フレンド0人が戦国転移した結果

デンデンムシ

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集大成

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 正月を迎え、謹賀の儀はしないとは言っていたが、織田家の簗田や藤田、そして三好が攻めて来た時には全兵力で参ると約束してくれた石川パパとで、ささやかながら簡単な謹賀の儀というものをした。
 名前は大層だが、本当にただの食事会のような感じだ。

 この頃になると、皆とかなり打ち解け、軽く冗談を言えるくらいの関係になっている。簗田のあの性格も、助けになったのだろう。

 この謹賀の儀の飯は正月に囚われず、妻鳥様からオレに直々に、
 「皆を労う、上方の飯を用意してはもらえぬか。材料はこの地にある物しかないが、頼めぬか」
 と頼まれた。

 そこでオレは料理番の人達とせっせと仕事を……と思ったが、オレと静樹の手捌きが分からないようで、実質は二人で用意する形になった。

 この時代では未だ登場していないだろう揚げ物。豚カツならぬ猪カツ、魚の天ぷら、茶碗蒸し。さらに、猪の出汁を混ぜ、小麦粉で練ったうどん……いや、ラーメンもどきだ。

 皆が皆、驚きながら美味い美味いと食べてくれた。料理人の人が褒められていたが、作ったのはオレと静樹だ。だが、そんなことは敢えて言わない。

 「山岡殿。是非、周布にも川之江浦のような活気を出す一手を御教授願う!」

 「いえいえ、そんな大層な事はしていませんよ。領民主体で政策を考えているだけです。それに周布は来年には……いや、今年ですね。今年からかなり忙しくなると思いますよ。
 あの鉱山ですが、織田様も大変興味を持っていると聞いています。そうですよね、簗田様?」

 「がっはっはっ!美濃や尾張では、あの輝鉱石なる物が見当たりませんからな!
 我が殿、三郎様も、あのような発見をされた妻鳥殿に一目置いておりますぞ!」

 「いや、私は何もしていない。山岡のおかげだ」

 「何をおっしゃいますか!その山岡殿の手綱を引いておられるのは妻鳥様ですぞ!
 確かに山岡殿が見つけた物やもしれませぬ。ですが、大名間では家臣の手柄は大名の物と見られるのですぞ!」

 「いや、私は大名ではないぞ?」

 「おや?がっはっはっ!確かに河野殿が伊予国の大名でしたな!これは失敬!
 いやなに……未だに河野何某殿は、織田家に文の一つもございませぬからな!ワシの心象は悪いですぞ!」

 「そう言わないでくれ。河野様もお忙しいのだ。私は河野様の支配内。これはこの先も変わらない」

 「山岡!お前が色々勝手にするから、こう思われるのだ!」

 「勝重!そういうお前も、そのオレの郡に買い物に来ているだろうが!前もこういうやり取り、あったよな!?」

 「だ、黙れ!此度の飯も至高ではあるが、あの照り焼きという甘い汁の魚が美味いのだ!」

 あの石川も口こそ相変わらずだが、オレも勝重と呼び捨てするくらいには仲良くなった。意外と良い奴なのだ。

 「何の取り柄もなく、ただ真面目な息子かと思うておりましたが、山岡殿と仲良くなれるとは嬉しい限りですな」

 「石川様。勝重様は素晴らしいですよ。最近では鉄砲隊の一軍を率いるくらいに」

 「ああ。父であるワシが言うのは違うが、どんな事も一番にはなれぬが、五番内には入れ、どんな事も普通より少し能力がある息子だと思っている。
 ワシが率いる周布の兵は古い。槍兵、弓兵が主だ」

 「ありがとうございます。これで勝重様が鉄砲隊を率いれば、向かうところ敵なしですね!」

 「がっはっはっ!槍も、よくぞ織田の意見を取り入れてくれましたな!」

 「ああ。槍の長さは恐怖を薄れさせる、だったな。確かに言われてみればそうだ。礼を言う」

 「なんの!なんの!石川殿も落ち着けば、沓掛においでください!ワシがもてなしますぞ!」

 「ふっ。行けるなら行ってみたいものよ。外国には行った事がないからのう。
 この場を借りて……殿。お願いしたき儀がございます。
 正式に家督を勝重に譲りたいと願います。ワシももう歳です。
 簗田殿に聞いたような、万の敵が襲ってくる大きな戦は経験ございませぬ。
 ですが、それなりに宇都宮や西園寺とは戦いました。そろそろ潮時かと……」

 「親父!!」

 「黙っておれ、勝重。
 ワシはお主に色々と教えてきたつもりだ。国の在り方、家臣の在り方は何ぞとな。
 主君は河野様だ。だが、飽くまで我等、周布の石川は、妻鳥様を頭領とする川之江衆の一家だ。これを忘れるでない」

 「長年の忠節、痛み入る。今の私に、その忠義に報いるものが何も無い。
 せめてもの隠居料を、私が生きている間、石川家に渡す事しかできぬが、良いか?」

 「そんな滅相もございませぬ!そのような物は望んでおりません!」

 「いや、これは私が決めたことだ。大事が収まれば、必ず渡す。
 見届け人は山岡だ。家督の件は相分かった」

 家督継承とは、こんな感じなのだろう。大きな家なら、もっと違うのかもしれないが。

 この謹賀の儀の後、すぐに小さな出来事が起こる。だが城では、それが大きな出来事だった。

 「や、山岡様!殿が至急、城に参るようにと……!」

 城番の者がオレを呼びに来た。相当焦っているようで、オレも慌てて登城する。

 「その姿、その正装は……」

 土居清重だった。見ただけで分かる。

 「山岡!清重殿に何を言った!」

 「いえ、できれば参集してほしいと」

 「久しいですな、姫様。父上の時以来ですかな」

 「そうかもしれぬが、今更、清重殿が参るとはどういうことか」

 「いえ、土居衆一同、今一度川之江城支配内として成り上がろうかと思いましてな。
 この山岡殿と先日お話しし、大変感銘を受けました。
 微力ながら、三好防衛戦の最前線に配置していただきたく」

 妻鳥様は訝しみながらも、表情が徐々に柔らいでいく。
 だが疑問は残るのだろう。ずっと現れなかった国衆が、いきなり来たのだから。

 「どういう風の吹き回しか」

 「そのままでございます。本家の方が現在、土佐一条家に客分としておりまして、その伝手で我等は多少……鉄砲兵が居りまする」

 「うむ。相分かった。疑って済まなかった。
 見ての通り、国衆が集まらなくてな」

 「殿!失礼致します!」

 「誰も通すなと言ったはずだが?」

 「い、いえ!三島、平野、山野衆がここに……」

 狙い通りになってきたか。後は寒川がどう出るかだな。

 「殿!お久しぶりでございます!」

 「おい!抜け駆けするな!殿!御機嫌麗しゅう……あれ!?
 男装はお辞めになられたので!?って……清重ッ!!
 お前も参集したのか!?あの土居衆頭領がか!?」

 「ふん。ワシはお前達と違う。この装備を見て分からぬのか。恭順だ。
 今後は川之江の土居衆ではなく、河野家の土居清重として働く」

 「左京亮、弥次右衛門。お前達は好きな時に勝手に参って、何をするつもりだ」

 「何って……早く参集した方を三島衆の頭領にするって……」

 ここで再び《覇圧》が点滅する。

 「ああ。オレがそう文を出した。効果覿面だな」

 「……だ、誰だ!?おめーは!?」

 「川之江浦郡代、山岡尊だ。
 お前達と違って独立はしていない。妻鳥様の支配内だ。
 啖呵を切るのはいいが、お前達は飽くまで独立したいんだろう?
 三島を一つにしたいんだろう?
 だが、それは川之江城の支配内だよな。その意味が分かるか?」

 「……な、なんという口の聞き方……」

 「要は、お前達も妻鳥様の下という事だ。
 今、川之江がどういう状況か知っているか?」

 「「…………」」

 「沈黙という事は、知らんという事か?
 三好が攻めてくる。防衛の戦力が必要だ。
 国が大変な時に、お前達は“三島の頭領”という我が儘な言葉に食い付いた。
 頭領と名乗りたければ働け。
 嫌なら、ずっと三島に籠ってろ。オレ達だけでどうにかする」

 「な、何を偉そうな事を……」

 「なら、左京亮と言ったか?
 お前は国の為には働かないという事だな」

 「ち、違う!いや……違います!」

 「ほう?なら、土居家のように従うか?
 オレはある程度、妻鳥様に自由を許されている。
 だからこうして、この場を支配している訳だが……どうする?」

 「へ、兵を出します!弥次右衛門より多く……!」

 「何を言う!ワシも左京亮より多く出す!」

 ここでオレは勝ったと思った。
 特性様々だ。息切れどころか、吐き気すら感じているけど。

 「まあ、山岡。その辺にしておいてくれ。
 これでも国衆の二家だ。
 左京亮、弥次右衛門。とりあえず仕置きは落ち着いてから決着を付けよ。
 私の前でな。
 手を貸してはくれぬか?
 三好にやられれば、国どころではなくなる」

 妻鳥様のこの言葉で、どうにかこの場は落ち着いた。

 それからさらに数日が経ち、睦月も終わりに近づいた頃、堺船の甚兵衛から文が届いた。

 「尊!久しぶりだ!今井様からの文だ!」

 「すまん」

 「良いってことよ!頑張れよ!」

 この言葉で、手紙を見る前から分かった。三好が動いた。

 《尊はん!久々でんな!
 偶にはワテに文でも寄越さんかい!ワテが送ってばかりやんけ!
 これが届いた頃には、もう来てるかもしれへんが、阿波水軍が動きよったで!
 ワテからは以上や!死ぬんやないで?頑張りや~》

 「ふっ。今井はとことん優しいな」

 「尊様?今井様の文ですか?」

 「ああ。阿波水軍が動いただと」

 「寒川氏は、結局音沙汰がないようですね」

 「この状況を知っているのか、知らないのか。
 三好に与するか、しないのかは分からないが……決定だな。
 とりあえず、石川家の一部隊を寒川方面に待機させておかなければならなくなった」

 「可哀想な事になりそうですね」

 「国衆と名乗っておきながら、日和見をするのは舐めている。
 だが、今からそれに対処はできない。
 妻鳥様に伝えてくる。
 静樹は兵の召集を。名簿表は必ず記入してくれ。
 何人かは脱落者が出るだろう。
 腰兵糧として、焼きおにぎりを一人十ずつ用意するように」

 オレは矢継ぎ早に命令を出す。
 集大成を見せる時が来た。
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