【R18】仕方ないから、結婚してやる~ツンデレ御曹司と、傷の舐め合い契約婚~

染野

文字の大きさ
35 / 106

34.初夜、しとく?(6)

しおりを挟む
「まあ、いいけど? 晶が調べてきたこと、実践してみてよ」

 顎を上げながら見下ろすように言うと、晶はぐぐっと唇を噛んだ。言葉には出さないが、「可愛くないやつめ」といつものように思っているに違いない。でも、晶にそう思われたところで痛くも痒くもない。むしろ「可愛い」なんて甘いセリフを囁かれた方が鳥肌が立つ。

「ほっ、本当にするからな!? あとで『やっぱり嫌だった』とか言うなよ」
「言わないよーだ。そんなことよりほら、最初は何から始めるの?」

 にやける顔を隠そうともせず、晶を挑発するように言う。彼は険しい顔でそんな私を睨みつけていたが、覚悟を決めたようにごくりと息を吞んで、勢いよく私の体を抱き寄せた。

「わぁっ! あ、晶? ん、んぅっ……!」

 そして次の瞬間には、私と晶の唇はぴったり重なっていた。しかも、先ほどのような触れるだけのキスではなく、舌を入れての濃厚なキスだ。
 私の口内に難なく舌を侵入させた彼は、その勢いのまま激しく唇を貪る。いつの間にか舌を絡め取られると思わず体がびくっと跳ねて、縋るように晶の肩に手を置いた。
 ぴちゃぴちゃと水音がするくらい激しいキスではあるが、歯が当たることはなく不快でもない。晶の熱い舌で上顎をべろりと舐め上げられると、腰のあたりがぞくぞくと震えた。時折漏れる吐息すら官能的に思えて、だんだんと私の呼吸は荒くなっていく。

「はぁっ、ん……! ま、まって、晶っ、ちょっとストップ……っ」
「ん……なんだ。これはだめか」

 ばしばしと肩を叩くと、晶はようやく唇を離してくれた。はあはあと息を乱している私に対して、彼はいつも通りの不服そうな顔でこちらを見つめているだけだ。

「あ、あの……キス、誰かと練習した?」
「はあ!? するわけないだろ、おまえ以外の女に触れないのに!」
「でっ、でも、前と違ってめちゃめちゃ手馴れてなかった!? あ、あんなキスしたくせに、息も乱れてないし!」
「それは……キスするときの息継ぎのタイミング、と検索して調べた通りにやった」

 少しだけ気まずそうに答える晶だが、やり方を調べた程度でここまで変わるものかと目を剥いてしまった。でも、彼が私以外の女性に触れられないということはわかっているから、練習はしていないという発言は確かなのだろう。
 
 思い返せば、晶は昔からかなりの負けず嫌いだった。
 小学校一年生のときには、鉄棒の逆上がりのテストで私の方が先に合格印をもらったというだけで勝手に闘志を燃やし、次の週になると晶はクラスで一人だけ連続逆上がりまでマスターしていたのだ。先週まで逆上がりもままならなかった晶がみんなの前でぐるんぐるんと華麗に回ってみせるのだから、私も驚きのあまり唖然としたことをよく覚えている。
 ちなみに、あとで晶のお母さんに聞いたところ、「美雨に負けるなんてありえない!」と放課後や土日に必死で練習を重ねていたらしい。しかも、手のあちこちにマメができるほど熱心に特訓したのだと言う。その話を聞いた私は、なんて負けず嫌いなやつだろうと子どもながらに呆れたものだ。

 話が逸れたが、とにかく晶は負けず嫌いで、自分のプライドを守るためならどんな努力も惜しまない男なのだ。きっと前にキスをしたとき、動物のように唇をぺろっと舐めることしかできなかったのが相当悔しかったのだろう。
 それに、晶はなんでも一通りはこなせる器用貧乏なところもあるから、一度コツを掴めば大抵のことはできてしまうのだ。晶に翻弄されてしまったことは悔しいが、彼の努力は認めてあげよう。

「美雨。今のキス、あんまりよくなかったか?」
「えっ? あ、いや……まあ、前よりはマシなんじゃない? 六十点くらいかな」

 あえて低めの点数をつけると、晶は神妙な顔つきで「そうか」と頷いた。
 正直なところ、私だって彼に指導ができるほどキスの経験があるわけではない。でも、ここで「私もよくわからない」なんて本当のことを口にしてしまえば優位に立てなくなる。前回の晶とのセックスが楽しかったのは私が完全に主導権を握っていたからであって、彼のいいようにされてしまっては面白くないのだ。

「キスはもういいから。次に進んで」
「わ、わかった……じゃあ、えっと、脱がせてもいいか?」
「うん、いいよ」

 こういうことになると妙に慎重な聞き方をする晶が面白くて、一つずつ丁寧にパジャマのボタンを外していく彼の手元を見ながらこっそり笑う。ここまできたら「脱がせていいか」なんて聞かずにそっと服を剥いでいったほうがスマートだとは思うが、まだ経験の浅い彼にそこまで要求するのは酷だろう。もう少し経験を積んでから教えてあげることにする。
 そんなことを考えているうちに、すべてのボタンを外し終えた晶は私の腕からゆっくりとパジャマを引き抜いた。そして背を支えながらそっとベッドに横たえると、それとほぼ同時にブラジャーを外す。露わになった素肌を前にして彼は一瞬息を呑んだが、自分を奮い立たせるように表情を険しくさせた。

「そんな怖い顔しなくていいのに……」
「こ、怖い顔なんてしてない。集中してるんだ」
「あんまり気を張りすぎないほうがいいんじゃない? 緊張しすぎると勃たなくなるとか言うし」
「うっ……わ、わかってるよ! 美雨は余計なことを言わなくていいから、痛かったり間違ってたりしたときだけ言ってくれ!!」
「理不尽だなぁ」

 ぶつぶつと文句を言う私に構わず、晶は自分の着ていたパジャマをさっと脱いで床に放った。ボクサーパンツ一枚になった彼の大事なところに目をやると、そこはすでに布越しでもわかるほど勃ち上がっている。反応するのが早すぎないか、と思わず口に出したくなるが、それも余計だと怒られそうなのでぐっと口を噤んだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

フェチではなくて愛ゆえに

茜色
恋愛
凪島みなせ(ナギシマ・ミナセ) 26歳 春霞一馬(ハルガスミ・カズマ) 28歳 同じオフィスビルの7階と9階。違う会社で働く男女が、恥ずかしいハプニングが縁で恥ずかしい展開になり、あたふたドキドキする話。 ☆全12話です。設定もストーリーも緩くて薄いです。オフィスラブと謳ってますが、仕事のシーンはほぼありません。 ☆ムーンライトノベルズ様にも投稿しております。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

大好きだった元彼を見返します!!

鳴宮鶉子
恋愛
大好きだった元彼を見返します!!

契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした!

如月 そら
恋愛
「それなら、いっそ契約婚でもするか?」  そう言った目の前の男は椿美冬の顔を見てふっと余裕のある笑みを浮かべた。 ──契約結婚なのだから。 そんな風に思っていたのだけれど。 なんか妙に甘くないですか!? アパレルメーカー社長の椿美冬とベンチャーキャピタルの副社長、槙野祐輔。 二人の結婚は果たして契約結婚か、溺愛婚か!? ※イラストは玉子様(@tamagokikaku)イラストの無断転載複写は禁止させて頂きます

【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!

satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。 働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。 早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。 そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。 大丈夫なのかなぁ?

【完結】エリート産業医はウブな彼女を溺愛する。

花澤凛
恋愛
第17回 恋愛小説大賞 奨励賞受賞 皆さまのおかげで賞をいただくことになりました。 ありがとうございます。 今好きな人がいます。 相手は殿上人の千秋柾哉先生。 仕事上の関係で気まずくなるぐらいなら眺めているままでよかった。 それなのに千秋先生からまさかの告白…?! 「俺と付き合ってくれませんか」    どうしよう。うそ。え?本当に? 「結構はじめから可愛いなあって思ってた」 「なんとか自分のものにできないかなって」 「果穂。名前で呼んで」 「今日から俺のもの、ね?」 福原果穂26歳:OL:人事労務部 × 千秋柾哉33歳:産業医(名門外科医家系御曹司出身)

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end**

ワケあって、お見合い相手のイケメン社長と山で一夜を過ごすことになりました。

紫月あみり
恋愛
※完結! 焚き火の向かい側に座っているのは、メディアでも話題になったイケメン会社経営者、藤原晃成。山奥の冷えた外気に、彼が言い放った。「抱き合って寝るしかない」そんなの無理。七時間前にお見合いしたばかりの相手なのに!? 応じない私を、彼が羽交い締めにして膝の上に乗せる。向き合うと、ぶつかり合う私と彼の視線。運が悪かっただけだった。こうなったのは――結婚相談所で彼が私にお見合いを申し込まなければ、妹から直筆の手紙を受け取らなければ、そもそも一ヶ月前に私がクマのマスコットを失くさなければ――こんなことにならなかった。彼の腕が、私を引き寄せる。私は彼の胸に顔を埋めた……

処理中です...