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10 スタジオのアフロディーテですわ〜!
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食。
食とは須らく生きとし生けるものに必要なもの。
贅沢に慣れきってしまった私の(前世)舌では、この世界の食事のなんとも味気ないものか。
だがしかし、私だってそんなに料理が得意という訳ではない。会社と自宅の往復の人生だった私におしゃれな料理教室に通うなんて選択肢などもなく、単に家庭料理~基礎から応用編~の間くらいの実力しかないのも自覚している。
料理を作るのは好きだけど、片付けるのが面倒くさくてあまり作ってこなかった……が………しょうがない。これは私にしか出来ないことだから。
美味しいを知っている私しか……!!
とまあ、長々と失礼しました。
シリアスぶってみたけどシリアスは難しいわ。
でも気合いを入れないとやってられないことってあるよね。
「………お母さん、わたしね、美味しいお料理知ってるの」
「セラ?」
「レミィさんのカフェの新メニュー、作れるだけわたしも作っていい?」
唐突にこんな事を言われたって普通のご家庭では「何言ってるのよ?」と取り合ってはくれないだろう。
「もちろんよ!わあ~セラのお料理楽しみ!」
ママン…ありがとう…でももう少し人を疑うことを覚えた方がいいぜ…。
これが初めてのお手伝いだと言うことをママンは忘れているのだろうか…?
「じゃあポテーのお料理からね」
マヨネーズはクリアしたからポテトサラダを作ろう。コロッケもパンに挟めるし、油を使うならポテチやフライドポテトも鉄板だよね。
そうしてポテーを使った料理を披露した。料理の過程は省くのです。めんどい。あ、さすがに火と油を使うのはママンがやってくれました。
「うわっ何これ?どうしたの母さん?」
スー兄が帰宅した時には、テーブルの上に乗せきれないほどのポテー料理やサンドウィッチが並べられていて、その光景に目を真ん丸くして驚いていた。
「セラちゃんの考えたメニューよ。凄く美味しいんだから!」
セラが作っては味見を繰り返していた母親はルイスに嬉々として説明をしているが、余程お腹がすいているのか、ルイスの視線はテーブルの上から動かない。
「セラが作った…?」
ようやく動いたと思ったら、こちらをガン見してきた。
そりゃそうだ。
「何でセラが作れるの?」
ごもっともです。スー兄の方が常識あったよ、ママン。
「えーと、天啓かな(笑)」
「へえー」
「テンケイさんに教えてもらったの?」
ルイスは感心したようにうなずき、ウィルーシャはどちら様かしら?と首を傾げている。
あうっ。セラちゃんジョークを真剣にとらないで。ボケ殺しぃ。
「ただいま~って今日は豪華だなぁ!」
「セラ、粗方種の方は改良出来たよ……って何だいこれ?」
サンドとカールが畑から帰ってきて、テーブルの上の料理を見て驚いたので、とりあえず同じ説明をしておいた。
パパンの方はニッコニコで凄いなぁー!と予想通り。ルー兄の方は目を見開いた後、こちらをじーっと穴が空くんじゃないかと思うくらい見つめてきた。いやん。
いや、めっちゃ見てくる。
「セラ」
「ふぁい!?」
ルー兄怖いよ!
「言いたいことは、たっっっくさんあるけど、怪我だけはしないように気を付けるんだよ」
「あ、はい」
つい真顔で返事しちゃったよ。だって茶化したらめちゃくちゃ怒られそうだったんだ…。
さて、皆揃ってテーブルに着き、いただきますをしてからが戦争だった。
ルー兄とママンは全ての料理を手早く自分の皿に盛り、スー兄とパパンは気になった物を一品取り分けて口に含むと、ピシリと固まったと思ったら猛烈に食べ始めた。
ちなみに、食事の出し方は大皿に盛って各自食べたい物を取り分けていくスタイルだ。全てを小分けしていたら皿が足りなくなるので。
「何だこれ!すげぇ美味い!」
「うおお!ポテーが!ポテーがこんなにも旨くなるのか!!」
「これは驚いた…セラと一緒に作ったポテーだからこその味だね」
「セラちゃん天才でしょ!」
「サンドウィッチも美味しいからお父さんもスー兄も食べてね」
「「さんどうぃっち?」」
「うふふ、私のパンとあなたの野菜で作ったからサンドウィッチって名前をセラが付けてくれたのよ。素敵でしょ」
「なんだか照れるな…」
「私たちの愛のサンドウィッチよ~」
「愛のサンドウィッチ…いい名前だ」
わあ。イチャコラし始めたぁ。
「セラ!こんなにも料理が上手だったんだな!今すぐオレの嫁になってくれ!」
「ルイス…?」
「あはは~スー兄ってば冗談上手いんだから~」
やめて。ルー兄の瞳孔開いてるから。
「冗談じゃねーって。なあセラ、オレじゃあダメか…?」
ひえっ無駄に色気出し始めた!
普段は乱暴な言葉遣いだから意識しないけど、スー兄は線の細い美人さんだ。流し目で見られると9歳とは思えない色気がぁ!!
ってほんとなんでこの言葉遣いで美人さんなんだよ!?外見詐欺だよ!これで脳筋とか間違ってるよ!!儚げな美人さんは腹黒で参謀タイプじゃないのか!?
黙っていると眼福なのに…喋ると視界の暴力って言葉がピッタリです。
はあ~。どうやら私の両脇で兄弟喧嘩勃発みたいです。
目の前では夫婦のイチャコラがまだまだ続いていて、食卓の空気はカオスになっています。
え~、以上現場のセラがお送り致しました。
スタジオにお返し致しまーす。
********
ママンの「セラ」「セラちゃん」呼びはママンの気分でコロコロ変わります。意味は無いです。
食とは須らく生きとし生けるものに必要なもの。
贅沢に慣れきってしまった私の(前世)舌では、この世界の食事のなんとも味気ないものか。
だがしかし、私だってそんなに料理が得意という訳ではない。会社と自宅の往復の人生だった私におしゃれな料理教室に通うなんて選択肢などもなく、単に家庭料理~基礎から応用編~の間くらいの実力しかないのも自覚している。
料理を作るのは好きだけど、片付けるのが面倒くさくてあまり作ってこなかった……が………しょうがない。これは私にしか出来ないことだから。
美味しいを知っている私しか……!!
とまあ、長々と失礼しました。
シリアスぶってみたけどシリアスは難しいわ。
でも気合いを入れないとやってられないことってあるよね。
「………お母さん、わたしね、美味しいお料理知ってるの」
「セラ?」
「レミィさんのカフェの新メニュー、作れるだけわたしも作っていい?」
唐突にこんな事を言われたって普通のご家庭では「何言ってるのよ?」と取り合ってはくれないだろう。
「もちろんよ!わあ~セラのお料理楽しみ!」
ママン…ありがとう…でももう少し人を疑うことを覚えた方がいいぜ…。
これが初めてのお手伝いだと言うことをママンは忘れているのだろうか…?
「じゃあポテーのお料理からね」
マヨネーズはクリアしたからポテトサラダを作ろう。コロッケもパンに挟めるし、油を使うならポテチやフライドポテトも鉄板だよね。
そうしてポテーを使った料理を披露した。料理の過程は省くのです。めんどい。あ、さすがに火と油を使うのはママンがやってくれました。
「うわっ何これ?どうしたの母さん?」
スー兄が帰宅した時には、テーブルの上に乗せきれないほどのポテー料理やサンドウィッチが並べられていて、その光景に目を真ん丸くして驚いていた。
「セラちゃんの考えたメニューよ。凄く美味しいんだから!」
セラが作っては味見を繰り返していた母親はルイスに嬉々として説明をしているが、余程お腹がすいているのか、ルイスの視線はテーブルの上から動かない。
「セラが作った…?」
ようやく動いたと思ったら、こちらをガン見してきた。
そりゃそうだ。
「何でセラが作れるの?」
ごもっともです。スー兄の方が常識あったよ、ママン。
「えーと、天啓かな(笑)」
「へえー」
「テンケイさんに教えてもらったの?」
ルイスは感心したようにうなずき、ウィルーシャはどちら様かしら?と首を傾げている。
あうっ。セラちゃんジョークを真剣にとらないで。ボケ殺しぃ。
「ただいま~って今日は豪華だなぁ!」
「セラ、粗方種の方は改良出来たよ……って何だいこれ?」
サンドとカールが畑から帰ってきて、テーブルの上の料理を見て驚いたので、とりあえず同じ説明をしておいた。
パパンの方はニッコニコで凄いなぁー!と予想通り。ルー兄の方は目を見開いた後、こちらをじーっと穴が空くんじゃないかと思うくらい見つめてきた。いやん。
いや、めっちゃ見てくる。
「セラ」
「ふぁい!?」
ルー兄怖いよ!
「言いたいことは、たっっっくさんあるけど、怪我だけはしないように気を付けるんだよ」
「あ、はい」
つい真顔で返事しちゃったよ。だって茶化したらめちゃくちゃ怒られそうだったんだ…。
さて、皆揃ってテーブルに着き、いただきますをしてからが戦争だった。
ルー兄とママンは全ての料理を手早く自分の皿に盛り、スー兄とパパンは気になった物を一品取り分けて口に含むと、ピシリと固まったと思ったら猛烈に食べ始めた。
ちなみに、食事の出し方は大皿に盛って各自食べたい物を取り分けていくスタイルだ。全てを小分けしていたら皿が足りなくなるので。
「何だこれ!すげぇ美味い!」
「うおお!ポテーが!ポテーがこんなにも旨くなるのか!!」
「これは驚いた…セラと一緒に作ったポテーだからこその味だね」
「セラちゃん天才でしょ!」
「サンドウィッチも美味しいからお父さんもスー兄も食べてね」
「「さんどうぃっち?」」
「うふふ、私のパンとあなたの野菜で作ったからサンドウィッチって名前をセラが付けてくれたのよ。素敵でしょ」
「なんだか照れるな…」
「私たちの愛のサンドウィッチよ~」
「愛のサンドウィッチ…いい名前だ」
わあ。イチャコラし始めたぁ。
「セラ!こんなにも料理が上手だったんだな!今すぐオレの嫁になってくれ!」
「ルイス…?」
「あはは~スー兄ってば冗談上手いんだから~」
やめて。ルー兄の瞳孔開いてるから。
「冗談じゃねーって。なあセラ、オレじゃあダメか…?」
ひえっ無駄に色気出し始めた!
普段は乱暴な言葉遣いだから意識しないけど、スー兄は線の細い美人さんだ。流し目で見られると9歳とは思えない色気がぁ!!
ってほんとなんでこの言葉遣いで美人さんなんだよ!?外見詐欺だよ!これで脳筋とか間違ってるよ!!儚げな美人さんは腹黒で参謀タイプじゃないのか!?
黙っていると眼福なのに…喋ると視界の暴力って言葉がピッタリです。
はあ~。どうやら私の両脇で兄弟喧嘩勃発みたいです。
目の前では夫婦のイチャコラがまだまだ続いていて、食卓の空気はカオスになっています。
え~、以上現場のセラがお送り致しました。
スタジオにお返し致しまーす。
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ママンの「セラ」「セラちゃん」呼びはママンの気分でコロコロ変わります。意味は無いです。
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