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妥協
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喚き散らすタクローを押し退け、
蹲る狭間の前に立つ。
今谷「狭間」
狭間「…な…何ですか」
手が血だらけで、
顔も泣きじゃくったせいで
ぐちゃぐちゃな狭間
今谷「さっきみたいな事は、
もう二度としない」
狭間「…ぇ」
自暴自棄のせいで、
こんな奴と身体を重ねたなんて
自分が許せない。
今谷「でも、謝らないから」
コイツのせいで胃に穴を開くほど、
ストレスを与えられて来たんだ…
今谷「私はお前らとは違う」
私は狭間の血だらけの手を掴む。
今谷「友達」
狭間「…は…ぇ、何言ってるんですか」
今谷「立武とも、タクローとも
友達になるから…協力しろ」
逃げたところで追いかけてくるんだ…
だったら、少しでも
楽になる方法を考えるしかない
狭間「…立武さんとはもう恋人で…
身体だって…もう」
今谷「忘れるから…」
狭間「今谷さんが忘れても、
立武さんが引き下がるわけがない」
今谷「だから、協力してって言ったでしょ。
私じゃ、どうすることも出来ないから」
私は喚き散らすタクローを呼んだ。
今谷「タクローッ」
君坂「好きなんだよッこんちゃん!」
今谷「私も友達としてなら、好きだよ」
君坂「…友達?」
今谷「友達だから」
君坂「ボクは…そういう好きじゃ」
今谷「なら、二度と話しかけてくるな」
君坂「…嫌だッ」
今谷「じゃあ、仲直りして
友達に戻る?」
君坂「…でも…こんちゃんの事」
今谷「同じ事言わせるなッ」
君坂「ひッ…わ…分かったよ」
タクローは渋々頷いたが、
立武はそう簡単にいかないだろう…
~
とにかく、狭間の手を止血し
視聴覚室から出た。
タクローも少し落ち着いて来た為、
立武対処について話すと頭を悩ませた。
君坂「ボクの事を諦めさせる為に
クラスメイトを使って輪姦されて
傷付けたけど、
それでも無理だったんだよ」
それは分かっているが、
それでも無理だった立武は
今、私に好意を寄せている。
今谷「100%無理ではないでしょ、
私を恋人から友達に降格させれば
これ以上悪い状況にはならない…」
と思うというか、願っている。
狭間「…」
今谷「狭間、あんだけ泣いたんだから
分かったでしょ?
私をどんな目に遭わせたのか」
狭間「…」
今谷「協力しろ」
狭間「…」
君坂「狭間、今の立武がこんちゃんを犯して
喜んでたとしても、
結局、誰も幸せになれない」
どの口が言ってんだよと思うが、
タクローはこの何分かで改心というか
急激な成長をみせた。
私もさっきまで、狭間を犯していたのに
今は冷静に立武対処を考えていて
この切り替えに自分でも怖いと思う。
狭間「なら、立武さんが幸せになるには
どうすればいいんですか」
誰よりも立武を一番に考える狭間は
怒っているようだが、
そんなこと聞かれても、
そもそも、立武の事をよく知らない。
今谷「立武って、元々おかしい奴なの?」
狭間「そんなことありません」
今谷「なら、タクローのせいで
おかしくなったの?」
君坂「…諦めないから輪姦させたんだよ、
元々おかしいんだよ」
狭間「違います」
今谷「じゃあ、タクローの事
好きになって、おかしくなったって事?」
狭間「そうです」
他に隠してる事があるのか、
タクローは口を紡いだ。
今谷「タクロー、立武になんかしたの?」
狭間「君坂君は、立武さんの心の穴を
埋めてしまったんです」
今谷「心の穴?」
狭間「去年、車の事故で
立武さんは家族を失ったんです」
微かに去年そんな話を聞いた気がする、
それが立武だったのか。
狭間「自暴自棄になった彼女は、
自殺しようとしていました。
そこを君坂君が助けたんです」
それがキッカケ…
今谷「なんでその事言わなかったの」
君坂「ボクはずっとこんちゃんの事
好きだったから、言う必要ないと思った」
今谷「じゃあ、何で香穂子の立武への
悪口に賛同してたの?」
君坂「こんちゃんの立武への
評価を低くして、
関わらせないようにしたかったから」
結局、タクローの目論見が
外れる形となったのか…
君坂「あの時、立武を放っておけば
こんな事にはならなかったのに」
善意でなのかは分からないが
タクローは立武の自殺を止めたせいで、
好意を抱かれ、立武はおかしくなった。
私も立武の自殺を止めて、
心の穴を埋めてしまったから
好意を抱かれて、おかしくさせてしまった。
私は甘かった…
友達に降格よりも、
また立武を自殺に追い込んで
狭間に助けさせる…
なんて、そんな非道な事したらタクローと
同じになってしまう。
でも、狭間だけ立武を大切に思ってるなら
それが最善策なのかもしれない…
狭間「…」
蹲る狭間の前に立つ。
今谷「狭間」
狭間「…な…何ですか」
手が血だらけで、
顔も泣きじゃくったせいで
ぐちゃぐちゃな狭間
今谷「さっきみたいな事は、
もう二度としない」
狭間「…ぇ」
自暴自棄のせいで、
こんな奴と身体を重ねたなんて
自分が許せない。
今谷「でも、謝らないから」
コイツのせいで胃に穴を開くほど、
ストレスを与えられて来たんだ…
今谷「私はお前らとは違う」
私は狭間の血だらけの手を掴む。
今谷「友達」
狭間「…は…ぇ、何言ってるんですか」
今谷「立武とも、タクローとも
友達になるから…協力しろ」
逃げたところで追いかけてくるんだ…
だったら、少しでも
楽になる方法を考えるしかない
狭間「…立武さんとはもう恋人で…
身体だって…もう」
今谷「忘れるから…」
狭間「今谷さんが忘れても、
立武さんが引き下がるわけがない」
今谷「だから、協力してって言ったでしょ。
私じゃ、どうすることも出来ないから」
私は喚き散らすタクローを呼んだ。
今谷「タクローッ」
君坂「好きなんだよッこんちゃん!」
今谷「私も友達としてなら、好きだよ」
君坂「…友達?」
今谷「友達だから」
君坂「ボクは…そういう好きじゃ」
今谷「なら、二度と話しかけてくるな」
君坂「…嫌だッ」
今谷「じゃあ、仲直りして
友達に戻る?」
君坂「…でも…こんちゃんの事」
今谷「同じ事言わせるなッ」
君坂「ひッ…わ…分かったよ」
タクローは渋々頷いたが、
立武はそう簡単にいかないだろう…
~
とにかく、狭間の手を止血し
視聴覚室から出た。
タクローも少し落ち着いて来た為、
立武対処について話すと頭を悩ませた。
君坂「ボクの事を諦めさせる為に
クラスメイトを使って輪姦されて
傷付けたけど、
それでも無理だったんだよ」
それは分かっているが、
それでも無理だった立武は
今、私に好意を寄せている。
今谷「100%無理ではないでしょ、
私を恋人から友達に降格させれば
これ以上悪い状況にはならない…」
と思うというか、願っている。
狭間「…」
今谷「狭間、あんだけ泣いたんだから
分かったでしょ?
私をどんな目に遭わせたのか」
狭間「…」
今谷「協力しろ」
狭間「…」
君坂「狭間、今の立武がこんちゃんを犯して
喜んでたとしても、
結局、誰も幸せになれない」
どの口が言ってんだよと思うが、
タクローはこの何分かで改心というか
急激な成長をみせた。
私もさっきまで、狭間を犯していたのに
今は冷静に立武対処を考えていて
この切り替えに自分でも怖いと思う。
狭間「なら、立武さんが幸せになるには
どうすればいいんですか」
誰よりも立武を一番に考える狭間は
怒っているようだが、
そんなこと聞かれても、
そもそも、立武の事をよく知らない。
今谷「立武って、元々おかしい奴なの?」
狭間「そんなことありません」
今谷「なら、タクローのせいで
おかしくなったの?」
君坂「…諦めないから輪姦させたんだよ、
元々おかしいんだよ」
狭間「違います」
今谷「じゃあ、タクローの事
好きになって、おかしくなったって事?」
狭間「そうです」
他に隠してる事があるのか、
タクローは口を紡いだ。
今谷「タクロー、立武になんかしたの?」
狭間「君坂君は、立武さんの心の穴を
埋めてしまったんです」
今谷「心の穴?」
狭間「去年、車の事故で
立武さんは家族を失ったんです」
微かに去年そんな話を聞いた気がする、
それが立武だったのか。
狭間「自暴自棄になった彼女は、
自殺しようとしていました。
そこを君坂君が助けたんです」
それがキッカケ…
今谷「なんでその事言わなかったの」
君坂「ボクはずっとこんちゃんの事
好きだったから、言う必要ないと思った」
今谷「じゃあ、何で香穂子の立武への
悪口に賛同してたの?」
君坂「こんちゃんの立武への
評価を低くして、
関わらせないようにしたかったから」
結局、タクローの目論見が
外れる形となったのか…
君坂「あの時、立武を放っておけば
こんな事にはならなかったのに」
善意でなのかは分からないが
タクローは立武の自殺を止めたせいで、
好意を抱かれ、立武はおかしくなった。
私も立武の自殺を止めて、
心の穴を埋めてしまったから
好意を抱かれて、おかしくさせてしまった。
私は甘かった…
友達に降格よりも、
また立武を自殺に追い込んで
狭間に助けさせる…
なんて、そんな非道な事したらタクローと
同じになってしまう。
でも、狭間だけ立武を大切に思ってるなら
それが最善策なのかもしれない…
狭間「…」
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