フレンド0人が戦国転移した結果

デンデンムシ

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今井「ちょっと試しただけやねん(震え声)」

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 「た、尊様!?こ、こんな上等な新品の服を、わ、ワシなんかのために!?(ブボォーー)」

 「いや、そんな泣く事ないからな」

 いや、実は内心は喜んで貰わないと困る。なんせ、普通に静樹が要らないって言ったのに10結で購入したからだ。だが、これには理由があった。

 昨日の夜の事だ。

 「あの絹の服が欲しかったのか?」

 「いえ、あれは妻鳥様への贈り物ですよ。物で動く方ではありませんが、女性は例え義理でも贈り物を頂けば喜びます。それにあの方は・・・」

 「寂しそうってか?」

 「はい。あの石川何某という方はそれなりに忠誠心がありそうですが、あの城に指揮官級、もしくは組頭級が居ない方があり得ません。それに本国の河野氏も誰も寄越さないようですし・・・」

 「オレ達が腹心になろうって事か?」

 「端的に言えばそうです。ですので、あの方の寸法を言いました」

 と、まぁこんな事があった。要は贈り物だ。男装しているが、静樹はわざわざ男装せずとも本来の姿でもカリスマがあれば人は着いてくるだそうだ。

 ◆

 それから数時間で堺に到着した。摂津で予想はしていたが、その予想はまた超えてきた。南蛮船の多さだ。それと、大型の船。後は外国人の多さだ。

 「尊~!到着だ!荷を片付けてから今井様に・・・」

 「(ゴト)それが何か分かるか?」

 「ききき、金!?」

 「あぁ。オレの取っておきの金の延べ棒だ。悪いが先にお前の主人に話を付けてくれないか?」

 商人じゃなくとも、会いたい人物があんな金塊を渡せば直ぐに会ってくれるだろう。少なくともオレならそうする。それに、鉄砲の交渉に、制作期間を考えるとそんなに余裕はない。ここから、岐阜に向かわなければならないしな。

 だが、今井宗久はオレの斜め上の人だった。

 この堺納屋衆 今井屋の船を整備?する倉でオレは待たされた訳だが、迎えに来るでもなく、そのまま甚兵衛の案内で町に入り、その中心近くのかなり・・・いや、超大きい家に案内された。

 「尊・・・まぁなんだ。ワイが案内できるのはここまでだ。また伊予に帰る時は言ってくれ!」

 なんか含みのある言い方だが、甚兵衛は予想以上に動いてくれた。それなりに対価も渡してはいるが。

 「貴方が伊予国の何某様でしたかね?」

 表に居る、丁稚のようなガキに、偉そうに聞かれる。

 「山岡尊という。横は妻の静樹、後は家臣の助六だ」

 腹は立つが年下の子供にでもオレは極めて真面目に受け答えをする。

 「旦那様にお伝えします。暫くはお待ちあれ」

 そう。この暫くお待ちあれのこの待つ時間がマジで30分くらい待たされた。

 「なぁ?静樹?マジでこれ舐められてるのかな?」

 「流石に酷過ぎですね。帰りますか?助六様はどう思われます?」

 「たかが商人風情が武家を舐めていると思います。姐御様。やりましょうか?」

 「気持ちは分かるが助六。お前が暴れると面倒くなる」

 そう3人で話していると、やっとさっきの丁稚が呼びに来た。

 「おや?待ってたのですか?大概の人は帰ってしまうんですが、とりあえず旦那様がお会いになるそうです。こちらへ。桶の水で足をお洗いください」

 この時点でオレはブチギレそうだった。格下に思われてるんだろうな。まぁ実際格下ではあるけど。

 そして、足を洗い部屋に入る。まぁ確かに大きい。助六は感動しているが、現代の家を知ってるオレからすればただ大きいだけの日本家屋だろ。と思うだけだ。ここに水洗トイレや冷蔵庫でもありゃビックリするがそんな文明の利器なんてある筈がない。よくてボットン便所だろう。

 畳張りなのもこの時代では珍しいのだろう。現に助六が手で触ったりしている。

 「助六。こんな事で驚くな。本拠地に帰ればお前にもこれより凄い家を用意してやる」

 「ま、誠でございますか!?」

 これはあれだ。ここがゲーム世界とか現実だとかは考える事を辞める。だが、こんなコケにされるような事をされれば負けず嫌いが出る訳だ。川之江でここより凄い家を出してやる。建てるじゃなく出してやる。宝物箱に入ってるジオラマ家を使ってやる。

 「カッカッカッ!なんぞワテに用事があると聞いたが?なんでも、アンさん等は金の延べ棒を持ってるとか?見せてみんかぃ!」

 遅れた事を悪びれもせずに現れた。中年のおじさんだが、目がギラギラして、そこらへんのおじさんとは違うのが一目で分かる。

 「(ゴトン)これになります」

 一応目的が終わるまで下手には出る。出るつもりだが、そろそろ我慢の限界だ。

 「ほぅほぅ?ワテが持っている金より状態が良いな!(ゴトン ゴトン ゴトン)」

 今井はニヤとしながら金の延べ棒をオレの前に3つ並べた。明らかにそれくらいがどうした?というような顔だ。ここでオレは静かに口を開く。わざわざ此奴に頭を下げるのは御免だ。礼儀ぐらいしているのかと思っていた。

 「(ガサ)来る家を間違えたようだ。手間を取らせた。助六、静樹。帰るぞ」

 「待たんかぃ!アンちゃんは忙しいワテの時間を奪っておいて、間違いで帰る気なんか?ワテの舎弟の甚兵衛から商売の話があると聞いたんやが?商売なら商売人らしくせぇや!」

 「悪いがオレは商売人じゃない。仮に商売人だとしても礼儀もクソもないお前なんかと取引はしたくない」

 「ほ~。言うてくれるのう。まぁ礼儀がなかったのは事実やさかいに…そこは謝ろう。まぁ座れ」

 今井がそう言うと、静樹に付けた最高位特性が点滅を始める。

 同伴特性
《静覇》
相手の威圧に気圧されぬ限り、その座に居合わせた者は、理由もなく息苦しさを覚える。
※《覇圧》所有者とその座に居合わせた場合効果が倍増。

 それと静かにオレの《覇圧》も点滅をし始める。

 「な、なんや!?いきなり空気が変わったやないかぃ!」

 「座れと言われたから座ったわけだが?」

 「えぇ。こちらは既に帰っても良いと判断致しました。申し遅れましたが、伊予国 河野家家臣 川之江城 城主 妻鳥友春様 被官 山岡尊。私はその妻山岡静樹。家臣の助六にございます。そちらの貴方は?名前すら名乗れないのですか?」

 「や、やめんかぃ!ワテは堺納屋衆 今井屋の今井宗久や!悪かった!悪かったって!少し試しただけや!ほら!頭下げるさかいに、その圧を引っ込めや!」

 「悪いがそんな圧を出しているつもりはないんだがな?これがオレ達の普通だ」

 いや、実は引っ込めたくても引っ込められないのが事実だ。しかも勝手に言葉が出てくる。

 「分かったて!本当は金の延べ棒を持っとるって甚兵衛に聞いたさかいに、踏んだ食うたろか思うとったねや!……せやけど、こんな空気になるとは思わんかった。
 辞めだ!辞めだ!適正に買うたる!銭がええねんやろ!?それに織田はんとの口利きもしてほしいねんやろ!?ワテの同格の津田っちゅーもんの邸宅で茶会を開いている!言うてやるからええ加減堪えーや!」

 今井がそう言った瞬間、張り付いた空気が、嘘のようにほどけた。そして、点滅が消える。まさか両方オレの《覇圧》と静樹の《静覇》が発現するとは思わなかったぜ。

 「(フゥ~)まっこと、おとろしいのぅ!これやから武家は嫌いなんや!アンちゃん等、織田はんともええ勝負すると思うで?けど、気ぃ~つけや?織田はんにあんなんしたら速攻で喧嘩になるで?」

 「・・・・・」

 オレは眉間に皺寄せて睨む感じで黙っている。

 「そがいな怖い顔すんなや!分かった分かった!おい!久兵衛!倉から銭を持って来い!全部だ!」

 「ぜ、全部ですか!?」

 「阿保!織田はんだけやない!ここにも味方にせなあかん男が居るんや!津田はんにも教えてやらなあかん!」

 静かに《良縁》も点滅していた。オレ?オレは吐き気を我慢しているだけだ。そしてそれを勝手に今井が解釈してくれているだけだ。
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