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姫様、静かなスローライフを望んだらベリーハードだった件
姫様、ハエと間違えられた転生者と出会う
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超高級メロンソーダがあっという間になくなってしまったものの、作れることがわかったのは大きな収穫。
「姫様。またメロンを取ってきましょうか?」
ご満悦のオカリナが言い出した。
森にどうしてメロンがあるのかわからないが、食べたいことに変わりはない。
素直に答えると、嬉しそうに家を出て行った。
「では俺も炭酸水という物を作ってきます」
アクアも家を出て行った。
一人でテーブルとイスしかないリビングで再び待つのも退屈なので、外に出て元盗賊団達による建築状況を見にいくことにした。
様々な建物を建築してる中、一際目立つ大きな建物が目に入った。ほぼ完成しているように見える。
「あ、姫様!」
盗賊団にいたんであろう中年の男が私に気づいて声をかけてきた。
「プリンセス・サーバンツの受付所がもうすぐ完成します!」
「内見することできる?」
「はい。どうぞ!」
中に入ると内装はまだだが、将来屋敷になりそうなのは建築未経験の私でもわかる。
かつて注文住宅を建てた友人夫婦が、今が一番楽しい時期と言っていた気持ちが今ならわかる気がする。
あの時は離婚してしまえばいいと妬んだりもしたものだが。
ここで、プリンセス・サーバンツとして登録して仕事を引き受けるのね。で、あっちで仕事完了の報告と報酬の受け渡し。うん。まるで異世界のハローワーク!
妄想が広がる。
しかし、建物は出来ても人材不足は深刻だ。プリンセス・サーバンツは種族を問わず登録できるようにしたい。
絶滅危惧種と言われる魔族のみならず、人間、亜人種、エルフ、ドワーフ。何でも来いだ。
人口が増えれば経済が回る。経済が回れば村が豊かになる。私はそこから少しだけいただいて、働かずに、ぐうたらしたスローライフを送る。
私は転生する時に三つの望みを天使に伝えた。
お姫様扱いされること。
かわいい容姿。
そしてスローライフ!
ようやくこの望みが叶いそうだ。
「姫様。ここにおられましたか。メロンを取りに行ったら、この女が泥棒扱いしてきた挙句、生意気にも反抗してきたので捕縛してきました」
相変わらず妄想を遠慮なくぶち壊してくるオカリナが、縄でぐるぐる巻きにした女性を引きずって戻って来た。
女性は酷い扱いをされたのか気を失っている。
「泥棒扱いっていうか、泥棒したと思うよ? 強いて言えば今は罪が重くなって強盗致傷、拉致監禁のカルテットね」
あんな高級メロン。森に落ちているわけがない。やはり栽培されていたのだ。
オカリナはショックを受けているみたいだが、反省をしている様子はない。
「おーい。生きてる?」
私は女性の頬を軽く叩くが返事がないので、額に「中」とか「未」とか書きたくなってきた。
「!!」
私の考えに何か嫌な予感を察したのか、女性は目を覚ますと、私に向かって
「あんたが盗賊団の親玉? 縄解いてほしいんだけど」
縄に巻かれたまま暴れ出した。
「オカリナ。とりあえず柱に吊り下げてくれない?」
「かしこまりました。姫様」
蓑虫みたいにぶら下げられた女性。まるで蓑虫である。
年齢は二十歳前後。薄い黄色のショートヘア。人間ではありそうだが、街にいたような感じではない。街以外だとこういう人間もいるのだろうか?
「おろしなさいよ。一度だけなら間違いかもって見逃してあげたのに味をしめやがって。苦労してやっと出来たのに!」
ぶらんぶらんと揺れているのが、なんとなく間抜けである。
「姫様。無礼な奴です。抹殺しましょう」
「ダメよ。悪いのはこっちなんだから。こういうのはきちんと謝罪しないといけないわ、ま、今回命令したのは私なんだから、私が謝るべきよね」
「しかし姫様が謝る必要はございません。ここは私が謝罪という名の混乱の状態異常を付与して、誤魔化すべきです」
「つまり、人間なんかに頭なんか下げたくないって言いたいんでしょ?」
「そうです!」
「オカリナ。種族問わず悪いことをしたらごめんなさいができないと、争いは絶えないし、自らの成長もないわ」
「姫様。この悪魔大元帥オカリナ。感服致しました! 私が謝ることに致します!」
オカリナは女性に近寄ると、鎌を手に取り刃を彼女の首につけて、
「許すのと殺されるの。好きな方を選ばせてやろう」
女性は涙を浮かべながらも叫ぶ。
「何その選択! あんた馬鹿じゃないの? あの子に言われたことなにも理解してないじゃない!」
「私が姫様の言葉を理解していないだと!」
今日一番ショックを受けているようだ。
なんか二次クレームが起きるのを容易に想像できたので私はぶら下げられている女性のところに謝りに行くと、
「毒キノコしか生えてない森に飛ばされた挙句、やっと自家栽培出来たと思って喜んでいたら、運命の出会いがこいつらって、なんでこんな異世界転生がハードモードなんだよ」
と、一人でブツブツ文句を言っていた。
「あんた転生者?」
謝るのも忘れて聞いてしまった。
「そうだよ! 夏休みに部屋にハエが入ってきて、ハエ叩きで叩いたら天使がアタイを死んだと間違えて天国に連れて行かれたんだよ!」
天使。間違い多すぎね?
しかも相変わらず、ひどい死亡理由。
それでもゴキブリよりマシか?
「で、転生させるから三つ願いを言えっていうから思ったことを言ったから、楽園生活が出来ると思ったのに、いきなりサバイバル生活を始めさせられたんだよ!」
うん。気持ちわかるよ。
「ちなみに、三つの願いって?」
「刺激がある毎日を過ごしたい。お金に困りたくない。ついでに運命の出会いをしたい」
毒キノコしか生えていない森。
通貨を必要としない森。
森には私たちが住んでいる。
「願い叶ってるじゃん!」
「アタイが思ってたのと違う!」
「まぁ、私たちが運命の出会いと腹を括るしかないんじゃないかな」
「金持ちのイケメンが良かったのに! ってもういいわ。ここ日本じゃなさそうだもの。アタイの常識を押し付けるのもナンセンスだと思ってきたわ」
暴れる様子もなかったので、縄を解くと力尽きたように座り込んだ。
「とりあえず食べる?」
私がカットされたメロンを差し出すと、
「食べるも何も私が作ったメロン!」
「これどうやって作ったの?」
「食べる物に困って森を彷徨っていたら、変わった男が畑を耕していて、一方的に事情を説明したら無言で畑を譲ってくれたのよ。そのまま引き継いで耕していたら何故か食べたい物が出来るんだ。で、試しにメロンを想像しながら耕してたら出来たんだ」
話を黙って聞いていたオカリナが、
「姫様。おそらく変わった男とは土の四天王サムスですね。趣味が農業でしたので人間には危害を与えていませんでした。冒険者ギルドにも名がなかったのはそのためかと」
「え、彼を知っているのか? 彼は命の恩人だ。ぜひお礼を言いたい!」
「まず言っておく。我々も彼も魔族だ」
「魔族? 盗賊団じゃなくて? 本当に異世界なんだ」
「盗賊団じゃない。魔族だ。そしてこちらこそ魔族の姫君、ミナエ様だ。高い志で世界征服を目指しておられる」
いや。目指してないけど。
「そして姫様の今の支配領域はこの森全て」
いつから!?
多分生きてから一番ビックリした顔をしていたであろう私。
「マジで? アタイ、人の森で畑耕してたの?」
信じるな。
「知らなかったなら仕方がない。貴様も姫様の元で働くなら使用を認めようではないか。いいですよね? 姫様」
え?
これ、ダメとは言えないやつじゃないか。
「まぁいいんじゃない?」
「ありがとう! アタイ、あの畑がないと食べていけないから!」
こうして名前すら知らない人がいつの間にか、というか勝手に、しもべが増えたのであった。
家に帰って、どっと疲れが出て私はリビングのテーブルに突っ伏した。
「姫様。これでメロンが堂々と食べられますね。あの女、チヒロといいましたか。三日に一個出来るから取りに来いと言ってました」
「ちゃんとお礼持って行きなさいよ」
「姫様。またメロンを取ってきましょうか?」
ご満悦のオカリナが言い出した。
森にどうしてメロンがあるのかわからないが、食べたいことに変わりはない。
素直に答えると、嬉しそうに家を出て行った。
「では俺も炭酸水という物を作ってきます」
アクアも家を出て行った。
一人でテーブルとイスしかないリビングで再び待つのも退屈なので、外に出て元盗賊団達による建築状況を見にいくことにした。
様々な建物を建築してる中、一際目立つ大きな建物が目に入った。ほぼ完成しているように見える。
「あ、姫様!」
盗賊団にいたんであろう中年の男が私に気づいて声をかけてきた。
「プリンセス・サーバンツの受付所がもうすぐ完成します!」
「内見することできる?」
「はい。どうぞ!」
中に入ると内装はまだだが、将来屋敷になりそうなのは建築未経験の私でもわかる。
かつて注文住宅を建てた友人夫婦が、今が一番楽しい時期と言っていた気持ちが今ならわかる気がする。
あの時は離婚してしまえばいいと妬んだりもしたものだが。
ここで、プリンセス・サーバンツとして登録して仕事を引き受けるのね。で、あっちで仕事完了の報告と報酬の受け渡し。うん。まるで異世界のハローワーク!
妄想が広がる。
しかし、建物は出来ても人材不足は深刻だ。プリンセス・サーバンツは種族を問わず登録できるようにしたい。
絶滅危惧種と言われる魔族のみならず、人間、亜人種、エルフ、ドワーフ。何でも来いだ。
人口が増えれば経済が回る。経済が回れば村が豊かになる。私はそこから少しだけいただいて、働かずに、ぐうたらしたスローライフを送る。
私は転生する時に三つの望みを天使に伝えた。
お姫様扱いされること。
かわいい容姿。
そしてスローライフ!
ようやくこの望みが叶いそうだ。
「姫様。ここにおられましたか。メロンを取りに行ったら、この女が泥棒扱いしてきた挙句、生意気にも反抗してきたので捕縛してきました」
相変わらず妄想を遠慮なくぶち壊してくるオカリナが、縄でぐるぐる巻きにした女性を引きずって戻って来た。
女性は酷い扱いをされたのか気を失っている。
「泥棒扱いっていうか、泥棒したと思うよ? 強いて言えば今は罪が重くなって強盗致傷、拉致監禁のカルテットね」
あんな高級メロン。森に落ちているわけがない。やはり栽培されていたのだ。
オカリナはショックを受けているみたいだが、反省をしている様子はない。
「おーい。生きてる?」
私は女性の頬を軽く叩くが返事がないので、額に「中」とか「未」とか書きたくなってきた。
「!!」
私の考えに何か嫌な予感を察したのか、女性は目を覚ますと、私に向かって
「あんたが盗賊団の親玉? 縄解いてほしいんだけど」
縄に巻かれたまま暴れ出した。
「オカリナ。とりあえず柱に吊り下げてくれない?」
「かしこまりました。姫様」
蓑虫みたいにぶら下げられた女性。まるで蓑虫である。
年齢は二十歳前後。薄い黄色のショートヘア。人間ではありそうだが、街にいたような感じではない。街以外だとこういう人間もいるのだろうか?
「おろしなさいよ。一度だけなら間違いかもって見逃してあげたのに味をしめやがって。苦労してやっと出来たのに!」
ぶらんぶらんと揺れているのが、なんとなく間抜けである。
「姫様。無礼な奴です。抹殺しましょう」
「ダメよ。悪いのはこっちなんだから。こういうのはきちんと謝罪しないといけないわ、ま、今回命令したのは私なんだから、私が謝るべきよね」
「しかし姫様が謝る必要はございません。ここは私が謝罪という名の混乱の状態異常を付与して、誤魔化すべきです」
「つまり、人間なんかに頭なんか下げたくないって言いたいんでしょ?」
「そうです!」
「オカリナ。種族問わず悪いことをしたらごめんなさいができないと、争いは絶えないし、自らの成長もないわ」
「姫様。この悪魔大元帥オカリナ。感服致しました! 私が謝ることに致します!」
オカリナは女性に近寄ると、鎌を手に取り刃を彼女の首につけて、
「許すのと殺されるの。好きな方を選ばせてやろう」
女性は涙を浮かべながらも叫ぶ。
「何その選択! あんた馬鹿じゃないの? あの子に言われたことなにも理解してないじゃない!」
「私が姫様の言葉を理解していないだと!」
今日一番ショックを受けているようだ。
なんか二次クレームが起きるのを容易に想像できたので私はぶら下げられている女性のところに謝りに行くと、
「毒キノコしか生えてない森に飛ばされた挙句、やっと自家栽培出来たと思って喜んでいたら、運命の出会いがこいつらって、なんでこんな異世界転生がハードモードなんだよ」
と、一人でブツブツ文句を言っていた。
「あんた転生者?」
謝るのも忘れて聞いてしまった。
「そうだよ! 夏休みに部屋にハエが入ってきて、ハエ叩きで叩いたら天使がアタイを死んだと間違えて天国に連れて行かれたんだよ!」
天使。間違い多すぎね?
しかも相変わらず、ひどい死亡理由。
それでもゴキブリよりマシか?
「で、転生させるから三つ願いを言えっていうから思ったことを言ったから、楽園生活が出来ると思ったのに、いきなりサバイバル生活を始めさせられたんだよ!」
うん。気持ちわかるよ。
「ちなみに、三つの願いって?」
「刺激がある毎日を過ごしたい。お金に困りたくない。ついでに運命の出会いをしたい」
毒キノコしか生えていない森。
通貨を必要としない森。
森には私たちが住んでいる。
「願い叶ってるじゃん!」
「アタイが思ってたのと違う!」
「まぁ、私たちが運命の出会いと腹を括るしかないんじゃないかな」
「金持ちのイケメンが良かったのに! ってもういいわ。ここ日本じゃなさそうだもの。アタイの常識を押し付けるのもナンセンスだと思ってきたわ」
暴れる様子もなかったので、縄を解くと力尽きたように座り込んだ。
「とりあえず食べる?」
私がカットされたメロンを差し出すと、
「食べるも何も私が作ったメロン!」
「これどうやって作ったの?」
「食べる物に困って森を彷徨っていたら、変わった男が畑を耕していて、一方的に事情を説明したら無言で畑を譲ってくれたのよ。そのまま引き継いで耕していたら何故か食べたい物が出来るんだ。で、試しにメロンを想像しながら耕してたら出来たんだ」
話を黙って聞いていたオカリナが、
「姫様。おそらく変わった男とは土の四天王サムスですね。趣味が農業でしたので人間には危害を与えていませんでした。冒険者ギルドにも名がなかったのはそのためかと」
「え、彼を知っているのか? 彼は命の恩人だ。ぜひお礼を言いたい!」
「まず言っておく。我々も彼も魔族だ」
「魔族? 盗賊団じゃなくて? 本当に異世界なんだ」
「盗賊団じゃない。魔族だ。そしてこちらこそ魔族の姫君、ミナエ様だ。高い志で世界征服を目指しておられる」
いや。目指してないけど。
「そして姫様の今の支配領域はこの森全て」
いつから!?
多分生きてから一番ビックリした顔をしていたであろう私。
「マジで? アタイ、人の森で畑耕してたの?」
信じるな。
「知らなかったなら仕方がない。貴様も姫様の元で働くなら使用を認めようではないか。いいですよね? 姫様」
え?
これ、ダメとは言えないやつじゃないか。
「まぁいいんじゃない?」
「ありがとう! アタイ、あの畑がないと食べていけないから!」
こうして名前すら知らない人がいつの間にか、というか勝手に、しもべが増えたのであった。
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