、手はすぐに豊満な胸を掴んだ。
固くなった先端を摘んでははじき、せっかく整えた着衣を乱した。サテン生地の下着の上部から手を滑り込ませ、柔らかな肌を直接触り、突起を強めに引っ張る。
「……あっ……いや……ぁんん……」
聞こえる声も、触った感触も、全てが依子と違うことはわかっている。
体に染み込ませてやりたい。自分はもう依子を抱けやしないし、他の女でも満たされるんだと。
一層の事、溺れてしまいたい。
下着をつけたままぐにゃぐにゃと乳房をまさぐられ、きつさを感じたのか、彼女は自分でホックを外した。
瞬間、きゅっと中央ではちきれんばかりに谷間を作っていた部分が緩み、柔らかさを増した。片方は手の平と指で掴んだり擦ったりして、片方はむしゃぶりついて舌で転がしたり甘噛みした。
彼女の嬌声は益々激しくなり、摺り合わす太ももの間に足を入れ、乳房をまさぐっていた手で女の秘部に触れた。
すでにぐっしょりと濡れているソコを、執拗なまでに責め立て、指を挿し入れる。そこは意外にキツく、彼女は離婚してから行為に及んでいないことがわかる。
「ん、あああああ……も……だ、めぇ」
軽く達したことがわかり、俺は昂りを嫌という程主張している部分に避妊具をつけ、彼女の蜜口に当てがった。
「ぅふ…………あ、あ、ああああああ!」
久しぶりであろう彼女の中に、始めこそ躊躇ったが半分は勢いをつけて押し込んだ。
「きっ、つ」
締め付ける快感に、すぐに持っていかれそうになった。
俺だって久しぶりなんだ。
最後に依子とヤッてからは誰ともしていない。
いずみは妊婦だったし、産んだからといってすぐには出来ない。それに、性の対象として見ることはできなかった。
もう、どうにでもなればいい。
途中、そんなことを思いながら、依子を思い浮かべないように挿入しながらも三条さんの唇の内側を舌で舐めまわした。彼女の味を覚えるように、何度も、執拗に。
「すきっ……ぁ、ん、すき」
行為の合間に何度も好きと言われ、俺の男のサガが盛り上がりすぎたのかもしれない。結局、部屋に用意されたゴムが足りなくなり、最後は無しでやってしまった。
枷が外れた俺は、死んだように眠った。
(第2章完)
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