蛇神さま、どうか私を

ゆに蔵

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「……ぅ…………」



深い深い水底からゆっくりと浮かび上がるように意識が戻る。重い瞼を開けると、どうやら時間は早朝のようで、障子からかすかに光が差し込んでいる。棗は一糸纏わぬ姿で蛇神の腕に抱かれて眠っていた。
ふと気が付くと、太い蛇の胴体が棗の腰から下を緩く巻いている。蛇神も行為の後、元の姿に戻りそのまま休眠しているようだった。白い鱗に覆われた表面は肌に吸い付くような感触で、冷たくて気持ちが良い。



棗は途中で意識を失ってしまったが、どうやら行為が終わってからそれほど時間が経っていないようで、棗の肌にはじっとりと汗が滲み、寝台の上は乱れ、部屋には生々しく湿った空気が充満している。部屋に残ったそのような痕跡から、昨夜の情事が感覚を伴って思い出される。
棗は、とりあえず外の空気を吸って自室へ戻ることにした。蛇神を起こさないように少しずつ身体をずらしながら、巻かれた胴体から抜け出す。脱ぎ捨てられた襦袢を手に取り、寝台から立ち上がろうとするも、腰が砕けてその場にへたり込んでしまった。村で一日中重労働をすることもしばしばだった棗だが、こんなことは初めてだった。



言うことを聞かない身体に困惑していると、その様子に目を覚ましたのか蛇神が身を起こした。傍にあった着物を手に取り羽織りながら、背後から棗に声を掛ける。



「ああ、寝てしまっていた。……どうした、棗。」


「起こしてしまってすみません。……お恥ずかしながら、腰が立たなくて……」


「無理も無い、其方には長い間無理を強いてしまった。すまない。」



蛇神は、寝台の脇でへたり込む棗を抱え込むと、自らの膝の上に乗せる。棗はやはり気恥ずかしく、頬を染め目線を下げた。



「いえ……あの、に、二回目から先の記憶が私には無いのですが……昨夜は、一体、どのくらい……」


「その後にまた二回、膣内なかに放った。」


「そ、そうですか……」



自分で尋ねたことだが、いざ淡々と答えられるとどう返せば良いか分からず、棗は口をもごもごとさせる。
その様子を見て薄く笑うと、蛇神は寝台から立ち上がる。いつのまにか、再び人間の足に戻っていた。



「その様子では歩けないだろう。部屋まで送る。」



蛇神はそう言い棗に襦袢を掛けると彼女を抱え直すが、体勢が変わったことで棗の秘部から白濁が溢れ、シーツの上にぱたりと落ちる。棗はそれが溢れ出る感覚に、羞恥でさらに顔を染め、足を擦り合わせた。



「や、やだ……」


「ああ、溢れてきたか。それで孕むことは無いが……そのままでは気持ちが悪いだろう。ついでに風呂場で掻き出してやる。」



蛇神はそのまま立ち上がり廊下へと出るが、棗は混乱して手足をじたばたとさせ抵抗した。



「やっ、いいです……!自分で……」


「其方の指では奥まで届かない。」


「で、でもっ……」


「落ちてしまう、大人しくしなさい。」



そんなこんなのやり取りをしているうちに、浴室に着いてしまう。棗はうなだれながらももう観念した。



蛇神は浴室の床に腰を下ろし、棗を横抱きにすると、二本の指を彼女の秘所に沈ませる。行為からしばらく時間が経っていたが、棗の膣内はずぶずぶと指を迎え入れた。
蛇神は、奥まで挿し込んだ長い指を少し曲げ、引き抜く。精根尽きていた棗であったが、膣壁を刺激されるとやはり身を捩らせ、甘い声を漏らした。



「ひ……ぁ、あ……」


「ほら、見なさい、棗。これが、ここに注ぎ込まれていたものだ。」


「や……見せないでください……」



蛇神は片方の手で棗の腹部をなぞりながら、白濁に塗れたもう片方の手指を棗に見せ付ける。棗は耳まで紅く染め、羞恥に耐えられなくなり顔を背けた。
何度か指を抜き挿しし、白濁をおおかた掻き出すと、蛇神は棗の髪や身体を湯で流した。



「蛇神さま、そんなことまでしていただくわけには……!」


「構わない。腰砕けの其方には難しいだろう。」


「あ、ありがとうございます……」



その後、蛇神は水を拭き取り襦袢を着せると、部屋まで抱え寝台に下ろす。



「まだ疲れているだろう。ゆっくり休みなさい。」


「は、はい……!」



布団を掛け、彼女の髪を撫でながら穏やかな声で囁くと、蛇神は部屋を後にする。夜に見せる蛇神の妖しい表情と、先程の穏やかな表情が交互に浮かび、棗は軽く困惑する。



「……意地悪なんだか優しいんだか分からない……」



棗はそう呟き、布団に顔を埋めるとすぐに意識を手放した。



__




昼を過ぎた頃、右月と左月が調理場で食事を作っていると、着物に着替えた棗がひょこりと顔を覗かせた。



「おはようございます……もうそんな時間じゃないですが。」


「ああ、棗様、おはようございます。疲れは取れました?
もうすぐ食事が出来るので、少しお待ちください。」


「やったぁ、丁度お腹が空いているんです。」


「そりゃあ空くでしょ。昨日の夜は激しそうだったもんねぇ。部屋の外まで声が……」


「右月。」



左月の制止ももう遅く、棗はその場で固まり、湯気が出そうなほど顔を真っ赤に染めていた。



「……え?お二人とも、私の声が聞こえ…………?」


「いや、何も聞いてない。」


「嘘!今言ったじゃないですか……!あぁ、やだ……恥ずかしい……!」



棗はその場にしゃがみ込み、顔を覆い嘆く。左月は彼女の背を撫で落ち着かせながら、右月に咎めるような視線を送った。



「言わんこっちゃない……まあまあ、落ち着いてください。ほら、食事が出来上がりましたよ。」


「…………食べます。」



__




今日も変わらず二人の作る食事は美味であった。山の幸、川の幸がふんだんに使われ、目にも美しい。棗は食べ始めこそ動揺で味が分からなかったものの、次第に調子を取り戻し、幸せそうな顔で次々と料理に箸を伸ばす。



「すっかりご機嫌だね、棗ちゃん。」


「まあ、よく考えれば、蛇神さまは勿論お二人も人間よりずっと長い時間を生きてらっしゃるんですよね。こんな小娘一人のことで何も感じることは無いんだろうな、と。」


「これはまた、たったの数日で随分と心境が変わられたようで。……人間の成長は興味深いですね。」



__




「ふぅ、ご馳走様でした!あの、私にも片付けを手伝わせてください。いつもお世話になりっぱなしなので……」


「いえ、これは私たちの仕事ですから。棗様はゆっくり身体を休めてください。」


「でも……」


「いいからいいから。そうだ、庭の椿が今朝咲いたんだ。見に行こうよ。」



右月に連れられた棗が廊下に出ると、丁度先から蛇神が歩いて来る。右月は一歩前に出て深く頭を下げた。



「我が主、もうお目覚めになられたのですか。」


「ああ。今夜だが、私は棗を抱かない。昨夜の調子で連日となると、流石に棗が壊れてしまう。」



まだ身体のだるさが残っていた棗は、ほっと胸を撫で下ろした。



「承知致しました。」


「そこでだが、右月に左月、今夜は其方達が棗の相手をしろ。」


「は……?」



棗は、蛇神が放った衝撃の発言に思考が追いつかなくなった。

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