フレンド0人が戦国転移した結果

デンデンムシ

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押し返される戦線

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浜手は、しばしこちらの思惑通りに動いていた。

 焙烙玉の爆音と初弾の斉射で、三好の先陣は完全に足を止められ、上陸した兵は散発的にしか前へ出てこない。船を盾にして進もうとする動きも、狙い撃ちで崩せている。

 「いいぞ……そのままだ」

 鉄砲隊は無駄撃ちをせず、撃っては伏せ、伏せては次を狙う。周布の槍兵も、出過ぎず引き過ぎず、約束通りの距離で踏み留まっている。

 「三好軍は思ったほど前に出て来ませんな」

 土居清重がそう言う。だが、オレはこれは敢えてだと思っていた。

 「最初は様子見だろう。逆上しているように見えたあの薦田大和守……だが、このまま終わる相手じゃないと思っている。相手は三好軍の一軍を率いている人物だ」

 オレがそう言ったが、それは本当に言葉通りとなった。

 沖合に控えていた船団が、静かに動き出す。先ほどとは違う。今度は間を詰め、横に広がり、浜全体を覆うように舟を寄せてきた。

 「……来るぞ」

 次の瞬間、鬨の声が重なった。

 「押せッ!!構うな!!」

 船から船へ、兵が次々と飛び移り、浜へ雪崩れ込んでくる。先ほどまでの散発的な動きではない。明らかに、数で押し切る構えだ。

 「鉄砲隊!狙いを絞れ!!」

 パパパンッ

 確かに当たる。だが、倒れても倒れても、後ろから新たな兵が補われる。三好は躊躇しない。倒れた仲間を踏み越え、間合いを詰めてくる。

 「……数が違うな」

 オレは歯を噛み締める。

 だが、ここまでは想定内だ。問題は、どこまで耐えられるかだ。

 「山岡様!左が厚い!」

 「分かってる!無理に押すな、下がり過ぎるな!川次郎!十歩下がり、石川兵を援護しろ!」

 浜は狭い。退けば町屋、出れば包囲だ。周布の兵はよく踏ん張っているが、押し返される距離が、少しずつ伸びていく。

 その時、三好側の鉄砲が火を噴いた。

 パンッ パンッ

 砂が跳ね、兵が一人、二人と倒れる。致命傷ではない。だが、確実に「前に出る気」を削ってくる。

 「……やっぱり上手い」

 三好は、こちらの鉄砲を恐れて距離を保ちつつ、数で圧を掛けてきている。畿内で鍛えられた戦い方だ。雑兵を前に出し、使える兵を温存する。

 その時、三好軍の一部が、オレが当初決めていた防衛ラインを越えた。土居からも、悲痛な声が出始める。

 「尊様、このままでは……」

 「分かってる!だが、まだ崩れてはいない」

 オレはトランシーバーを握る。

 「滝次郎!今どこだ!」

 『もう動いておりますよ。浜の端で、少し騒がせてます』

 直後、浜の右手で悲鳴が上がった。三好兵の列が一瞬乱れる。横から突かれたらしい。

 「よし……」

 だが、それでも三好は止まらない。乱れた列をすぐに立て直し、さらに兵を送り込んでくる。

 「次が来ます!」

 「分かってる!」

 こちらの鉄砲隊の火が薄くなり始めた。弾込め、装填、射撃手、観測手と分担させていたが、撃つ余裕が削られている。石川隊の槍衾が押され、間合いが近い。

 「……想定より早いな」

 作戦は機能している。だが、相手が多すぎる。

 オレは一瞬、浜全体を見渡す。押している場所、押されている場所。踏み留まっている者、息が上がり始めた者。

 「……まだだ」

 ここでもう少し三好兵を減らさなければ、城が終わる。もう少しここを耐えれば、三好も無傷では済まない。

 「持ち堪えろ!今は退くな!だが無理はするな!」

 自分でも、矛盾した命令だと分かっている。

 それでも、言わずにはいられなかった。

 そしてオレの目に、石川隊が並んでいた防衛ラインの全てを、三好軍が越えた光景が映る。

 「口惜しいが、ここまでだ!全軍!ここから各々の判断に任せる!所定の位置まで退がれ!殿(しんがり)はオレだ!土居隊!それと後備えの兵よ!待たせた!今より石川隊を助ける!横射しで隙を作れ!」

 オレが、静樹に任せるつもりだった百五十人の兵を率いる。土居隊は清重に任せる。

 「山岡殿。御武運を」

 「そういう土居殿こそ。頼んだぞ」

 そう言い、浜の東側の建物の屋根に登る。

 「おい!安岐浦!横を見ろ!新手だ!河野の田舎大名め!小癪な真似をしおって!雑兵!鉄砲が来る!隠れろ!」

 「撃てッ!!!」

 パパパパパパンッ

 「本隊に負けるな!土居隊!訓練の通りだ!放てッ!!」

 パパパパパパンッ

 敵はオレ達に気付いたが遅かった。何か隠れるよう指示を出していたが、時既に遅し。既に、オレ達が狙っていた通りとなった。

 「ぐっ……胸を……抜かれた……!」

 「う、腕が……動かねぇ……!」

 三好軍の断末魔が聞こえる。だが、そんなものを気にしてはいられない。

 「石川隊!所定の位置まで退け!浜は捨てる!!最早、無理だ!」

 「相分かった!!山岡殿!恩に着る!!皆の者!退け!退けぇ~!!」

 石川パパの良い退き際だ。周布の兵も、よくぞ持ち堪えた。

 ◆

 オレ達も、町屋の隘路まで退く。その場所で待機しているのが――。

 「がっはっはっ!退く兵の数を見ると、三好にそんな被害は被っていないようですな!」

 「石川隊が少しやられたくらいですかね……。それにしても、浜で止められるかと思ったのですが、無理でした」

 「じゃろうな。阿波の兵をこちらに送り込んでいると見る。さて……ここからは織田の戦いを見せようか!先陣は後ろで小休止を。交互に退がりながら、必殺の間にて三好を撃滅しますぞ!」

 敵が分散するように、この町屋、商屋、倉などは城を起点とし、放射状に建てた。三好軍の事も考え、敵が一点に集中しないよう、分散する構えだ。
 そこに織田の鉄砲隊を配置し、すかさず一射で下がる。敵が武者で攻めて来ても、屋根の上に隠れた織田鉄砲隊が、交差するように敵に撃ち込む。そして、すかさずまた下がる。これを繰り返す。最後は城に到達するが、その時までには、かなりの三好軍を減らせる筈だ。

 オレ達、浜手の兵は暫しの休憩に入る。

 兵に水を飲ませ、握りを食べさせる。ここでもオレは、わざとらしく皆に声を掛ける。

 「長次郎!よくやった!川次郎は……まぁまぁだ!」

 「えぇ!?俺は、まぁまぁなのですか!?」

 「あぁ。お前の訓練時の腕なら、もう少し三好軍を減らせた筈だ。アカネ隊は、かなり良かったと思う。皆の働きのおかげで、予想より良く推移している。
 このままいくぞ。敵はまだまだ居る。とにかく出過ぎるな。寧ろ、退きながら戦うのだ。分かったな?」

 「「「オォーーーー!!!」」」

 「助六!助六はどこだ!」

 「はっ!ここに!」

 「お前は石川兵を率いろ。ここからが正念場だ。織田兵が撃った後、一当てして下がれ。それを繰り返す。敵の突破を許すな。東側はオレが指揮をする。西側は助六だ。土居隊を上手く使え!」

 「は、はっ!」

 パパパパパパンッ

 オレ達が休憩していると、前方の簗田の鉄砲隊から射撃音が聞こえた。

 「おい!皆!準備せよ!次はオレ達の番だぞ!」

 ◆

 ~三豊 詫間~

 「おい!誠か!?後備えも全軍、川之江に向かうのか!?薦田様が、そう言ったのだな!?」

 「は、はい!川之江方が鉄砲隊を用意していたようで、浜手を掌握するのに苦労しましたが、なんとか抑えました。ですが、損害が予想以上に多く、全軍ですり潰すと……」

 「う~む。相分かった。直ぐに、そちらに向かわせる。おい!お前等!出番が来たぞ!川之江方が少々やるようだ!薦田大将から、直々にお声が掛かったぞ!」

 「まさか、苦戦しているのですか?」

 「らしいぞ。川之江にも鉄砲隊が居るみたいだ。まぁ旧式であろうよ。お前達が、畿内の戦い方を教えてやれ。薦田の大将は、直ぐに頭に血が上るからな。乱取りも許す。城主も確か女だったよな?犯してやれ!出撃!」
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