BAD END後

なゆか

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突然の救援

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香穂子の恋愛成就から、更に1週間

香穂子と良伸君は見るに耐えないくらい
イチャイチャしていて、
まぁ、長年の片想いが成就したんだから
仕方ないが、かなり鬱陶しい。

その為、2人の邪魔をしないように
若干距離を取っている。

狭間「今谷さん」

今谷「ん?」

帰り際、昇降口で狭間君に声を掛けられた。

狭間「すみません、
少し時間をもらえませんか」

今谷「今?」

狭間「はい」

今谷「ごめん、これからバイトなんだよね。
えーっとコレ私のID」

私は急いでいたせいか、
深く考えずに自分のメッセージIDを
狭間君に教えた。

今谷「バイトが終わるまで、
メッセージ確認は出来ないけど
用件連絡よろしく」

私はすぐに外履きに履き替え、
バイト先へ向かう。



22時

今谷「はぁ…」

私はヘトヘトになりながら、
スマホを開くと未登録の人から
何件も通知が入っている。

多分、狭間君だろうな…

今谷「あー悪いことしちゃったかな」

件数を見る感じ、
急ぎの用だったっぽく
メッセージを確認しようとすると
丁度、着信が入った。

今谷「はい」

狭間「…ぁ」

電話越しで狭間君だと分かった。

今谷「狭間君?
ごめんね、今バイト上がって」

狭間「お忙しい中すみません」

今谷「それで、どうしたの?
急ぎの用件だよね」

狭間「ぇ…いや、こんな遅くに悪いです」

まぁ、22時回ってるしな…

今谷「緊急な話なんでしょ?」

狭間「…はい」

今谷「狭間君がいいならいいけど…
じゃあ、また明日に」

狭間「そうですね」

バイトで疲れてんだよなと、
自己中かもしれないがヘトヘト過ぎて
人の話しを聞くテンションではなかった。

狭間「あっ…えと、それなら
今からそちらに向かいます」

あれ?今、明日って言ったの
承諾しなかった?

今谷「電話じゃ駄目なの?」

狭間「直接、話しておきたいので」

今谷「え…あぁ、分かった」

まぁ、緊急っぽいし仕方ないか…

私は公園を指定し、
メッセージで地図を送った。



公園にて

狭間「あっ…すみません…疲れてるのに」

ベンチに座っていると狭間君は
公園に走り込んで来た。

凄い緊急じゃんと、私は立ち上がる。

今谷「ごめんね、遠かったでしょ」

狭間「だッ…大丈夫ですッ…
お時間くださり、
ありがとうございますッ」

膝に手を突いて息を整える狭間君を待ち、
話しを切り出す事にした。

今谷「それで、話しって?」

狭間「あの…単刀直入なのですが…
立武さんが一部の男子と
身体の関係がある事はご存知ですか?」

今谷「…単刀直入過ぎんな」

狭間「性的な行為を
強要されているんです」

今谷「強要?」

突然過ぎて、普通に驚いた。

立武さん、失恋した後に
そんな目に遭ってんの?

今谷「…まじ?」

狭間君と冗談を言い合う間柄でも無い為、
本当の話しみたいだ。

そりゃあ、確かに緊急だわ…

今谷「何、香穂子が原因?」

今の香穂子は、良伸君と恋愛成就して
幸せそうにしているが、
それまでは恨みまくってたしなと、
私の見てないところで
嫌がらせとかしてたのか?

狭間「詳しい経緯は俺にも分かりませんが、
君坂君が主犯格です」

今谷「タクローか…」

過去、虐めとかやってたというのは
人伝いで知っていたし、
立武さんの事嫌いだったしな…

狭間「立武さんは君坂君に
好意がありまして…」

今谷「…え」

あれ、立武さんって、良伸君の事
好きなんじゃなかったの?

今谷「…勘違いじゃん」

狭間「はあ、そうですよ。
立武さんは石田君に
君坂君の事を相談していただけでした」

勘違いで立武さんに敵意向けてたのか…

狭間「で、君坂君は立武さんの
自分への好意を利用して、
輪姦を受け入れさせているんです」

タクローの奴、どんな神経してんだよ…

今谷「その話しを私にしてきたのは、
私に何とかしてくれって事だよね」

狭間君は頷いた。

今谷「何とかっていってもな…」

狭間「まさか、その事実を知ったのに
見て見ぬ振りするんですか?」

今の言い方、棘があるな…

つか、狭間君が勝手に
話したんじゃんと思う。

狭間「無視するわけないですよね?」

狭間君は多分立武さんの事が
好きだから助けたいが、
自分じゃどうする事も出来ないから
タクローと仲良い私に助けを
求めに来たってとこだろうが…

なんか高圧的な感じがする。

今谷「担任には?」

狭間「あの怠慢な担任に
頼る事なんてありますか?」

確かに私達のクラスの担任は職務怠慢で
女子を舐めるように見ている
クソジジイだ。

頼るべきでは無いのは確かにと思うが…

今谷「私にどうこう出来るもんなの?」

狭間「今谷さんに何とか出来ないなら、
立武さんはもう終わりですよ」

今谷「終わりって…
タクローが主犯なのは分かったけど、
そもそも、一部の男子って」

詳しく聞かない限りは
どうする事も出来ないなと思うが
時間も時間だし、そろそろ帰りたい。

狭間「クラスメイトです」

今谷「まさかと思うけど、良伸君は?」

狭間「居ませんよ」

今谷「クラスの男子全員って訳ではないって事か」

狭間「一部です」

今谷「はぁ、この話し
明日に持ち越しでいい?」

狭間「…え」

今谷「普通に0時回んのは怒られるし」

時計を見ると、あと30分で0時だ。

狭間「確かにそうですね」

今谷「ごめんね」

狭間「なんで謝るんですか」

今谷「え、いやバイト遅くなったし」

狭間「今谷さんが謝ることないですよ。
これから、苦労掛けさせるので」

今谷「断言じゃん」

なんだコイツ…



帰宅後

今谷「私が立武さんを助ける義理あんのかな」

転入して来てから、一度も対話をした事がなく
立武さんは立武さんで
仲良しグループみたいのがあって
私は対極なグループにいる。

タクローは友達だが、
その尻拭いをやれって…

話した事ない立武さんの為に
面倒事に巻き込まれるとか、
不利益過ぎて、ぶっちゃけ嫌だなと思う。

私には少年漫画のような
正義の為に身を粉にする事は
向いてないなと布団を被り寝た。
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