true love

hina

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決断

花火大会の翌日、美結は海と日向を喫茶店に呼び出し、花火大会で起きた出来事を話した。
日向や海は陸からの告白は想定内だったと言い、陸と付き合うことを強く推した。
しかし陸からの告白への返事に悩んでいた美結は、勿論そんなことが起きて嫌でしかない工に相談したのだった。

「美結はどうしたいの?」

夜のファーストフード店に呼ばれた工は、躊躇いなく率直に美結に聞くのだった。
それは美結にとって自分自身も分からないことで、美結は頭を抱えて黙っていた。

「まだ好きなんだろ?明人のこと。」
「…そんな。」

工の一言はまさに的中していた。
例え目の前でイチャイチャしている明人と千花の姿を見ても、自分の明人に対する思いは消えることはなかった。
ただそれが恋心か未練なのかどうか、美結はそれも自分ではよく分からなかった。

美結はそんな自分の頭では処理切れずゴチャゴチャになっている気持ちを、辿々しく工に告げた。
工はそんな美結の誰にも言えない本音を最後まで頷きながら聞いてくれた。
そして美結の気持ちが落ち着くと、工も素直な気持ちを美結に吐いたのである。

「中3の時に俺が付き合おうって言ったら、美結はすぐ俺を振ったよな。それから俺が説得してなんとか付き合ったけど、無理やり付き合わせた美結には本当に悪いことをしたと思ってる。でも今回はさ、美結は陸にすぐ返事を返さなかった。それは少しでも陸を想う気持ちがあるってことかなって俺は思ってた。悔しいけど。」
「陸と付き合う…かぁ。」

美結と陸とは幼い頃から、明人と付き合ってた時もずっと、まるで当たり前のように穏やかで心地よい関係が続いてきた。
陸に対する気持ちは、明人を想っていた時のような激しい恋心とは違うものである気がした。
しかし陸の気持ちに応え付き合うことを拒み、陸を失うのは一番最悪な事だと思う。

美結はふと陸と付き合う未来を想像した。
きっと今とそんなに変わらず穏やかな付き合いで、悪いものではないだろうと思った。
しかしまだ美結は即答できなかった。

「うーん、悩みすぎてもっと馬鹿になりそう。でもさ、私は工と付き合ってたことは後悔はしてないよ。すごく楽しかったし、今でもこうやって一番そばにいて話聞いてくれる関係になれたんだし本当に良かったと思ってる。いつもありがとうね、工。」

美結はもちろん工と付き合っていた時も楽しかった。
ただ明人への未練が消えずに、工を傷付けてしまう感じで別れてしまったというどこか罪悪感があった。
美結がそう言うと、珍しく工は顔を赤らめて俯いて言った。

「なんだよ、ありがとうって。それは俺の方だよ。別れても仲良くしてくれてありがとうな。俺は今の関係で満足だから、変に悩まなくていいからな。」
「ん?悩む?何を?」
「…やっぱもう友達やめようかな。」

鈍感すぎる美結の様子に工がそう言うと、美結は頬を膨らませて顔を横に振った。

「嘘だよ。」
「やったー!」
「あれー、お前らってより戻してんの?」

二人の話に割って入った相手に、美結と工は恐る恐る振り向いた。
なんとそこには千花を連れた明人の姿があった。
美結は体が熱くなるのを感じ、工はこの場で最悪の相手の出現に不機嫌そうに言葉を返した。

「明人、お前に関係なくない?」
「ちょっと工…。」
「確かに関係ないな。でもさ、別れてからも仲良いなってなんかおかしくね?」
「お前にだけは言われたくないな。」

そう言うと工は立ち上がり、明人に身を乗り出そうとするのを美結が必死に止めた。
美結は明人の言葉に心乱され、目頭が熱くなっていた。

「そんなんじゃ美結に嫌われるぞー。じゃたな。」

明人はそう工を挑発すると、千花の手を握って去って行った。
息を荒くして工を美結は座らせた。

「俺、まじあいつのこと嫌いだわ。美結の気持ち少しでもいいから分かれよ。てか美結はあんな奴のどこがいい…」
「工…。」

美結の両目からはまた大粒の涙が溢れていた。
工は取り乱してしまった言動を反省しそれ以上話すのをやめ、美結の頭を優しく撫でた。

「余計なこと考えずに陸と付き合ったら、美結。俺は美結に幸せになってもらいたいよ。」
「うん、なんかちょっと気持ちの整理がついたかも。ありがとう、工。」

美結はそう言うと、テーブルに伏せて涙を流していた。
明人を想う独りよがりな気持ちは、自分や周りを傷付け辛くするばかりなことに気付いた。


そして美結は明くる日、陸に迷っている気持ちを全て告げた。

「美結、それでも俺は美結と付き合いたい。その気持ちも全て受け入れるから。」

美結は泣きそうな顔で陸を見つめ頷き、微笑んだ。

陸は美結の迷いも本当は分かっていた。
ずっと美結の抱える明人への思いを知りながらも、自分が幸せにしたいと苦渋の決断をしたのであった。

「俺は工に頭が上がらないな。」

陸は自分がいない時にいつも美結を守ってくれる工に、深く感謝したのであった。
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