ズボラな私の異世界譚〜あれ?何も始まらない?〜

野鳥

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7 ルー兄のイケメンめ!

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午前中は父親のサンドが、魔法で収穫出来る!とはしゃぎすぎていつの間にか昼になり、午後に残りの野菜の種類を教えて貰っていると、ルー兄が帰ってきた。

「セラ、ただいま」
「おかえりなさい、ルー兄」

自然と頬にキスをしてくるルー兄。挨拶だから当たり前なんだけど、ルー兄の顔が良すぎて無駄に照れてしまう。

「おかえりカール」
「ただいま父さん」

両手を広げて何かを待っているサンドを華麗にスルーしたカールは、セラに今日の魔法の説明をし始める。

「初めに魔力操作を覚えなきゃね。身体の中にある魔素を意識してみて。見つかったら身体の中をぐるぐると巡るようにするんだよ」
「わかった」

キター!魔素!これぞ魔法の入門編!

身体の中の魔素……チャ〇ラか。

いかんいかん、集中集中。

丹田を意識して……お、熱くなってきた。これかな?


「いいよ、セラ。今お腹が熱くなってるね。それが魔素だよ」

ルー兄は他人の魔力が見えるのかな?

「じゃあぐるぐる回してみようか」

血液循環みたいな?お腹に集まったのを肺から左腕に、戻して左足~、んで右足に行って右腕~、肺に戻して頭~、もいっちょ左腕~。

こうしてぐるんぐるん回していると、なかなか疲れる。

汗を流しながらぜえぜえと息を荒く吐き出し、それでもぐるんぐるん回していると、ルー兄が優しく頬を両手で包み込んだ。

「もういいよ。頑張ったねセラ」
「んにゃ?」

ルー兄に触れられた途端、フッと力が抜けた。
ぐるんぐるん回っていた魔素も止まり、緩やかに身体中に溶けていく。

「ふぇ…つか、れたぁ…」
「お疲れ様、お姫様」

ふにゃりと力が抜けたセラを、カールが優しく抱きとめ、お姫様抱っこで木陰まで運び、そのままの状態でカールは座った。

汗をかいた額や首筋をハンカチで優しく拭ってくれるのは嬉しいんだけど、めちゃくちゃ恥ずかしいです…。


イケメンめぇ…………すき。



爽やかな風が木の葉を揺らしながら通り過ぎていくのをぼーっと眺めていると、ルー兄が私の額に手を当てて「ヒール」と唱えた。
途端、身体の疲労感が抜け、頭も身体もスッキリする。え?なんで生活魔法以外使えるの?

「ルー兄、今のなに?」
「今のは回復魔法だよ」
「……お父さん、平民は生活魔法しか習わないって言ってたよ?」

ルー兄ってばどこで教わったの??

「平民の学校ではね。ファイアー、ウォーター、ライトだけしか訓練しないよ。でも歴史は習うからね。独学ってやつかな」

マジか。ルー兄ってば頭良すぎでしょ。

「普通に考えておかしいと思わない方がおかしいんだよ。王族や貴族が使えて、なんで平民が使えないのか。同じ人間なのにね?だから自主的に練習してみたんだよ。だから魔法の開発はお手の物だよ。
さて、俺の天使は何がしたいのかな?」

ふおおおおっ目がっ目がぁっっ!

目が潰れるほどの眩しい笑顔で微笑んでいるルー兄には私の考えなんてお見通しか…。

「苦くないおやさいを作れたらなぁって…おやさいの中の甘いのをたくさん増やせば、美味しいのになぁって思ったの」
「ふふ、そうか。セラは苦くて食べられなかったもんね」
「うん、美味しいおやさいになったらみんなも喜ぶでしょ?魔法で何とかならないかなーって」

ちらりと上目遣いで、ルー兄に訴えてみる。

「……わかった。俺が作ってみるよ。作物に魔法なんて発想は無かったからね。楽しそうだ」
「ほんと!?ありがとうルー兄!私も手伝うから一緒に頑張ろうね!」

よっしゃあ!鬼に金棒だー!



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