偏屈

なゆか

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説得

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入学日は、
とりあえず班決めのHRだけで終わりだった。

あんな嫌がる二宮弟と
恋人になるとか全然現実味無いな…
なんて思っていると
クラスメイトの女子2人に
声を掛けられた。

立石「さっきの話し聞いてたんだけどさー
あっ私、A班の立石りん!よろしくね!
それでっ恋人にっての
返答してなかったじゃん?
どうするの!」

国井「うちもそれ気になってたんだよね!
ちなみにうちはC班の国井由香里、よろ!」

作野「やっぱ、聞こえてたんだね」

立石「超聞こえてたよ!」

国井「少女漫画的なイベント発生を
間近に見て凄いって話しててさ」

立石「そうそう!」

作野「あー確かに漫画にありそう」

立石「でーどうすんの!」

作野「えっと」

どうすんのって言われてもな…

揶揄われてるんだとしても
こんな経験無いし、
どうすれば良いんだと思っていると、
後ろから肩を掴まれる。

菊乃「鞠の恋人になってくれますよね?」

二宮弟を引き摺ってきたらしい
二宮姉がにこにこと笑っている。

国井「びっくりした!
おっ話題の双子登場!」

立石「恋人になっちゃえ」

その方が面白いと
話しかけられて数秒の立石さんと
国井さんは面白がっている。

作野「ここで、私がうんって言っても
二宮君、凄い嫌そうじゃん。
嫌いって言ってくる人と
恋人になるなんて想像つかないよ」

立石「あれっしょ、
嫌よ嫌よも好きの内」

菊乃「そうです! 鞠は天邪鬼なので」

国井「さっ弟君の返答は?」

鞠「…そうやって人の事面白がって
何が楽しいんだ…
僕は菊乃だけが居れば
それでいい、僕と菊乃だけの
世界を邪魔する事は許さない」

明らかに怒っている二宮弟だが…

立石「少女漫画の恋愛弊害っぽい!」

国井「めちゃくちゃキャラ立ちしてる!」

面白がる2人には、全然通じていない。

箭久野「お前らー、
さっさと下校しろよー」

更に横からヤクが入って来て、
この場は収まる事には…ならなかった。



ぎゅー

下校中、二宮姉は
私の方に二宮弟を押してくる。

菊乃「手握って」

鞠「嫌だ」

立石「握るなら恋人繋ぎね」

立石さんも面白がって、
反対から私の事を押す。

箭久野「弟の抵抗、ガン無視かよ」

国井「箭久野君って、
サッカー部のエースやってたよね?
うち、対戦した事ある中学でマネやってて」

箭久野「そうなの?」

ヤクは国井さんと話し出して、
フォロー人員が居なくなった。

二宮弟の抵抗…そして、
そもそも私は恋人になるなんて言ってない。

私の気持ちは一切触れられていなく、
多分今後も尊重される事はないだろうな…

作野「はぁ」

私は嫌がる二宮弟の手を取る。

作野「とにかく、友達からお願いします」

鞠「なっ!
なるわけ無い、バカなんじゃ無いの!」

普段無表情なのに、
顔を真っ赤に染めて怒る様が
本当に天邪鬼に見えてしまう。

立石「これはツンデレ」

菊乃「ひとまずキスとか」

箭久野「ちょっと待った!」

ヤクは二宮姉の発言にストップを掛けた。

箭久野「恋人にもなってねぇのに、
キスとか、セックスなんて早いだろ!
サクは今まで恋人出来たことねぇーし」

作野「はぁ、何を言ってんだ」

人の暴露すんなよと思う。

立石「つまり、弟君と作野さんは
初めての相手になるって事?」

菊乃「やっぱり運命の相手ですね!」

国井「きゃー!」

ヤクが余計な事を言ったせいで、
女子勢は盛り上がる反面、二宮弟は黙る。

鞠「……」

作野「そりゃ、反応困るよね。
私も困ってるわ…なんかごめんね」

私は黙りこくる二宮弟の手を
放そうとしたが…

ぎゅ…

作野「?」

鞠「…あ」

バッ

一瞬握られていたように思ったが、
すぐに手を振り払われた。

作野「まぁー、とりま入学初日で
疲れたから、解散しようよ」

箭久野「それもそうだな、
はい解散解散」



家までの帰り道

当然、幼馴染で
しかも家が真正面のヤクと
並んで歩いていた。

作野「本当入学初日が濃かったね。
今後が思いやられるわ、
体力持つかね~」

箭久野「あのさ」

作野「何?」

箭久野「マジで、二宮弟と付き合うのか?」

作野「突然改まって、どーした」

ヤクは何とも複雑そうな顔をしている。

箭久野「なんか二宮弟、最後
満更でも無さそーだったし」

作野「そうには見えなかったけど」

箭久野「んーなんかモヤモヤすんな」

ヤクは頭をかきむしり、天を仰ぐ。

作野「なんでヤクがモヤモヤしてんのさ。
なんか、ヤキモチ焼いてるように
見えるよ笑」

ガッ

ヤクは頭をかく手を止めた。

箭久野「俺がヤキモチ??
誰に?」

作野「誰って…私から言わせんなよ。
なんだ幼馴染に彼氏が出来たら、
うらめしいか」

箭久野「俺がサクにやきもち?」

作野「あっ着いた。
じゃあ、また明日」

私は困り顔をしているヤクを置いて、
家に入る。



入学初日大変だったなと、
夜、部屋のベッドで寝そべっていると、
スマホに電話が掛かってきた。

作野「誰だよ…こんな時間に」

スマホの画面に二宮姉の名前が表示されている。

さっき別れ際に連絡先交換したけど、
こんな早く掛けてくるとは…

作野「あれ、ビデオ通話じゃん」

電話かと思ったが、そうじゃなかった。

私は画面をスライドし、
あまり使う事がないビデオ通話に
顔映したくないなと天井にカメラを向けた。

菊乃「こんばんは…あれ」

作野「あー繋がってるよ」

天井を映してるからか、
二宮姉の戸惑う声が聞こえる。

菊乃「あっ繋がってるんですか?」

作野「うん」

菊乃「あれ?でも、
これ顔合わせてお話しが出来るんじゃ」

作野「んーそうだよ。
そうだけど、何となく
顔合わせて話すのテレくさくて」

菊乃「えっそうなんですか?」

作野「うん、そーだよ。
それで、どうしたの?」

正直、私もなかなかする事がない
ビデオ通話に戸惑っている。

菊乃「あの…学校で話した事に
ついてなのですが…
あっ鞠と恋人にって話です」

作野「あーうん」

菊乃「本気で考えてくれませんか」

作野「本気だったのか」

ほぼ初対面で冗談を言ってくる
タイプではないと思っていたが、
少しだけ冗談であって欲しかった。

菊乃「やっぱり、急では嫌ですか?」

作野「嫌というか何というか、
弟の意見も尊重してあげてよ。
あんな嫌がってるし、
無理やり恋人だなんて楽しくないと思うよ」

菊乃「鞠は天邪鬼なんです」

二宮姉は弟とずっと一緒に居て、
弟の事を一番分かってるんだろうが
天邪鬼だと言われても、
あの態度で面と向かって嫌いって言われたし…
私は苦笑いしか出来ない。

作野「本人の口から、
恋人になりたいって言われた時まで
お友達で居させてよ」

菊乃「……はい」

二宮姉は、不満そうに承諾をした。

すると…

鞠「菊乃、なんで1人で喋ってんの」

二宮弟の声が聞こえてきた。

菊乃「あっ丁度いいとこに、
鞠きてきて」

二宮姉は手招きをして、
画面に弟が入って来た。

鞠「何? 」

菊乃「画面見て」

二宮弟は、私が部屋の天井を映している為、
私と通話中の事に気づいていないっぽい。

作野「こんばんは」

鞠「…ッ!!?」

私が挨拶をした瞬間、
かなり驚いた顔をした。

作野「作野でーす」

鞠「…な…なんで」

作野「まぁ二宮姉から電話かかってきてね」

菊乃「じゃあ、お邪魔な私は去りますね。
ここは若い2人で」

二宮姉ってこんなキャラだったっけ?

本当に部屋から出て行ったっぽい二宮姉に
画面の中の二宮弟の顔が
どんどん強張っていく様子に笑う。

作野「お姉さんノリノリだね」

鞠「…余計な事」

作野「んーどうする?
何か話しする?」

鞠「お前と話す事なんてない」

作野「まぁ、そうだろうね。
じゃあ、明日も学校だし切るよ」

私は通話を切ろうとスマホを手に取る。

鞠「…おい」

作野「ん?」

鞠「お前はなんで画面にいないんだ。
僕は画面にいるのに、不公平だ」

作野「そこ気になんの?」

私は仕方なくスマホを
顔の高さまで持ち上げる。

作野「おーい、見えてる?」

鞠「見えてるよ…全く」

作野「初日から大変だったね」

鞠「…全てお前のせいだからな」

作野「私のせいって言うか、
お姉さんのせいじゃ無い?」

鞠「菊乃は悪くない」

作野「お姉さん思いだね」

鞠「僕には菊乃しか居ないんだ。
お前みたいなのが入る隙なんて無い」

作野「友達枠も?」

鞠「無理」

作野「返答早いね笑」

鞠「何笑ってるんだ。
僕はお前が嫌いだって言ってるのに」

作野「まぁ嫌いって事はつまり
好きの反対って事じゃん?
無関心じゃないだけ、マシだね」

鞠「…ッ」

作野「とりま、明日も会う訳だし
今日はこの辺で」

鞠「何を勝手に切ろうとしてる」

作野「時間見てみ?
11時過ぎてるからね」

鞠「…」

二宮弟は不服そうな顔をしている。

作野「んじゃ、おやすみ二宮弟」

鞠「…うるさい」

プツン

結局あっちから切られ、
この状態で恋人とか無理でしょと
思いながら、布団に潜った。
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