true love

hina

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青春

そしていよいよ体育祭の幕が切って落とされた。

体育祭一日目、海率いるバレー組は順調に勝ち進み、明日準決勝を迎えることとなった。
競技の空き時間に、美結は海達と男子サッカーチームの応援に向かった。

ちょうどサッカーの準々決勝戦では、美結のクラスと陸のクラスが戦っていた。
美結にとって、サッカー部エースの陸と運動神経抜群の明人の幼なじみ対決を観戦することができた。

白熱する試合の中、美結はどちらと選べず二人に対して応援していた。
そして勝者になったのは、陸のクラスだった。

「あーあ。負けちゃった。皆本当にごめんね。」

すっかりクラスの人気者の明人がそう言うと、数名の女子が悲鳴を上げながら明人の前にタオルと飲み物を持って行っていた。
可愛い女子に囲まれている明人の姿を千花が悔しそうに見ているのを美結は見つけてしまい、美結はなんとも言えない気持ちになっていた。

「もう、シュートされそうな時あそこにいちゃダメでしょ工。」

美結の横ではどんなスポーツも詳しく熱狂的になる海が工を捕まえ、延々と小言を言っていた。
そして暫くすると、陸が美結の姿を見つけて駆け寄り、校庭の隅に連れ出した。

「美結、見に来てたんだね。」
「うん。試合、楽しみにしてたよ。おめでとう、陸。」
「まだおめでとうは早いよ、美結。」

陸はそう言うと微笑みながら、美結の髪を優しく撫でた。

「美結、明日の試合も見に来れる?」
「うん、調整してみる!」
「ありがとう。必ず来て欲しい。あと明日は朝練するから、一緒に登校できないや。気をつけてね。」

陸はそう言い放つと、颯爽と自分のクラスの元に行ってしまった。
その光景を近くで見ていた海はニヤニヤしながら美結に近付いて言った。

「いやー、青春だなぁ。陸くんのクラスが優勝したら、もう陸くんと付き合っちゃえば?」
「いたの?日向。って、なんでそうなるのよ。」

大学生の年上の彼氏を持つ日向が憧れるスクールラブに、美結は否定しながらも照れていた。
サッカーの試合で陸の姿は、本当に格好良かった。
美結はつい、あんなに格好良い幼なじみを持つ自分は最高だと思ってしまった。

「こんなところにいたの、美結。顔真っ赤にしてどうした。」
「陸くんといちゃついてたんだよ。明日の試合の応援してって陸くんがね。」
「美結、応援もいいけど私達は明日悲願の優勝を向けて全力を尽さないと!さ!練習行こう!」

美結は余韻に浸る暇なく、海に引きずられるように練習に駆り出された。


そして体育祭、二日目。
準決勝戦で、美結のクラスがリードしており、あと数点でセットを取ろうとしている時だった。
クラスメイトのサーブをセッターの美結が受け取った時の勢いで、美結は強く指を捻ってしまった。

美結は指の痛みを我慢しながら試合を続け、無事に美結のクラスは準決勝に勝つことができた。
試合後すぐに美結は救護室に向かって養護教諭から手当てを受けると、安静のため今後の試合参加禁止の指示を受けた。

「ごめんね、海。」
「仕方ないよ、美結。決勝絶対勝つから、安心して応援してて!」

そして美結は引き続き行われた決勝戦を、補欠の千花の隣で観覧することとなった。

周囲の白熱した応援とは打って変わって、千花は黙って決勝戦を観覧していた。
千花の隣はなんとなく気まずかった美結は、控えめにチームを応援した。

美結の代わりに入った友人がセッターとして大活躍し、美結のクラスはリードしていた。
すっかり安心して試合を観覧していた美結に、千花が初めて話しかけた。

「あの、山本さん一つ聞いてもいいですか?」
「何ですか?」
「山本さんって、明人の中学時代の元彼女なんですよね?」

いきなりの発言に美結は驚いたが、千花が明人を名前で呼んでいたことが少し気になった。
美結は返答に非常に困ったが、隠すこともないので淡々と答えた。

「うん、中学時代に明人と付き合ってたよ。」
「そうですか。今は山本さんと明人は何もないですよね?」
「何もないよ。」

美結が躊躇わずそう言うと、終始硬い表情だった千花の口元が綻んだ少しのが分かった。

「私、明人のことが好きなんです。それなら躊躇うことなく責められます。」

そして千花が満面の笑みで肉食系女子のような宣言をしたのに対し、美結は開いた口が塞がらなくなった。
それから間も無く大歓声が起きて、美結のクラスのバレーチームが優勝したことが分かった。

美結は歓喜のあまり大泣きする海とクラスメイトの下に行き、抱き合った。
悲願の優勝は心の底から嬉しかったが、美結は千花に言ったことが心から離れなかった。


それから美結達は男子サッカーチームの決勝戦を観に行った。
陸のクラスが決勝戦まで出場しており、そして圧巻の試合を繰り広げて優勝した。

歓声溢れる中、落ち着いた頃美結は陸を労うため会いに行った。
陸は決勝戦でも大活躍だった。
その姿は本当に格好良くて美結はすっかり感動していた。

「陸、すごく格好良かったよ。お疲れ様。」
「美結、ありがとう。一つ、お願いしたいことがあるんだけど駄目?」
「…お願い?」

陸はいつに無く笑顔でそう言うと、美結の耳元に顔を近づけて囁くように言った。

「美結、俺とデートして欲しい。」

美結は陸の思いがけない言葉に対し、耳まで真っ赤になった顔を両手で隠した。

「また連絡するね。」

そして陸はクラスメイトの下に颯爽と去って行ってしまった。

体育祭は美結にとって心揺さぶられる出来事満載で終わったのだった。

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