前世アラサー独身、異世界では王太子の教育係として「恋愛感情」を教えています

cotonoha garden

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第38話 王太子妃候補のリスト

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 自分の名前が書かれていない紙に、こんなにも心を攫われる日が来るとは思わなかった。 
 王太子妃候補の一覧は、私のいない未来を、あまりにも当然の顔で並べていた。 
 
 ◇◇◇ 
 
 その紙を見たのは、ほんの偶然だった。 
 
 王妃陛下に呼ばれて、執務棟の一室に向かったとき。 
 扉が半分開いたままの部屋の机の上に、 
 それは伏せた状態で置かれていた。 
 
 「ミサ、入ってきて大丈夫よ」 
 
 中から、王妃陛下の声がする。 
 
 「失礼いたします」 
 
 軽く会釈して入ると、 
 部屋には王妃陛下と、国王陛下がいらした。 
 
 (あ、これは……だいぶ重要な話ですね) 
 
 思わず背筋が伸びる。 
 
 「そんなに固くならなくていいわ」 
 
 王妃陛下は微笑みながら、 
 さきほどの紙をくるりと裏返した。 
 
 そこには、見覚えのある家名がいくつも並んでいた。 
 
 フェルナー侯爵家。 
 カトリーヌ嬢の実家であるモルネ男爵家。 
 他にも、王都や地方の有力貴族たちの名。 
 
 ――そして、そのどこにも。 
 
 “ハルヴィア”の名はない。 
 
 (……それはそうですけども) 
 
 喉の奥が、急に乾く。 
 
 「春季祝典も無事に終わった。 
 
 そろそろ、レオンの正式な王太子妃候補を絞る時期だと、 
 大臣たちがせっついてきていてね」 
 
 国王陛下が、少しだけ疲れたような笑みを浮かべる。 
 
 「これは、その“第一次候補”の一覧だ」 
 
 「……そうでしたか」 
 
 (そうだ、そういう年齢だ) 
 
 レオンはもう、 
 “政略”という言葉から逃れられない年になっている。 
 
 「ミサ」 
 
 王妃陛下が、まっすぐに私を見る。 
 
 「この中で、レオンの傍らに立つのに相応しいと思う令嬢はいる?」 
 
 「わ、私が選ぶのですか?」 
 
 「最終決定ではないわ。 
 
 ただ、“レオンを長く見てきたミサの目”からどう見えるか、 
 知っておきたいの」 
 
 (教育係の仕事、広がりすぎでは?) 
 
 心の中で突っ込みつつ、 
 一枚の紙に視線を落とした。 
 
 ◇◇◇ 
 
 “候補として相応しいかどうか”だけなら、 
 いくらでも理由は挙げられる。 
 
 家格、血筋、資産、性格、教養。 
 
 レオンが王太子である以上、 
 “個人”よりも“家”が優先されるのは当然のことだ。 
 
 (それでも――) 
 
 指先が、ある名前のところで止まる。 
 
 フェルナー侯爵家令嬢、リリアナ。 
 
 気づけば、その行を見つめていた。 
 
 「リリアナ様は……殿下に寄り添う形が、 
 他の令嬢より自然だと思います」 
 
 口に出した途端、 
 胸のどこかがチクリと痛んだ。 
 
 「春季祝典のときも、 
 殿下の言葉をよく聞いて、 
 “王太子として”ではなく“レオンとして”を見ようとされていました」 
 
 祝宴の合間。 
 レオンが仮面の笑顔を付けたり外したりするのを、 
 真正面から見据えていたのは、 
 たしかにリリアナだった。 
 
 「……ふふ」 
 
 王妃陛下が、小さく笑う。 
 
 「ミサらしい答えね」 
 
 「らしい、でしょうか」 
 
 「ええ。 
 
 自分の感情はひとまず横に置いて、 
 “一番レオンにとって良さそうな選択”を先に考えるところが」 
 
 図星を刺されて、思わず視線を落とす。 
 
 国王陛下が、静かに口を開いた。 
 
 「ミサ」 
 
 「はい」 
 
 「この一覧を見て、何を思った?」 
 
 それは、 
 “教育係”ではなく“ミサ”への問いだった。 
 
 「……正直に申し上げてもよろしいのですか」 
 
 「正直に言ってくれるのが、君の良いところだ」 
 
 国王陛下の穏やかな声に、 
 少しだけ背中を押される。 
 
 「――怖い、と思いました」 
 
 自分でも驚くほど、あっさりと出てきた。 
 
 「前世で、 
 “自分の名前のない名簿”を 
 何度も見てきました。 
 
 昇進候補者一覧とか、 
 重要プロジェクトのメンバーとか。 
 
 そのたびに、“まあ、私がいなくても回るよね”と 
 自分で自分を納得させていました」 
 
 王と王妃が、 
 黙って耳を傾けている。 
 
 「今日、この“王太子妃候補一覧”を見て―― 
 
 “ここにも、私の名前はないのが当然だ”と理解している一方で」 
 
 喉の奥が、 
 少しだけ震えた。 
 
 「“それでも、本当はどこかに 
 “ミサ・ハルヴィア”と書かれていてほしいと願ってしまう自分がいる”ことが、 
 
 一番、怖いです」 
 
 自分の口から出た言葉に、 
 自分で驚いた。 
 
 (あ、これが……本音なんだ) 
 
 “選ばれないのが当たり前”だと思っていた女が、 
 “選ばれたがっている”なんて。 
 
 荒唐無稽にもほどがある。 
 
 でも、それが今の私の正直な気持ちだった。 
 
 ◇◇◇ 
 
 しばしの沈黙のあと、 
 先に口を開いたのは王妃陛下だった。 
 
 「……ありがとう、ミサ」 
 
 「え?」 
 
 「正直に言ってくれて。 
 
 “選ばれたくないふり”をするのは、きっと簡単だったはずよ」 
 
 王妃陛下の瞳は、 
 どこか遠いものを見ているようでもあった。 
 
 「私も、若い頃、似たような一覧を見たことがあるの」 
 
 「王妃陛下も、ですか」 
 
 「ええ。 
 
 “次の王妃候補”の一覧。 
 
 そこに自分の名前を見つけたときの怖さと、嬉しさと―― 
 それを誰にも言えない苦しさは、今でも覚えているわ」 
 
 「……」 
 
 「だから、ミサ。 
 
 “自分が選ばれたい”と思ってしまうことを、 
 恥じなくていいのよ」 
 
 王妃陛下の言葉が、 
 胸の奥に静かに沈んでいく。 
 
 国王陛下も、ゆっくりと頷いた。 
 
 「君がレオンにとってどれほど大切かは、 
 私たちも分かっているつもりだ。 
 
 ただ、王太子妃の座は、 
 君一人の想いだけで決められるものではない」 
 
 「承知しております」 
 
 「だが」 
 
 国王陛下は、ほんの少しだけ声を低くした。 
 
 「君が“自分は選ばれない側の人間だ”と決めつけたまま、 
 レッスンを続けることは、もう許さないつもりだ」 
 
 「……」 
 
 「レオンにも、君自身にも。 
 
 “選ぶ側”にも“選ばれる側”にも立つ権利がある。 
 
 その上で、最善の形を探さなければならない」 
 
 それは、優しさであり、 
 同時に覚悟の宣告でもあった。 
 
 ◇◇◇ 
 
 部屋を辞するとき、 
 王妃陛下がそっと声をかけてきた。 
 
 「ミサ」 
 
 「はい」 
 
 「近いうちに、“王太子妃候補たちとのお茶会”が開かれるわ。 
 
 レオンの教育係として、 
 あなたにも同席してほしいの」 
 
 「……教育係として、ですね?」 
 
 わざと確認すると、 
 王妃陛下は少しだけ意地悪そうに微笑んだ。 
 
 「ええ、“教育係として”よ。 
 
 でもそれと同時に、“ミサ”として、 
 彼女たちのことをどう感じるか。 
 
 あなたの目で見て、 
 あなたの心で判断してちょうだい」 
 
 (試験問題が一気に増えた気がする) 
 
 「……努力してみます」 
 
 そう答えるのが精一杯だった。 
 
 ◇◇◇ 
 
 学習室に戻ると、 
 レオンはすでに机についていた。 
 
 窓から差し込む午後の光が、 
 彼の横顔を柔らかく照らしている。 
 
 「ミサ」 
 
 「お待たせしました、殿下」 
 
 つい“殿下”と呼んでしまって、 
 レオンが苦笑する。 
 
 「“レオン”でいいと言っているのに」 
 
 「……今日は、少し守りを固くしておきたい気分なんです」 
 
 そう言うと、 
 彼はすぐに表情を引き締めた。 
 
 「王妃のところに呼ばれていたと聞きました」 
 
 「ええ。 
 
 “王太子妃候補の一覧”を見せていただきました」 
 
 私が隠さずに言うと、 
 レオンの指先がぴくりと動いた。 
 
 「そうですか」 
 
 「殿下もご覧になりましたか?」 
 
 「……はい」 
 
 短い沈黙のあと、 
 彼は窓の外に視線を向けた。 
 
 「どう思われましたか?」 
 
 「王太子としては妥当だと。 
 
 家格も、政治的なバランスも、 
 国の将来を考えたときに、よく練られたラインナップだと思いました」 
 
 完璧な模範解答。 
 
 「レオンとしては?」 
 
 わざとそう聞き返す。 
 
 レオンは、ゆっくりと私の方を向いた。 
 
 「……“ミサ・ハルヴィアの名前がないことに、 
 腹が立つ”と思いました」 
 
 心臓が、 
 はっきりと分かるくらい大きな音を立てた。 
 
 「レオン」 
 
 「王妃にも、父上にも言いました。 
 
 “候補の一覧を作るのは構いません。 
 
 でも、僕の“人生の背中側の席”は 
 これ以上勝手に決めないでほしい”と」 
 
 (言ったんだ……) 
 
 「もちろん、王太子妃の座が 
 すべて思い通りになるとは思っていません。 
 
 僕には国があって、 
 家があって、 
 背負うべきものがある」 
 
 レオンは、 
 すでに自分の立場をよく理解している。 
 
 「でも、ミサ」 
 
 静かな声で名前を呼ばれる。 
 
 「“王太子妃”という肩書きの隣に、 
 “ミサ・ハルヴィア”という名前を書きたいと願うことすら、 
 許されないんでしょうか」 
 
 言葉が、出なかった。 
 
 ◇◇◇ 
 
 どれくらいの沈黙があっただろう。 
 
 ようやく、 
 かろうじて搾り出したのは、 
 教育係らしい言葉だった。 
 
 「……許されるかどうかは、 
 殿下や王家だけで決められることではありません」 
 
 「そうですね」 
 
 「各貴族の思惑、 
 国の安定、 
 民の不安を抑えるための配慮。 
 
 “異邦から来た魂を持つ女”が王太子妃になることに、 
 抵抗を覚える人もきっといます」 
 
 自分で自分に、 
 冷水を浴びせるような言葉だ。 
 
 「だからと言って、 
 “ミサ・ハルヴィア”の名前を一覧から外す理由には、なりません」 
 
 レオンが、きっぱりと言う。 
 
 「……レオン」 
 
 「僕は“選ぶ側”として生まれてきた。 
 
 誰かの人生を左右する選択を、 
 何度もしていくことになるでしょう」 
 
 「ええ」 
 
 「でも同時に、“選ばれる側”である権利もあるはずです。 
 
 “誰かが勝手に決めた一覧”の中から選ばされるだけじゃなく、 
 自分で、“この人に隣にいてほしい”と願う権利が」 
 
 その言葉は、 
 さっき王と王妃から聞いた言葉と重なっている。 
 
 ――“君が“選ばれない側の人間”だと決めつけたまま、 
 レッスンを続けることは、もう許さない” 
 
 「……難しいですね」 
 
 ようやく絞り出した声は、 
 情けないくらい震えていた。 
 
 「前世の私は、 
 “選ぶ側”にも“選ばれる側”にもなれませんでした。 
 
 ただ、“決まったことに従う側”だったから」 
 
 「今世のミサは?」 
 
 レオンが問う。 
 
 「今世の私は――」 
 
 喉の奥に、 
 何か熱いものが込み上げてきた。 
 
 「本当は、“選びたい”です」 
 
 やっと、言えた。 
 
 「誰かの未来を、 
 自分の言葉で選びたい。 
 
 自分の居場所も、 
 誰かに指定されるのではなく、自分で決めたい」 
 
 涙がこぼれそうになって、 
 慌ててまばたきをする。 
 
 レオンは、静かに微笑んだ。 
 
 「それなら――」 
 
 「それなら?」 
 
 「次の“王太子妃候補とのお茶会”は、 
 ただの社交の場じゃなくていいと思います」 
 
 「……と言いますと?」 
 
 「ミサと僕が、“自分の目で選ぶ練習”をする場にしましょう」 
 
 その提案に、思わず固まった。 
 
 「一覧や噂話ではなく、 
 実際に話して、見て、感じて。 
 
 “王太子として”の視点と、 
 “レオンとして”の視点と、 
 “ミサとして”の視点で。 
 
 その上で――」 
 
 レオンの瞳が、 
 まっすぐに私を射抜く。 
 
 「最後に僕が選ぶとき、 
 ミサの本音を聞かせてください」 
 
 「本音……」 
 
 「“誰でもいいですよ”じゃなくて。 
 
 “この人なら、僕を託せる”とか。 
 
 “この人だけは、隣に立ってほしくない”とか」 
 
 そんなことを言ったら、 
 きっと全部が、破綻してしまうかもしれない。 
 
 でも同時に。 
 
 (それを言わないで終わる方が、 
 前世の私と同じところで止まってしまう気がする) 
 
 「……努力、してみます」 
 
 やっとのことでそう答えると、 
 レオンは満足そうに頷いた。 
 
 「それでこそ、僕の教育係です」 
 
 ◇◇◇ 
 
 その夜。 
 
 新しいノートカバーに包まれたノートを開き、 
 私は静かに書き始めた。 
 
 “LESSON 29:選ぶ練習、本番の前日” 
 
 “前世の私は、 
 いつも“名前のない側”の人間だった。 
 
 昇進候補リストにも、 
 重要メンバー一覧にも、 
 
 “早瀬”の名が書かれていることはなかった。” 
 
 “今世の私は、 
 
 王太子妃候補の一覧を見て、 
 そこに“ミサ・ハルヴィア”の名がないことに、 
 
 初めて“怖さ”と“悔しさ”を覚えた。 
 
 それはきっと、 
 ようやく自分の居場所として“隣”を望んでしまった証拠だ。” 
 
 最後に、こう書き足す。 
 
 “――前世の私は、いつも“決まったあとの紙”しか見せてもらえなかった。 
 
 今世の私は、“決まる前の一覧”を前にして、 
 自分の本音を問われている。 
 
 その余白に、何を書くのか。 
 
 それを決められること自体が、 
 きっと、二度目の人生でもう一度“選び直す”ということなのだろう。” 
 
 ノートを閉じると、 
 革のカバーが、心なしか少しだけ手に馴染んでいた。 
 
 前世で、いつも“自分のない名簿”を眺めていた私が、 
 今世で初めて、その余白に自分の願いを書きたくなった。 
 
 ――その変化こそが、 
 この物語のクライマックスが近いことを、静かに教えてくれているようだった。
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