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第4章
9.繋がっても
しおりを挟む思考まで支配されていることに気付かないまま、ただひたすらソウがわたしの喉奥めがけて腰を突き動かす。ソウの息がだんだんと荒くなってくるのが嬉しい。
しかし、しばらくそれを繰り返していると、感情は麻痺していてもさすがに身体には負担がかかったようで、ソウのものが喉の一番奥に突き当たった瞬間、わたしは思い切りむせ込んでしまった。
「ごほっ!! っは、はあっ……!」
「っ……、ユキちゃん」
「は、ご、ごめんなさいっ……、も、もういっかい、ちゃんとするからっ……」
「なっ……!」
ソウが何か言いかける前に、もう一度自身を咥えこんだ。そして今度は自ら頭を動かして、ソウを満足させようと必死になる。けれど、なぜかソウがわたしの身体を押さえてそれを止めた。
「んっ……! な、なんでっ……?」
「はぁっ……、もう、ええ。下手くそ」
言葉は相変わらず辛辣なのに、なぜか労わるように優しく口付けてくれる。
よかった。嫌われてはいないようだ。
「もう我慢できひんやろから、入れたる。四つん這いなって」
「うっ……は、はい……っ」
四つん這いになれということは、きっと後ろから挿入されるのだろう。その体勢は嫌だと何度も言っているのに。やはりまだソウの怒りは静まってはいないらしい。
緩慢な動きで、どうにか両手をベッドについて腰をソウの方に突き出した。この体勢だと何をされるのかも、ソウの表情すらも分からない。
「……入れんで」
ぼそっと吐き捨てて、その瞬間ゆっくりとソウのものが突きたてられる。じわじわと侵入してくるそれに、身を震わせた。
一気に奥まで突き刺されることを覚悟していたが、意外にもいつものように自身を馴染ませながら挿入してくれる。たったそれだけのことなのに、涙が出るほど嬉しい。
「ふ、ああっ……! そう、ごめっ……ごめんなさっ……!」
「くっ……! そんなんええから、集中しいっ……!」
「あああっ! ん、ふうっ……! そ、うっ、そうぅっ……!」
連続的に責められて、もうまともに言葉も発することができない。
何度もソウの名前を呼びながら、心の中で許しを請う。何度謝ったら、彼に付けてしまった傷を癒せるだろう。
「は、あっ……! ご、め……ごめん、ごめんなさいっ……!」
「……っ、もう、ええって言うてるやろ!」
「きゃあっ!!」
ひたすら謝る姿に苛ついたのか、ソウがわたしの臀部を力任せに叩いた。乾いた音が何度も響く。
その痛みよりも、ソウに叩かれたという事実がわたしの心を深く抉った。
「ごめ、んっ……! はあ、あっ、もう、たたかないでっ……、ごめんなさいぃっ……!」
「っは、こうしてたら、ほんまに躾してるみたいやな……っ、なあ、ユキちゃん?」
「う、ううっ……は、はいっ……」
ソウに叩かれた場所がひりひりと痛む。きっと赤くなっているだろう。
その間もずっとソウのもので弱い所を激しく突かれて、頭の奥がじんじんと痺れるようだ。
こんなひどいことをされているのに、ソウに快感を教え込まれた身体は着々と絶頂に上り詰めていく。
「あ、ああっ、もうっ、も、いっちゃうっ……!」
「あかん。これは、躾なんやから……っ、ボクが許可するまでいったらあかん」
「そんなっ……む、りぃっ……! あっ、いっ、いっちゃうぅ……っ!」
「はぁ……、ぐっ……!」
駄目だと言われたのに、耐えきれずに容易く達してしまう。同時にソウも果てたようで、身体の中にソウのものがどくどくと注がれる感覚がした。
「はあ……あかん、言うたやん……」
「は、はぁっ……ごめ、なさ……っ」
ソウのものが引き抜かれ、支えがなくなったわたしはそのままベッドに倒れ込んだ。普段以上の激しい情交に、身体が悲鳴を上げている。
いつもなら、こうして激しく抱かれたあとは蕩けるくらい甘やかしてくれる。ぎゅっと抱きしめて優しくキスをされると、ソウのすべてを許してしまうのだ。その時間が好きで、恥ずかしい気持ちも苦しいほどの快感にも耐えられるのに、今日はそれがない。
倒れ込んだまま荒い息を吐くわたしには目もくれず、自分だけさっさと夜着を羽織っているソウを見て、絶望にも似た気持ちでただ涙を流した。
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