6 / 15
青春
そしていよいよ体育祭の幕が切って落とされた。
体育祭一日目、海率いるバレー組は順調に勝ち進み、明日準決勝を迎えることとなった。
競技の空き時間に、美結は海達と男子サッカーチームの応援に向かった。
ちょうどサッカーの準々決勝戦では、美結のクラスと陸のクラスが戦っていた。
美結にとって、サッカー部エースの陸と運動神経抜群の明人の幼なじみ対決を観戦することができた。
白熱する試合の中、美結はどちらと選べず二人に対して応援していた。
そして勝者になったのは、陸のクラスだった。
「あーあ。負けちゃった。皆本当にごめんね。」
すっかりクラスの人気者の明人がそう言うと、数名の女子が悲鳴を上げながら明人の前にタオルと飲み物を持って行っていた。
可愛い女子に囲まれている明人の姿を千花が悔しそうに見ているのを美結は見つけてしまい、美結はなんとも言えない気持ちになっていた。
「もう、シュートされそうな時あそこにいちゃダメでしょ工。」
美結の横ではどんなスポーツも詳しく熱狂的になる海が工を捕まえ、延々と小言を言っていた。
そして暫くすると、陸が美結の姿を見つけて駆け寄り、校庭の隅に連れ出した。
「美結、見に来てたんだね。」
「うん。試合、楽しみにしてたよ。おめでとう、陸。」
「まだおめでとうは早いよ、美結。」
陸はそう言うと微笑みながら、美結の髪を優しく撫でた。
「美結、明日の試合も見に来れる?」
「うん、調整してみる!」
「ありがとう。必ず来て欲しい。あと明日は朝練するから、一緒に登校できないや。気をつけてね。」
陸はそう言い放つと、颯爽と自分のクラスの元に行ってしまった。
その光景を近くで見ていた海はニヤニヤしながら美結に近付いて言った。
「いやー、青春だなぁ。陸くんのクラスが優勝したら、もう陸くんと付き合っちゃえば?」
「いたの?日向。って、なんでそうなるのよ。」
大学生の年上の彼氏を持つ日向が憧れるスクールラブに、美結は否定しながらも照れていた。
サッカーの試合で陸の姿は、本当に格好良かった。
美結はつい、あんなに格好良い幼なじみを持つ自分は最高だと思ってしまった。
「こんなところにいたの、美結。顔真っ赤にしてどうした。」
「陸くんといちゃついてたんだよ。明日の試合の応援してって陸くんがね。」
「美結、応援もいいけど私達は明日悲願の優勝を向けて全力を尽さないと!さ!練習行こう!」
美結は余韻に浸る暇なく、海に引きずられるように練習に駆り出された。
そして体育祭、二日目。
準決勝戦で、美結のクラスがリードしており、あと数点でセットを取ろうとしている時だった。
クラスメイトのサーブをセッターの美結が受け取った時の勢いで、美結は強く指を捻ってしまった。
美結は指の痛みを我慢しながら試合を続け、無事に美結のクラスは準決勝に勝つことができた。
試合後すぐに美結は救護室に向かって養護教諭から手当てを受けると、安静のため今後の試合参加禁止の指示を受けた。
「ごめんね、海。」
「仕方ないよ、美結。決勝絶対勝つから、安心して応援してて!」
そして美結は引き続き行われた決勝戦を、補欠の千花の隣で観覧することとなった。
周囲の白熱した応援とは打って変わって、千花は黙って決勝戦を観覧していた。
千花の隣はなんとなく気まずかった美結は、控えめにチームを応援した。
美結の代わりに入った友人がセッターとして大活躍し、美結のクラスはリードしていた。
すっかり安心して試合を観覧していた美結に、千花が初めて話しかけた。
「あの、山本さん一つ聞いてもいいですか?」
「何ですか?」
「山本さんって、明人の中学時代の元彼女なんですよね?」
いきなりの発言に美結は驚いたが、千花が明人を名前で呼んでいたことが少し気になった。
美結は返答に非常に困ったが、隠すこともないので淡々と答えた。
「うん、中学時代に明人と付き合ってたよ。」
「そうですか。今は山本さんと明人は何もないですよね?」
「何もないよ。」
美結が躊躇わずそう言うと、終始硬い表情だった千花の口元が綻んだ少しのが分かった。
「私、明人のことが好きなんです。それなら躊躇うことなく責められます。」
そして千花が満面の笑みで肉食系女子のような宣言をしたのに対し、美結は開いた口が塞がらなくなった。
それから間も無く大歓声が起きて、美結のクラスのバレーチームが優勝したことが分かった。
美結は歓喜のあまり大泣きする海とクラスメイトの下に行き、抱き合った。
悲願の優勝は心の底から嬉しかったが、美結は千花に言ったことが心から離れなかった。
それから美結達は男子サッカーチームの決勝戦を観に行った。
陸のクラスが決勝戦まで出場しており、そして圧巻の試合を繰り広げて優勝した。
歓声溢れる中、落ち着いた頃美結は陸を労うため会いに行った。
陸は決勝戦でも大活躍だった。
その姿は本当に格好良くて美結はすっかり感動していた。
「陸、すごく格好良かったよ。お疲れ様。」
「美結、ありがとう。一つ、お願いしたいことがあるんだけど駄目?」
「…お願い?」
陸はいつに無く笑顔でそう言うと、美結の耳元に顔を近づけて囁くように言った。
「美結、俺とデートして欲しい。」
美結は陸の思いがけない言葉に対し、耳まで真っ赤になった顔を両手で隠した。
「また連絡するね。」
そして陸はクラスメイトの下に颯爽と去って行ってしまった。
体育祭は美結にとって心揺さぶられる出来事満載で終わったのだった。
体育祭一日目、海率いるバレー組は順調に勝ち進み、明日準決勝を迎えることとなった。
競技の空き時間に、美結は海達と男子サッカーチームの応援に向かった。
ちょうどサッカーの準々決勝戦では、美結のクラスと陸のクラスが戦っていた。
美結にとって、サッカー部エースの陸と運動神経抜群の明人の幼なじみ対決を観戦することができた。
白熱する試合の中、美結はどちらと選べず二人に対して応援していた。
そして勝者になったのは、陸のクラスだった。
「あーあ。負けちゃった。皆本当にごめんね。」
すっかりクラスの人気者の明人がそう言うと、数名の女子が悲鳴を上げながら明人の前にタオルと飲み物を持って行っていた。
可愛い女子に囲まれている明人の姿を千花が悔しそうに見ているのを美結は見つけてしまい、美結はなんとも言えない気持ちになっていた。
「もう、シュートされそうな時あそこにいちゃダメでしょ工。」
美結の横ではどんなスポーツも詳しく熱狂的になる海が工を捕まえ、延々と小言を言っていた。
そして暫くすると、陸が美結の姿を見つけて駆け寄り、校庭の隅に連れ出した。
「美結、見に来てたんだね。」
「うん。試合、楽しみにしてたよ。おめでとう、陸。」
「まだおめでとうは早いよ、美結。」
陸はそう言うと微笑みながら、美結の髪を優しく撫でた。
「美結、明日の試合も見に来れる?」
「うん、調整してみる!」
「ありがとう。必ず来て欲しい。あと明日は朝練するから、一緒に登校できないや。気をつけてね。」
陸はそう言い放つと、颯爽と自分のクラスの元に行ってしまった。
その光景を近くで見ていた海はニヤニヤしながら美結に近付いて言った。
「いやー、青春だなぁ。陸くんのクラスが優勝したら、もう陸くんと付き合っちゃえば?」
「いたの?日向。って、なんでそうなるのよ。」
大学生の年上の彼氏を持つ日向が憧れるスクールラブに、美結は否定しながらも照れていた。
サッカーの試合で陸の姿は、本当に格好良かった。
美結はつい、あんなに格好良い幼なじみを持つ自分は最高だと思ってしまった。
「こんなところにいたの、美結。顔真っ赤にしてどうした。」
「陸くんといちゃついてたんだよ。明日の試合の応援してって陸くんがね。」
「美結、応援もいいけど私達は明日悲願の優勝を向けて全力を尽さないと!さ!練習行こう!」
美結は余韻に浸る暇なく、海に引きずられるように練習に駆り出された。
そして体育祭、二日目。
準決勝戦で、美結のクラスがリードしており、あと数点でセットを取ろうとしている時だった。
クラスメイトのサーブをセッターの美結が受け取った時の勢いで、美結は強く指を捻ってしまった。
美結は指の痛みを我慢しながら試合を続け、無事に美結のクラスは準決勝に勝つことができた。
試合後すぐに美結は救護室に向かって養護教諭から手当てを受けると、安静のため今後の試合参加禁止の指示を受けた。
「ごめんね、海。」
「仕方ないよ、美結。決勝絶対勝つから、安心して応援してて!」
そして美結は引き続き行われた決勝戦を、補欠の千花の隣で観覧することとなった。
周囲の白熱した応援とは打って変わって、千花は黙って決勝戦を観覧していた。
千花の隣はなんとなく気まずかった美結は、控えめにチームを応援した。
美結の代わりに入った友人がセッターとして大活躍し、美結のクラスはリードしていた。
すっかり安心して試合を観覧していた美結に、千花が初めて話しかけた。
「あの、山本さん一つ聞いてもいいですか?」
「何ですか?」
「山本さんって、明人の中学時代の元彼女なんですよね?」
いきなりの発言に美結は驚いたが、千花が明人を名前で呼んでいたことが少し気になった。
美結は返答に非常に困ったが、隠すこともないので淡々と答えた。
「うん、中学時代に明人と付き合ってたよ。」
「そうですか。今は山本さんと明人は何もないですよね?」
「何もないよ。」
美結が躊躇わずそう言うと、終始硬い表情だった千花の口元が綻んだ少しのが分かった。
「私、明人のことが好きなんです。それなら躊躇うことなく責められます。」
そして千花が満面の笑みで肉食系女子のような宣言をしたのに対し、美結は開いた口が塞がらなくなった。
それから間も無く大歓声が起きて、美結のクラスのバレーチームが優勝したことが分かった。
美結は歓喜のあまり大泣きする海とクラスメイトの下に行き、抱き合った。
悲願の優勝は心の底から嬉しかったが、美結は千花に言ったことが心から離れなかった。
それから美結達は男子サッカーチームの決勝戦を観に行った。
陸のクラスが決勝戦まで出場しており、そして圧巻の試合を繰り広げて優勝した。
歓声溢れる中、落ち着いた頃美結は陸を労うため会いに行った。
陸は決勝戦でも大活躍だった。
その姿は本当に格好良くて美結はすっかり感動していた。
「陸、すごく格好良かったよ。お疲れ様。」
「美結、ありがとう。一つ、お願いしたいことがあるんだけど駄目?」
「…お願い?」
陸はいつに無く笑顔でそう言うと、美結の耳元に顔を近づけて囁くように言った。
「美結、俺とデートして欲しい。」
美結は陸の思いがけない言葉に対し、耳まで真っ赤になった顔を両手で隠した。
「また連絡するね。」
そして陸はクラスメイトの下に颯爽と去って行ってしまった。
体育祭は美結にとって心揺さぶられる出来事満載で終わったのだった。
あなたにおすすめの小説
幼馴染の許嫁
山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】ジュリアはバツイチ人生を謳歌する
ariya
恋愛
エレン王国の名門貴族・アグリア伯爵家に嫁いだジュリア・アグリア(旧姓ベルティー)。
夫のアベル・アグリア伯爵は、騎士として王妃の護衛任務に没頭し、結婚翌日からほぼ別居状態。
社交界のパーティーでは妻のエスコートを代理人に任せ、父の葬儀にも顔を出さず、事務的な会話と手紙のやり取りだけの日々が続く。
ジュリアは8年間の冷遇に耐え抜いたが、ある朝の食事中、静かに切り出す。
「私たち、離婚しましょう」
アベルは絶句するが、ジュリアは淡々と不満を告げる。
どれも自分のしでかしたことにアベルは頭を抱える。
彼女はすでに離婚届と慰謝料の用意を済ませ、夫の仕事に理解を示さなかった「有責妻」として後腐れなく別れるつもりだった。
アベルは内心で反発しつつも、ジュリアの決意の固さに渋々サイン。
こうしてジュリア・アグリアは、伯爵夫人としての全てを置き去りにし、バツイチ人生を開始する。
【感謝】
第19回恋愛小説大賞にて奨励賞を受賞しました。
ありがとうございます。
好きな人の好きな人
ぽぽ
恋愛
"私には何年も思い続ける初恋相手がいる。"
初恋相手に対しての執着と愛の重さは日々増していくばかりで、彼の1番近くにいれるの自分が当たり前だった。
恋人関係がなくても、隣にいれるだけで幸せ……。
そう思っていたのに、初恋相手に恋人兼婚約者がいたなんて聞いてません。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。