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【上司の執着】仕事だけの関係だったはずなのに。深夜の残業中、逃げ場のないオフィスで作り変えられて
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フロアに残っているのは、私と上司だけだった。
終業時間をとっくに過ぎたオフィスは、昼間とは別の場所みたいに静かで、空調の音だけが規則正しく耳に届く。
画面に向かって資料を修正していると、背後から足音が近づいた。
「まだ終わりそうにない?」
落ち着いた声。振り向かなくても、誰だか分かる。
私は慌てて椅子から立ち上がり、「あと少しです」と答えた。
「座ったままでいい」
そう言われて、また腰を下ろす。
上司は私の隣に立ち、自然な動作で画面を覗き込んだ。肩越しに近づく距離に、思わず息を止めてしまう。
「ここ、修正したんだ」
「はい。午前中に言われた点を……」
言い終わる前に、上司は小さく頷いた。
「うん。ちゃんと反映できてる」
淡々とした評価なのに、その一言で胸の奥が少しだけ緩む。
私は、こういうところが分かりやすいのだと思う。言葉にされると、安心してしまう。
それが仕事だからだ、と最初は思っていた。
的確で、迷いがなくて、感情に流されない判断をする人。誰に対しても同じ距離を保ち、必要以上に踏み込まない。その姿勢が信頼につながっているのだと、自分に言い聞かせてきた。
でも本当は、安心する理由はそれだけじゃない。
上司の声を聞くと、自然と背筋が伸びる。
自分に向けられたときだけ、ほんの少しだけ低くなる声の調子を、私はちゃんと聞き分けている。他の人に向けられた言葉との差を、無意識のうちに探してしまうくらいには。
視線が合うと、胸の奥が静かにざわつく。
背が高くて、無駄のない動きで、スーツの袖口やネクタイの位置まできちんとしているところを、私は必要以上に覚えている。仕事と関係のないはずの細部まで、いつの間にか目で追ってしまう。
尊敬しているだけ。
そう言い切ってしまえば楽なのに。
それでも、上司が近くにいるときだけ、少し息が浅くなる。
評価されたい、失望されたくない、できるなら――一番に見てほしい。そんな考えが浮かぶ時点で、もう仕事の範囲を超えているのだと、薄々分かっていた。
それでも私は、その感情に名前をつけないまま、黙って画面に視線を戻した。
上司はしばらく黙ったまま、画面を眺めていた。何も言われない時間が、思っていたより長く感じられる。
「ただ」
静かな声でそう前置きされて、背筋が伸びた。
「君、ここで必ず一度止まる」
心臓が、きゅっと音を立てた気がした。
どうして、それを知っているのだろう。自分でも無意識だった癖を、当たり前のように指摘される。
「悪いことじゃない。ただ、迷ってるのが顔に出る」
顔。
思わず手で頬に触れそうになって、途中でやめた。
上司は責めるでも、急かすでもなく、ただ事実を告げるように言う。その距離、その声、その沈黙が、少しずつ私の思考を縛っていく。
「今も、何か言おうとしてる」
そう言われて、私は言葉を失った。
上司は軽く首を傾げるようにしてこちらを見る。整った目元には疲れ一つ見えない。
この人はいつもそうだ。何があっても乱れない。
「言ってごらん」
促される声は柔らかいのに、妙に重かった。
私は膝の上で拳を握った。喉の奥がつかえる。
「いえ……大したことじゃなくて」
嘘だ。本当は訊きたいことがあった。
ーーあなたは何を考えているんですか? どうしてそんなふうに見てくるんですか?
「そう?」
上司はあっさりと引き下がった。
「ならいい」
これで終わると思った瞬間ーー
「だけど」
再び落ちた言葉の重みに、私は思わず上司の方へ顔を向けてしまった。
「君の『大したことじゃない』は、俺にとって結構気になることが多いんだよ」
柔らかくて冷たい刃のような言葉だった。心臓の鼓動が速くなる。
「今もそう。その表情で隠せると思ってる?」
指摘されて初めて気づく。私は無意識に唇を噛んでいたらしい。
紙で切ったような小さな傷跡が皮膚に食い込む感触があった。
「ほら、また噛んでる」
上司の声が一段低くなった。
「なんでそんなに、噛むのかな」
静かな問い。
だがそれは質問というより、既に答えを求めている確認だった。
「……分かりません」
本心だった。自分でも分からなかったから。けれど上司は納得しなかった。
「分からないはずはないだろ」
じっと見据えられる。上司の目は深い水底のようで、そこには光も影も映らない。
「理由がないなら、わざわざ噛む必要もない。違う?」
問い詰められるわけではないのに、どんどん追い込まれていくような感覚に襲われた。
何を言えば正解なのか。何を言えば解放されるのか。
「……っ」
焦燥が舌の根っこを固くする。
そして気づけばまたーー唇に歯が当たっていた。
「やっぱり噛んでる」
上司が身体を屈めて、顔を覗き込むほど近くに寄る。
「君のそういう癖は、とても興味深いな」
囁くような声音だった。
それは褒められているのではないと分かっている。むしろーー分析されているような気さえする。
「やめたらどうなるんだろう」
「……?」
「試してみたくないか?」
提案の形を取った命令だと直感した。断れる雰囲気ではなかった。
「今、噛むのを我慢してごらん」
沈黙が落ちた。私は小さく首を縦に振った。
「我慢できる?」
もう一度確認されて、私は無言で頷いた。
上司は満足そうに薄く笑う。
「もし破ったら……どうしようかな」
ぞくりとしたものが背中を走った。
具体的な罰ではない。けれど確実に何か起こると予感させる曖昧さだった。
上司は身体を起こし、腕を組んで私を正面から見据えた。
「まずは10秒」
時計の秒針が規則正しく動いている。カチッカチッという音がいやに大きく聞こえた。
「1……2……3……」
カウントダウンが始まる。上司が数字を刻むたびに胸の中で拍動が倍加していく。
5まで来たときだ。無意識に唇へ伸びかけた自分の指先を必死で押さえつけた。
7になる頃には額に汗が滲み始めた。
9になった瞬間、息が浅くなって苦しくなる。
そしてーー「10」
言い渡された途端、全身の力が抜けた。
「よくできたな」
上司が目元を緩めて褒めた。けれど安堵する暇もなく次の命令が降ってくる。
「次は20秒だ」
再び始まったカウントに呼吸が乱れる。
10を超えたあたりで歯がカタカタと鳴りそうになるほど震えだした。それでも耐えるしかない。
「15……16……17……」
あと少しだと思えば思うほど唇が乾いていく。飢えにも似た渇望が理性を侵食していくのを感じた。
「18……19……20」
終わった。
「お疲れさま」
上司の声音は穏やかだったが、どこか陶酔的な響きを帯びていた。
「どうしてそんなに噛みたくなるんだろうな……」
再びその問いだった。
「知りたい?」
選択肢を与えられていないことに気づいていた。拒否なんてできないことは明白だ。
「教えてあげようか」
上司は組んでいた腕をほどき、椅子の背もたれと机に手を置いて囲い込むように私を閉じ込めた。
緊張感に俯くこともできないまま、低い声だけが鼓膜に染みてくる。
「君は、本当に素直なんだよ」
素直ーー? 意味が掴めず戸惑う私を見つめながら言葉は続く。
「理性とか常識とかで蓋をしてるけど、本質的には隠せない」
言葉の意味を理解するより早く心臓が痛いくらい高鳴った。
「自分の欲望を剥き出しにするのが怖いからこそ、身近な代替品を探してしまう」
「……」
「例えば自分の肌、とかね」
触れてはいけない領域に触れられたような衝撃を受けた。否定したい気持ちとは裏腹に頭は真っ白になっていくばかりだ。
「でももう気づいてしまった今となってはーー」
そこでいったん言葉を切り置き直したように続ける。
「自分自身との契約は解除だ」
「契約……?」
聞き返すことしかできない自分が情けなかった。上司はなおも穏やかな笑みを崩さずにいる。
「そう。今この瞬間から」
ゆっくりと間をおきながら告げる様子からは奇妙な儀式めいたものさえ感じられた。
「自分を守るためじゃなくてーー」
言葉が切れたところで突然上司に肩を押さえられ、顎を掬い上げられた。
見上げた視界いっぱいに広がる上司の姿。
照明器具によって生じた逆光の中で影となり浮かび上がる輪郭線ーー顔を上げた私の視界には、天井灯の淡い光と上司の影だけが映っていた。
距離が一気に縮まった。物理的な距離も、心理的な距離も。
「怖い?」
問いかけられて初めて、自分が小さく震えていることに気づく。
上司は私の肩に置いた手にわずかな力を込めただけで、それ以上何もしてこない。この状況で私が拒絶すれば、きっと彼は即座に離れると分かっていた。だからこそ恐ろしい。
「……わかりません」
素直な返答をするしかない。嘘をつく意味が見当たらなかった。
上司の眉がかすかに動く。不快ではなく、むしろ満足げな表情に思えた。
「それが答えなら十分だよ」
低く囁くように言った直後、顔が近づき、彼の吐息が私の頬を撫でる。熱を持った空気が直接肌を焼くように感じた。
「君は今、何か期待してる?」
唐突すぎる問いだった。だけど否定はできなかった。
「自分の意志じゃないと言い張るのは自由だけど」
その言葉が胸に刺さる。まるで心の内側を見透かされているようだ。
「ただ、体は正直だ」
そう言うと上司は私の唇に親指を滑らせた。
驚くほど繊細な動きで表面だけをなぞっていく。触れられた箇所から電流のような感覚が広がった。
「噛みたくなってる?」
「……」
答えられない。代わりにこくりとうなずくことしかできなかった。
すると上司はわずかに口角を上げ、さらに続けた。
「なら許可しよう」
許可。
その響きがあまりに非日常すぎて頭の中が混乱した。
なぜこんなことを言われているのか、どう反応すべきなのか——迷っている間に次の言葉が降ってくる。
「ただし」
人差し指が唇の中央に触れる。
「歯が当たったら即アウトだ」
なんとも奇妙なルールだった。
けれど抗議する勇気も時間もなく、「……わかりました」と答える他ない。
上司の指がゆっくりと移動しはじめる。
まるで絵画を鑑賞するかのように丁寧な動作で唇全体を辿っていく。
軽い圧力とともに温もりが伝わってきて意識がそこに集約されていく感じだった。
最初は戸惑いでいっぱいだったはずなのにいつしか感覚だけが研ぎ澄まされていった。
指先一本で操られている実感——それが快感へと変わっていく過程自体に戸惑う余裕すらないくらいに。
「すごく敏感だね」
「あ……」
上司が呟いた瞬間また心臓が跳ね上がった。認めたくない気持ちとは裏腹に身体は確かに反応していた。
そう、唇に触れられているだけなのに。
ーー奥が、熱い。
上司は決して深追いしない。
「今日はここまで」
唐突に上司の体温が遠ざかる。
距離が生まれた瞬間、私はハッと我に返った。
「ーーっ、は……」
俯いて浅く息を吐く。
現実に戻る儀式のように何度も瞬きした。
そうして私が身体の反応と火照った頬を落ち着けている間に、上司はすでに背を向けていた。
廊下に通じる扉の前に立つ。
「帰ろうか」
何事もなかったかのように。
「あ……はい!」
私は慌てて頭を起こし、散らばった書類を集めた。
エレベーターの中で会話はない。階数表示を見つめるだけの時間が流れる。1階到着のアナウンスのあとドアが開くと、上司はすっと先に降りる。
あとをついて私が降りると、振り返って彼が言った。
「明日は早めに出勤してくれるか。重要なプロジェクトの打ち合わせがあって」
「はい」
つい勢いで返事をしてから気づく。これは業務の一環だ。昨日までの日常に戻るためのスイッチ。
けれどドアの閉まる音を聞いたとき、私は確かに思った。
——今晩眠れるだろうか?
* * *
就業後は正面玄関の扉が閉まっている。
守衛のいるビル裏側のセキュリティドアから彼女と一緒に出た。
表通りまで並んで歩き、彼女とは逆方向に別れるところで声をかけた。
「お疲れ様」
「お疲れ様です」
ペコリと下げた視線は上がることなく、くるりと背を向けてしまう。
彼女の後姿がやがて曲がり角に差し掛かり、完全に消えるまで待った。
それからようやく、深く息を吐く。
——危なかった。
仕事ができる部下だ、という評価は最初から変わっていない。
理解が早く、言われたことを正確に汲み取る。無駄に自己主張せず、それでいて折れない芯がある。上司として信頼する理由はいくらでも並べられる。
だが、それだけではない。
彼女は、自分が見られていることに気づいていない。
言葉を選ぶ癖も、迷ったときに一瞬だけ視線が揺れるところも、評価を待つ沈黙の使い方も。全部、前から知っていた。
今夜、それが確信に変わった。
自分の一言で、あれほど分かりやすく呼吸が変わる。
逃げる選択肢を与えても、視線を逸らしながら留まる。その選び方が、もう答えだった。
進めなかったのは、理性だ。
今、進めてしまえば、彼女は拒まない。
それが分かっているからこそ、止めた。
——まだ早い。
仕事という枠の中で、彼女はもう十分にこちらを向いている。
焦る必要はない。時間をかけて、逃げ道ごと塞いでいけばいい。
今日、線を引いたのは、手放すためじゃない。
自分のものにする準備が、整ったと判断したからだ。
次は、彼女のほうから一歩踏み出す。
その瞬間を、逃さない。
* * *
あの夜から、数日が過ぎた。
仕事は滞りなく進んでいるし、上司――高瀬さんとのやり取りも、表面上は何一つ変わっていない。指示は的確で、評価は簡潔。余計な言葉も、視線もない。
それなのに、私は前と同じように振る舞えていない。
高瀬さんと席を立つタイミングが重なるだけで、意識してしまう。
「森下」
名前を呼ばれる一瞬の間に、呼吸が浅くなる。自分でも理由が分からないまま、身体だけが先に反応してしまう。
「昨日の資料、確認したんだが」
声がかかって、反射的に顔を上げる。
目が合っただけで胸の奥が小さく揺れた。
「修正点は特にない。よくまとまってる」
それだけ。
褒め言葉としては短くて、業務的で、いつも通りなのに。私はその一言を必要以上に噛みしめてしまう。
――期待しているみたいで、嫌だ。
何を期待しているのか、自分でもはっきりしない。ただ、あの夜に引かれた線の内側を、無意識に思い出してしまう。近かった距離。止まらなかった心臓の音。
高瀬さんは、私の様子を見ていないようで、見ている。
会話が途切れたときの沈黙も、私が視線を落とす癖も、全部分かった上で、何も言わない。
「それから、あとで社長とミーティングなんだが……内容次第では今日は残業してもらうかもしれない」
何気ない報告のような口調だった。
断る余地がある言い方。けれど、私はその言葉の意味を、正しく理解してしまった気がする。
「……わかりました」
返事をした瞬間、自分で選んだのだと分かった。
前に進むか、何もなかった顔を続けるか。その境目を、私はもう越えている。
高瀬さんは小さく頷いただけで、何も言わなかった。
それが答えを受け取った合図のように思えて、胸の奥が静かに熱を持ち始めた。
「森下。やっぱり残業になりそうだ」
社長室から戻ってきた高瀬さんが言った。
「システムサーバーのメンテナンスが延長になってる。今夜中に再起動後のデータを確認がしたいんだ」
「わかりました。どれくらいかかりますか?」
「19時から2時間くらいかな。サーバールームで直接やるから」
了解と呟きながら胸の中でざわつくものを押さえ込んだ。ふたりきりで残業。しかも『事故』が起こりそうな密室で。こんな偶然あるのだろうか——いや、『必然』と言われてしまえばどうしようもない。
冷房の効きすぎた廊下を抜けて重たい扉を開けると、青白い機器のランプが瞬きながら迎えてくる。この空間には無機質な機械音しかない。それに少し安心した自分がいた。
一方で、不安もあった。
これからまた二人きりになってしまうことへの恐怖と——ほんの少しの期待。相反する気持ちがせめぎ合う胸に手を当て深呼吸する。
振り返れば高瀬さんの鋭い瞳が私を捉えていた。
「バックアップサーバーから先に確認しよう。直近のデータと比較するからこっちにデータを渡してくれるか」
淡々とした説明に頷くしかない。
私達は狭いブースの中で背中合わせに作業を始める。キーを叩く音と冷却ファンの音だけが支配する空間。
だけど——彼の背中からは何か別の気配を感じ取ってしまう。理性と本能の境界を曖昧にするような何かを。
不意に高瀬さんが手を止め、私の横に立ち直った。
「疲れたら言ってくれ」
その声音があまりにも真摯だったため、無意識に首を振る。
「大丈夫です」
でも本当は全然大丈夫じゃなかった。だって——この距離感が怖いくらい落ち着かない。心臓がうるさすぎて作業に集中できない。
「ふー……これで終わりか。今何時だ?」
ようやく全てのプロセスが完了した時、既に針は21時を回っていた。
「あとはアップロードするだけだな。お疲れさま、助かったよ」
高瀬さんは笑みを見せつつもどこか探るような視線を送ってくる。まるで私を試すような……
「いえ……それでは後片付けを……」
咄嗟にそう言ってその場を離れようとすると、「待って」と低い声に引き留められた。
「……なにか?」
恐る恐る見上げると、そこにはいつもの冷静な高瀬さんではなく——男としての色香を纏ったひとつの存在があった。
「少し休憩しよう」
サーバー室の隅にはパーティションで区切られた小さな区画に、長机とパイプ椅子が2脚置かれた場所があった。休憩やノートPCでの作業をするためのスペースだ。
そちらへと足を向ける高瀬さんの背中をゆっくりと追う。
ーー本当は拒否できるはずなのに足が勝手に動いた。
高瀬さんはスーツのジャケットを椅子の背にかけ、息を吐きながらネクタイをほどいた。袖のボタンを外して腕まくりする。
普段は隙を見せないこの人がこんなラフな格好をしているのが新鮮でどきりとした。
そして高瀬さんは椅子には座らず、私に言った。
「ここで終わってもいい」
唐突な言葉に戸惑う。
「え?」
「帰るかどうか——森下が決めれば良い」
それはつまり、そういう意味だろうか?
「それは……どういう意味でしょうか?」
分かりやすく困惑すると、高瀬さんはゆっくりと腕を伸ばしてきた。指先が頬に触れる寸前で止まる。その距離感がもどかしくて仕方がない。
「あの夜の続きをするかどうかだ」
単刀直入すぎる問いかけに全身が熱くなった。でも本音を言えばーー私は既に選択肢を選んでいた。だからこそここに残っている。
私は高瀬さんの手のひらにそっと頬を預けた。
意図を飲んでくれた彼は少しだけ手に力を込め、私の頬を包み込む。
「本当に……嫌だったらすぐ言うんだぞ」
確認するような言い回しが逆に私を追い詰める。拒絶しても受け入れても恥ずかしいことこの上ない状況なのに。
「……嫌じゃないです」
消え入りそうな声で答えると彼の目が僅かに細まった。
「わかった」
そして次の瞬間——彼の唇が静かに重ねられた。
最初は触れるだけのソフトなものだった。しかし徐々に角度を変えながら深くなり——ついには舌が侵入してくる。歯列をなぞられる感覚にゾクリとする快感が走った。
「……んっ♡……んふ……ぅ♡」
漏れた吐息を飲み込むようにさらに強く吸われる。唾液が交換されていく生々しさが頭を痺れさせた。
「ふぅン♡……んん……はあっ♡」
抗おうとしても腕ごと抱き寄せられ身動きが取れない。しかも下腹部のあたりに硬いものが当たる感触——それを自覚すると余計に興奮してしまう自分を呪いたくなった。
長い口づけを終えたあとようやく解放された時には膝がガクガク震えていた。
「もう立てない?」
皮肉っぽい台詞に反論しようとしたら今度は体全体を包まれるようなハグ。スーツ越しにもわかる胸板の厚さと体温が伝わってきてどうしようもなく高揚する。
「もっと欲しい?」
耳元で囁かれる低音が首筋を粟立たせる。ダメだ——ここで流されたら本当に戻れなくなる。
「も……もう十分です!」
必死に抵抗したつもりだったけど声は震えていた。
「そうか。じゃあ……やめるか?」
彼はわざとらしく離れようとする素振りを見せる。それが演技だとわかっていても心臓がぎゅっと縮んだ。
それでも私は願いを口にできない。
「また噛んでる」
そう言われて私は唇を嚙んでいることに気付いた。
「素直になれと、この前言っただろう?君はどうしたい?」
今度ははっきりと尋ねられる。私は勇気を出して答えた。
「高瀬さんと……キスがしたいです」
「それだけ?」
微笑み混じりの問いかけが私の内側をくすぐる。
「もっと……触れ合いたい……です」
蚊の鳴くような声だったと思う。でもそれは確かに彼の耳に届いたらしく——再び強い力で引き寄せられた。
服の上から乳房を揉まれると甘い電流が走る。ブラウス越しでも感じる指先の熱さに吐息が零れた。
「……はあっ♡」
「可愛い声だな」
揶揄しながらもその手つきは優しいものだった。焦らすように全体を撫で回されたあとボタンに手がかかる。
「あ……待って……」
制止する声はあまりにも弱々しかった。結局抵抗虚しく胸元が剥き出しになり——晒された肌は羞恥で紅潮していく。
「綺麗だ」
短い賛辞と共に再びキスされた。今度は首筋へ移動していき鎖骨付近にも痕跡を刻まれるような錯覚。舌先でたどるような舐め方をされると反射的に仰け反ってしまう。
「感じてるな」
確認するように告げる彼自身も明らかに昂っている。ズボン越しでも主張しているモノを腿に擦り付けられると鼓動が激しくなった。
やがて手が滑り落ちて内腿を這う。タイトスカートとストッキングの間という微妙な境目を確かめるように指先が蠢く。
「この先も望むなら……森下、自分で」
その一言で頭が真っ白になった。けれど拒む理由などとうに見失っている。
私は高瀬さんから身体を離し、スカートの裾から手を入れた。一瞬のためらいはあったが止まることもできず、ストッキングとショーツを脱ぐ。恥ずかしくてそれ以上は動けなかった。
再び高瀬さんが近づき、そっと内腿に触れる。つぅ、と指先で撫で上げて、露わになった秘所へ直接触れられる感触。湿りを帯びていることがバレてしまう恥辱感すら刺激となった。
「濡れてる」
悪戯っぽく笑われて耳まで赤くなる。でも次の瞬間には膣口周辺を探るような動きが始まり、一気に意識を奪われる。
「んうっ♡」
予期せぬ刺激に膝を曲げてしまった。支えられる形で身体を固定され、そのまま机のふちに腰を掛けさせられる。逃げ場はもうどこにもなかった。
「あっ♡……んんっ♡」
膣口の滑りをクリトリスに塗り付けられて、一段と高い声を上げてしまった。
「ここが良いんだな?」
確信に満ちた声が耳朶を打つ。指先がさらに繊細な動きで敏感な包皮の周縁をなぞり始めた。時折掠めるようにクリトリスの先端へ触れられると背筋に電流が走る。
「やっ♡……それ……だめぇ……っ♡」
涙声で懇願するも高瀬さんは微かに笑みを浮かべただけだった。その余裕のある表情が腹立たしくもあり、同時に恐ろしいほど惹きつけられてしまう。
「ほら、噛まない。駄目ならやめるか?」
無意識の唇への呵責を咎められ、意地悪く尋ねられつつも手は止めない。爪の先で円を描くように淫核を撫で回されれば腰が勝手に跳ねる。
「……やめ……な…いで……♡」
言葉を絞り出せたのは奇跡的だったかもしれない。恥じらいと快楽の狭間で溺れる思考の中、ただひとつ確かな欲望だけが口を突いた。
「よく言えたな」
囁きとともに指の動きが加速する。クリトリス全体を圧迫しながら上下左右へと揉みしだかれ、膣内から溢れる蜜液が太腿まで垂れる。卑猥な水音が狭い空間に響き渡り羞恥心を煽った。
「あっ♡……あっ♡……ああっ♡♡」
声を抑えようとしても無理だった。呼吸が乱れ焦点がぼやける中で次第に意識が遠のいていく。腰奥で疼くような熱が膨張し始めており、それが臨界点に近いことを悟った。
「イきそうか?」
問いかける声音には苛立ちすら感じる。返事すら許されないまま更なる追い打ちが続く。親指と中指で丁寧に皮を剥きあげられ、露出したクリトリスを執拗に擦られるのだ。
「あっ♡あっ♡も、だめっ♡きちゃうっ♡♡だめぇっ♡♡♡」
それが拒絶の言葉ではないのは明白だった。高瀬さんは責める指を止めず、私の耳に顔を寄せる。
熱い息と舌で耳孔をくすぐられて、上から下まで過敏に反応した。
そしてーー
「……イけ」
低い声が脳に届いた瞬間。
「~~~~~っ♡♡♡!!……ふうぅっ♡♡♡」
喉の奥から漏れ出た悲鳴混じりの喘ぎ声とともに全身が弓なりに反る。視界は白濁し脳髄まで甘美な痺れが駆け巡った。秘裂からは大量の愛液が噴出し、足元まで滴っていく。
「イけたみたいだな」
低く唸るような声で告げられると同時に一本の指が膣口へと沈み込む。達したばかりの過敏な粘膜を掻き分けながら入口付近を探られれば、再度絶頂を迎えてしまう可能性すらあった。
「待って♡……まだ……だめっ♡……やぁっ♡」
制止を求めたものの逆効果となり、焦燥感から解放されたばかりの粘膜全体を均等に触れられる。奥行き浅く動かされる指の感触に悶絶しているうち、彼は耳元で囁いた。
「まだこれからだろう?」
そう告げると第二の指が加わり、質量を増した異物感に混乱する暇もないほど掻き混ぜられる。膣内部の天井付近を集中攻撃されると耐え難い愉悦の波に襲われた。
「やぁっ♡ダメ、イったのにっ♡……許して……ぇ♡!」
何度も何度もそこを擦られ、重い痺れが這い上がる。繰り返す絶頂は甘く、気が付けば深い快感をねだるように腰を突き出して揺らしていた。
やめて。
もっと。
限界を超えようとする肉体とは裏腹に、更なる極みを求めている自分が存在しており、矛盾した心理状態へ陥ってしまう。
今私にできることは、その矛盾を噛み締めることだけだった。
「ほら噛むな。舌を出して」
「あっ♡はぁっ♡……んンッ♡…んふぅっ♡」
歯形の付いた下唇を吸われ、伸ばした舌を絡め取られ、閉じ込められる。濃厚な唾液は飲み込む暇もなく、口の端から溢れ出てしまう。
貪るようなキスをしながら、ちゅぽっ♡と高瀬さんは指を抜くと、再びクリトリスを丁寧になぶり始めた。
「んふぅっ♡んむっ♡んぁっ♡」
一度達しているそこは過敏で、濡れているとはいえ指の刺激は強すぎた。
「……いっ!」
「っ、悪い」
思わず引っ込めた舌と小さく上げた声に、高瀬さんはすぐに気付く。クリトリスから指を離し、なだめるように秘裂を優しく撫でてくれた。
「机に寝て」
机のふちに腰掛けていただけの体勢は正直つらいものがあった。言われた通り机に背中を預けると、髙瀬さんは「持ってて」とスカートの裾を私の手に握らせた。
「……?……えっ!あっ、そんなっ」
私が戸惑っている間に高瀬さんは床に膝をつき、幾度もの絶頂に震える秘部に顔を寄せる。捲り上げたスカートの裾で見えないがーー
「はあぁーーっ♡♡」
ぬるりと熱い口内にクリトリスを含まれて、仰け反り喘ぐ。
「やっ……♡ だめっ、それっ♡ ん゛っ♡」
舌先が器用にクリトリスを弾くたび、腰がビクビクと跳ね上がった。膣内に差し込まれた指は入口付近を優しく撫でていたが、突然中指が深く沈み込んだ。
「っ……お゛ぉっ♡!?」
思わず喉から漏れた音に驚き、慌てて口を押さえる。だが遅かった。
「……良い声だな」
低い声とともに、指がグリュッとクリトリスの裏側を押し上げた。
「んひぃっ♡!そ、そこダメですっ♡あ゛っ♡そこばっかり……♡おっ♡んほぉっ♡」
腰が砕けそうになるたびに脚に力が入り、高瀬さんの指が奥へと食い込む悪循環。膣壁がヒクつき始め、またしてもあの感覚が這い上がってくる。
「や……またイくっ♡高瀬さんっ♡もう無理ぃ♡」
「何度でもイけばいい」
無慈悲な宣告と共に、指の動きが加速した。同時に舌がクリトリスを円を描くように舐め回し、時折強く吸い上げる。
「あ゛ぁぁーーっ♡!待って待って♡イクっ♡イっちゃうぅ♡お゛ぉっ♡お゛っ♡!」
身体が大きく弓なりになり、目の前が白く染まる。意識が遠のきかける中、スカートの裾を握りしめた指が緩んでいくのが分かった。
「……はあっ♡……はあっ♡……んん♡……んふぅ♡」
肩で息をしながらぼんやりと高瀬さんを視線で探す。
「ふぅ……」
息を整えた高瀬さんが立ち上がり、ワイシャツの袖を捲り上げる。その仕草だけで胸が高鳴った。ベルトを外す金属音が静寂に響く。
こんなに喫緊の状況ですら慌てる様子もなく、ファスナーを下ろし膨張したものを取り出した。暗闇の中でも分かるほど硬く張り詰めている。その威圧感に喉が渇いた。
「……おっきぃ……♡」
無意識に呟くと、高瀬さんの目が細くなる。
そして私の脚を持ち上げ、間に身体を差し入れる。秘部へ先端が触れた瞬間、電流が走った。
「ぁっ♡」
ゆっくりと入口を探られ、少しずつ押し広げていく感覚。十分に潤っているはずなのに、指との質量の違いに戸惑う。
「力を抜け」
低く響く声に従って深呼吸すると、途端に奥へと突き進んだ。
「あ゛ぁぁぁっ♡♡……お゛ぉぉっ♡♡♡」
根元まで一気に埋められた衝撃に背中が反り返る。同時に膣内がギュゥゥッ♡と収縮し、勝手に絶頂へ駆け上がってしまった。
「っく……!」
高瀬さんの呻き声が聞こえる。苦しげに眉を寄せながらも、腰を止めて耐えている。私はといえば、痙攣する膣壁が彼の形をはっきりと感じ取り、更なる快感を生み出していた。
「……おぉ゛っ♡……ほぉ゛っ♡」
「おい……大丈夫か?」
心配そうな問いかけに首を縦に振るだけで精一杯だ。余韻に浸る暇もなく、高瀬さんの大きな手が私の腰を掴んだ。
「動くぞ」
宣言と同時にゆっくりとした抽送が始まる。一突きごとに全身が震え、喉の奥から嗚咽が漏れる。
「あ゛はぁ♡……ん゛ぅっ♡……あぉ゛っ♡」
丁寧すぎるほど慎重な動きなのに、Gスポットを軽くノックされるたびに脳天まで貫くような悦楽が走る。理性が溶けていくのを感じながら、ただ彼の動きに身を委ねることしかできなかった。
「ひあ゛っ!?♡ やだ……そこっ!♡」
奥へ奥へと進むと、今まで感じたことのない感覚が湧き上がる。高瀬さんの先端が子宮口にたどり着くたび、重い電気が走るような衝撃があった。
「ここが好きなんだな」
低く囁く声が耳朶をくすぐる。その囁きすらも快感に変わる。
「ちがっ……あっ♡ そこダメですっ♡ お゛っ♡ おぉ゛っ♡」
必死に訴えても、高瀬さんは容赦なく同じ場所を攻め続けた。徐々に強くなる抽送。結合部から溢れる蜜音が鼓膜を犯す。
「おほっ♡おん゛っ♡あ゛っ♡あ゛っ♡だ、だめっ♡おねがっ♡お願いっ♡ 止まってぇっ♡ おかしくなるっ♡ なんかっ……変になるぅっ♡」
本能的な恐怖が背筋を走る。しかし身体は正直に反応し、高瀬さんのものを貪欲に締め上げていた。
「変になってもいい」
その一言が引き金となった。次の瞬間、高瀬さんが一気に最奥を突き上げる。
「ーーん゛ほぉぉぉっ!!♡♡♡」
頭が真っ白になる。激しい絶頂が全身を貫き、視界がチカチカと明滅した。膣内が激しく痙攣し、高瀬さんのものを搾り取るように締め上げる。
「くっ……!」
短い呻き声と共に、高瀬さんの身体が硬直した。先ほどは動かずに待っていてくれたが、今度はすぐに抽送が再開される。
「い゛ぅっ!♡い゛ってぅっ!♡♡いまイッてぅからぁっ♡♡待ってぇ゛っ!♡♡♡」
「悪い、待てない」
激しいピストンは止まず、高瀬さんの絶頂の気配を感じる。私は必死で脚を高瀬さんの腰に回し、揺さぶられる視界の中でしがみついた。
「はっ……はっ……イク……ぅっ!」
「お゛ぉっ!♡♡お゛ぉっ!♡……んおぉ゛っ!♡♡♡」
ドクンドクンと脈打つものが、私の最も深いところで爆発する。熱い飛沫が子宮口を叩くたび、新たな絶頂の波が押し寄せた。
(ああ♡……出てる……中に出されてる……♡ )
長い放出が続く間、高瀬さんは私を抱きしめながら、荒い呼吸を繰り返していた。その体温と鼓動が伝わってきて、何故かとても安心する。
深い吐息とともに、高瀬さんがゆっくりと私から離れる。引き抜かれる感覚に背筋が震えた。
「んん゛……っ♡」
中から溢れ出す熱い液体。それは高瀬さんが放ったもので、私の内側を満たしている。初めての感覚に、身体が甘く痺れる。
「大丈夫か?」
優しく問いかけられても、言葉を紡ぐ力がない。机の上で開いたままの脚を閉じることもできず、ただ余韻に身を任せた。全身が火照り、蜜口から滴るものがお尻を伝っていくのを感じていた。
エレベーターのボタンを押すと、1階で止まっていた階数表示が1つずつ増えていく。
ドア横の鏡に映る自分を見てハッとした。急いで整えてはきたが、まだ髪は乱れ、ブラウスの襟元は歪んでいる。慌てて直そうとすると、高瀬さんの手が伸びてきた。
「自分でやりますから!」
思わず身を引いたが、大きな手は既に私の髪に触れていた。指先が優しく髪を梳く感触に胸がざわつく。
「落ち着け。別に襲ったりしない」
冗談めかした口調なのに、目は真剣だった。髪を整え終えた指が、今度は唇に触れる。
「口、痛いか?」
言われて気づく。無意識に噛んでいた下唇に血が滲んでいることに。恥ずかしさで顔が熱くなる。
「……大丈夫、です」
「嘘つけ」
高瀬さんの指が傷口をなぞる。鋭い痛みと共に、奇妙な疼きが全身を走った。
「次からは我慢するな。辛くなったら言ってくれ。約束だ」
言葉の意味を考える間もなく、エレベーターが到着する。
「わかりました」
思わず答えると、高瀬さんの目が僅かに細まった。
微かな機械音と共にドアが開く。深夜のオフィスビルに人影はないが、誰も乗っていないとわかると安心する。
「乗ろう」
促されて狭い箱の中へ。ドアが閉まると高瀬さんがポツリと言った。
「噛みたくなったら俺にキスすればいい」
言われて私は、背伸びしてそっと唇を重ねた。
「ん……」
温かくて柔らかい。さっきまでの激しさとは違う、安心できるキスだった。唇を離すと、高瀬さんが嬉しそうに目を細めている。
「噛みたくなったときだけですか?」
「いいや」
答えながら、今度は高瀬さんからキスしてくれる。離れるのが惜しくてついしがみついてしまう。
「ん……ふぅ……」
1階到着のアナウンスが聞こえてきた。時間切れだ。
唇を離すと同時にドアが開いた。
この前と同じに先に降りる高瀬さん。でも違うのは私の手を握っていること。
嬉しさにちょっとだけ唇を噛みたくなったけど我慢した。
だってこのあと、キスできるから。
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※本作はpixivからの再録です。
https://www.pixiv.net/users/122950621
終業時間をとっくに過ぎたオフィスは、昼間とは別の場所みたいに静かで、空調の音だけが規則正しく耳に届く。
画面に向かって資料を修正していると、背後から足音が近づいた。
「まだ終わりそうにない?」
落ち着いた声。振り向かなくても、誰だか分かる。
私は慌てて椅子から立ち上がり、「あと少しです」と答えた。
「座ったままでいい」
そう言われて、また腰を下ろす。
上司は私の隣に立ち、自然な動作で画面を覗き込んだ。肩越しに近づく距離に、思わず息を止めてしまう。
「ここ、修正したんだ」
「はい。午前中に言われた点を……」
言い終わる前に、上司は小さく頷いた。
「うん。ちゃんと反映できてる」
淡々とした評価なのに、その一言で胸の奥が少しだけ緩む。
私は、こういうところが分かりやすいのだと思う。言葉にされると、安心してしまう。
それが仕事だからだ、と最初は思っていた。
的確で、迷いがなくて、感情に流されない判断をする人。誰に対しても同じ距離を保ち、必要以上に踏み込まない。その姿勢が信頼につながっているのだと、自分に言い聞かせてきた。
でも本当は、安心する理由はそれだけじゃない。
上司の声を聞くと、自然と背筋が伸びる。
自分に向けられたときだけ、ほんの少しだけ低くなる声の調子を、私はちゃんと聞き分けている。他の人に向けられた言葉との差を、無意識のうちに探してしまうくらいには。
視線が合うと、胸の奥が静かにざわつく。
背が高くて、無駄のない動きで、スーツの袖口やネクタイの位置まできちんとしているところを、私は必要以上に覚えている。仕事と関係のないはずの細部まで、いつの間にか目で追ってしまう。
尊敬しているだけ。
そう言い切ってしまえば楽なのに。
それでも、上司が近くにいるときだけ、少し息が浅くなる。
評価されたい、失望されたくない、できるなら――一番に見てほしい。そんな考えが浮かぶ時点で、もう仕事の範囲を超えているのだと、薄々分かっていた。
それでも私は、その感情に名前をつけないまま、黙って画面に視線を戻した。
上司はしばらく黙ったまま、画面を眺めていた。何も言われない時間が、思っていたより長く感じられる。
「ただ」
静かな声でそう前置きされて、背筋が伸びた。
「君、ここで必ず一度止まる」
心臓が、きゅっと音を立てた気がした。
どうして、それを知っているのだろう。自分でも無意識だった癖を、当たり前のように指摘される。
「悪いことじゃない。ただ、迷ってるのが顔に出る」
顔。
思わず手で頬に触れそうになって、途中でやめた。
上司は責めるでも、急かすでもなく、ただ事実を告げるように言う。その距離、その声、その沈黙が、少しずつ私の思考を縛っていく。
「今も、何か言おうとしてる」
そう言われて、私は言葉を失った。
上司は軽く首を傾げるようにしてこちらを見る。整った目元には疲れ一つ見えない。
この人はいつもそうだ。何があっても乱れない。
「言ってごらん」
促される声は柔らかいのに、妙に重かった。
私は膝の上で拳を握った。喉の奥がつかえる。
「いえ……大したことじゃなくて」
嘘だ。本当は訊きたいことがあった。
ーーあなたは何を考えているんですか? どうしてそんなふうに見てくるんですか?
「そう?」
上司はあっさりと引き下がった。
「ならいい」
これで終わると思った瞬間ーー
「だけど」
再び落ちた言葉の重みに、私は思わず上司の方へ顔を向けてしまった。
「君の『大したことじゃない』は、俺にとって結構気になることが多いんだよ」
柔らかくて冷たい刃のような言葉だった。心臓の鼓動が速くなる。
「今もそう。その表情で隠せると思ってる?」
指摘されて初めて気づく。私は無意識に唇を噛んでいたらしい。
紙で切ったような小さな傷跡が皮膚に食い込む感触があった。
「ほら、また噛んでる」
上司の声が一段低くなった。
「なんでそんなに、噛むのかな」
静かな問い。
だがそれは質問というより、既に答えを求めている確認だった。
「……分かりません」
本心だった。自分でも分からなかったから。けれど上司は納得しなかった。
「分からないはずはないだろ」
じっと見据えられる。上司の目は深い水底のようで、そこには光も影も映らない。
「理由がないなら、わざわざ噛む必要もない。違う?」
問い詰められるわけではないのに、どんどん追い込まれていくような感覚に襲われた。
何を言えば正解なのか。何を言えば解放されるのか。
「……っ」
焦燥が舌の根っこを固くする。
そして気づけばまたーー唇に歯が当たっていた。
「やっぱり噛んでる」
上司が身体を屈めて、顔を覗き込むほど近くに寄る。
「君のそういう癖は、とても興味深いな」
囁くような声音だった。
それは褒められているのではないと分かっている。むしろーー分析されているような気さえする。
「やめたらどうなるんだろう」
「……?」
「試してみたくないか?」
提案の形を取った命令だと直感した。断れる雰囲気ではなかった。
「今、噛むのを我慢してごらん」
沈黙が落ちた。私は小さく首を縦に振った。
「我慢できる?」
もう一度確認されて、私は無言で頷いた。
上司は満足そうに薄く笑う。
「もし破ったら……どうしようかな」
ぞくりとしたものが背中を走った。
具体的な罰ではない。けれど確実に何か起こると予感させる曖昧さだった。
上司は身体を起こし、腕を組んで私を正面から見据えた。
「まずは10秒」
時計の秒針が規則正しく動いている。カチッカチッという音がいやに大きく聞こえた。
「1……2……3……」
カウントダウンが始まる。上司が数字を刻むたびに胸の中で拍動が倍加していく。
5まで来たときだ。無意識に唇へ伸びかけた自分の指先を必死で押さえつけた。
7になる頃には額に汗が滲み始めた。
9になった瞬間、息が浅くなって苦しくなる。
そしてーー「10」
言い渡された途端、全身の力が抜けた。
「よくできたな」
上司が目元を緩めて褒めた。けれど安堵する暇もなく次の命令が降ってくる。
「次は20秒だ」
再び始まったカウントに呼吸が乱れる。
10を超えたあたりで歯がカタカタと鳴りそうになるほど震えだした。それでも耐えるしかない。
「15……16……17……」
あと少しだと思えば思うほど唇が乾いていく。飢えにも似た渇望が理性を侵食していくのを感じた。
「18……19……20」
終わった。
「お疲れさま」
上司の声音は穏やかだったが、どこか陶酔的な響きを帯びていた。
「どうしてそんなに噛みたくなるんだろうな……」
再びその問いだった。
「知りたい?」
選択肢を与えられていないことに気づいていた。拒否なんてできないことは明白だ。
「教えてあげようか」
上司は組んでいた腕をほどき、椅子の背もたれと机に手を置いて囲い込むように私を閉じ込めた。
緊張感に俯くこともできないまま、低い声だけが鼓膜に染みてくる。
「君は、本当に素直なんだよ」
素直ーー? 意味が掴めず戸惑う私を見つめながら言葉は続く。
「理性とか常識とかで蓋をしてるけど、本質的には隠せない」
言葉の意味を理解するより早く心臓が痛いくらい高鳴った。
「自分の欲望を剥き出しにするのが怖いからこそ、身近な代替品を探してしまう」
「……」
「例えば自分の肌、とかね」
触れてはいけない領域に触れられたような衝撃を受けた。否定したい気持ちとは裏腹に頭は真っ白になっていくばかりだ。
「でももう気づいてしまった今となってはーー」
そこでいったん言葉を切り置き直したように続ける。
「自分自身との契約は解除だ」
「契約……?」
聞き返すことしかできない自分が情けなかった。上司はなおも穏やかな笑みを崩さずにいる。
「そう。今この瞬間から」
ゆっくりと間をおきながら告げる様子からは奇妙な儀式めいたものさえ感じられた。
「自分を守るためじゃなくてーー」
言葉が切れたところで突然上司に肩を押さえられ、顎を掬い上げられた。
見上げた視界いっぱいに広がる上司の姿。
照明器具によって生じた逆光の中で影となり浮かび上がる輪郭線ーー顔を上げた私の視界には、天井灯の淡い光と上司の影だけが映っていた。
距離が一気に縮まった。物理的な距離も、心理的な距離も。
「怖い?」
問いかけられて初めて、自分が小さく震えていることに気づく。
上司は私の肩に置いた手にわずかな力を込めただけで、それ以上何もしてこない。この状況で私が拒絶すれば、きっと彼は即座に離れると分かっていた。だからこそ恐ろしい。
「……わかりません」
素直な返答をするしかない。嘘をつく意味が見当たらなかった。
上司の眉がかすかに動く。不快ではなく、むしろ満足げな表情に思えた。
「それが答えなら十分だよ」
低く囁くように言った直後、顔が近づき、彼の吐息が私の頬を撫でる。熱を持った空気が直接肌を焼くように感じた。
「君は今、何か期待してる?」
唐突すぎる問いだった。だけど否定はできなかった。
「自分の意志じゃないと言い張るのは自由だけど」
その言葉が胸に刺さる。まるで心の内側を見透かされているようだ。
「ただ、体は正直だ」
そう言うと上司は私の唇に親指を滑らせた。
驚くほど繊細な動きで表面だけをなぞっていく。触れられた箇所から電流のような感覚が広がった。
「噛みたくなってる?」
「……」
答えられない。代わりにこくりとうなずくことしかできなかった。
すると上司はわずかに口角を上げ、さらに続けた。
「なら許可しよう」
許可。
その響きがあまりに非日常すぎて頭の中が混乱した。
なぜこんなことを言われているのか、どう反応すべきなのか——迷っている間に次の言葉が降ってくる。
「ただし」
人差し指が唇の中央に触れる。
「歯が当たったら即アウトだ」
なんとも奇妙なルールだった。
けれど抗議する勇気も時間もなく、「……わかりました」と答える他ない。
上司の指がゆっくりと移動しはじめる。
まるで絵画を鑑賞するかのように丁寧な動作で唇全体を辿っていく。
軽い圧力とともに温もりが伝わってきて意識がそこに集約されていく感じだった。
最初は戸惑いでいっぱいだったはずなのにいつしか感覚だけが研ぎ澄まされていった。
指先一本で操られている実感——それが快感へと変わっていく過程自体に戸惑う余裕すらないくらいに。
「すごく敏感だね」
「あ……」
上司が呟いた瞬間また心臓が跳ね上がった。認めたくない気持ちとは裏腹に身体は確かに反応していた。
そう、唇に触れられているだけなのに。
ーー奥が、熱い。
上司は決して深追いしない。
「今日はここまで」
唐突に上司の体温が遠ざかる。
距離が生まれた瞬間、私はハッと我に返った。
「ーーっ、は……」
俯いて浅く息を吐く。
現実に戻る儀式のように何度も瞬きした。
そうして私が身体の反応と火照った頬を落ち着けている間に、上司はすでに背を向けていた。
廊下に通じる扉の前に立つ。
「帰ろうか」
何事もなかったかのように。
「あ……はい!」
私は慌てて頭を起こし、散らばった書類を集めた。
エレベーターの中で会話はない。階数表示を見つめるだけの時間が流れる。1階到着のアナウンスのあとドアが開くと、上司はすっと先に降りる。
あとをついて私が降りると、振り返って彼が言った。
「明日は早めに出勤してくれるか。重要なプロジェクトの打ち合わせがあって」
「はい」
つい勢いで返事をしてから気づく。これは業務の一環だ。昨日までの日常に戻るためのスイッチ。
けれどドアの閉まる音を聞いたとき、私は確かに思った。
——今晩眠れるだろうか?
* * *
就業後は正面玄関の扉が閉まっている。
守衛のいるビル裏側のセキュリティドアから彼女と一緒に出た。
表通りまで並んで歩き、彼女とは逆方向に別れるところで声をかけた。
「お疲れ様」
「お疲れ様です」
ペコリと下げた視線は上がることなく、くるりと背を向けてしまう。
彼女の後姿がやがて曲がり角に差し掛かり、完全に消えるまで待った。
それからようやく、深く息を吐く。
——危なかった。
仕事ができる部下だ、という評価は最初から変わっていない。
理解が早く、言われたことを正確に汲み取る。無駄に自己主張せず、それでいて折れない芯がある。上司として信頼する理由はいくらでも並べられる。
だが、それだけではない。
彼女は、自分が見られていることに気づいていない。
言葉を選ぶ癖も、迷ったときに一瞬だけ視線が揺れるところも、評価を待つ沈黙の使い方も。全部、前から知っていた。
今夜、それが確信に変わった。
自分の一言で、あれほど分かりやすく呼吸が変わる。
逃げる選択肢を与えても、視線を逸らしながら留まる。その選び方が、もう答えだった。
進めなかったのは、理性だ。
今、進めてしまえば、彼女は拒まない。
それが分かっているからこそ、止めた。
——まだ早い。
仕事という枠の中で、彼女はもう十分にこちらを向いている。
焦る必要はない。時間をかけて、逃げ道ごと塞いでいけばいい。
今日、線を引いたのは、手放すためじゃない。
自分のものにする準備が、整ったと判断したからだ。
次は、彼女のほうから一歩踏み出す。
その瞬間を、逃さない。
* * *
あの夜から、数日が過ぎた。
仕事は滞りなく進んでいるし、上司――高瀬さんとのやり取りも、表面上は何一つ変わっていない。指示は的確で、評価は簡潔。余計な言葉も、視線もない。
それなのに、私は前と同じように振る舞えていない。
高瀬さんと席を立つタイミングが重なるだけで、意識してしまう。
「森下」
名前を呼ばれる一瞬の間に、呼吸が浅くなる。自分でも理由が分からないまま、身体だけが先に反応してしまう。
「昨日の資料、確認したんだが」
声がかかって、反射的に顔を上げる。
目が合っただけで胸の奥が小さく揺れた。
「修正点は特にない。よくまとまってる」
それだけ。
褒め言葉としては短くて、業務的で、いつも通りなのに。私はその一言を必要以上に噛みしめてしまう。
――期待しているみたいで、嫌だ。
何を期待しているのか、自分でもはっきりしない。ただ、あの夜に引かれた線の内側を、無意識に思い出してしまう。近かった距離。止まらなかった心臓の音。
高瀬さんは、私の様子を見ていないようで、見ている。
会話が途切れたときの沈黙も、私が視線を落とす癖も、全部分かった上で、何も言わない。
「それから、あとで社長とミーティングなんだが……内容次第では今日は残業してもらうかもしれない」
何気ない報告のような口調だった。
断る余地がある言い方。けれど、私はその言葉の意味を、正しく理解してしまった気がする。
「……わかりました」
返事をした瞬間、自分で選んだのだと分かった。
前に進むか、何もなかった顔を続けるか。その境目を、私はもう越えている。
高瀬さんは小さく頷いただけで、何も言わなかった。
それが答えを受け取った合図のように思えて、胸の奥が静かに熱を持ち始めた。
「森下。やっぱり残業になりそうだ」
社長室から戻ってきた高瀬さんが言った。
「システムサーバーのメンテナンスが延長になってる。今夜中に再起動後のデータを確認がしたいんだ」
「わかりました。どれくらいかかりますか?」
「19時から2時間くらいかな。サーバールームで直接やるから」
了解と呟きながら胸の中でざわつくものを押さえ込んだ。ふたりきりで残業。しかも『事故』が起こりそうな密室で。こんな偶然あるのだろうか——いや、『必然』と言われてしまえばどうしようもない。
冷房の効きすぎた廊下を抜けて重たい扉を開けると、青白い機器のランプが瞬きながら迎えてくる。この空間には無機質な機械音しかない。それに少し安心した自分がいた。
一方で、不安もあった。
これからまた二人きりになってしまうことへの恐怖と——ほんの少しの期待。相反する気持ちがせめぎ合う胸に手を当て深呼吸する。
振り返れば高瀬さんの鋭い瞳が私を捉えていた。
「バックアップサーバーから先に確認しよう。直近のデータと比較するからこっちにデータを渡してくれるか」
淡々とした説明に頷くしかない。
私達は狭いブースの中で背中合わせに作業を始める。キーを叩く音と冷却ファンの音だけが支配する空間。
だけど——彼の背中からは何か別の気配を感じ取ってしまう。理性と本能の境界を曖昧にするような何かを。
不意に高瀬さんが手を止め、私の横に立ち直った。
「疲れたら言ってくれ」
その声音があまりにも真摯だったため、無意識に首を振る。
「大丈夫です」
でも本当は全然大丈夫じゃなかった。だって——この距離感が怖いくらい落ち着かない。心臓がうるさすぎて作業に集中できない。
「ふー……これで終わりか。今何時だ?」
ようやく全てのプロセスが完了した時、既に針は21時を回っていた。
「あとはアップロードするだけだな。お疲れさま、助かったよ」
高瀬さんは笑みを見せつつもどこか探るような視線を送ってくる。まるで私を試すような……
「いえ……それでは後片付けを……」
咄嗟にそう言ってその場を離れようとすると、「待って」と低い声に引き留められた。
「……なにか?」
恐る恐る見上げると、そこにはいつもの冷静な高瀬さんではなく——男としての色香を纏ったひとつの存在があった。
「少し休憩しよう」
サーバー室の隅にはパーティションで区切られた小さな区画に、長机とパイプ椅子が2脚置かれた場所があった。休憩やノートPCでの作業をするためのスペースだ。
そちらへと足を向ける高瀬さんの背中をゆっくりと追う。
ーー本当は拒否できるはずなのに足が勝手に動いた。
高瀬さんはスーツのジャケットを椅子の背にかけ、息を吐きながらネクタイをほどいた。袖のボタンを外して腕まくりする。
普段は隙を見せないこの人がこんなラフな格好をしているのが新鮮でどきりとした。
そして高瀬さんは椅子には座らず、私に言った。
「ここで終わってもいい」
唐突な言葉に戸惑う。
「え?」
「帰るかどうか——森下が決めれば良い」
それはつまり、そういう意味だろうか?
「それは……どういう意味でしょうか?」
分かりやすく困惑すると、高瀬さんはゆっくりと腕を伸ばしてきた。指先が頬に触れる寸前で止まる。その距離感がもどかしくて仕方がない。
「あの夜の続きをするかどうかだ」
単刀直入すぎる問いかけに全身が熱くなった。でも本音を言えばーー私は既に選択肢を選んでいた。だからこそここに残っている。
私は高瀬さんの手のひらにそっと頬を預けた。
意図を飲んでくれた彼は少しだけ手に力を込め、私の頬を包み込む。
「本当に……嫌だったらすぐ言うんだぞ」
確認するような言い回しが逆に私を追い詰める。拒絶しても受け入れても恥ずかしいことこの上ない状況なのに。
「……嫌じゃないです」
消え入りそうな声で答えると彼の目が僅かに細まった。
「わかった」
そして次の瞬間——彼の唇が静かに重ねられた。
最初は触れるだけのソフトなものだった。しかし徐々に角度を変えながら深くなり——ついには舌が侵入してくる。歯列をなぞられる感覚にゾクリとする快感が走った。
「……んっ♡……んふ……ぅ♡」
漏れた吐息を飲み込むようにさらに強く吸われる。唾液が交換されていく生々しさが頭を痺れさせた。
「ふぅン♡……んん……はあっ♡」
抗おうとしても腕ごと抱き寄せられ身動きが取れない。しかも下腹部のあたりに硬いものが当たる感触——それを自覚すると余計に興奮してしまう自分を呪いたくなった。
長い口づけを終えたあとようやく解放された時には膝がガクガク震えていた。
「もう立てない?」
皮肉っぽい台詞に反論しようとしたら今度は体全体を包まれるようなハグ。スーツ越しにもわかる胸板の厚さと体温が伝わってきてどうしようもなく高揚する。
「もっと欲しい?」
耳元で囁かれる低音が首筋を粟立たせる。ダメだ——ここで流されたら本当に戻れなくなる。
「も……もう十分です!」
必死に抵抗したつもりだったけど声は震えていた。
「そうか。じゃあ……やめるか?」
彼はわざとらしく離れようとする素振りを見せる。それが演技だとわかっていても心臓がぎゅっと縮んだ。
それでも私は願いを口にできない。
「また噛んでる」
そう言われて私は唇を嚙んでいることに気付いた。
「素直になれと、この前言っただろう?君はどうしたい?」
今度ははっきりと尋ねられる。私は勇気を出して答えた。
「高瀬さんと……キスがしたいです」
「それだけ?」
微笑み混じりの問いかけが私の内側をくすぐる。
「もっと……触れ合いたい……です」
蚊の鳴くような声だったと思う。でもそれは確かに彼の耳に届いたらしく——再び強い力で引き寄せられた。
服の上から乳房を揉まれると甘い電流が走る。ブラウス越しでも感じる指先の熱さに吐息が零れた。
「……はあっ♡」
「可愛い声だな」
揶揄しながらもその手つきは優しいものだった。焦らすように全体を撫で回されたあとボタンに手がかかる。
「あ……待って……」
制止する声はあまりにも弱々しかった。結局抵抗虚しく胸元が剥き出しになり——晒された肌は羞恥で紅潮していく。
「綺麗だ」
短い賛辞と共に再びキスされた。今度は首筋へ移動していき鎖骨付近にも痕跡を刻まれるような錯覚。舌先でたどるような舐め方をされると反射的に仰け反ってしまう。
「感じてるな」
確認するように告げる彼自身も明らかに昂っている。ズボン越しでも主張しているモノを腿に擦り付けられると鼓動が激しくなった。
やがて手が滑り落ちて内腿を這う。タイトスカートとストッキングの間という微妙な境目を確かめるように指先が蠢く。
「この先も望むなら……森下、自分で」
その一言で頭が真っ白になった。けれど拒む理由などとうに見失っている。
私は高瀬さんから身体を離し、スカートの裾から手を入れた。一瞬のためらいはあったが止まることもできず、ストッキングとショーツを脱ぐ。恥ずかしくてそれ以上は動けなかった。
再び高瀬さんが近づき、そっと内腿に触れる。つぅ、と指先で撫で上げて、露わになった秘所へ直接触れられる感触。湿りを帯びていることがバレてしまう恥辱感すら刺激となった。
「濡れてる」
悪戯っぽく笑われて耳まで赤くなる。でも次の瞬間には膣口周辺を探るような動きが始まり、一気に意識を奪われる。
「んうっ♡」
予期せぬ刺激に膝を曲げてしまった。支えられる形で身体を固定され、そのまま机のふちに腰を掛けさせられる。逃げ場はもうどこにもなかった。
「あっ♡……んんっ♡」
膣口の滑りをクリトリスに塗り付けられて、一段と高い声を上げてしまった。
「ここが良いんだな?」
確信に満ちた声が耳朶を打つ。指先がさらに繊細な動きで敏感な包皮の周縁をなぞり始めた。時折掠めるようにクリトリスの先端へ触れられると背筋に電流が走る。
「やっ♡……それ……だめぇ……っ♡」
涙声で懇願するも高瀬さんは微かに笑みを浮かべただけだった。その余裕のある表情が腹立たしくもあり、同時に恐ろしいほど惹きつけられてしまう。
「ほら、噛まない。駄目ならやめるか?」
無意識の唇への呵責を咎められ、意地悪く尋ねられつつも手は止めない。爪の先で円を描くように淫核を撫で回されれば腰が勝手に跳ねる。
「……やめ……な…いで……♡」
言葉を絞り出せたのは奇跡的だったかもしれない。恥じらいと快楽の狭間で溺れる思考の中、ただひとつ確かな欲望だけが口を突いた。
「よく言えたな」
囁きとともに指の動きが加速する。クリトリス全体を圧迫しながら上下左右へと揉みしだかれ、膣内から溢れる蜜液が太腿まで垂れる。卑猥な水音が狭い空間に響き渡り羞恥心を煽った。
「あっ♡……あっ♡……ああっ♡♡」
声を抑えようとしても無理だった。呼吸が乱れ焦点がぼやける中で次第に意識が遠のいていく。腰奥で疼くような熱が膨張し始めており、それが臨界点に近いことを悟った。
「イきそうか?」
問いかける声音には苛立ちすら感じる。返事すら許されないまま更なる追い打ちが続く。親指と中指で丁寧に皮を剥きあげられ、露出したクリトリスを執拗に擦られるのだ。
「あっ♡あっ♡も、だめっ♡きちゃうっ♡♡だめぇっ♡♡♡」
それが拒絶の言葉ではないのは明白だった。高瀬さんは責める指を止めず、私の耳に顔を寄せる。
熱い息と舌で耳孔をくすぐられて、上から下まで過敏に反応した。
そしてーー
「……イけ」
低い声が脳に届いた瞬間。
「~~~~~っ♡♡♡!!……ふうぅっ♡♡♡」
喉の奥から漏れ出た悲鳴混じりの喘ぎ声とともに全身が弓なりに反る。視界は白濁し脳髄まで甘美な痺れが駆け巡った。秘裂からは大量の愛液が噴出し、足元まで滴っていく。
「イけたみたいだな」
低く唸るような声で告げられると同時に一本の指が膣口へと沈み込む。達したばかりの過敏な粘膜を掻き分けながら入口付近を探られれば、再度絶頂を迎えてしまう可能性すらあった。
「待って♡……まだ……だめっ♡……やぁっ♡」
制止を求めたものの逆効果となり、焦燥感から解放されたばかりの粘膜全体を均等に触れられる。奥行き浅く動かされる指の感触に悶絶しているうち、彼は耳元で囁いた。
「まだこれからだろう?」
そう告げると第二の指が加わり、質量を増した異物感に混乱する暇もないほど掻き混ぜられる。膣内部の天井付近を集中攻撃されると耐え難い愉悦の波に襲われた。
「やぁっ♡ダメ、イったのにっ♡……許して……ぇ♡!」
何度も何度もそこを擦られ、重い痺れが這い上がる。繰り返す絶頂は甘く、気が付けば深い快感をねだるように腰を突き出して揺らしていた。
やめて。
もっと。
限界を超えようとする肉体とは裏腹に、更なる極みを求めている自分が存在しており、矛盾した心理状態へ陥ってしまう。
今私にできることは、その矛盾を噛み締めることだけだった。
「ほら噛むな。舌を出して」
「あっ♡はぁっ♡……んンッ♡…んふぅっ♡」
歯形の付いた下唇を吸われ、伸ばした舌を絡め取られ、閉じ込められる。濃厚な唾液は飲み込む暇もなく、口の端から溢れ出てしまう。
貪るようなキスをしながら、ちゅぽっ♡と高瀬さんは指を抜くと、再びクリトリスを丁寧になぶり始めた。
「んふぅっ♡んむっ♡んぁっ♡」
一度達しているそこは過敏で、濡れているとはいえ指の刺激は強すぎた。
「……いっ!」
「っ、悪い」
思わず引っ込めた舌と小さく上げた声に、高瀬さんはすぐに気付く。クリトリスから指を離し、なだめるように秘裂を優しく撫でてくれた。
「机に寝て」
机のふちに腰掛けていただけの体勢は正直つらいものがあった。言われた通り机に背中を預けると、髙瀬さんは「持ってて」とスカートの裾を私の手に握らせた。
「……?……えっ!あっ、そんなっ」
私が戸惑っている間に高瀬さんは床に膝をつき、幾度もの絶頂に震える秘部に顔を寄せる。捲り上げたスカートの裾で見えないがーー
「はあぁーーっ♡♡」
ぬるりと熱い口内にクリトリスを含まれて、仰け反り喘ぐ。
「やっ……♡ だめっ、それっ♡ ん゛っ♡」
舌先が器用にクリトリスを弾くたび、腰がビクビクと跳ね上がった。膣内に差し込まれた指は入口付近を優しく撫でていたが、突然中指が深く沈み込んだ。
「っ……お゛ぉっ♡!?」
思わず喉から漏れた音に驚き、慌てて口を押さえる。だが遅かった。
「……良い声だな」
低い声とともに、指がグリュッとクリトリスの裏側を押し上げた。
「んひぃっ♡!そ、そこダメですっ♡あ゛っ♡そこばっかり……♡おっ♡んほぉっ♡」
腰が砕けそうになるたびに脚に力が入り、高瀬さんの指が奥へと食い込む悪循環。膣壁がヒクつき始め、またしてもあの感覚が這い上がってくる。
「や……またイくっ♡高瀬さんっ♡もう無理ぃ♡」
「何度でもイけばいい」
無慈悲な宣告と共に、指の動きが加速した。同時に舌がクリトリスを円を描くように舐め回し、時折強く吸い上げる。
「あ゛ぁぁーーっ♡!待って待って♡イクっ♡イっちゃうぅ♡お゛ぉっ♡お゛っ♡!」
身体が大きく弓なりになり、目の前が白く染まる。意識が遠のきかける中、スカートの裾を握りしめた指が緩んでいくのが分かった。
「……はあっ♡……はあっ♡……んん♡……んふぅ♡」
肩で息をしながらぼんやりと高瀬さんを視線で探す。
「ふぅ……」
息を整えた高瀬さんが立ち上がり、ワイシャツの袖を捲り上げる。その仕草だけで胸が高鳴った。ベルトを外す金属音が静寂に響く。
こんなに喫緊の状況ですら慌てる様子もなく、ファスナーを下ろし膨張したものを取り出した。暗闇の中でも分かるほど硬く張り詰めている。その威圧感に喉が渇いた。
「……おっきぃ……♡」
無意識に呟くと、高瀬さんの目が細くなる。
そして私の脚を持ち上げ、間に身体を差し入れる。秘部へ先端が触れた瞬間、電流が走った。
「ぁっ♡」
ゆっくりと入口を探られ、少しずつ押し広げていく感覚。十分に潤っているはずなのに、指との質量の違いに戸惑う。
「力を抜け」
低く響く声に従って深呼吸すると、途端に奥へと突き進んだ。
「あ゛ぁぁぁっ♡♡……お゛ぉぉっ♡♡♡」
根元まで一気に埋められた衝撃に背中が反り返る。同時に膣内がギュゥゥッ♡と収縮し、勝手に絶頂へ駆け上がってしまった。
「っく……!」
高瀬さんの呻き声が聞こえる。苦しげに眉を寄せながらも、腰を止めて耐えている。私はといえば、痙攣する膣壁が彼の形をはっきりと感じ取り、更なる快感を生み出していた。
「……おぉ゛っ♡……ほぉ゛っ♡」
「おい……大丈夫か?」
心配そうな問いかけに首を縦に振るだけで精一杯だ。余韻に浸る暇もなく、高瀬さんの大きな手が私の腰を掴んだ。
「動くぞ」
宣言と同時にゆっくりとした抽送が始まる。一突きごとに全身が震え、喉の奥から嗚咽が漏れる。
「あ゛はぁ♡……ん゛ぅっ♡……あぉ゛っ♡」
丁寧すぎるほど慎重な動きなのに、Gスポットを軽くノックされるたびに脳天まで貫くような悦楽が走る。理性が溶けていくのを感じながら、ただ彼の動きに身を委ねることしかできなかった。
「ひあ゛っ!?♡ やだ……そこっ!♡」
奥へ奥へと進むと、今まで感じたことのない感覚が湧き上がる。高瀬さんの先端が子宮口にたどり着くたび、重い電気が走るような衝撃があった。
「ここが好きなんだな」
低く囁く声が耳朶をくすぐる。その囁きすらも快感に変わる。
「ちがっ……あっ♡ そこダメですっ♡ お゛っ♡ おぉ゛っ♡」
必死に訴えても、高瀬さんは容赦なく同じ場所を攻め続けた。徐々に強くなる抽送。結合部から溢れる蜜音が鼓膜を犯す。
「おほっ♡おん゛っ♡あ゛っ♡あ゛っ♡だ、だめっ♡おねがっ♡お願いっ♡ 止まってぇっ♡ おかしくなるっ♡ なんかっ……変になるぅっ♡」
本能的な恐怖が背筋を走る。しかし身体は正直に反応し、高瀬さんのものを貪欲に締め上げていた。
「変になってもいい」
その一言が引き金となった。次の瞬間、高瀬さんが一気に最奥を突き上げる。
「ーーん゛ほぉぉぉっ!!♡♡♡」
頭が真っ白になる。激しい絶頂が全身を貫き、視界がチカチカと明滅した。膣内が激しく痙攣し、高瀬さんのものを搾り取るように締め上げる。
「くっ……!」
短い呻き声と共に、高瀬さんの身体が硬直した。先ほどは動かずに待っていてくれたが、今度はすぐに抽送が再開される。
「い゛ぅっ!♡い゛ってぅっ!♡♡いまイッてぅからぁっ♡♡待ってぇ゛っ!♡♡♡」
「悪い、待てない」
激しいピストンは止まず、高瀬さんの絶頂の気配を感じる。私は必死で脚を高瀬さんの腰に回し、揺さぶられる視界の中でしがみついた。
「はっ……はっ……イク……ぅっ!」
「お゛ぉっ!♡♡お゛ぉっ!♡……んおぉ゛っ!♡♡♡」
ドクンドクンと脈打つものが、私の最も深いところで爆発する。熱い飛沫が子宮口を叩くたび、新たな絶頂の波が押し寄せた。
(ああ♡……出てる……中に出されてる……♡ )
長い放出が続く間、高瀬さんは私を抱きしめながら、荒い呼吸を繰り返していた。その体温と鼓動が伝わってきて、何故かとても安心する。
深い吐息とともに、高瀬さんがゆっくりと私から離れる。引き抜かれる感覚に背筋が震えた。
「んん゛……っ♡」
中から溢れ出す熱い液体。それは高瀬さんが放ったもので、私の内側を満たしている。初めての感覚に、身体が甘く痺れる。
「大丈夫か?」
優しく問いかけられても、言葉を紡ぐ力がない。机の上で開いたままの脚を閉じることもできず、ただ余韻に身を任せた。全身が火照り、蜜口から滴るものがお尻を伝っていくのを感じていた。
エレベーターのボタンを押すと、1階で止まっていた階数表示が1つずつ増えていく。
ドア横の鏡に映る自分を見てハッとした。急いで整えてはきたが、まだ髪は乱れ、ブラウスの襟元は歪んでいる。慌てて直そうとすると、高瀬さんの手が伸びてきた。
「自分でやりますから!」
思わず身を引いたが、大きな手は既に私の髪に触れていた。指先が優しく髪を梳く感触に胸がざわつく。
「落ち着け。別に襲ったりしない」
冗談めかした口調なのに、目は真剣だった。髪を整え終えた指が、今度は唇に触れる。
「口、痛いか?」
言われて気づく。無意識に噛んでいた下唇に血が滲んでいることに。恥ずかしさで顔が熱くなる。
「……大丈夫、です」
「嘘つけ」
高瀬さんの指が傷口をなぞる。鋭い痛みと共に、奇妙な疼きが全身を走った。
「次からは我慢するな。辛くなったら言ってくれ。約束だ」
言葉の意味を考える間もなく、エレベーターが到着する。
「わかりました」
思わず答えると、高瀬さんの目が僅かに細まった。
微かな機械音と共にドアが開く。深夜のオフィスビルに人影はないが、誰も乗っていないとわかると安心する。
「乗ろう」
促されて狭い箱の中へ。ドアが閉まると高瀬さんがポツリと言った。
「噛みたくなったら俺にキスすればいい」
言われて私は、背伸びしてそっと唇を重ねた。
「ん……」
温かくて柔らかい。さっきまでの激しさとは違う、安心できるキスだった。唇を離すと、高瀬さんが嬉しそうに目を細めている。
「噛みたくなったときだけですか?」
「いいや」
答えながら、今度は高瀬さんからキスしてくれる。離れるのが惜しくてついしがみついてしまう。
「ん……ふぅ……」
1階到着のアナウンスが聞こえてきた。時間切れだ。
唇を離すと同時にドアが開いた。
この前と同じに先に降りる高瀬さん。でも違うのは私の手を握っていること。
嬉しさにちょっとだけ唇を噛みたくなったけど我慢した。
だってこのあと、キスできるから。
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