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姫様、静かなスローライフを望んだらベリーハードだった件
姫様、勇者の勧誘を諦める
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村に一軒だけある喫茶店にて。
私、オカリナ、リィナ、そして勇者は冷たい紅茶を飲んでいた。ただし、リィナだけは紅茶に見えるただの水である。
「そんなわけで、この世界は聖女が張った結界により魔族から守護されているのじゃ」
「ま、この森一帯は姫様により結界が破られているがな」
「勇者の役割は聖女を守ることにあるのじゃ。わかったかのう?」
「ま、貴様ごときで姫様の手を煩わすまでもない。許可をいただき次第抹殺してくれようぞ」
偉そうにふんぞり返るオカリナだが、リィナがため息をつく。
「何度も言うが結界の中では魔族のお主は攻撃は通じぬ」
「1のダメージに状態異常をつけることは可能!」
「相手は勇者や聖女なんじゃから完全耐性は基本じゃぞ。1のダメージを与えたところで何百年続けるつもりじゃ?。その間で回復手段取られたら、まさに最初からやり直し。まさに泥試合じゃ」
「姫様、面倒くさくなる前に、やはり今ここで抹殺すべきかと!」
二人のやりとりを聞き終えた勇者は私も思っていた疑問を聞いた。
「聖女を守るって誰から? 見た感じこの姫様って魔族で一番偉いんでしょ? 侵略的野心はなさそうに見えるけど」
そう。魔族の中でも世界征服したがっているのはオカリナただ一人なのだ。あとは村で平和に暮らしたいだけなのだ。
「誰からって人間に決まっておろう」
何を言ってるんだと言わんばかりのリィナに私は驚いて聞いた。
「聖女って人類の希望の中心的存在でしょ? なんで人間から狙われるのよ」
「張られた結界を維持しているだけで豪邸で三食昼寝付き、召使い付きの待遇じゃぞ? そりゃぁ最初は魔族の脅威という緊張感があったから誰からも文句も言われなかったが、今の時代、絶滅危惧種になった魔族のためにそんな贅沢されたら、食料に困っている者からしたら憎しみの対象でしかないからのぅ。それに実際に魔族の脅威を知る人間なんかおらんっていう者もおるしな」
「じゃあ何、私はボディガード的な役割のために転生したわけ?」
「いや、物理的に襲われるまではいかぬから、聖女の代わりに民からの誹謗中傷を代わりに受けとめるのが勇者の勤めじゃ」
「別に勇者である必要なくない?」
「そんなことはない。その聖剣を見よ」
リィナに言われて勇者は鞘から剣を抜くと、白く輝いている。
「聖剣は人の負の感情を吸い取って成長するのじゃ」
「負の感情を吸い取るって魔剣の間違いじゃないの?」
「聖剣を作った神がひねくれ者じゃったから仕方がないのう」
「ちなみに聖剣が最高レベルに到達したらどうなるの?」
「かっこよくなるのぅ」
「それだけ!? 魔王を倒せる唯一の武器とかになるんじゃないの?」
「そうじゃが、この世界に魔王おらんしのぅ」
「だったら聖女を守る理由が、聖剣をカッコ良く見せるためだけ?」
「あと、聖女のストレス軽減な」
「勇者のストレスは無視なのね!」
「大丈夫じゃ。聖剣が小さじ二杯分くらい吸収してくれるから」
「少なっ!」
「ちなみにじゃが、聖女は結界を維持するという仕事をしておるから三食昼寝のメイド付きじゃが、勇者はアルバイトをしないと食っていけんぞ」
「えっ」
「勇者は村人の悩みを聞いて解決するのが好きじゃから一日三件もこなせば問題なかろう」
「クエスト受注ってバイト扱いなんだ」
勇者が肩を落とすと、
「そういえば鳩に襲われていた時、光り輝いていた波動を感じたんだけど、発動条件ってわかってるの?」
私は美味しい紅茶を飲みながら聞いてみた。
「身の危険を感じたら自動で発動すると聞いておる。ただし寿命が縮まるらしいのう」
「どれくらい?」
「さぁ? 測れるもんじゃないからわからぬ。しかし寿命を使っている分、効果は素晴らしいのじゃ」
「どんな?」
「浴びた者のお肌のツヤが若干良くなった気がするのじゃ」
「身の危険を感じてる時に肌の艶が良くなるってゴミスキルすぎじゃない。そんな時に気にする人いる?」
「勇者は身を削って仲間を救う使命があるからのう。散る時は綺麗に死にたいのが人間なのじゃ」
「今まで聞いて勇者になりたい要素が一つもないわね」
「そんなことはない。皆から勇者様と呼ばれる優越感に浸れるぞ」
「メリットなさすぎぃ!」
ま、私がそんな勇者にならなくてよかった。転生ベリーハード人生と思っていたけど、上には上がいたのね。
それでも、彼女をお悩み相談室とか作って置いておけば村の問題を引き受けてもらえそうではある。
そう。勇者とはクレーム処理担当なのだ。
「あなた名前は?」
そういえば名前を聞いていなかったので知っておきたかった。
「二階堂エリカよ。宇宙人を呼ぶためにナスカの地上絵を書こうとして深夜小学校に忍び込もうとしたら死んだらしいわ。死神の話ではなんでもそのエリア宇宙人禁止区域だったみたいで学校の防犯システムが作動しちゃったみたいよ」
ツッコミたいところしかなかったが、未来の日本ってそんな世界なの?
あと、このエリカは死んだら天使じゃなくて死神が迎えに来たのか。
「もちろん納得はしてないわ。まだまだ若い者なんかに負けたくなかったしね」
「何歳だったのよ」
「105歳よ」
「負けを認めろ! てか、防犯云々じゃなくて寿命だったんじゃん!」
「そ、そうかもしれないわね。杖がないと歩くのもやっとだった気がするわ」
「負け要素しかないじゃない。で、なんで転生する時アイドル志望したの?」
「いや、元々アイドルだったのよ。宇宙人テロリストアイドルってキャラで売り出されたんだけど、総理大臣官邸にマヤ文明の絵を描いただけなのに、すぐ芸能界を追放されちゃった経緯があってね。本当はグループのセンターがやりたかったのに!」
「はぁ。芸能界追放だけで済んで良かったんじゃない?」
「アイドルとして売りたいなら、人とは違うことをやれって言われたから、誰もがやらないことをやっただけなのに。おかげで不遇な人生を送らされたわ!! で、正月に駅伝を見ていたら負けたくない気持ちが働いてね。侵入を試みたってわけ」
こいつ、ヤバいやつなんじゃないかと思った。
村に置かず、聖女に面倒を見てもらうのが賢明な気がした。
「リィナ。エリカを聖女の元に案内してあげて。やはり古の悪魔姫が支配する地に勇者は危険すぎるわ」
うん。間違っていない。私にとって危険なんだから。勇者以前に人としてだが。
「ウム。勇者よ。この喫茶店を出て真っ直ぐ歩いたら村の外に出られる。あとはひたすら西に歩くのじゃ」
「いや、現地まで連れて行きなさいよ」
私はヒソヒソとリィナに言うが、
「こんなヤバい勇者と一緒にいたくないわ!」
さっきまで導き手みたいに話をしていたのに、手のひらクルクルである。
そしてリィナは紅茶に見える水を飲み干すと、
「さぁ行け勇者よ。武道館まで走り抜けるのじゃ!」
こうして勇者は旅立った。
聖女の住むところに武道館があるのか知らないが、きっと勇者はたどり着いてくれるだろう。
あとは会ったことのない聖女にぶん投げようではないか。
私、オカリナ、リィナ、そして勇者は冷たい紅茶を飲んでいた。ただし、リィナだけは紅茶に見えるただの水である。
「そんなわけで、この世界は聖女が張った結界により魔族から守護されているのじゃ」
「ま、この森一帯は姫様により結界が破られているがな」
「勇者の役割は聖女を守ることにあるのじゃ。わかったかのう?」
「ま、貴様ごときで姫様の手を煩わすまでもない。許可をいただき次第抹殺してくれようぞ」
偉そうにふんぞり返るオカリナだが、リィナがため息をつく。
「何度も言うが結界の中では魔族のお主は攻撃は通じぬ」
「1のダメージに状態異常をつけることは可能!」
「相手は勇者や聖女なんじゃから完全耐性は基本じゃぞ。1のダメージを与えたところで何百年続けるつもりじゃ?。その間で回復手段取られたら、まさに最初からやり直し。まさに泥試合じゃ」
「姫様、面倒くさくなる前に、やはり今ここで抹殺すべきかと!」
二人のやりとりを聞き終えた勇者は私も思っていた疑問を聞いた。
「聖女を守るって誰から? 見た感じこの姫様って魔族で一番偉いんでしょ? 侵略的野心はなさそうに見えるけど」
そう。魔族の中でも世界征服したがっているのはオカリナただ一人なのだ。あとは村で平和に暮らしたいだけなのだ。
「誰からって人間に決まっておろう」
何を言ってるんだと言わんばかりのリィナに私は驚いて聞いた。
「聖女って人類の希望の中心的存在でしょ? なんで人間から狙われるのよ」
「張られた結界を維持しているだけで豪邸で三食昼寝付き、召使い付きの待遇じゃぞ? そりゃぁ最初は魔族の脅威という緊張感があったから誰からも文句も言われなかったが、今の時代、絶滅危惧種になった魔族のためにそんな贅沢されたら、食料に困っている者からしたら憎しみの対象でしかないからのぅ。それに実際に魔族の脅威を知る人間なんかおらんっていう者もおるしな」
「じゃあ何、私はボディガード的な役割のために転生したわけ?」
「いや、物理的に襲われるまではいかぬから、聖女の代わりに民からの誹謗中傷を代わりに受けとめるのが勇者の勤めじゃ」
「別に勇者である必要なくない?」
「そんなことはない。その聖剣を見よ」
リィナに言われて勇者は鞘から剣を抜くと、白く輝いている。
「聖剣は人の負の感情を吸い取って成長するのじゃ」
「負の感情を吸い取るって魔剣の間違いじゃないの?」
「聖剣を作った神がひねくれ者じゃったから仕方がないのう」
「ちなみに聖剣が最高レベルに到達したらどうなるの?」
「かっこよくなるのぅ」
「それだけ!? 魔王を倒せる唯一の武器とかになるんじゃないの?」
「そうじゃが、この世界に魔王おらんしのぅ」
「だったら聖女を守る理由が、聖剣をカッコ良く見せるためだけ?」
「あと、聖女のストレス軽減な」
「勇者のストレスは無視なのね!」
「大丈夫じゃ。聖剣が小さじ二杯分くらい吸収してくれるから」
「少なっ!」
「ちなみにじゃが、聖女は結界を維持するという仕事をしておるから三食昼寝のメイド付きじゃが、勇者はアルバイトをしないと食っていけんぞ」
「えっ」
「勇者は村人の悩みを聞いて解決するのが好きじゃから一日三件もこなせば問題なかろう」
「クエスト受注ってバイト扱いなんだ」
勇者が肩を落とすと、
「そういえば鳩に襲われていた時、光り輝いていた波動を感じたんだけど、発動条件ってわかってるの?」
私は美味しい紅茶を飲みながら聞いてみた。
「身の危険を感じたら自動で発動すると聞いておる。ただし寿命が縮まるらしいのう」
「どれくらい?」
「さぁ? 測れるもんじゃないからわからぬ。しかし寿命を使っている分、効果は素晴らしいのじゃ」
「どんな?」
「浴びた者のお肌のツヤが若干良くなった気がするのじゃ」
「身の危険を感じてる時に肌の艶が良くなるってゴミスキルすぎじゃない。そんな時に気にする人いる?」
「勇者は身を削って仲間を救う使命があるからのう。散る時は綺麗に死にたいのが人間なのじゃ」
「今まで聞いて勇者になりたい要素が一つもないわね」
「そんなことはない。皆から勇者様と呼ばれる優越感に浸れるぞ」
「メリットなさすぎぃ!」
ま、私がそんな勇者にならなくてよかった。転生ベリーハード人生と思っていたけど、上には上がいたのね。
それでも、彼女をお悩み相談室とか作って置いておけば村の問題を引き受けてもらえそうではある。
そう。勇者とはクレーム処理担当なのだ。
「あなた名前は?」
そういえば名前を聞いていなかったので知っておきたかった。
「二階堂エリカよ。宇宙人を呼ぶためにナスカの地上絵を書こうとして深夜小学校に忍び込もうとしたら死んだらしいわ。死神の話ではなんでもそのエリア宇宙人禁止区域だったみたいで学校の防犯システムが作動しちゃったみたいよ」
ツッコミたいところしかなかったが、未来の日本ってそんな世界なの?
あと、このエリカは死んだら天使じゃなくて死神が迎えに来たのか。
「もちろん納得はしてないわ。まだまだ若い者なんかに負けたくなかったしね」
「何歳だったのよ」
「105歳よ」
「負けを認めろ! てか、防犯云々じゃなくて寿命だったんじゃん!」
「そ、そうかもしれないわね。杖がないと歩くのもやっとだった気がするわ」
「負け要素しかないじゃない。で、なんで転生する時アイドル志望したの?」
「いや、元々アイドルだったのよ。宇宙人テロリストアイドルってキャラで売り出されたんだけど、総理大臣官邸にマヤ文明の絵を描いただけなのに、すぐ芸能界を追放されちゃった経緯があってね。本当はグループのセンターがやりたかったのに!」
「はぁ。芸能界追放だけで済んで良かったんじゃない?」
「アイドルとして売りたいなら、人とは違うことをやれって言われたから、誰もがやらないことをやっただけなのに。おかげで不遇な人生を送らされたわ!! で、正月に駅伝を見ていたら負けたくない気持ちが働いてね。侵入を試みたってわけ」
こいつ、ヤバいやつなんじゃないかと思った。
村に置かず、聖女に面倒を見てもらうのが賢明な気がした。
「リィナ。エリカを聖女の元に案内してあげて。やはり古の悪魔姫が支配する地に勇者は危険すぎるわ」
うん。間違っていない。私にとって危険なんだから。勇者以前に人としてだが。
「ウム。勇者よ。この喫茶店を出て真っ直ぐ歩いたら村の外に出られる。あとはひたすら西に歩くのじゃ」
「いや、現地まで連れて行きなさいよ」
私はヒソヒソとリィナに言うが、
「こんなヤバい勇者と一緒にいたくないわ!」
さっきまで導き手みたいに話をしていたのに、手のひらクルクルである。
そしてリィナは紅茶に見える水を飲み干すと、
「さぁ行け勇者よ。武道館まで走り抜けるのじゃ!」
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聖女の住むところに武道館があるのか知らないが、きっと勇者はたどり着いてくれるだろう。
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