妄想女子、イケメン男子に揶揄われる

なゆか

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号泣

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先程、伊野君に冗談を言われた後、
私は飲み物を買い、教室へ戻る時に
窓際に寄り掛かっている立川君に声を掛けられた。

立川「なぁ」

山田「うわッ」

立川君は関尾君と違い、
愛想が無く不良っぽくて怖い。

立川「さっきの聞いてたけど、
伊野とかがお前にちょっかい出してんのは
面白がってるだけだからな」

そんな事、言われなくても分かっている。

山田「しっ…知ってますよ」

立川「分かってんなら、いいや。
勘違いで浮かれてて、惨めで可哀想だなって
声掛けただけだから」

立川君は釘刺して去って行った。

分かっているのに、立川君に現実を
突き付けられ泣きそうに…

山田「…ぁ…やば」

目から涙が溢れ出る。

山田「やばいやばい…」

私は顔を上げて、あまり人の来ない
パソコン室の前に走って向かう。



ボタボタ

私は泣いた事が人に分からないように、
目を擦らずに、涙を流した。

ただ溢れ出る涙が
スカートに染みを作っていく。

山田「分かっ…てんのに…ッ…なんで
涙が出んだよ…ッ…くそ」

息を整えているのに、
まだ涙が止まらないし、息が荒くなるし…
顔に熱が上がってしまう。

山田「ふぅッ……ぅ…」

私は持っていた手鏡で自分の顔を見ると
目は充血し、顔は完全泣いた後で赤かった。

これじゃ5時限目やばいよと水道の前に立つ。

山田「冷やさな…いと…」

蛇口を捻り、顔を洗う。

赤沢「何してんの?」

山田「…ッ⁈」

私は後ろから声を掛けられたが
顔を上げないまま、流れる水を見続ける。

赤沢「聞いてんだけど」

山田「…」

赤沢「おいって」

この最悪なタイミングで横から顔を覗かれ、
更に最悪な赤沢君だと言う事が分かった。

赤沢「なんで泣いてんの?」

山田「…」

赤沢君は水道のヘリに腰掛けながら、
質問してくるが、
今はまじで放って置いて欲しいし、
こういう時は人に接しられると
更に涙が出てしまう。

赤沢「何?」

山田「…」

赤沢「無視しないでくんない」

山田「今は…勘弁…」

赤沢「は? 何、ちゃんと喋ってくんない」

こんな状態なのに、
なんで責めてくんだよ。

山田「…」

私はまた涙が出て来てしまう。
このサディスト、本当どっか行って欲しい。

赤沢「聞こえなかったんだけど」

山田「…ッ…勘弁…ひッ」

泣いてるせいで過呼吸気味になり、
ちゃんと喋れない。

赤沢「だから、ちゃんと喋って」

私は再び蛇口に顔を近付けるが、
赤沢君は本当何考えてんのか手で制される。

赤沢「ブツブツ言ってて、聞こえないって」

山田「…無理だ」

赤沢「はぁ、まじ聞こえない」

赤沢君は蛇口をひねり、水を止めた。

赤沢「で?」

山田「…ッ……責めてくんな…」

泣きっ面に蜂とはこの事かよと
その場にしゃがみ、水道のヘリに顔を伏せる。

赤沢「別に責めてないし、質問じゃん」

山田「…」

赤沢「何、怒ってんの?」

赤沢君は、私の事を足で押す。

山田「…うるさい」

赤沢「は? 何それ、八つ当たりじゃね」

赤沢君は更に足で私を押す。

山田「…触んな」

赤沢「触ってないじゃん、蹴ってんの」

山田「やめろ…」

赤沢「指図すんな」

グイグイ

赤沢「つか、まじなんで泣いてんの?
ウケんだけど、虐められたとか?」

赤沢君の笑い声が聞こえ、
足で押すのもやめないし、まじ鬼畜過ぎだろ。

赤沢「お前みたいな変態が付け上がるから、
虐められんだよ。
つか、周りの勘違いも甚だしいわ」

虐められてはないが、先程の立川君から
言われた事を再度繰り返された。

赤沢「お前とどーこーとかあり得ないでしょ、
まじ時間の無駄」

山田「…時間の無駄なら、どっか行けよ」

赤沢「だから、指図すんなって」

山田「こっちだって、
馬鹿にされて笑われてるんだって…
分かってるんだよ」
 
赤沢「分かった上で、
あの変態発言とかしてんの?
まじやばいでしょ、
ガチのドMでど変態じゃん」

山田「やばいんだったら、声掛けて来んな。
気持ち悪いなら、無視しろよ」

赤沢「嫌だね。つか、お前が気持ち悪い
妄想ばっかしてるから虐められんだよ。
そのブス面を鏡見て自粛しな。
ブスが俺らと付き合えるわけないんだから、
まじ現実見なよ」

妄想くらい勝手だろと思うが、
普通妄想なんて言葉にするもんじゃない。

伊野君や赤沢君に嫌な思いさせたのかと、
罵倒されるのも一理あった。

赤沢「妄想でもイケメンと付き合うとか、
おこがまし過ぎでしょ」

にしても、言い過ぎだろと思う。

山田「…ぅッ」

赤沢「泣いても1ミクロンも可愛くないから」

なんなんだよ、コイツと思っていると
予鈴が鳴った。

とっとと、お前は教室に戻れと思いながら
私はこのまま教室には戻れない為、
友達に早退すると連絡をと、
ポケットに手を入れる。

ガシッ

山田「…なッ」

首根っこを掴まれ、尻餅をついた。

赤沢「とっとと行くよ」

山田「…は? 何言って…」

赤沢「5時限目遅れんじゃん」

まじ何考えてんのか分からない。
赤沢君は私の腕を引く。

赤沢「遅刻したら、お前のせいだから」

山田「ちょっ…離せ」

赤沢「うるさい」

私はそのまま赤沢君に引き摺られ、
赤沢君力強過ぎて意味分かんないし、
私は泣きながら、抵抗するが
教室前の廊下まで着いてしまう。

「ちょい、何してんの?」

そりゃ何事だよとまだ廊下に出ていた生徒に
指摘され、朝みたいに人に囲まれた。

「良、本当何してんの?」

赤沢「このブスが授業サボろーとしてたから
引きずってきたんだよね」

「え、いや山田さん凄い泣いてんじゃん」

赤沢「俺がボロクソ言ったから」

「赤沢が女子泣かせて」

「なになに、修羅場?」

「ボロクソって…」

赤沢「キモいから、泣かせた」

確かに今は赤沢君のせいだが、そもそもは
自分自身に悔しくて泣いてた。
なのに、こんな大勢の前で俺が泣かせた
発言して、赤沢君になんの得があるんだ。

「は? 何言ってんの、泣かせる事ないでしょ」

赤沢君に食いかかってるのは、先日赤沢君に
フられて泣いてた同じクラスのギャルの子。

赤沢「変な妄想ばっかしてるし、
まじコイツキモいから泣かせても良くない?」

「最低」

ギャルの子は、私の手を引いた。

「山田さん、大丈夫?」

山田「…だッ…大丈夫」

赤沢「まじキモいんですけど、
俺にボロクソ言われて大丈夫とか、
本当ドMだわ」

「良ッ! 山田さんの手離して」

未だ私の腕を掴む赤沢君に、
ギャルの子は私の代わりにキレる。

赤沢「はいはい」

赤沢君はそう言って、私の事を突き飛ばし
床に倒れこむ。

「山田さんっ!」

赤沢「これで終わりとか思わないでね、
もっと泣かしてやるから」

赤沢君はそう言って人をかき分け、
自分の教室に戻ってしまった。

「山田さん、大丈夫?」

山田「…わっ私は平気」

「強がんないでいいから、ちょっと
保健室行くから、先生に言っておいて」

見ていたクラスメイトにギャルの子は指示し
私の手を引いてくれた。

「保健室行こ」

山田「…うん」

その後、ギャルの子から
赤沢君と付き合ってた時の
最低エピソードを愚痴られた。

「本当泣いて縋った自分が馬鹿みたい。
よくよく考えるとさー、顔だけ良くても、
性格クズ過ぎたよ。だから、あんなクズに
何言われても気にしない方がいいよ」

私は慰められ、
この後教室に戻るのは酷だと早退する事になった。



次の日

昨日の事があり、教室に入り辛く
ドアの前で立ち往生していると、
普段あまり話さないクラスメイトに見つかり、
心配の声を掛けられた。

そして、席に着くなり悠里と梨沙ちゃんに
声を掛けられる。

関田「あんた、大丈夫なの?
昨日の実際に見てなかったけど、
赤沢君に泣かされたんだって?」

山田「まぁ泣いてたのは事実だけど、
元は情けなくて泣いてただけで、
泣かされたというか泣いてる延長で
赤沢君が来て」

平井「何があったのか分からないけど、
相談はいつでも乗るよ」

山田「ありがとう」

ガラッ

柏木「あ…来てるな」

柏木君が教室に入って来るなり、
私のとこまで来た。

柏木「ごめんな、山田」

山田「え、なんで柏木君が謝んの」

柏木「俺が赤沢に拍車を掛けたかもしんねー」

関田「それ、どういう事?」

柏木「昨日俺が山田は女じゃないとか
言ったから、言動に手加減しなくなったと」

山田「いやいやいやっ柏木君のせいじゃないよ
それに罵倒は元からだから」

柏木「そんな謙虚になんなよ。
俺がもっと赤沢にキツく言っとけば良かったし
遠回しに言い過ぎた結果、
変な勘違いされたわけだしな」

山田「遠回し?」

柏木「本当は、山田は女じゃなくて
友達だって言おうとしたんだ。
俺にとって女は嫌な存在だけど、山田は友達だから…
生物上女でも、友達だと思ってるから…
だから、変な言い方して嫌な思いさせてごめんな」

柏木君は滅茶苦茶良い人だ。

平井「…可愛い」

梨沙ちゃんはボソッと呟いた。

山田「…ぇ…と、柏木君が謝らなくても」

柏木「とにかく、ごめん。
また赤沢になんか言われるようなら、
俺に言ってくれ。
お前は友達だからな、俺が何とかしてやる」

平井「…男らしい萌え」

梨沙ちゃんは手で顔を覆って、
ボソボソ呟いている。

山田「ありがとう、でも友達って…」

柏木「そこも謙虚になんなよ。
アニメ話したんだから、友達だろーが!」

前に座っている梨沙ちゃんは悶絶し出した。

柏木「なっ!」

そして、梨沙ちゃんは崩れ落ちた。

関田「しっかりしなさいよ、梨沙」

柏木「んじゃ、俺は行くから
なんか遭ったら言えよな」

柏木君は自分の教室に帰って行ったが、
梨沙ちゃんが萌え死んだため、
私と悠里はそれに慌てた。

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