フレンド0人が戦国転移した結果

デンデンムシ

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川之江式

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 あれよあれよと季節は夏を過ぎ、初秋の風が吹く長月となる。硝石作りは順調だ。あと一月もすれば上物を超え、特級レベルの物ができるだろう。
 川之江浦は急速に発展していっている。まずは妻鳥様にお願いのような懇願を言い、硫黄と輝安鉱を定期的に採掘するようにしてもらった。
 公共事業だ。石川通清こと石川勝重パパに、妻鳥様から――

 『新居の奥山に行軍し、川之江に帰る遠征を敢行する。兵の増強を兼ねてだ。その途中に鉱物を採取する事を許せ。売れる物だ。銭は定期的に渡す』

 と、敢えて詳しく言わず、かと言ってまったく教えない事もせずに伝える。まぁ普通の人なら疑問に思うだろう。案の定ではあるが、わざわざ登城して理由を聞いてきた。その時は既にオレの策略が張ってある。

 まず、採取した輝安鉱を摺鉢で粉々にする。鉱石ではあるが輝安鉱は脆い。簡単に手作業で砕ける。それを種子島の火蓋の中の火薬に少量混ぜるだけで燃焼が変わり、不発が極めて少なくなり、威力は高くなる。
 これを惜し気もなく手紙にて今井に教えた訳だ。すると、四日後になんと今井本人が川之江にやって来た訳だ。その今井が城に来た時に石川もちょうど登城する事となった。これはオレが仕組んだ訳だ。今井は銭になる事には本当に聡い。チートか!?というくらいに。これが先月までの話だ。

 流石、堺の豪商。今井の名は石川パパも知っていたようでタジタジになり、この事業が国の事業となったのだ。

 これは簗田にも教えた。つまり織田の300名の兵も知った訳だ。まだ射撃訓練は始まっていない。楓の工房は既に稼働している。鋳型作り、弾丸作りは開始している。故に弾丸はもうかなりある。
 本当はライフリング加工をし、弾丸も尖頭弾にすればいいじゃん!と思うだろうが、真円でもない銃身の種子島にそんな事をすれば暴発率が高くなる。尖らせれば強いと思うのは、速く、回る弾が作れればの話だ。

 川之江の弾は従来の弾丸に油を染み込ませた和紙を包んだ和紙弾だ。銃身と弾の隙間がないようにし、発射時のガス漏れをなくす。すると後ろに逃げるガスが少なくなり、結果として飛距離が上がる。射撃姿勢も良くなり命中精度も上がる。力が全周に近い形で伝わるから結果として初速も上がる。要はいい事ずくめだ。
 
 オレは兵の訓練を行なっている。静樹と交代しながら、体力の底上げだ。皆がバラバラに動くことのないよう、ホイッスルを使い、まずは合図を覚えさせる事から始めている。
 縄を使ったアスレチックのような物も作り、訓練が嫌にならないように工夫もしてだ。だがそれも今日まで。

 それなりに体力はついただろう。食の改善も行い、川之江浦では三食を推奨し、肉食も宗教で・・・なんて最初こそ言ってた人も多いが、人類の叡智が詰まった焼肉を、たまり、砂糖で混ぜた漬けタレで焼けば自然と皆が群がる。そして男なら皆ナチュラルなシックスパックになっている。その焼肉の原料となる猪はそこら辺にいっぱい居る。

 「簗田様。よろしいですか?」

 「がっはっはっ!やっと出番がやってきましたな!毎日毎日タダ飯食らって少々体が鈍ってしまいましたぞ!」

 「すいません。色々とやる事が多くて……」

 「良い!良い!三郎様にも文を送った!輝安鉱なる石を火薬に混ぜるだけであんなに発砲威力が上がり、不発が少なくなるとは思いもよらなんだ!」

 「オレの知る事は織田軍にも伝えますよ。種子島に関しては織田軍と同じ堺の上物です。いや、織田軍は国友派でしたかね?分解、掃除なども御教示よろしくお願いします」

 細かな所は違うかもしれないが、種子島の作りは基本は同じはずだ。

 射撃場はオレの領地の川之江浦の裏浜。正確には浦裏浜だ。浜だが、船は着かない浜だ。ここに船を鉛と縄のアンカーで固定し、どのくらいの距離で弾が届くか各々に判断してもらう。

 ちなみにこの訓練には妻鳥様も参加していた。簗田は少し遠慮がちだったが、いざ訓練が始まると一切の妥協なし。歳のせいか少し考えが古いようで、だが悪い意味でもなく、

 『織田軍が川之江の城兵、足軽、鉄砲兵を調練し無様な負けを見るのは勘弁だ。三好?毛利?誰が来てもワシが育て教えた兵は他家の者だろうと一番じゃ!』

 と、めちゃくちゃ張り切っているのだ。その中の妻鳥様だが、『ワシは城主だろうと女だろうと訓練に手を抜かない』と言い、本当に農民や領民、将又、漁師上がりの人、石川家の人など様々な人が訓練している。

 ◆

 「まったく、伊予という国は良い真砂が取れる」
 
 「花崗岩というやつだ。言ってた鉄盾はできそうか?」

 「薄く伸ばすやつだろう?できるけど、こんなの臆病者と思われて笑われるぞ?」

 「臆病者とは大切な事だ。勇ましいだけでは早死にする」

 「ふ~ん。まぁいいけどさ?けどかなり重いぞ?一人一つは無理だと思うんだが?」

 「いや、その盾は防衛線に配置するだけだ。三好も鉄砲は装備しているはず。本命はその鉄を要所要所に木盾に散りばめ前列に。それから、空間を開けてもう一枚木盾を重ねる」

 「そんなんで鉄砲は防げるのか?」

 「あぁ。至近距離でも貫通はされないだろう。これを盾兵を創設し、槍兵と隊伍を組ませる」

 「なんだかヘンテコな軍だな。私は三好軍を見た事あるけど、そんな兵隊は居なかったぞ?」

 「という事は他国はこれからオレの軍を真似るという事だ。その軍備は楓が作るんだぞ?オレが勝てば必ず、『あの装備はなんだ!?』『あれを我が軍に!』『あれと同じ装備があれば負けない!』となり、楓の名前が売れると思うぞ?」

 「そんな上手くいくか?」
 
 「あぁ。上手くいく。絶対に。よろしく頼んだぞ」

 「はいはーい」

 と、この二ヶ月はかなり濃かった。更に本格的な秋風が吹く神無月となる。例の城背の山で行なっている硝石作りだ。

 「弥平どうだ?」

 「はっ!問題ありません!時折り、石川様が参られますが余り近寄らず端から見る感じです!」

 「そうか。くれぐれも材料は言うなよ?」

 「はっ!」

 完璧な出来だ。堺に輝安鉱を売り、その売った銭から堺の皆々の糞を買い、時間差で作っている硝石・・・。銭で糞を買うなんてそんな馬鹿な話はないだろう。だがあるんだ。川之江も人も家畜もそれなりには居るが、少ない。なら人が多い所に頼む他ない。

 「では太郎八兵衛様?この目方のまま一杯ずつ掬い、砕いた硝石、木炭、硫黄と混ぜてくださる?その後にこの液をこの目方分混ぜ、部屋の大棚に置いてあるあの箱に入れてくれるかしら?1日後に目一杯横の棒を押して、このザルの中にでてきた粒を篩にかけ、この木箱に入れてほしいの。寒い中申し訳ないけど、火は使わないでね?その分、お給金は弾んであげるから」

 この太郎八兵衛という男は、川之江浦の飛脚の男だ。だが、歳で足腰が弱くなってきたらしく、田んぼも持っていないため、困窮気味だった。足腰が弱いと言っても戦国基準でだ。オレから見れば元気一杯じゃん!?と思ったが言わない。そういう男達が意外に多い。それと、未亡人の人達も分け隔てなく雇っている。

 ここが一番重要な所なので、妻鳥様に言い、馬廻りの人達を24時間監視するようにしてもらっている。暫くは門外不出にするつもりだ。なんせ、この時代では恐らく行われていないコーニング加工を火薬に施しているからだ。このコーニングをした火薬と輝安鉱の粉末を混ぜ、撃つと途轍もない貫通力が出るだろう。飛距離も他家が追従できないくらいに。これが川之江鉄砲隊の標準装備とする。

 この秘密作業が十分に機能し始めた時に、甚兵衛が今井の文を再び持って来た。

 「尊!こんな所に居ったか!今井様からの文だ!」

 その手紙は頼んでもいない事を今井が報せてくれた。

 《三好家配下の薦田大和守が兵を集め、軍備を集めている。阿波の船が堺に色々と買付けを行なっている。気ぃつけや~。もう四月もあれば動くと思うで?》

 この手紙を見て、心の中で今井に礼を言う。

 そして三好への感想だ。舐めてる。今は神無月。10月だ。如月に攻めてくる。つまり2月だ。短期間で攻略できると思われているという事だ。しかも間者対策まではできないから敢えてしていなかったが、怪しい者の報告は受けていない。つまり、下調べもあまりされず、川之江くらいの城なら農閑期の大兵団を見せれば降伏するだろう。くらいに思われているのか。

 来るなら来ればいい。駆け足で準備は散々してきた。撃退してやる。
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