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するとね!
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「冷たい……寒い……寒いよぉ……冷たいよぅ」
ずっとマコの声が聴こえて続けていた。いや、声なのか、音なのか、テレパシーのようなものなのか、それはわからない。
そのつど、あたしは、
「なんとかするよ……ね、ね、ね、ケンもね、頑張ってくれているし」
と、答えてあげる。
でもこちらのメッセージが、ちゃんとマコに届いているのかもわからない。
冷たい……なんて言われると、まるで自分のことをズバリ、グサリと指摘されているみたいで、あたしは、しんみり、ぐったりとなる。マコを励ます言葉が見つからないせいもある。
ほんと、第三者のこころを熱くさせるのは、難しい。うかつに、『大丈夫よ』なんて、ウソもつくのはいやだしね。あたしのほうも、大丈夫なんかじゃないのだから、そんなヘナチョコのあたしには激励する資格もなにもない。
そんなことを考えると、よけいに滅入ってくるのだ。
そのうち、マコが発する音も感得できなくなってしまったよ。
ああ、どうしよう、どうしたらいいんだろ。
あたしはケンに呼びかけた。
全身……いや、全木の力を振り絞って。
けれど、ケンからの返事はなかった。
なんの音も感じなかった。
ひとりぼっち。
そんな淋しさがグッグッとこみ上げてきた。すると、誰かがあたしの足……いや、根毛を触った。
「え……? マコちゃん?」
「・・・・・・・・」
「ケン……?」
「・・・・・・・・」
いや、どちらでもない。
そのことだけは、なんとなく感じた。
すると、また、別の誰かがあたしの根に触れた。そんな気がしたよ。
『……キミは……やられてないかい?』
ふいにそんな呼びかけをキャッチした。
「え……? あたしに言ってくれてるの?」
『そうだよ……キミは、新木だね』
その声が、なんだか“親睦”と聴こえた。
「うふふ」
と、幹を揺すったあたしに、
『どうやら冷たくはなっていないようだな』
『よかったわね……あとの二人はやられてしまったけど』
と、複数のメッセージが送られてきた。
たしかにあたしはそれをキャッチした。
ええっ? 二人はやられた……って、どういうこと?
そう意識した瞬間、誰かが言った。
『マコと呼ばれていた木……は、フレアにやられて乗っ取られてしまった。助けようとした新木がいるにはいたけど、間に合わなかったよ』
「ええっ……? それ、ケンのことかなぁ……?」
『たぶん、そうだとおもう』
そうと知っても、乗っ取られる……という意味がまったく分からない。
すると。
あたしの意識の内に、新型太陽フレアが放射した素粒子線が、マコの幹を破壊し、本来もっていたマコの熱さ(それは多分に良心とか良識といったものと同次元のようなものらしいけど、たぶん)を奪い、冷たく寒々とした別のなにかにさせてしまった……といったようなことが、数瞬のうちにイメージとしてあたしのなかに広がった。
「ええっ! そ、そんな……」
あたしは驚愕し、幹とつながっている枝葉がまたたく間に収斂していくのを感得した。
「ケ、ケンは……?」
応答がないということは、かれも悪なるものに変貌してしまったのだろうか……。
『いや、すんでのところで、われわれがマコと繋がっていた根毛を断ち切った。けれど、かなりやられていた。もとに戻れるかどうかはまだ分からない……あとは自然治癒力に頼るしかないな……』
このとき。
あたしの中にも、冷たく寒々とした激情が突如として波のように芽生えてきた。新型フレアに対する憎しみと怨み。
ほんの一瞬だけど、悪寒をおぼえて、あたしの幹がぶるぶると揺れた……。
ずっとマコの声が聴こえて続けていた。いや、声なのか、音なのか、テレパシーのようなものなのか、それはわからない。
そのつど、あたしは、
「なんとかするよ……ね、ね、ね、ケンもね、頑張ってくれているし」
と、答えてあげる。
でもこちらのメッセージが、ちゃんとマコに届いているのかもわからない。
冷たい……なんて言われると、まるで自分のことをズバリ、グサリと指摘されているみたいで、あたしは、しんみり、ぐったりとなる。マコを励ます言葉が見つからないせいもある。
ほんと、第三者のこころを熱くさせるのは、難しい。うかつに、『大丈夫よ』なんて、ウソもつくのはいやだしね。あたしのほうも、大丈夫なんかじゃないのだから、そんなヘナチョコのあたしには激励する資格もなにもない。
そんなことを考えると、よけいに滅入ってくるのだ。
そのうち、マコが発する音も感得できなくなってしまったよ。
ああ、どうしよう、どうしたらいいんだろ。
あたしはケンに呼びかけた。
全身……いや、全木の力を振り絞って。
けれど、ケンからの返事はなかった。
なんの音も感じなかった。
ひとりぼっち。
そんな淋しさがグッグッとこみ上げてきた。すると、誰かがあたしの足……いや、根毛を触った。
「え……? マコちゃん?」
「・・・・・・・・」
「ケン……?」
「・・・・・・・・」
いや、どちらでもない。
そのことだけは、なんとなく感じた。
すると、また、別の誰かがあたしの根に触れた。そんな気がしたよ。
『……キミは……やられてないかい?』
ふいにそんな呼びかけをキャッチした。
「え……? あたしに言ってくれてるの?」
『そうだよ……キミは、新木だね』
その声が、なんだか“親睦”と聴こえた。
「うふふ」
と、幹を揺すったあたしに、
『どうやら冷たくはなっていないようだな』
『よかったわね……あとの二人はやられてしまったけど』
と、複数のメッセージが送られてきた。
たしかにあたしはそれをキャッチした。
ええっ? 二人はやられた……って、どういうこと?
そう意識した瞬間、誰かが言った。
『マコと呼ばれていた木……は、フレアにやられて乗っ取られてしまった。助けようとした新木がいるにはいたけど、間に合わなかったよ』
「ええっ……? それ、ケンのことかなぁ……?」
『たぶん、そうだとおもう』
そうと知っても、乗っ取られる……という意味がまったく分からない。
すると。
あたしの意識の内に、新型太陽フレアが放射した素粒子線が、マコの幹を破壊し、本来もっていたマコの熱さ(それは多分に良心とか良識といったものと同次元のようなものらしいけど、たぶん)を奪い、冷たく寒々とした別のなにかにさせてしまった……といったようなことが、数瞬のうちにイメージとしてあたしのなかに広がった。
「ええっ! そ、そんな……」
あたしは驚愕し、幹とつながっている枝葉がまたたく間に収斂していくのを感得した。
「ケ、ケンは……?」
応答がないということは、かれも悪なるものに変貌してしまったのだろうか……。
『いや、すんでのところで、われわれがマコと繋がっていた根毛を断ち切った。けれど、かなりやられていた。もとに戻れるかどうかはまだ分からない……あとは自然治癒力に頼るしかないな……』
このとき。
あたしの中にも、冷たく寒々とした激情が突如として波のように芽生えてきた。新型フレアに対する憎しみと怨み。
ほんの一瞬だけど、悪寒をおぼえて、あたしの幹がぶるぶると揺れた……。
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