エルフになった私とドラゴンになった君

まうる

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prologue

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私は、春の穏やかな朝日に照らされて目を覚ました。

「 んん~…… 」

ゆっくり体を起こしてのびをする。

正直まだ寝ていたいけど、そろそろ起きないとお母さんが起こしに来そうだしな……。

ベッドから降りて、顔を洗うために部屋を出る。

すると、パンの焼ける良い匂いが私の鼻をくすぐった。

この匂いは、私の大好きなお母さんの手作りパンだ。

ちらりとキッチンの方に目を向けると、そこにはやっぱりパンを焼いているお母さんの姿があった。

「 あら、おはよう、カナ。もう少し遅かったら起こしに行くところだったわ 」

私の姿に気付いたお母さんが声をかけてくる。

……ていうか、やっぱりあと少し遅かったらお母さんに叩き起こされていたのか。

………………自力で起きておいて良かった。

というのも、なんていうか、うちの母親の起こし方はちょっと特殊なのだ。

漫画とかでよくある( ? )フライパンとオタマを叩いて起こすのである。

多分これが一番効率の良い起こし方だからそうしているのであろうが、

そんな起こし方をされた日には私の耳はしばらく使い物にならなくなってしまう。

そんなことを考えながらも、私はお母さんに挨拶を返す。

「 おはよう、お母さん 。…………あれ、お父さんは? 」

挨拶を返しつつ、周りを見渡すと、お父さんの姿がないことに気付く。

いつもは私が起きて来る頃にはすでに椅子に座って、朝食が出て来るのを待っているのに。

「 お父さん?ああ、さっき散歩に行って来るって家を出てったわよ 」

「 ……ふーん、お父さんが散歩だなんて珍しいね。朝はいつも家でゆっくりする主義なのに 」

「 まあ、たまには良いんじゃないかしら。そういう気分だったのよ、きっと。

     さ、カナも話してないでさっさと顔を洗って着替えて来なさいな。もうすぐご飯ができるわよ。

     今日はカナの大好きなお母さん特製のパンもあるんだから! 」

お母さんはそういうと、朝食の準備の続きに取り掛かった。

私はお父さんが散歩に行った、ということにひっかりつつも、とりあえず顔を洗おうと思い、

『 外にある井戸 』へと向かった。

井戸の前に立ち、井戸の中にためてある水に自分を写すと、

そこには前世の自分とは似ても似つかぬ、耳の尖った綺麗な顔をした自分が写っていた_____________。
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