妄想女子、イケメン男子に揶揄われる

なゆか

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天使襲来

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昼休み

関田「山田、早く食堂行かないと
パン無くなるから」

山田「まじか!」

今日は悠里とパンを買う予定だったが
私のプリント提出が遅れ、現在急かされている。

関田「早く」

山田「はい、出来た!」

私は提出ボックスにプリントを入れ、
食堂へ向かった。



ざわざわ

食堂は生徒で溢れかえっていた。

関田「あーあ、山田のせいだ」

山田「すんません」

関田「まぁ、無くなることはないだろうけど
選べないわね」

山田「本当、すんません」

なんて言いながら、人混みをかき分け
パンを死守し、何とか私はコロッケパンと
サンドイッチを買うことが出来た。

悠里はというと、隣で弁当を買っていた。

山田「パンじゃないんかい」

関田「人混み嫌だからね」

まぁ、とにかく昼抜きにならなくて良かったと
食堂から出て行こうとした時に、
毎度のイケメン集団が食堂にやって来た。

本当煌びやかだなと思いながら、
横を通り過ぎようとすると…

伊野「山田さん、まだパン有った?」

さらっと伊野君に声を掛けられた。

山田「え…た、多分まだあると」

伊野「そっか、ありがと」

山田「いえいえ」

赤沢「きょどんなよ、キモいな」

山田「すいません」

隣に居た赤沢君に罵倒され謝る。

関田「山田ー、早く行くよ」

山田「おーう」

私は伊野さん達に軽く会釈して、
その場を去ろうとしたが、また止められた。

柏木「態度違い過ぎだな」

私を引き止めたのは、私より身長の低い
ショタの柏木真那人君だった。

山田「……ぇ」

柏木「お前、変態なのに男苦手みたいだな」

山田「えッ…なぜ変態だと…」

柏木「赤沢が言ってた」

山田「…」

柏木「それはいい、さっきの
挙動不審は男苦手だって事だろ?」

柏木君と対話なんて初めてなのに、
なんか私を理解してくれてるっぽい。

山田「そうです」

柏木「どんまい」

山田「え…あ、ありがとうございます」

柏木「タメだから、敬語やめろよ」

山田「えと…」

柏木「それだけだから」

柏木君はそう言って、
人混みに入って行ってしまった。

なんか謎だなと思うが、まじショタ可愛いなと
思いながら、悠里の後を追いかけた。



昼休みが終わり、授業中窓の外を見ると、
隣のクラスの男子達がサッカーをしていた。

さっきの柏木君はなんだったんだろなと、
つい柏木君を目で追った。

柏木君は小さい身体をフルに活用し、
俊敏にフィールド内を走り、ゴールを決める。

あの子まじ可愛いなと思いながらの授業は
全く集中出来なかった。

平井「隣のクラスの柏木君って、
マリプリのくるみんに似てない?」

その授業の休み時間、
梨沙ちゃんも隣のクラスのサッカーを観ていたのか
柏木君の話題を振られた。

マリプリとは、スマホアプリの
アイドル育成ゲームである。
その中のショタツンデレアイドルのくるみんに
柏木君が似てると言うのだ。

そう言われてみると、柏木君が
くるみんにしか見えなくなった。

平井「コスプレしてもらいたいわ、
私全力で金出すレベル」

山田「本当イケメンは目の保養ですな」

私はこの休み時間中に、
マリプリをダウンロードし、
更にタイミングが良いのか
丁度くるみんのイベント中で
初期ガチャ一発目からくるみんのSSRが出た。

運命かよと私は休み時間の都度、
くるみんを愛で回した。



帰りのHR後、担任に呼び止められた。

先生「山田ー、プリント提出し直しだからな」

山田「え、なんでですか」

先生「急いでたんだか知らんが、
解答枠全部ずれてたからな」

山田「…そんな」

帰り際のクラスメイトに笑われ、
私は昨日同様、放課後居残りで
プリント訂正をする事になった。



プリントに書いた字を消しゴムで
全部消そうとするが、新しく消しゴムを
買おうとしてずっと買ってなかった為、
私の消しゴムは、
小指の第一関節くらいしかなかった。

山田「消しゴムちっさ過ぎる!
ゴリッとなるわ」

とにかく、それを限界まで使う。

山田「やっぱ、無理かーい」

柏木「お前、独り言エゲツないな」

山田「うわッ⁈」

ガタンッ

突然、後ろから声がして
机に足を強打する。

柏木「その消しゴム、使っていいから」

私の机に新品の消しゴムが置かれ、
それを置いたのが柏木君だと分かるのに
時間がかかった。

さっきまで、私はくるみんを愛でていた為、
生柏木君はかなり刺激ブツだ。

柏木君は平然と前の席に座る。

柏木「お前さー、人にランク付けるだろ」

山田「……ぇ」

柏木「自分と釣り合う相手としか
馴れ合わなくて、釣り合わない人だと
拒否反応で挙動不審になって、
自分なんかがと卑下する意識が
歪んで変態発想になるんだろ」

柏木君はバーって喋ったが私はその通りだと
凄い人間観察してんなと思った。

山田「凄いですね」

柏木「昼の事もう忘れてんのか?
タメだろ、敬語やめろ。
それに、釣り合わないなんて自分だけで
思い込むなよ」

山田「長年の経験が」

柏木「そんなの知らねーよ。
お前、大学進学なんだろ?
どんな奴とでも対等に馴れ合わねーと
今みたいに今後もバカにされ続けるからな」

山田「…」

柏木「お前、人に弄られてヘラヘラしてるけど
その地位が楽だと思うなよ」

山田「…」

柏木「弄られと虐めなんて紙一重だからな」

柏木君はまじで私の事理解している。

山田「なんで、そんな言ってくれるんですか」

柏木「敬語やめろ、お前昔の俺みたいで
嫌なんだよ」

山田「昔の俺って」

柏木「俺身長小さいだろ?」

山田「お…ぉ」

突然でなんとも返答しづらい。

柏木「この身長のせいで、中学の時
女に舐められまくってた。
その時はヘラヘラして流してたが、
そのせいでつけ上がり出した女どもに
化粧だの女装だの、やられにやられまくって」

柏木君の女装、凄い見たいなと思うが
今言ったら殺される。

柏木「俺はすげー嫌な思いをした」

よく女装って、テレビとか漫画とかは
男子は喜んでやってたり、
嫌がってるが満更でもなかったりしてるが、
実際はマジで嫌な人も居るんだなと
柏木君の表情を見て分かった。

山田「柏木君は優しいね」

柏木君は私を心配し助言しに来てくれたんだ。

まじかこの天使と心で泣く。

柏木「優しくしたつもりなんてねーよ」

しかも、このツンツンな感じ。

柏木「とにかく、普通に異性の同級生に
ど変態とか言われたり、
スマホのデータとか見られてんのに
ヘラヘラしてんなって話」

山田「スマホって…まさか」

柏木「赤沢がエロ画像入ってるって言ってた」

山田「…あの野郎」

柏木「舐められてるから、スマホなんて
取られんだよ。スマホのデータなんて、
プライバシーの塊みたいなもんだろ」

山田「…ごもっとも」

柏木「まぁ伊野と俺で口止めはしといたけど、
お前、しゃんとしろよ」

柏木君の言葉が刺さる。

私はイケメン達にどんな形であろうとも
接しられて糧だとか喜んでいたが、
普通に男子に変態なんて言われてるのは異常なんだ。

山田「自分を見つめ直すよ」
 
柏木「そうしろ」

柏木君はそう言って立ち上がった。

柏木「じゃあ、
俺は言いたい事言ったから帰る」

山田「なんかありがとう」

柏木「お礼言われる事なんて言ってねー」

柏木君は凄い男気溢れてる。

山田「あ、消しゴム」

柏木「いっぱい持ってるから、やる」

さっきまで男らしかったのに、
瞬時にショタ属性を出した柏木君に
私は色々な意味で撃ち抜かれた。

柏木「じゃあな」

そう言って去って行った柏木君。

山田「…うわ、やべ…萌え死ぬ」

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