フレンド0人が戦国転移した結果

デンデンムシ

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石川配下「この人頭狂ったのか?」

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 文月に入った。賦役も終わり領民から少し不満が出る。だがその不満は本当の不満ではない。まず、オレ達や妻鳥様への言葉掛けがかなり変わった。これまで妻鳥様に話しかける事は無かったが、今では普通に城下に魚を買いに来たりしているから、普通に話しているところを見掛けるようになった。

 馬廻りの、近藤って人や高津、宮内など、ここら辺に居る元は豪族や有力者の人達が出仕し、今は妻鳥様の馬廻りと格上げになったらしい。元は父の清春の側近からの格上げの人も多数居る。

 そして、今オレは川之江城の裏手にある城背の山に居る。例の賦役を行い、見事に静樹の目に叶った弥平と権助、太助だ。この三人には特別も特別。名目は助六の支配内とし、一人につき二人扶持で、新設した楓の家の横にある助六の家で寝食を共にしてもらっている。この三人に何をしているのかというと・・・

 「と、殿!?これを俺達が・・・臭い・・・」

 「すまん。触るのも見るのも嫌だろう。だが間違いなくこれがこの国の心臓部になる。ここからいう事は他言無用。話が広まればお前達からだと直ぐに分かるんだからな。脅すつもりはないが、武士になるにはそれ相応の覚悟がいる。話が漏れたと判断すれば切腹にする。それができないなら打首だ。逃げられると思うなら逃げるといい。地の果てまで追い掛ける。そのくらい大切な事なんだ」

 「そ、そんな裏切る事なんかしません!」

 「そうです!俺は名を上げるんだ!!」

 「俺は側室が欲しい!」

 「太助!!野望を抱くのは良い。側室?結構だ!女には惹かれるよな?オレもだ。そうなりたければ働け。銭があれば女は自然と寄ってくる。お前達の働きにより特別給も考えている。役得だぞ?」

 若干一名不順な奴が居るがそれは良い。元気な証拠だ。

 「や、やるぞ!俺は毎日違う女を抱くんだ!!」

 失礼。オレは太助を買い被っていた。最低な男だ。

 まず、用意した物は糞と尿。そして土、ヨモギ、シソ、麻の灰だ。勘の良い者なら気がつくかもしれない。火薬だ。
 ここまでは尾張では普通にもう作られているだろう。自然任せでな。だが川之江は違う。

 硝石ができる工程を一つずつ分析すれば良い。

 詳しくは語らずとも分かるだろう。亜硝酸菌、硝酸菌が好む環境を作ればいい。土のpH(ペーハー)値は微アルカリ性、これは灰を入れれば良い。だが川之江ではカキ石灰も混ぜる。有機石灰を入れる事でこの時代の火薬生成が3段階くらいは上がる。

 次に温度だ。20度~30度が好ましい。これから季節は夏だ。現代に居た頃のような温度の時は、妻鳥様に言い、石川に怒鳴られながらも池で捕まえ、巨大なタライで飼育している鯉の飼育水を混ぜる。

 忘れてはいけないのはこの硝石土に含まれる菌は好気性細菌だ。酸素濃度が高いほど硝化速度が上がる。
 
 「殿?この糞や尿をわざわざこんな俺の家より立派な建物で行うのですか?」

 「あぁ。そうだ。これは本当に大切な事なんだ。攪拌する時はオレか静樹どちらかが行う。日々の天地返しはお前達が頼む」

 何故これで硝石作りが早いかって?史実なら少し早い程度だろう。オレと静樹にはチート特性があるからな。

 《硝化統御》
硝石・火薬に関わる工程において、自然任せでは年単位を要する反応を季単位まで短縮する。作業は常に安定し、失敗率が大きく低下する。

 この特性を静樹とオレは持っている。ゲーム内でこの特性があるかないかで鉄砲の普及率がかなり変わっていたからな。

 硝石ができれば次は火薬生成に入る。よくネットに転がってる黄金比率が最高の結果となるだろう。だが、これじゃ他国より少し有利になる程度だ。ならどうするか。

 「なら弥平。ここの作業は暫く任せたぞ。静樹が日に一日は最低でも来る。必ず作業報告を怠らないようにな」

 「殿はどちらへ?」

 「山だ」

 「山・・・ですか?目の前にありますが?」

 「違う。周布の山だ。安心しろ。これもお前達の功績になる。お前達は万事抜かりなくな」

 この三ヶ月ほどの待ちの間にオレは山に、硫黄取りだ。

 ◆

 「な、おい!気安く呼ぶな!俺はお前の銭や準備には一目置いてはいるが気は許していない!」

 「そう言わずに頼む。周布が実家だろう?親父さんに言って兵を貸してほしいんだ!石川様!殿様!仏様!」

 「気色悪い事を言うでないッ!いったいなんだと言うのだ!?城背の山で何やら不思議な事もしているだろう!?ずっと見張りも立てて。いつのまにやら川之江浦の方も人の往来が多くなっておるし」

 「間者対策だ」

 「間者なぞこんな田舎に来る意味なぞないではないか!山に登るという事は父御に言っておいてやる!だが兵はダメだ!というか、俺の一存では動かせん」

 「なら、郡代の息子なら私兵くらい居るだろう!?それを貸してくれ!これはさすがに賦役は使えん」

 「チッ。大きな貸しだぞ!それと俺はボンボンじゃないからな!実力で殿の部将になったんだ!」

 「偉大な父親のおかげだろ?」

 「き、貴様……そんな事言うなら貸してやらんぞ!!」

 「悪い!悪かったって!恩に着る。試作ができれば一丁種子島を回してやる。その威力に驚くことになるだろう!」

 「鉄砲か。織田家の兵も持っているな。あれの何が良いやら。不発も多いと聞くぞ?そんな物より弓の方が良いだろう。静かに確実に倒せる」

 この石川とはそれなりに仲良くなった。意外と話せば面白い男だ。それにこの石川の鉄砲の感想はこの時代では普通なんだろう。不発は確かにあるだろう。だが、それは今までだ。

 そしてオレが山に登る意味は、未来では市之川鉱山として有名だろう。取れる物は硫黄と、輝安鉱だ。
 石鎚山系、後の西条 瓶ヶ森系の奥山にあるはずだ。岩盤に特徴的な割れ目、ジグザグ、斜めに亀裂が入っているのがそう。いや、寧ろそのまま柱状や針状にあるかもしれない。
 その割れ目が黒く光っていたり銀色に見えれば当たりだ。

 石川は文句言いながらも五十人も人夫を出してくれた。これだけいれば誰かが鉱脈くらい当ててくれるだろう。

 ◆

 「山岡様?まだ続けられるのですか?」

 「村に乳飲み子が待っているのですが・・・」

 「ま、待ってくれ!そろそろあるはずだ!」

 「そう言ってもう二日も掘りまくっていますよ?腕が張っているんですが・・・」

 「若様に山岡様の『命令は聞け。何を求めているかは分からないがあの者は川之江を変えようとしてくれている』と珍しく他人を褒める故に文句も言わず石を割り、土を掘っていますが、流石に・・・」

 そう。誰も見つけられなかった。甘かった。というかオレも舐めてた。山に登り、ハイ!ビンゴ!とかなるかと思ってたのに……。流石に無理はさせられないよな。石川に何を言われる事やら・・・。

 「や、山岡様!!これがそうでしょうか!?」

 「み、見つけたか!?どれだ!?おぉ~!これだこれ!ゲームで見たのと同じだ!よく見つけたな!源三郎と言ったか!?石川には言っておいてやる!!」

 もう帰ろうかと思うところで、石川配下の源三郎という者が見つけてくれた。間違いなく輝安鉱だ!

 「これで・・・勝てる・・・ははは……ハッハッハッ!ハーッハッハッ!!」

 「山岡様?大丈夫ですか?」

 「源三郎!よくぞ!みんな!ここら辺を掘ってくれ!大丈夫だと思うが、火は気をつけるように!黄色いやつは臭いけど要だから取れるだけ取ってくれ!」

 それから一心不乱に皆が土を掘り最初の遠征が終わった。
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