36 / 106
35.初夜、しとく?(7)
しおりを挟む
「あ、あの、じゃあ……もし、不快だったら教えてほしい」
険しい顔をしたままそう言うと、晶はベッドに寝そべった私の上にそっと覆いかぶさった。
そして再び柔らかいキスを落としたあと、裸の胸をやんわりと揉みしだく。あまりスムーズとはいえないが、変に力が入っていないだけマシだろう。痛みはなく、動物にじゃれつかれているようなくすぐったさしか感じない。
いったい晶はどんな情報源を見て勉強してきたんだろう、とどうでもいいことを考えていると、頬や首筋にキスを落としていた彼がすっと顔を上げる。そして私の顔をじっと見つめたかと思うと、今度は胸元に唇を寄せ、淡く色づいた胸の先端をぺろりと舐め上げた。
「んんっ……!」
突然訪れた甘い刺激に、思わず声が漏れる。とっさに口を押さえたけれど、その声はしっかりと晶の耳にも届いていたらしい。彼は一旦動きを止め、不安そうな顔をしながら私を見つめた。
「悪い、痛かったか?」
「い……いや、痛くはない、けど……」
「なんだ。痛いときだけ教えてくれって言っただろ」
私の返答に、晶はなんだかむっとした顔をしてそう言い放った。
――急にそんなところを舐められたら、誰だって声が出るでしょうが……!
思わず言い返したくなったが、「じゃあ気持ちよかったのか」なんて勘違いをされたらそれはそれで腹立たしい。気持ちよかったわけではなくただの反射でしかないのだと言ったところで、ほぼ童貞の晶には理解しがたいだろう。
そう考えて結局何も言い返せずにいると、彼はもう一度私の胸に顔を近付けて、先ほどより少し硬くなった胸の尖りを舌先でつつく。その刺激にびくっと体が跳ねたけれど、今度はなんとか声を我慢することができた。
「手であれこれしようとすると、どうしても力が入りすぎて女性側に痛みが伴うと書いてあったんだ。だから、できるだけ舌で愛撫したほうがいいと」
「え……」
「美雨はどうだ? 手で触るのと舌で舐めるのとでは、どっちのほうがいい」
この男はなんて答えにくい質問をするのだろう。当の本人は大まじめに聞いているのだろうが、ある意味羞恥プレイに近い。
でも、晶の前で戸惑ったり恥ずかしがったりする姿を見せたくはない。セックスについては私の方が確実に"先輩"なのだ。苦々しく思いながらも、私は平静を装って答えた。
「ま、まあ……どちらかといえば、舐めるほうがいいかな」
「そうか。わかった」
短く答えると、晶は躊躇なく私の胸の先端に舌を這わせた。生温かい舌の感触に思わず身が震えたが、ここで声を出してしまったら晶に負けたような気がして、私は必死に唇を噛みしめる。しかし、そんな私に気付くことなく、彼はまるで飴を舐めるかのような動きでぺろぺろと乳首を刺激した。
「んっ、ふ……っ、う、んんっ……!」
前に私が教えたことをちゃんと覚えているのか、晶は優しい手つきで乳房を持ち上げながらその先端にしゃぶりつく。反対側の乳房も同時にやわやわと揉みしだかれ、全身が甘く痺れてくるような心地がした。
必死に声を我慢しようにも、甘えたような吐息がどうしても漏れ出てしまう。とっさに両手で口を押さえたけれど、そのかすかな声を晶は聞き逃してくれなかった。
「あ……あの、美雨、あんまりそういう声を出されると……」
「なっ……! し、しょうがないでしょ!? これは、自然と出るものなの! 別にっ、晶に舐められるのが特別気持ちいいってわけじゃないから!」
むきになって叫ぶと、晶は眉根を寄せながら「わかってるよ」とつぶやいた。この男は本当にわかってるのか、と訝しみながらも、再び胸の飾りに舌を押し付けられると思わず体が跳ねる。すっかり敏感になってしまった乳首は自分でもわかるほど硬くその存在を主張して、まるで晶に愛撫されるのを喜んでいるかのようだ。
「んぅ、あっ……! う、うぅっ、んっ……!」
「み、美雨、その……声が出そうなら、我慢しなくても」
「がっ、我慢なんてしてないっ……!」
「でも……唇、そんなに噛み締めたら血が出るだろ」
心配そうに言いながら、晶がその無駄に整った顔を徐々に近づけてくる。何をする気だと問う前に、彼の唇はそっと私のそれに触れた。
慈しむような優しい口づけに驚いて、無意識のうちに唇を噛み締める力が緩んだ。その瞬間を狙いすましていたかのように、ついさっきまで私の乳首を舐めまわしていた晶の舌がぬるりと口内に入り込んでくる。
「んっ……! ん、あっ……」
「はぁっ……、美雨……」
ぴちゃ、と淫らな水音が鳴る。口づけはどんどん深いものになり、その間も晶の手は胸への愛撫をやめようとしなかった。
乳房を撫でる手はそのままに、時折遠慮がちに指先が乳首に触れる。そして私が痛がらないことを確認すると、指の腹ですりすりと労わるような動きでそこを擦った。彼の指がぴんと尖った先端に当たるだけで快感をもたらし、だんだんと全身の力が抜けていく。
「んっ……美雨っ……!」
「あ、んんぅっ……あ、晶、それ、もうっ……!」
互いに舌を絡ませ合い、鼻にかかった甘い声で名を呼び合う。これではまるで愛し合っている男女の睦事のようではないか。
晶のトラウマを克服するため、なんて大義名分を掲げておきながら、少し優しく胸に触れられただけで感じてしまっている。これでは、ただ欲求不満を解消するために晶を利用しているみたいだ。
そう思ったら自分がとてもいけないことをしているような気がして、私は体の上に覆いかぶさっている晶の肩を思い切り押し返した。
「もっ……もう、いい! わ、私のことを気持ちよくしようとか、そういうのは考えなくていいから!」
「え……どうしたんだ、急に」
「と、とにかくいいの! それより晶は、女性の体に慣れることだけ考えて! はい、前戯おわりっ!」
突然叫びだした私を、晶が怪訝な顔で見つめてくる。ついさっきまで「セックスしたかったらしてもいいよ」なんて上から目線でものを言っていた女が、急に「前戯はもういい」と拒否するのだから、彼が困惑するのも当然だ。
でも、これ以上晶とこんなふうに触れ合っていたら体が勘違いしてしまいそうになる。彼は確かに私の夫ではあるけれど、それは書類上だけだ。どんなに体を密着させて優しくこの身に触れられたとしても、いつか必ずこの関係は終わる。それなら、宝物のように大切にされながら抱かれる経験なんて今はしたくない。
険しい顔をしたままそう言うと、晶はベッドに寝そべった私の上にそっと覆いかぶさった。
そして再び柔らかいキスを落としたあと、裸の胸をやんわりと揉みしだく。あまりスムーズとはいえないが、変に力が入っていないだけマシだろう。痛みはなく、動物にじゃれつかれているようなくすぐったさしか感じない。
いったい晶はどんな情報源を見て勉強してきたんだろう、とどうでもいいことを考えていると、頬や首筋にキスを落としていた彼がすっと顔を上げる。そして私の顔をじっと見つめたかと思うと、今度は胸元に唇を寄せ、淡く色づいた胸の先端をぺろりと舐め上げた。
「んんっ……!」
突然訪れた甘い刺激に、思わず声が漏れる。とっさに口を押さえたけれど、その声はしっかりと晶の耳にも届いていたらしい。彼は一旦動きを止め、不安そうな顔をしながら私を見つめた。
「悪い、痛かったか?」
「い……いや、痛くはない、けど……」
「なんだ。痛いときだけ教えてくれって言っただろ」
私の返答に、晶はなんだかむっとした顔をしてそう言い放った。
――急にそんなところを舐められたら、誰だって声が出るでしょうが……!
思わず言い返したくなったが、「じゃあ気持ちよかったのか」なんて勘違いをされたらそれはそれで腹立たしい。気持ちよかったわけではなくただの反射でしかないのだと言ったところで、ほぼ童貞の晶には理解しがたいだろう。
そう考えて結局何も言い返せずにいると、彼はもう一度私の胸に顔を近付けて、先ほどより少し硬くなった胸の尖りを舌先でつつく。その刺激にびくっと体が跳ねたけれど、今度はなんとか声を我慢することができた。
「手であれこれしようとすると、どうしても力が入りすぎて女性側に痛みが伴うと書いてあったんだ。だから、できるだけ舌で愛撫したほうがいいと」
「え……」
「美雨はどうだ? 手で触るのと舌で舐めるのとでは、どっちのほうがいい」
この男はなんて答えにくい質問をするのだろう。当の本人は大まじめに聞いているのだろうが、ある意味羞恥プレイに近い。
でも、晶の前で戸惑ったり恥ずかしがったりする姿を見せたくはない。セックスについては私の方が確実に"先輩"なのだ。苦々しく思いながらも、私は平静を装って答えた。
「ま、まあ……どちらかといえば、舐めるほうがいいかな」
「そうか。わかった」
短く答えると、晶は躊躇なく私の胸の先端に舌を這わせた。生温かい舌の感触に思わず身が震えたが、ここで声を出してしまったら晶に負けたような気がして、私は必死に唇を噛みしめる。しかし、そんな私に気付くことなく、彼はまるで飴を舐めるかのような動きでぺろぺろと乳首を刺激した。
「んっ、ふ……っ、う、んんっ……!」
前に私が教えたことをちゃんと覚えているのか、晶は優しい手つきで乳房を持ち上げながらその先端にしゃぶりつく。反対側の乳房も同時にやわやわと揉みしだかれ、全身が甘く痺れてくるような心地がした。
必死に声を我慢しようにも、甘えたような吐息がどうしても漏れ出てしまう。とっさに両手で口を押さえたけれど、そのかすかな声を晶は聞き逃してくれなかった。
「あ……あの、美雨、あんまりそういう声を出されると……」
「なっ……! し、しょうがないでしょ!? これは、自然と出るものなの! 別にっ、晶に舐められるのが特別気持ちいいってわけじゃないから!」
むきになって叫ぶと、晶は眉根を寄せながら「わかってるよ」とつぶやいた。この男は本当にわかってるのか、と訝しみながらも、再び胸の飾りに舌を押し付けられると思わず体が跳ねる。すっかり敏感になってしまった乳首は自分でもわかるほど硬くその存在を主張して、まるで晶に愛撫されるのを喜んでいるかのようだ。
「んぅ、あっ……! う、うぅっ、んっ……!」
「み、美雨、その……声が出そうなら、我慢しなくても」
「がっ、我慢なんてしてないっ……!」
「でも……唇、そんなに噛み締めたら血が出るだろ」
心配そうに言いながら、晶がその無駄に整った顔を徐々に近づけてくる。何をする気だと問う前に、彼の唇はそっと私のそれに触れた。
慈しむような優しい口づけに驚いて、無意識のうちに唇を噛み締める力が緩んだ。その瞬間を狙いすましていたかのように、ついさっきまで私の乳首を舐めまわしていた晶の舌がぬるりと口内に入り込んでくる。
「んっ……! ん、あっ……」
「はぁっ……、美雨……」
ぴちゃ、と淫らな水音が鳴る。口づけはどんどん深いものになり、その間も晶の手は胸への愛撫をやめようとしなかった。
乳房を撫でる手はそのままに、時折遠慮がちに指先が乳首に触れる。そして私が痛がらないことを確認すると、指の腹ですりすりと労わるような動きでそこを擦った。彼の指がぴんと尖った先端に当たるだけで快感をもたらし、だんだんと全身の力が抜けていく。
「んっ……美雨っ……!」
「あ、んんぅっ……あ、晶、それ、もうっ……!」
互いに舌を絡ませ合い、鼻にかかった甘い声で名を呼び合う。これではまるで愛し合っている男女の睦事のようではないか。
晶のトラウマを克服するため、なんて大義名分を掲げておきながら、少し優しく胸に触れられただけで感じてしまっている。これでは、ただ欲求不満を解消するために晶を利用しているみたいだ。
そう思ったら自分がとてもいけないことをしているような気がして、私は体の上に覆いかぶさっている晶の肩を思い切り押し返した。
「もっ……もう、いい! わ、私のことを気持ちよくしようとか、そういうのは考えなくていいから!」
「え……どうしたんだ、急に」
「と、とにかくいいの! それより晶は、女性の体に慣れることだけ考えて! はい、前戯おわりっ!」
突然叫びだした私を、晶が怪訝な顔で見つめてくる。ついさっきまで「セックスしたかったらしてもいいよ」なんて上から目線でものを言っていた女が、急に「前戯はもういい」と拒否するのだから、彼が困惑するのも当然だ。
でも、これ以上晶とこんなふうに触れ合っていたら体が勘違いしてしまいそうになる。彼は確かに私の夫ではあるけれど、それは書類上だけだ。どんなに体を密着させて優しくこの身に触れられたとしても、いつか必ずこの関係は終わる。それなら、宝物のように大切にされながら抱かれる経験なんて今はしたくない。
3
あなたにおすすめの小説
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
Can't Stop Fall in Love
桧垣森輪
恋愛
社会人1年生の美月には憧れの先輩がいる。兄の親友であり、会社の上司で御曹司の輝翔先輩。自分とは住む世界の違う人だから。これは恋愛感情なんかじゃない。そう思いながらも、心はずっと彼を追いかけていた───
優しくて紳士的でずっと憧れていた人が、実は意地悪で嫉妬深くて独占欲も強い腹黒王子だったというお話をコメディタッチでお送りしています。【2016年2/18本編完結】
※アルファポリス エタニティブックスにて書籍化されました。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~
吉沢 月見
恋愛
ひたすら妻を溺愛する夫は50歳の仕事人間の服飾デザイナー、新妻は23歳元モデル。
結婚をして、毎日一緒にいるから、君を愛して君に愛されることが本当に嬉しい。
何もできない妻に料理を教え、君からは愛を教わる。
ワケあって、お見合い相手のイケメン社長と山で一夜を過ごすことになりました。
紫月あみり
恋愛
※完結! 焚き火の向かい側に座っているのは、メディアでも話題になったイケメン会社経営者、藤原晃成。山奥の冷えた外気に、彼が言い放った。「抱き合って寝るしかない」そんなの無理。七時間前にお見合いしたばかりの相手なのに!? 応じない私を、彼が羽交い締めにして膝の上に乗せる。向き合うと、ぶつかり合う私と彼の視線。運が悪かっただけだった。こうなったのは――結婚相談所で彼が私にお見合いを申し込まなければ、妹から直筆の手紙を受け取らなければ、そもそも一ヶ月前に私がクマのマスコットを失くさなければ――こんなことにならなかった。彼の腕が、私を引き寄せる。私は彼の胸に顔を埋めた……
契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした!
如月 そら
恋愛
「それなら、いっそ契約婚でもするか?」
そう言った目の前の男は椿美冬の顔を見てふっと余裕のある笑みを浮かべた。
──契約結婚なのだから。
そんな風に思っていたのだけれど。
なんか妙に甘くないですか!?
アパレルメーカー社長の椿美冬とベンチャーキャピタルの副社長、槙野祐輔。
二人の結婚は果たして契約結婚か、溺愛婚か!?
※イラストは玉子様(@tamagokikaku)イラストの無断転載複写は禁止させて頂きます
【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!
satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。
働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。
早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。
そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。
大丈夫なのかなぁ?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる