プリンセス・サーバンツ

みずほたる

文字の大きさ
32 / 54
姫様、静かなスローライフを望んだらベリーハードだった件

姫様、食料問題を解決する。

しおりを挟む
これではまるでイソップ童話の金の斧と銀の斧ではないか。

童話の通り、嘘をついてポセイドンを落としたと答えると彼はもちろん、ボルトもどこかに連れて行かれ、どちらも手に入らない。

ボルトと答えると当然ボルトは戻ってくるが、正直者と讃えて褒美としてポセイドンもおまけでついてくる。

というか、湖なのに海王がいること自体がもう謎でしかないのだが、正直このポセイドンに来られても困る気がする。

出来ればポセイドンにはお帰りいただきたい。

しかし、私の考えとは裏腹に、

「女神よ。ポセイドンとやらは我々の役にたつのか?」

オカリナが聞くと、

「海王を名乗るだけあって、巨大なタコや大王イカを呼び出すことができます。そなたたちは食べ物に困っている人間たちを救いたいのでしょう? 十分な食材になるはずです」

「素晴らしい! 姫様。ポセイドンを落としたと嘘をつきましょう!」

「そもそも海王ポセイドンを湖に落とすってどういう状況じゃ? それに嘘をつきましょうって女神の前で言ってどうするのじゃ」

「はっ! 確かに! この悪魔大元帥オカリナ、迂闊でした」

「ボルトを落としたっていうか、落とした覚えはないが、ボルトを指名したら勝手にポセイドンもついてくるのが怖い。果たして海産物を提供してくれるだけで済むのじゃろうか?」

「と、言いますと?」

「海産物をやるから、代わりに陸地をよこせとか言われたら困ると言いたいのじゃ。タダより高い買い物はないというしのう。正直、ポセイドンはいらぬがイカやタコは欲しいってのが本音じゃ」

私はため息をついてから女神に、

「妾が落としたのは、その小汚い変態じゃ。彼だけを解放していただきたい」

「なんと。海王ポセイドンは必要ないと?」

「いらぬ。帰れ。妾は早く大王イカを釣りたい」

「何と欲のない小娘。気に入りました。ポセイドンと我もあなたに協力しましょう」

「帰れと言ったんじゃが。それに我が村にはリィナという女神がおる。女神は一人で十分じゃ」

「慈愛の女神リィナ様がおられるのですか! やはり先日のあの後光。間違いじゃなかった!」

目を輝かせる女神。

「リィナは今頃、村で汗水垂らして仕事をサボっているはずじゃ」

「おお、なんて嘆かわしい。あのリィナ様に労働を課しているとは」

「妾の村は皆働かなければ食えぬようにできておる。神だといって特別扱いはできぬな」

「小娘。神を働かせるとは天罰を受けますよ?」

「妾は魔族じゃから、働かせなくても罰は受ける気がするがのう」

「あなた魔族だったの!?」

「貴様もポンコツか! 感知能力ガバガバじゃな。まぁよい。ポセイドンだけを連れて帰るが良い。妾たちはこれからイカやタコを釣らなければならぬ」

「帰れってどこへ?」

「知らぬ。呼んでもいないのに勝手に現れたんじゃろう」

「元々この湖に住んでフグの養殖を生業としていましたんで。でも本職は選択の女神エレナなんですが、誰も何も落としてくれなくて」

「まあ近くに誰も住んでおらんし、わざわざやって来て、うっかり物を落とす奴もいないからのう」

「百年ほど前に少年が石を落としたのが最後です」

「それは落としたのではなく投げたのじゃ」

そう答えながらも、以前リィナが釣った魚はフグで領主に提供して毒に当たって、領主が子に移り、国王に進言し、私たちの村を攻めてきた。

という流れを理解した。

多分、今の領主は少なからずリィナや私たちに恨みを持っていたんだろうなと考えさせられた。

「エレナと申したか。フグしか養殖できんのか? 鮭や鰻、あと真珠とかできんのか?」

「ポセイドンの力を借りたら鯨やシャチ、ピラニアも養殖できると思いますが」

「そんなのはいらぬ。あとで妾が養殖してほしいものを書くから、それをやってくれるなら近くに家を建ててやるのじゃ。まあ小さいながらも村はできるじゃろう」

「本当ですか! それならやります!」

私は回転寿司のメニューにある魚を書いてエレナという選択の女神に頑張ってもらおう。

その後、アクアとサムスがやって来て、少しやつれた気がしたが、二人は湖同士を水路でつなげた。

これで元首都にも農業のほか、何故か湖なのに海産物が獲れるようになり、食糧難は解決していくだろう。

村に戻り、私は外見でしか見たことのない太陽光パネルを、日光を発電する機械とだけ言い、ボルトは開発を進めることになった。

そしてヴィオラによる住民投票の結果、村の名がトランペット村と正式に決まり、宮殿の名もミナエモン宮殿となった。

今、宮殿の大広間では、

「トランペット村の他にも都市があるんです。やはり国の名前はミナエモン連邦国です」

「姫様を表した毒舌貧乏帝国がいい」

といった、国の名を論争中だ。

ヴィオラとオカリナが一歩も引かない中、

「この論争、一週間やってるんだけど、まだ決まらんのかのう?」

私はウンザリしていた。

国名が決まり次第、周辺国家に国家樹立を宣言することになっている。

再来月には収穫を迎えるし、開国祭をやりたいという声も出ている。

「やっぱり最低限だけ領土もらっていた方が楽だったかなあ」

と、後悔をする私なのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

サディストの私がM男を多頭飼いした時のお話

トシコ
ファンタジー
素人の女王様である私がマゾの男性を飼うのはリスクもありますが、生活に余裕の出来た私には癒しの空間でした。結婚しないで管理職になった女性は周りから見る目も厳しく、私は自分だけの城を作りまあした。そこで私とM男の週末の生活を祖紹介します。半分はノンフィクション、そして半分はフィクションです。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

処理中です...